厳寒期の快適な入浴法

Denouve_Repulsion
秋田の冬が寒い、というのを肌で感じたのは「今年一番の大寒波」が襲ってきた時だった。何しろ、最高気温が氷点下で、朝から晩まで雪が降り続けるという、関西ではまずあり得ない気候である。比較的雪が少ない方だと言われる秋田沿岸地域でもかなりの積雪があり、ゴム長靴を履いても雪が靴の中に入ってくる有様。

こんな日は部屋に帰ってきても寒く、空調をかけてもすぐに暖まるわけではないので、ずっと上着を着て部屋の中で過ごすことになる。いや、本当に寒いんだけど、噂に聞いた「痛くなるほどの寒さ」にはまだ至っていないような気もする。沿岸地方は雪が少ないけれど風が強く、それで体感温度をより低めに感じて「痛く」なるのかもしれない。

大阪の池田にいた頃は公団の集合住宅に住んでいたけれど、高気密の部屋だったので、暖房をかけずにいても室内は10度前後に保たれており、寒い外から帰ってくると暖かく感じられたのだった。8畳程度のワンルームだったが、暖房は小さなガス・ファンヒーターで充分で、布団も毛布と肌掛け布団にカバーをかけたもので大丈夫だった。

それからすると、会社の寮はかなり寒いと言える。室内はともかく、公共空間は吐く息が白くなってしまうほど冷え込むのである。風呂場もそうで、食器洗いのシンクが装備された洗面所と隣り合わせになっているが、かなり寒い。こう寒いと風呂に入る気も失せてしまうが、入浴しないわけにもいかない。

できるだけ短時間で入浴を済ませてしまいたい。普通のように、バスタブに湯をたっぷり張って入浴し、バスタブの外で体を洗っていたら、その間に身体が冷えてしまう。もはや日本の普通の入浴の仕方では対応できぬ状況なのは間違いない。では、どうすれば体を冷やさず、短時間で入浴を済ますことができるのか?

答えはこうである。バスタブの中で身体を洗ってしまうのだ。バスタブに湯をたっぷり張るまで待つ必要はない。だいたい15cmくらい湯が溜まったくらいが「入り頃」だろうか。寒いけれど、尻や腰、足を温めることができるのは大きなポイントだ。そこで身体洗い用の化学タオル(?)に石鹸または液状のボディ・ソープなどをつけて身体を洗う。

座りながら洗うのだから、腕や首、胸などが一番先になるだろう。洗いにくい下半身はバスタブの中で立ち上がって洗ってしまおう。足先なんかはバスタブに乗せて、さくっと洗い上げましょうかね。えっ、行儀が悪い? だけどね、映画『反撥』の中で、カトリーヌ・ドヌーヴは洗面台に足を乗せて洗っていた*ではないか。

もちろん垢が湯の表面に浮いてくるのだが気にしないようにしよう。どうしても気になる人は洗面器で灰汁を取るみたいにすくえばいいと思う。髪もバスタブの中で洗うのだが、シャワーなど使わず、垢が浮いた湯(おいおい)をすくって頭にかける。バスタブの湯は身体を洗った石鹸やら、シャンプーやらで汚れているが気にしない。

いや、まあ「そういうもの」なんである。映画『Brazil』でもヒロインが入浴するシーンがあったけど、バスタブの湯は白濁していた。というか、表面に泡が浮いていて、垢とかはごまかされていたけれど、「そういうもの」だと思う。一人一湯(?)が基本であって、何人かで湯を共有する日本式の入浴方法とは違うのである。

身体を洗い終わった頃にはバスタブにたっぷり湯が溜まっているので、そこで「入浴」となる。湯は白濁し、表面には垢が浮いているけれど気にしない。ゆったりと身体を温めようではないか。ひとしきり身体を温めたら、栓を抜いて排水するのだが、排水しながら化学タオルでバスタブをこすって洗ってしまえばよい。

最後に、シャワーを浴びて汚れを流すようにする。キレイさっぱり、身体や髪に付着した垢なんかを洗い流しておきましょう。面倒くさいのでそのまま上がっても(おいおい)それほど壊滅的にひどいことにはならない(と思う)。この方法、じつに合理的でお気に入りなんだけど、理解してもらうのは難しいだろうなあ。

*今回の画像は、まさにカトリーヌ・ドヌーヴが洗面台に足を載せている『反撥』の一場面です。

【付記】
⚫︎ やはり「バスタブの湯は綺麗でなくてはならない」という日本の伝統的な入浴概念は、なかなか根深いものがあって、汚い湯を受け入れるわけにはいかないと想像します。ですが、もうこの方法以外で入浴する気がしません、というか「できません」。寒すぎるんですね。


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秋田美人考

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秋田美人という言葉をいつ、どこで知ったのか定かでないが、秋田に住むことになった、と報告すると、「美人……いいなあ」という声が聞こえてきた。九州在住の人なので、やはり「秋田美人」はかなり広範囲に行き渡っていると推測される。JR秋田駅にも「美人に会える? んだ。んだ。秋田。」なる宣伝文句があったほどである。

ネットで「秋田美人」を検索してみると、やはりかなりの数がヒットする。なぜ秋田に美人が多いのか、という説もまあ色々あるんだけど、それらをここに引用するのは差し控えておく。だけどねえ、秋田に住んで半年以上になるけれど、衝撃を受けるほどの美人に会ったことはないんですよね。

これには事情があって、現在(2017年)私は男鹿温泉郷に在住しており、そこは周囲にコンビニ店もない辺境の地。そもそも、人の存在する数そのものが少ないのだ。もし仮に、私がJR秋田駅の改札で切符を切る係をしていたら、衝撃を受けるほどの美人に遭遇する可能性はずっと高くなったに違いない。

秋田は日本三大美人の産地の一つである、とかいうらしいけど、実際は他の地域とそんなに変わるわけではないと思う。また面白いことに「三大不美人の産地」もあるという。ネットで調べて初めて知ったが、それも他の地域とそんなに変わるわけではなかろう。だけどまあ、秋田県のイメージ戦略にたいへん役立っているのは確かだろう。

秋田に来てまず感じたのは、瞳(虹彩)の色が淡い人がわりと存在することである。全ての秋田人がそうだというわけではないが、性別を問わず、おやっと思うほど瞳の色が薄くて、ちょっと独特の印象がある。原因は不明だが、もしかすると日照時間の少なさかもしれない。なんでも秋田は「日本一日照時間が少ない県」だとか。

もう一つは、これも日照時間に関係があるのかもしれないが、比較的色白の女性が多いような気がする。もちろん職業や年齢によって一概にそうと言い切れない部分もあるけれど、ご両親のいずれかが白人なのかな、と思うほど肌の白い女性を見たことがあり、その瞳が淡い色だったのでとても印象に残った。

とまあ、そんなわけで私にとって秋田美人とは、「肌がとても白く」て「淡い瞳」の女性のような気がする。だけど、それだけだと「美人」にはならないんですね。決定的要素は顔の造作というか、各パーツの形状と大きさ、および配置であろう。程良い形状と大きさというものがあって、それらがしかるべき配置にあれば、じつは肌や瞳の色はあまり関係ないのではないか。

絵に喩えると、例えどれだけ美しい色だとしても、それだけでは「美」にならない。ある色や色彩群を見て「いいなあ」というのは「快」に近いもので「美」から少し離れた所にある。ところが、色がない鉛筆や木炭、ペンによるドローイングだけで、美的満足を得ることができるのはご存知かと思う。だから「かたち」が美的要素の大部分を占め、「色」は副次的なものだと言える。白黒写真とか銀幕映画でも、じゅうぶん満足できるでしょ?

これに少し補足しておくと、トイレにマーブル模様の床(意図しないランダムな模様であれば何でもいい)があったとしましょう。ぼんやり眺めていると、どうしてもある一部が人の顔に見えて仕方がない、という経験はありませんか? 模様が「ある配置」になっていると、それを無意識のうちに人の顔として認識してしまう「認識パターン」が脳内にあるのではないか。

美人にもこれが当てはまり、美女美男に見える「認識パターン」がたぶん存在するはずで、そうでなかったら美人と不美人の差は生じないだろう。人は、誰かに教えられて美人を知るのではなくて、たいへん幼い頃からすでに美人を「知っている」のである。幼稚園とか保育所にいる頃から、美人の先生を見分け、憧れてきたではないか。ゆえに、美人の認識パターンは、遺伝子によって脳のどこかに生まれながらに備わっていると考えざるを得ない。

でもね、いわゆる「三大美人の産地」における、顔を構成する各パーツの形状と大きさおよび配置が「美的に見える最良バランス」である確率が、他の地域より高いかどうかなんて、わかるはずないでしょ? こういう事柄は測量して数値化できないものである。顔の造作が美的配置になっている人は、たぶん、全国的にうまいこと散らばっていると思う。根拠ないけど。

だから秋田に美人が多い、というのは個人としては懐疑的である。だけど「あなたの住む地域には美人が多い」と言われて悪い気はしないので、他都道府県の人がそういうのはいいと思う。けど秋田県がそれを使うのはどうかと……初めはね、へぇって思うだけだったんだけど、今ではちょっと恥ずかしい気持ちになるって、ちょっとだけ秋田人的になったってことなんだろうか。


【付記】
⚫︎ 大阪の池田に住んでいた頃、衝撃を受けるほどの美人を見たことがあります。2011年〜2012年頃、池田の駅前にダイエーがあって、その中のパン屋さんの店員さんが驚くほどの美人だったのです。そのころ、朝にレタスのサンドイッチを食べてまして、パンは絶対ここで買おうと決め、8枚切りのスライスをお願いしていました。

元々は、サンドイッチを食べるためにパンを買いに行ったはずなのですが、いつしか彼女の顔を見るためにサンドイッチを食べているかのようになってしまったのです。こんなことは、滅多にあるものではありません。だけど、衝撃を受けるほどの美人を見てしまった以上、面食いには抗いがたいことだったのです。


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またもフェイクのMA–1型フライトジャケット

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男鹿温泉郷に来たのは夏のこと、Tシャツに薄手のズボン(トラウザーズ)があればよかった。北国とか雪国では、四季の移り変わりは少し変わっていて、極端な話、夏と冬が繰り返される感じがする。夏の終わりは比較的早めなんだけど、「秋」って感じではなく、夏の続きのよう。そんな日が続いたかと思うと、いきなり冬が来る。

もっともこの現象は、日本の広範囲で起きているような気もする。大阪にいた頃、「クールビズ」とやらでネクタイを外していいのは10月いっぱいまでだった。実際、10月でもTシャツ一枚で外を歩いている人を何度も見かけたし、上着を着ていると暑く感じたはず。秋が来ないなあ、とか思って11月下旬になると、ある日、突然寒くなるのだ。

関西でも3月はまだ寒く、4月に入ってもコートを手放さぬ人もいる。なのに5月の連休頃になると、もう汗が出てたまらない夏のような感じになってしまう。どうも近頃は春と秋が希薄になり、長い夏と冬が繰り返されるようになった気がする。この原因は不明だが、昔を知る人は口を揃えて「昔はもっと寒かった」と言う。

だから所有物をほとんど処分した人間にとって、冬の到来は恐怖すら覚えるもので、防寒用の上着をなんとかしないと身の危険に及ぶほどである。もう洒落たコートはいらない。車がないので、どうせどこにも出かけたりしない(できない)のだ。作業時に使える防寒用上着で、普段着として外出するにも使えるものでなくてはならない。

ネットでそれらしい物を探してみるのだが、なかなか見つからない。しばらくしていると作業服やユニフォーム専門店で「ドカジャン」なるものを見かけた。おっ、これじゃないのかな、たいへん実用的だし……と一瞬思ったが、普段の外出着として使えるんだろうかという疑念が湧いたので保留した。

こういう時はもう、あれしかないでしょう。またかよ、のフェイクのMA–1型フライト・ジャケットである。ブラックで、裏がオレンジ色のフェイク物を長年にわたって着用してきたが、じつに便利で役に立つ衣服である。なにもAvirexとかブランド品とか本物のミリタリー服である必要もなくて、5000円前後の偽物でじゅうぶんだ。

いやね、まあ、人の数自体が少ない辺境の地でいくら気張ったって、どうせ誰も見てないんだもん。ていうか、大阪市中央区に住んでいた時だって、別に気張ったりしなかったわけだし。というわけで、フェイクのMA–1をネットで買い求めた。ブラックでもなんでも(どうでも)いいけど、モス・グリーンっていうの? そんなのにしてみました。

なんか投げやりですなあ。なるほどネット上では「MA–1をベースに、モダンにアレンジを加えました。すっきりしたシルエットに仕上がっており、オシャレ系カジュアルのマストアイテムとして云々」とかあるけど、なんか違うんだよな。あ、私が買ったのはそれじゃなくて、作業服専門店のいかにも偽物って感じのね。

というわけで、フェイクのMA–1タイプが届きましたよ。本物を知らないからチェックできないのが残念である。だけど、この偽物感、安物感がどこか懐かしい。もはや着潰し(?)感覚で、たとえどれだけ汚れてしまっても平気のような気分。まあでも、いくら偽物の安物でも、一応は大事にしないとね。


【付記】
⚫︎ やはりフェイクのMA–1型フライト・ジャケット、役に立っています。ネイビーのオーバーオール(つなぎ服)の上に着ていますが、本当にこれ一着で、秋田沿岸地域の冬を乗り越えることができそうな感じです。


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iPadだけで撮影環境を構築する

拙ウェブログのコメントで「写真が綺麗」と褒めて頂いたことが何度かある。たいした腕はなく、汎用小型デジタル写真機しか使っていない者としては身に過ぎた言葉のように思う。けれども、どうせ掲載するなら、できるだけ見栄えのいいものを、と思って撮影してきたのは本当だ。私なりの撮影術をちょっと公開いたしましょう。

ウィスキーなどの記事のときは、作業台の上に突き板仕上げの板を置き、ボトルとかウィスキーを入れたグラスを乗せて窓辺で撮影する。そのまま撮影ボタンを押しても構わないのだが、窓から射す光が強いので、自動露光はそれに引っ張られてしまう。そこで、ボトルとテーブルあたりに露光を合わせ、AEロックをかけ、撮影する。

すると、窓辺には薄いカーテンがかかっているけれど、白飛びして真っ白の背景が出来上がる。実際は薄汚れたカーテンがかかっており、部屋は乱雑を極めているが、出来上がった写真だけ見ると、けっこう綺麗な部屋に住んでいるかのようである。夜の撮影では、ボトルをテーブルの上に乗せ、横からLEDの白色光でスポットを当てる。

自動露光では明らかに光量が足りないのでフラッシュで補おうとするけれど、設定でフラッシュ禁止にしてあり、ウェブログに掲載した写真の全ては、フラッシュなしで撮影されている。そして、ボトル周辺の明るい部分に露光を合わせてAEロックをかけ、撮影すると、背景は真っ黒になって、散らかった部屋が隠されるわけである。

内実を知る者は「ねえ、これってなんていうか……詐欺じゃない?」とよく言っていたけれど、まあそうだろうね。認めるよ。だけど写真が良ければそれでいいではないか。たとえ部屋の中がどれだけ乱れていようとも。要するにキレイに見える写真は露光がすべてだと言える。題材とか構図、芸術性は考慮に入れていない、ていうかそれ系の写真、私には無理。

「露光が合う」とは、自動露光が対象物を「反射率18%のグレーとして認識した」ということ*。白シャツを写したのになんだか暗い画面になってしまうのは、自動露光が白をグレーにしようとする結果、暗く(露光アンダーに)なったんですね。反対に、黒いキーボードだけを撮ろうとすると、黒をグレーにしようとするので、明るく(露光オーバーに)なる。

白を白く、黒を黒く写すには、どこか他の所にあるグレー(なければ自分の手の甲)に露光を合わせてAEロックをかけ、改めてフォーカスを合わせて撮影ボタンを押すといいでしょう。こんなふうに、どれだけAEロックのお世話になったことだろうか。だけど、いま使っているiPadの標準機能では、AF/AEロックになっていて、単独でAEロックができないんですね。

えっ、デジタル写真機はどうしたよ、って? それはですね、「ない」んです。大阪にいた最後の頃に、電源スイッチを押してもレンズが前に出てこなくなった。確か2009年の5月頃に買って、ずっとそれ一台だけで拙ウェブログを支え続けてくれた。近頃の記事に画像がないのは、たんにカメラがないからだけど、できれば画像付きのほうが、記事に真実味が増すような気がする。

だが新しいデジタル写真機を買う余裕はない。おまけに、メインのノート型PCも起動トラブルで使えないので、iPadを最大限に活用するしかない。ロジクールのキーボードを付けて書いているけど、慣れればけっこういける。デジタル写真機がなくても、iPadのカメラ機能はなかなかの画質で、AEロックできるカメラアプリをインストールすれば良いだけじゃん?

というわけで、iPadだけで撮影環境を構築する。AEロック対策として有料アプリだけどCamera+をインストールしてみた。起動すると、カメラの画面になるんだけど、指で触ると、+が付いた小さな四角が現れる。+を押すと、「焦点」と「露光」に分かれて、画面上で動かすことができる。あ、なかなか良い感じじゃない? いや本当、けっこう使えるじゃないか。

これに加えて使いたいのが画像補正アプリ。「ウェブログに載せたいけど、失敗写真しかない!」という場合とか、やっぱり補正したいよね。正直に書いておくと、私の写真、わりと補正かけてます。ここでは Instaflash をインストール。逆光で暗くなった顔とか、指一本動かすだけで補正してくれ、背景の白飛びが抑えられているのがすごい。しかもホワイトバランスまで付いていて、かなり使える失敗写真修復アプリだと思う。

Instaflashにはトリミング機能がないようなので、トリミング用アプリとしてFotorを選んだ。トリミング用とか書いたけどFotorは多機能なので、一本だけに絞るとすれば、Fotorだけで事足りるほどだ。iPadだけしかないけど、これでデジタル写真機とPhotoshopあるいはLightroomを装備したのにかなり近い環境になった(おいおい)んじゃなかろうか。それは大げさとしても、ウェブログ用記録写真の撮影者としては、必要にして充分な装備になったようである。

*本来は露光が合う=適正露出で、反射率18%のグレーを再現できる明るさのこと。絞り値、シャッター速度、ISO感度の組み合わせで決まる。もし私がフル・マニュアルの銀塩カメラをいきなり持たされて、さあ写せ、と言われたら、適正EV値を得るのにオタオタするに違いありません。

【付記】
⚫︎ 無理してiPadを買っておいて良かった、とつくづく思います。これがなければ、こうしてみなさんにお会いすることも叶わなかったでしょう。余裕ができれば、Windows機とか汎用小型デジタル写真機をまた買うと思いますが、しばらくはiPadでがんばってみます。


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ラーメン+漬物=秋田流?

秋田に来て間もない頃、JR秋田駅周辺をよく歩いた。知らない街を歩く時、なぜか酒屋と中華料理店、そして蕎麦屋を探してしまうのが癖だけど、秋田市民市場の周辺に中華料理店やラーメン屋がわりとあって、気に入ったのを覚えている。7月の終わり頃だ。水面いっぱいに蓮で埋め尽くされた池があり、その裏側には学校と立派な図書館がある。

某日、西武百貨店が入っている商業ビルに入り、涼をとりながら昼食を済ませることにした。飲食エリアに赴き、いつものやつが食べたいなあ、と思ってラーメン店に入った。たしか〈南秋ラーメン〉という店だったと思う。残念ながらラーメンと炒飯のセットはなかったけれど、ラーメンといなり寿司のセットがあった。

ラーメンといなり寿司か……なんか妙な組み合わせだな、いなり寿司の相手はうどんかそばじゃないのかな、とか思ったけれど、まあいいか、ということでそのセットを注文した。しばらくして料理が来ると、醤油ラーメンの横にいなり寿司があって、いなりには生姜の甘酢漬けが添えられている。

そこまではいいのだが、もう一つ小さな器があって、そこには漬物が入っているのだ。はてね、これ、どうやって食べるんだろう? ていうか、何に合わせて食べるんだろうね? このセットにはいなり寿司があるけれど、それは生姜の甘酢漬けで完結している。つまり私にとって、漬物は合わせる相手がない余計なものに思えたのだ。

ラーメンに漬物があり得ないわけではなくて、キムチとか大根キムチ(?)はラーメンと一緒に食べても不思議ではない。九州ラーメンに高菜漬、紅生姜の組み合わせもある。それらはもはや「普通」として受け入れられていると思う。だけど、ごく普通の菜っ葉の刻んだ漬物をラーメンと食べることって、あまりしないんじゃなかろうか。

これが秋田流なんだろうか。どうやら不思議に思っているのは私だけで、周囲の人たちは何もなかったかのように静かに食べている。だけど、何に合わせて、いつ漬物を食べるのか、どうも気になって仕方がない。ちょうど、隣に若い男性が座っているので、彼がどうやって食べるのか、ちらっと観察させてもらうことにした。

彼はなかなか漬物に手を出さない。私もさり気なくゆっくり食べながら、その瞬間を逃さぬように心を引き締めて見守る(?)。おおかた麺を食べ終わった頃、彼はおもむろに漬物の器を左手に持ち、まるで流し込むみたいにガッと一気に漬物だけを平らげたのである。ウワォ、そう来るか! ていうか、そうするものなのか!

その出来事は印象に残っていたので、ある日、秋田人の同僚たちに事の顛末を話し、どうですか、ラーメンに漬物って秋田では普通なんですか、と訊いてみた。すると、若い女性が「ラーメンと一緒に漬物、普通に食べますよ」というではないか。中年男性も「俺もラーメンと漬物、普通に食べますよ」と。

一応念を押して、いやこの場合ね、ラーメン屋さんによくあるキムチとかじゃなくて、ごく普通のタクアンとかみたいな漬物ですよ、本当に? というと、彼らはやはり「そうするのだ」と断言した。そうなのか、これで疑念が晴れたというか、一つの謎が解けたような気がした。ラーメン+漬物=秋田流(?)なのである。


【付記】
⚫︎ いやあ、すっきりしましたね。ただ、サンプルが2名で決めつけるというのもどうかと……あ、それでね、漬物をどうやって食べたかっていうと……残しちゃいました。ネットで調べてみると、ラーメンに漬物を添えて出す店がいくつか存在することがわかりました。なのでラーメン+漬物=秋田と決めつける必要もなさそうです。


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只野乙山

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