男鹿半島と周辺を歩く(9)カフェKENTA(男鹿市船越)

KafeKenta
休日、何もなければすぐ昼酒に走ろうとする自堕落な男である。だが今回、姉と寒風山に行った後、カフェで昼食。カフェなどという所は自分一人ではまず行かないだろうから、良い機会だと思う。男鹿市船越の〈カフェKENTA〉は〈スーパーセンター アマノ〉の対面に位置し、花屋さんが隣にあるせいか、どこかお洒落な感じがする。

隣の花屋さんはカフェ店主の娘さんがやっているようで、店内には観葉植物がたくさん置かれている。店主と思われる初老の男性と女性スタッフで切り盛りしている店内に昭和の香りは漂っておらず、よくあるお洒落カフェだろうか。ちなみに今日は姉が予約を入れておいた整体師(女性)の方も同席しているので、少し行儀よくしないとね。

個人的には「明るくキレイでお洒落なカフェ」よりも「薄暗く薄汚れた昔ながらの喫茶店」のほうが居心地がいいのだが、後者はもはや存在が危ぶまれる絶滅危惧種のようなものであり、大阪ならともかく秋田(特に男鹿)では見つけることすらままならないだろう。しからば、腹を括ってカフェ飯と参ろう。

生パスタがお勧めなんだよ、と姉から聞いていたのでそれにするつもりでいたけど、メニューを見ると、何やらたくさんあるじゃないですか。あっ「チャーハン」という文字が! めっちゃ惹かれるんだけど、今日は生パスタの気分である。おやおや、平然と「ジェノベーゼを」なんて言ってるよこの男。だけど秋田の人って瞳の色が淡いなあ。

特に今日のように自然の間接光のもとで見るとまるでガラス玉のようである。ツァイスのビオゴンとかホロゴンを思い出すな。私の瞳はたぶん栗の皮みたいな色だろうけど、彼女のはヘーゼルナッツっていうのかな、至近距離からずっと眺めていたい感じ。もし彼女が明るい時間にベッドで仰向けになっていたら、最も具合が良いんじゃなかろうか。

あ、違ってました。ったくもう、何を書いているんだか。ジェノベーゼでしたね。バジルソースの緑色にトッピングはちりめんじゃこ(しらす?)、これでいいのかな。よくわかんないけど、松の実とか小型トマトの小ダイスカットのほうがそれっぽいんですけど……まあいいか。生パスタ、モチっとしていて、なかなかいい感じではないか。

自分としては平麺(フェットゥチーネ?)のようなのを想像していたので、意外な気分がしたけど、食感も良く、バジルソースの味も良い。粉チーズはあまり好きではないが、ひょっとしたらパルミジャーノ・レッジャーノをおろし器で粉末にして混ぜ込んでいるかもしれない。いや、そこまでやるかな? ふつうに市販の業務用ソースだったりして。

食後にアイス・コーヒーが運ばれてきましたよ。小さな容器に入ったシュガー・シロップとフレッシュ・クリームが添えられているのが嬉しい。もう慣れたけど、プラスティック製のポーションだったりすると、ちょっと幻滅してしまう。飲んでみると、かなり濃く感じる。あ、良いな、この感じ、と思っていると、姉も同意見だった。

そして私が**さん(男鹿の某有名カフェ)のアイス・コーヒー、いまいちなんだよなぁ、というと、本当にそうだよ、あれはちょっとね……という話になった。気づかなかったんだけど、氷に注目。アイス・コーヒーを凍らせたものを使っているのだ。これ、関西でも滅多に見かけることはない、っていうか見たことない。また来たくなる店ですね。


【付記】
⚫︎ コーヒーを凍らせた氷、じつに素晴らしいものでした。そうすると、アイス・コーヒーが薄まることはないですからね。次回は是非チャーハンを、しかも大盛りで食べてみたいですね。女性ターゲットのようで、気持ち小盛りなんですね。

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男鹿半島と周辺を歩く(8)寒風山(男鹿市脇本)

Kanpuzan_01
とある休日、姉と寒風山へ行った。秋田にきて間もない頃、車に乗せてもらいながら、「あれが寒風山だよ」と姉に教えてもらった。山頂に何か建築物らしきもの(回転展望台)が見えるので、すぐ覚えることができた。寒風山の東側を走りながら、勤務先はあの向こうだから、と姉が言うと、思わず「ええっ⁉︎」と言ってしまったものだ。

そんなわけで、寒風山はクルマに乗るようになったらまず行ってみたい所になっていた。ところが、いざクルマが手に入ったにもかかわらず、なぜか寒風山訪問は後回しになっていた。理由は自分でもよくわからない。遥か昔、トヨタのスターレットで奈良の生駒山に行ったことがあり、うっかりオーバーヒートさせてしまったのだ。

クルマで山に行きたくないのか、山でなくても出かける気がないのかよくわからないが、とにかく今回、姉に背中を押してもらって寒風山へ行ってきました。途中まではいいんだけど、段々アクセルを踏み込んでいるのに速度が出ず、後ろからクルマが来たら嫌だなあとか思いながら走る。

Kanpuzan_03ねえ、オートマのDモードで大丈夫なの?と姉に訊いたら、「うん、私はそれで行ってるよ」と。でも最後の方で2ndにシフトしました。かなり慎重にやったつもりでも、なんか臭いがするではないか。そう、これはもうオーバーヒートの一歩手前まで来ているな。最頂部までクルマで行くつもりだったけど、その手前で断念した。

周囲に遮断物がないことは理屈でわかっていた。でもこの眺め、本当に気持ちがいいですね。360度、ぐるっと見渡すことができ、パラグライダーで空に浮かんでいる人も見える。「あれが男鹿温泉郷で、行き着く所が入道崎。でね、あっちに見えるのが船越の橋ね、風車があるのが八龍でその向こうが能代ね」と、男鹿の全てが見える感じ。

奈良の若草山みたいに定期的に山焼きをしているのか、背の低い草しか生えておらず、見晴らしが良いのもそのせいかもしれない。山頂部の手前で駐車したので、そこから歩いて頂上へ。二人ともいい歳なので、途中で休憩してゆっくり歩いた。なるほど、本当に回転している展望台がある。

Kanpuzan_02だけどこの眺め、本当に良いですね。つい似たものとして奈良の若草山を挙げてしまうけど、人がいないのが何かもったいない感じがする。人がいるのが当たり前の若草山と、人がいないのが当たり前の寒風山。似ているけど、ちょっと違うぞ。あ、そもそも一緒にするな、と言う声も聞こえて来そうだな。

八望台、入道崎、そして寒風山。まだ見ていない男鹿半島西海岸の鍾乳洞群など、なるほど国定公園になってもおかしくないものだと思う。だけどそのわりには「人がいない」なあ。この景観を独り占め(ではないがそれに近い)にするには、ちょっともったいなさすぎる感じがしないでもない。


【付記】
⚫︎ 画像一枚目の看板、多少見にくいのですが「世界三景」と書いてあるのです。自称なのか本当に世界に認められているのか不明ですが、たぶん前者ではないかと思います。いささか大げさではありますが、そう言いたいくらい眺めは良かったです。けっこう暑くて、なぜかソフトクリームが食べたくなるんですよね。

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特別純米〈北秋田〉

Tokubetujunmai_Kitaakita
秋田県大館市にある株式会社北鹿が出している〈北秋田〉の大吟醸(アルコール添加)は実売価格が1000円を切るもので、費用対効果が抜群に良い。近隣の多くの商店で扱っており、入手も容易なので我家の標準のようになっていた。これを飲むと、紙パック入り普通酒を飲む気が失せてしまうのである。

いつものようにドジャース男鹿店で北秋田の大吟醸を買おうとすると、隣に緑色のラベルで〈特別純米 北秋田〉とあるではないか。しかも何と、隣の〈大吟醸 北秋田〉よりさらに安いお値段である。これを買わないわけがなく、早速買い物カゴに入れた。北鹿は普通酒でも良い味で、購入の際にためらうことはない。

冷蔵庫で冷やして味わう。冷やしているからか注いだ盃から立ち上る香りはごく控えめ。口に含むと米の旨味、控えめな甘み、少し遅れて酸味も感じられる。重い/軽いのどちらかといえば、軽いほう。軽いけれど酒の旨味はじゅうぶん感じる。推定日本酒度は+2前後か。常温でもうまいが、冷やしたほうがより美味しい感じがする。

もうはっきりと甘口なのだが適度な酸味と軽やかさがあるので、全体としてスッキリした味わいになっている。とにかく、ハッタリがなく旨いので杯を重ねてしまう傾向がある。しかもアテなしで何杯でもいけてしまう危険な酒でもある。事情があって値段の詳細は割愛させてもらうが、本当にこの値段でいいのかと思ってしまう。

同社の大吟醸〈北秋田〉より香りは少し控えめだが、旨味は強め。どちらも文句の付けようがなく甲乙付けがたい。個人的にはアルコール添加の大吟醸より、純米の〈北秋田〉の方が好みかもしれない、などと思うがその日の気分や体調によって味も違って感じるから一概には言えない。

余韻というか後味が良い。引き際があっさりしていて、嫌な感じが残らず、旨味が残ってまた飲みたくなる。香り控えめとは書いたけれどこのくらいがちょうど良いのかも。香りの立ちが穏やかなので、料理と合わせてもいけるのではないかと想像する。持ち味の「旨口」が料理とどう響き合うのかも楽しみだ。

というわけで、ヒラメの刺身と合わせてみた。もう甘く感じるヒラメで、脂や臭みがほとんどない上品な味わい。淡白だが旨味があるヒラメの後に〈特別純米 北秋田〉をやると、酒の旨味がよりわかる感じがする。酒が独立している、とでもいえば良いのだろうか。かといって、それが料理の邪魔になっているわけではなく、料理も酒もうまい。

甘口だけど軽やかで、つい飲み過ぎてしまって急にガクッとくる感じ、だろうか。これは秋田の酒に共通して言えるのかもしれない。傾向が似ている、と言っても良い。だからブラインドで銘柄を当ててみろ、と言われるとたいへん困るにちがいない。〈特別純米 北秋田〉が我家の標準に加わったのは言うまでもない。


【付記】
⚫︎ あまりの費用対効果の高さに、なんだか申し訳ない気分になってしまうほどの北鹿です。うまい酒を安く飲めるというのは言葉の真の意味において「有難い」ことです。

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叩きキュウリの塩昆布和え

CucamberWithDriedKonbu
キュウリが安値で出回るようになった。庶民、いや貧民としてはこれを利用しない手はない。自宅の家庭菜園でキュウリを作っている人も近所にいるくらいだから、秋田ではキュウリを自給自足している人もわりといるのではないかと想像する。姉と会った際「キュウリ食べる?」というので、おうよ、とありがたく頂戴した。

どこで入手したのか知らないが、小さくて曲がったキュウリ。たぶん作ってみたものの出荷できない選外品だろうと思うけど、そういうのをタダでくれる人がいるらしい。私も、もらってばかりだと悪いので、頂き物の比内地鶏スープを姉に渡した。3〜4人前なので、一人では扱い兼ねていたのだ。物々交換のお付き合いが活きている、のかな。

さてキュウリをどうするか。姉は「味噌をつけてかじったらいい」と言っていたけど、その手のおかず味噌(?)はない。みそ汁に使う信州味噌なんかを塗りたくって食べるのはなんか違う気もする。我が家にマヨネーズはないしなあ。ちなみにソースもありません。これを書くと大阪人失格になってしまうのだが、もう何人(なにじん)でもいいよ。

少し考えて思い浮かんだのが、叩きキュウリの塩昆布和えってどうだろう。キュウリの先を落とし、すりこぎ棒や空き瓶などを使ってキュウリを叩く。そうすると味が染みやすくなるんだって。まな板にキュウリを乗せて、エイっと叩くのだが、叩くときは一本ずつ行うのをお勧めする。二本まとめて並べると、急に手強くなりますよ。

叩いたキュウリをビニール袋に入れ、塩昆布を投入する。メーカーはお好みで、分量は「テキトー」または「だいたい」で。常識の範囲内で勘を働かせていきましょう。塩昆布を入れたら軽く混ぜ合わせ、もみ込んでおく。できるだけ空気を抜いて、室温でしばらく放置する。浅漬けではないので、5分くらいでいいでしょう。

最後にゴマ油を垂らして軽く混ぜたら出来上がり。このままでもいけるけど、好みで辛味を効かせたいときは唐辛子の輪切りを入れてもいいだろうし、生姜のみじん切り(生姜チューブでもOK)などを加えてもいいのではないかと思う。もちろん、生姜と唐辛子、両方を入れても美味しい。好みの問題である。

食べてみると、塩昆布からじつにいいダシ(?)が出ているのがわかる。叩きキュウリと塩昆布だけでも美味しいので、油類をカットしたい人はゴマ油なしでいけば良い。生姜を使う代わりにわさびを入れても美味しい。キュウリ+塩昆布を基本として、そこに好みで色々薬味を試してみるのも面白いのではないかと思う。


【付記】
⚫︎ 塩昆布から出る「うまみ」はグルタミン酸かアミノ酸か知りませんが、「間違いない」と思えるような部分がありますね。なのでいろいろな野菜に合わせてみたり、パスタに使ってみたりと応用もたくさんあるでしょう。おいしいのですが、くれぐれも「入れすぎ」にはご注意を。

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男鹿半島と周辺を歩く(7)八望台・入道崎(男鹿)

20170628203952f80.jpg
某休日、姉と北浦の〈金栄堂シャポー2号店〉で昼食を済ませた後、ドライブ。今回はクルマを買ったらまず行ってみたいと思っていた入道崎へ行くことができた。が、その前に八望台へ寄ることになった。場所的に八望台と入道崎はそう遠くなく、クルマで廻ってみるにはちょうどいい感じなのだと思う。

男鹿温泉郷からもクルマで「ご近所」の距離。道路を走っていれば「八望台」への道はすぐわかる(?)と思う。少し走らせると、程なくして八望台に到着。なんかやたら大きな駐車場があるんだけど、クルマが全くないのは笑ってしまう。姉いわく「だから人のいない国定公園なんだよね」ということである。

大型観光バスが何十台も駐車できるスペースにぽつんとクルマを停め、外に出る。風が強くて少し寒さを感じるほどだ。売店兼食堂があるようだが閉まっており、なんだか廃墟のようにも見える。土日はやってるみたいだよ、と姉はいうけどちょっと信じられない。その隣に展望台がある。

20170628203946088.jpg螺旋階段になっているようで、上り詰めたところから戸賀湾、二ノ目潟が見える。これは火山活動によってできた「マール」といって「世界的にも珍しい特殊火山湖」であるという。なんでそんな珍しい物が男鹿にあるんだ、と不思議に思ったが、「三ノ目潟は目視できない」という話のほうがもっと不思議である。

なるほどニノ目潟はすぐ目の前にあるし、振り返ると一ノ目潟を見ることができる。だが三ノ目潟は少し離れて男鹿水族館GAOの近くにあって、ここ(八望台)から見ることはできない。森に囲まれているのが原因だと思うが、三ノ目潟の近くの道路や建築物からでも見られないというので、存在しているが誰も見たことがない「幻の湖」だとか。

面白いじゃないの。八望台からの景色も素晴らしいんだけど、むしろ三ノ目潟の不思議のほうが興味を唆られてしまうな。ちょっとした高台、例えば帝水ホテルの辺りに小高い建築物あるいは塔のような物を設置して三ノ目潟を見られるようにする「三ノ目潟目視計画」みたいなのがあるといいなぁ、なんて想像してしまうではないか。

20170628203949966.jpgあ、八望台からの景色、とっても良かったです。って、あんたはガキか? で、次に向かったのは入道崎。これまた、だだっ広い駐車場にクルマがほとんどない! でもさすがに八望台とは違って売店兼食堂が営業している。小さな灯台があるのでそちらに向かって歩いていると、ふとヴァージニア・ウルフ*を思い出した。

せっかくだから入ってみようか、と見物料200円を払って灯台の中へ入る。すぐに螺旋階段を登らないといけないが、しばらくすると「あと80段」という文字が見え、二人で思わず「ええっ?」と声を出してしまった。ていうか、すでに太もも、熱っぽくなってるんですけど……いやはや、200円払って足の運動とはね。

で、灯台のてっぺんまで上り詰めて景色を見ると、確かに眺めはいいんだけど風が強すぎてもう寒いくらい。あっ無理、これ以上絶対無理、とか言いながら灯台の中に避難するって何なんだろうね。もう苦笑いするしかないんだけど、既視感というか、どうもこういうパターンが多いんだよな、とか思いながら螺旋階段を下りた。

20170628203948025.jpg入道崎の海岸沿いを歩く。草原が一面に広がっていて、写真や映像で見たイギリスの風景にどこか似ている。縁は切り立った崖のようになっていて、そこから先へ進む気になれない。縦に切れ目を入れた石がいくつか置かれていて、北緯40度線を示しているという。石の切れ目から眺めると、なるほど切れ目がきれいに重なって見える。

太古における男鹿半島は「島」だったようで、だからこそ「男鹿にしかない**」がいくつかあるのだという。でもそれなら日本自体が島じゃん? そうか、東アジアにおける日本はまるでガラパゴス諸島みたいだから、男鹿は「ガラパゴスの中のガラパゴス」の一つなんだろう。そんな場所が、日本にはたくさんあるんじゃなかろうか。

*ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』という本がある。家族親類で灯台へ行く、という話なのだが、読んでいると猛烈な催眠作用が起きる(個人差あり)ので、寝つきが悪いという人にお勧めする。

【付記】
⚫︎ 八望台と入道崎、とても気に入りました。とにかく眺めが良く、そして人がいないというのが特徴でしょうか。平日、クルマでやってきて考え事をするには最適の場所かもしれません。もちろん、気候の良い時期限定であるのはいうまでもありません。

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只野乙山

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⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

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