シングルモルト宮城狭(新ボトル)



〈遊歩者 只野乙山〉 特別企画
【日本のウィスキーを飲む】



Miyagikyo_Noage.jpg
今回も店に置いてあるけれどちゃんとテイスティングしていないものとして、シングルモルト宮城狭(熟成年数無記載)を飲んでみた。これもすでにバーで飲んではいるけれど、味の印象が薄れてしまっているので、もう一度味わってしっかり記憶にとどめておきたい気持ちである。もう以前のように好きなだけ飲むわけにもいかないので宮城狭20mlを小さなグラスに注ぐと、やや淡い琥珀色で、余市より少しだけ濃い。

蓋をとって香りを確かめると、わりと強めのアルコールの揮発に混じってバナナ、レーズンのフルーティーさ、ヴァニラやキャラメルの香りが混じって漂ってくる。口に含むと、モルトの甘みがかなり強く感じられる。微弱な塩(潮)気があり、穏やかなスパイスが次いでやって来る。スパイスの後にウッディさを感じるが、スモーキーさやピート香はほとんど感知できない。

フィニッシュの余韻はわりと長めで、スパイスが引いた後の舌にモルトの甘みが残るのだが、スパイスが意外と長めに引っ張るようで、それが後に残る感覚を長引かせているようだ。舌に残る甘みも麦芽の旨味に変わり、それがかなり後まで残っているように感じた。飲み終わったグラスからはチョコレート、ヴァニラ、キャラメルと木質香が混じって漂ってくる。

若干の花穂をしても味わいのバランスは大きく変わることはない。レーズンに加えてリンゴのような味わいが前に出てくる。相変わらずモルトの甘味はしっかり残っているので、かなりよく伸びそうな気配がする。トゥワイス・アップまでもっていっても、まだグラスからフルーティーな香りがしている。予想通りしっかり伸びており、当初からミキサー(割材)と合わせることを想定したブレンドにしたのかと思ってしまう。

オーバー・アイスで(氷に注いで)飲むと、香りが冷却によって抑えられてしまうが、モルトの甘味は凝縮して感じる。ドライフルーツの影に隠れていたリンゴのような味わいが加水が進むにつれて前に出てくるのが面白い。1:1水割りを氷に注いだ「ハーフ・ロック」スタイルでやると、モルトの甘味は感じられるけれど「宮城峡らしさ」の大半は失われてしまうように思った。

これ以上薄めた水割りを試すべきだろうか? 悩むところだが、「宮城峡の水割りを」という注文が通らぬとも限らない。実際、「**の水割りを」という注文があったのだ。ここでは1:2の水割りに仕上げた。うむ、まだ伸びているけれど、これをブラインドで出されたら何の水割りか当てるのは非常に難しいだろう。それだけ、本来の味わいが失われているということだ。

最後に宮城峡のソーダ割りも試しておこう。ここではだいたい1:2のソーダ割りに仕上がるようにした。うむ、酸味に負けることもなく、甘みがしっかり残っており、飲み物としては悪くない。だが、これが何のソーダ割りか、ブラインドで出されたら一発で当てることは無理だろう。悪くはないけれど、宮城峡の良さがソーダによって引き出されるような感じではないので、積極的にお勧めし難いように思う。


【付記】
● 余市も宮城狭も、熟成年数無記載のボトルは水やソーダで薄めてもいけるように仕上げていると予想していたのですが、いずれも「あまり薄めないほうが良い」という結果になって意外な感じがしています。両者は確かに違うはずなのですが、かつてのように「余市らしさ」とか「宮城狭らしさ」がかなり薄れて、違いがわかりにくくなっているように感じました。もしブラインドで出されたら、外してしまうかもしれない、そんな気までしてきました。


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シングルモルト余市(新ボトル)



〈遊歩者 只野乙山〉 特別企画
【日本のウィスキーを飲む】



Yoichi_Nonage.jpg
シングルモルト余市のボトルと内容が(価格も)変更されたとき、もういいか、という気持ちで飲まずにいたのだが、店に置いてある以上味を知っておく必要がある。もちろん、すでに行きつけのバーで飲んではいるのだが、やはり手元に置いてじっくりやりながら、iPadにキーボードを付けてテイスティング・ノートを書くのが一番いいような気がする。ていうか、そうしないと忘れてしまうんである。

小さなグラスに注ぐと、色は淡い琥珀色。蓋を取ると、意外に強いアルコールの揮発に混じってレーズン、バナナ、チョコレートなどの香りが漂ってくる。スモーキーさやピート香はあるかないかわからぬほどだが確かにあると思う。口に含むと、ハーブを含んだモルトの甘みが来るのだが、糖度はかなり高く感じる。次いでスパイスが来るのだが、さほど強くはない。

フィニッシュの余韻はわりと長めで、スパイスが引いた後にモルトの甘みが口に残り、それが甘みから旨味に変わっていくのがわかる。不思議なことに、ほとんど感じられなかったスモーキーさやピート香がふっと鼻腔に抜けるのが面白い。時間の経過とともに、カカオ系に加えてヴァニラ、キャラメルのような香りが重なって感じる。

飲み終わったグラスからは木質香に加えてスモーキーさの痕跡が漂ってくる。やはりかなり抑えられてはいるものの、シングルモルト余市にはスモーキーさがあるとわかる。若干の加水をしても味わいのバランスは崩れない。だいたい昔から日本のウィスキーはミキサー(割材)で伸ばすことを前提にしてブレンドを仕上げる傾向があるのではないだろうか。

なのでトゥワイス・アップまでもっていってもよく伸びている。かなり甘いモルトだが、まだ甘さが残っており、リンゴのような香り、木質香やスモーキーさが前に出てくる感じがして面白い。相当飲みやすくなるのでトゥワイス・アップを氷に注いだいわゆる「ハーフ・ロック」スタイルでも楽しめるのではないかと予想できる。

オーバー・アイスで(氷に注いで)飲むと、甘みがかなり凝縮されて感じる。その甘みにはハーブが含まれており、ウッディさと極めて微弱なスモーキーさも感じられる。確かに香りの広がりは冷却によって抑えられる傾向があるけれど、日本で最も飲まれるのがオーバー・アイスではないかと思われるので、メーカーとしてもそこに合わせたブレンドをしている可能性がある。加水によってチョコレート、ヴァニラ系の香りが開いてくる。

トゥワイス・アップを氷に注いだ「ハーフ・ロック」スタイルを試してみる。確かに薄まった感じはするけれど、それより「よく伸びる」感じの方が印象に残る。むしろこのやり方を推奨しているのではないか思われる節がある。ニッカ(というよりアサヒ)の特約店では「竹鶴ハイボール」と余市か宮城峡の「ハーフ・ロック」を推しているようで、店の壁に貼り出してあるのを見かけたことがある。

今では少数派(?)となった1:2の水割りはどうだろう。おお、まだよく伸びていますね。これを狙ってブレンドしたとは考えにくいけれど、今でも水割りにして飲む日本人は意外といるのではないか。そもそも、居酒屋などでは焼酎の水割りとかお湯割りをよく飲む人がいることを思えば、ウィスキーの水割りを飲む潜在人口はひょっとすると多いのかもしれない。

確かに伸びてはいるのだが、余市の良さを味わうにはちょっともったいない感じがしないでもない。最後に、ソーダ割りも試しておこう。うむ………悪くないのだが、「最高にうまいハイボール」みたいな感じには仕上がらないんじゃなかろうか。熟成年数無記載の余市に限って、色んな飲み方をしてもいいように思えるが、「いいですよ、もうバッチリ」とか言ってお勧めできる感じではないと思えた。


【付記】
● 以前の〈余市〉に比べて云々、というのはよしておきましょう。スコットランドのシングルモルトに比べても負けないどころか、余市の方がうまいと感じました。10年ほど前、熟成年数無記載の余市500mlが1500円以下で買えたのですが、現在の価格を考えると夢のようです。


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ロイヤル・ハウスホールド(ブレンデッド)

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いよいよ、という感じのブレンデッド〈ロイヤル・ハウスホールド〉である。店(フラヌール)に置いてあるので、どんな味なのか把握しておく必要があるのでテイスティングに踏み切った。物の本*によると、世界でもバッキンガム宮殿とハリス島の〈ローデルホテル〉のバー、そして日本の三か所でしか飲めないブレンデッドだという。ごく普通に飲めるのは日本だけ、とのこと。

製造元は〈ブラック&ホワイト〉を出しているジェームズ・ブキャナン社で、現在同社のウィスキーはブラック&ホワイト、ブキャナンズ12年、そしてロイヤル・ハウスホールドのみとなっており、いずれも〈フラヌール〉にありますので興味のある方は是非どうぞ。ライトタイプのブレンドで「わかりやすい」味ではないのですが、なかなかの美酒だと思います。

小さなグラスに注ぐと、色は薄めの琥珀色。蓋を取ると、意外とアルコールの揮発を強めに感じ、それに混じって リンゴや洋梨、ドライフルーツを想わせるフルーティーな香りと麦芽香が漂ってくる。スモーキーさやピート香はほとんど感知できない。口に含むと、ハーブを含んだモルトの甘味がまず来て、次いで穏やかなスパイスを舌に感じる。極めて微弱なスモーキーさの痕跡を感じるが、これは樽由来のものかもしれない。

ほんの少し加水をしても味わいのバランスは崩れない。元々がライトタイプなので、あまり薄めないので飲むのがいいのではないかと思う。これは同社が出している〈ブラック&ホワイト〉や〈ブキャナンズ12年〉にも言える。どういうわけか、ライトタイプのブレンデッドを好んで出すようで、1980年代に見かけた同社の〈ストラスコノン〉もたぶんライトタイプではないかと想像する。

フィニッシュの余韻はそう長くなく、モルトの甘味がずっと舌に残り続けるとか、後でスパイスのぶり返しが来てびっくりする、とかいうこともなく、あっさりの引き際。飲み終わった後のグラスからはヴァニラやキャラメル系の香りと木質香が漂ってくる。うっとりするようなエステリーさは「ない」と断言できる。なので、くれぐれも価格から生じる期待をあまり膨らませ過ぎぬよう申し添えておきたい。

トゥワイス・アップまで持っていくと、全体に薄まった感じはするものの、よく伸びており、スパイスもまだ感じる。予想ではもう少し薄くなってしまってぶち壊しに近い味わいになるのではないかと思っていたが、意外と元の味わいがしっかり残っている。だけどトゥワイス・アップによって本来の持ち味が引き出されるわけではないと思う。

オーバー・アイスで(氷に注いで)やってみる。ロイヤル・ハウスホールド20mlを氷を入れたオールドファッションド・グラスに注いで飲む。ストレートのときより甘みが引き立つ、という感じはしなくて、酸味や木質香が前に出ているように思う。冷却によって香りの広がりが多少抑えられてしまうので、あまり良い印象ではなかった。

いつもなら、ここから1:2の水割りや、ソーダ割りを試してみるのだが、今回はそういう気が起こらなかった。類推だけで断定するのは避けたいところだが、ロイヤル・ホウスホールドのソーダ割りとか、あんまりやりたくないんですよね。値段が値段だけに、どうかご理解のほどよろしくお願いしたい。

*土屋守『ブレンデッドウィスキー大全』(改訂版、小学館、2014年)

【付記】
● 「安物ばかり並んでいるわけではない」という一種の見栄(?)から置いてみたわけですが、ぶっちゃけ話、ありがたがって飲む必要はない、と感じました。だけどこれ、もう召し上がった方がいらっしゃるんです。ただもう感心(感謝)してしまいましたね。「ああ、ロイヤル・ハウスホールドね」と、話の種として一度飲んでおくのも悪くないと思います。


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シンジケート58/6(ブレンデッド)

Syndicate58-6.jpg
今回は〈フラヌール〉に置いてあるブレンデッド〈シンジケート58/6〉(Syndicate58/6)を飲んでみた。売り物なので本来は手を付けるべきではないが、「シンジケートってどんな味ですか?」という質問に答えるにはやはり飲んでおく必要がある。以前のようにフルボトル飲み切りレポートにはならないけれど、その点はどうかご理解いただきたい。

物の本*によると、元々この酒は「1958年の六人の仲間(シンジケート)だけが飲める」完全なプライベート・ブランドであったようだ。長らくその状態が続いていたが、1991年から日本のみで販売されているという。ラベルにあるように、すべての原酒は17年以上熟成されており、モルトとグレーンの比率は65:35に仕上げられているという。20mlを小さなグラスに注いでみる。

色は薄めの琥珀色。蓋を取ると、アルコールの揮発があるが実に穏やかで、熟成した原酒を使っていることが伺える。フルーティーな香りにカカオ、チョコレートが混じっており、そこに甘いアロマティックさも感じられる。スモーキーさやピート香はほとんど感知できない。口に含むと、まずモルトの甘さが来るが、この糖度はかなり高く感じる。

モルトは微弱なハーブ香を含んでいるが表に出てくる感じではなく、それとなくわかる程度。おそらくシェリー樽で熟成した原酒を使っていると思われるフルーティーな甘さ、そしてチョコレート系の甘さが前に出ているようだ。次いで極めて微弱なスパイスが来るけれど、これはほとんど刺激のないもので驚くほどスムースである。

フィニッシュの余韻はわりと長めで、極めて微弱なスパイスが引いた後、モルトの甘味が舌に残り、チョコレートやカカオ系とフルーティーな香りが鼻腔に抜ける。スパイスのぶり返しはほとんどないと言ってよく、舌と鼻に甘い香りと味わいがかなり後を引いて残っている。時間の経過とともに、ヴァニラやキャラメル系の香りが開いてくるようだ。

飲み終わったグラスからはヴァニラやキャラメル系の甘い香りに混じって木質香が漂ってくる。わずかに加水してもさほど味わいのバランスは崩れない。だが幾つかの要素がなりを潜めてしまうように感じた。ストレートで感じた重層的で複雑な味わいが、いささか平坦な感じになってしまうのだ。なのでストレートで飲むのが最良で、加水はできるだけ少なくするのがいいのではないか。

ううむ、トゥワイス・アップ(1:1水割り、氷なし)、どうしようかなあ。何かもったいない気がするんですよね。だけど実際にやってみて初めて云々できるわけで、知らないことは語ることも、勧めることもできないのではないか。というわけで、ここではシンジケート10mlに対して水10mlのトゥワイス・アップにしてみた。えっ、セコいぞって? でも、これお値段が……売り物だし。

おっ、だけどよく伸びてますね。意外と香りも味わいもしっかり残っていて、シンジケートの良さがトゥワイス・アップでぶち壊しになってしまうようなことはないと思う。調子に乗って飲んでいると、あっという間になくなってしまう量なのでしっかり味わうようにしないと。いや本当「トゥワイス・アップで」というオーダーも「あり」だと思った。上に書いたことと違うなあ。

それではオーバー・アイスで(氷に注いで)やってみる。お客さんにお出しするのと同じオールドファッションド・グラスに、店の氷を使うが、分量は20mlである。うむ、うまいなあ。確かにストレートで味わうほうが十全にシンジケートの良さを楽しむことができると思うけど、オーバー・アイスでも損なわれる部分が少ないのではないかと思える。

ものすごくためらわれるけど、1:2水割りも試しておこう。ここでは、オーバー・アイスを飲み終わった後のグラスにシンジケート10ml、水20mlでやってみる。なるほど、確かに伸びてはいるかもしれない、だけど「何で水割り?」という感じがする。ちょっともったいない感じがする。だけど、なかなか美味しい水割りであることは本当である。

さて、例によって最後にソーダ割りも試しておこうと思う(←やるのかよ!)。いわゆる「ラグジャリー・バー」では「バランタイン17年のハイボール」がお勧めだそうではないか。「シンジケートのハイボールってどんな味なんでしょうね?」という質問がもしもあったとしたら、飲んでいない以上答えようがないではないか。

氷が残っているオールドファッションド・グラスにシンジケート20mlを注ぎ、ソーダを注いでだいたい1:2のソーダ割りに仕上げた。飲んでみると、うむ、悪くない。だけど、ソーダで割ることによってシンジケートの良さが引き出される感じではないように思う。話の種として飲んでみるのはいいかもしれないが、積極的にお勧めできるものではない。

*土屋守『ブレンデッドウィスキー大全』(改訂版、小学館、2014年)

【付記】
● シンジケート58/6、さすがにモルトの含有率が高いためか、ほとんどグレーンを感じることがなく、あたかもシングルモルトを飲んでいるかのような味わいでした。〈フラヌール〉に置いてある他の酒からすると「ラグジャリーな一杯」ということになるのだと思いますが、もうご注文なさった方がいらっしゃいます。


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ベンリアック12年 シェリーウッド シングルモルト(スペイサイド)

Benriach12y_SherryWood.jpg
以前、ベンリアックのクリオシタスを飲み、そのスモーキーさに惹かれて店(フラヌール)にも置こうと思っていたのだが、ちょうど酒屋が欠品中で、メニューに載っているにもかかわらずボトル棚にない、というのが続いていた。何とかしないといけないのだが、考えてみるとスモーキー系はアイラのいくつか、そしてアイリーク(イーラッハ)やブラックボトルがあるではないか。

スモーキー系のボトルはけっこうある一方、シェリー樽熟成の芳醇なタイプはマッカランとグレンドロナックくらいである。だったら、ベンリアックも普通の12年物より、シェリー樽熟成のものを選んだ方が面白いのではないか。お客様からも「赤いラベルのがお勧め」とご意見を頂戴した。なので今回は、ベンリアック12年のシェリーウッドを入れてみることにした。

小さなグラスに注ぐと、見事な琥珀色。蓋を取ると、アルコールの揮発に混じってプルーンやレーズンを思わせるドライフルーツの香りが漂ってくる。スモーキーさやピート香はほとんど感知することができない。口に含むと、モルトの甘味がまず来るが、少し遅れて穏やかなスパイスを感じる。わずかな塩(潮)気を感じるが、煙臭さはほとんどと言っていいほど感じない。

フィニッシュの余韻はやや長めで、穏やかなスパイスが去った後にモルトの甘味が舌に残り、フルーツとヴァニラの混じった香りが鼻腔に抜ける。モルトの味わいが舌に残り続け、しばらく後でも鼻腔に甘い香りが漂ってくるのが感じられる。ほんの少し加水をしても味わいのバランスは崩れない。加水によってヴァニラやキャラメル様の香りが開くように思える。

トゥワイス・アップ(ここでは20ml)までもっていっても、薄まった感じがそれほどしないので、比較的よく伸びるタイプのモルトだと言える。たいへん飲みやすくなるわりに、味わいはそれほど損なわれないので「トゥワイス・アップで」というオーダーも「あり」かと思う。加水すると、極めて微弱なスモーキーさの痕跡を感じるように思うが、これは樽由来の木質香と混じっていて複雑である。

オーバー・アイス(ここでは20mlを氷を入れたオールドファッションド・グラスに注いでいる)でやってみる。確かに冷却によって香りの広がりは多少抑えられてしまうものの、甘みは凝縮しているように感じる。ストレートで味わった時の十全な香りを楽しむことはできないけれど、元々持っている香りが強いためか、氷に注いでもやるのも悪くない。

かなりよく伸びるタイプのモルトだと思うので、1:2水割りも試してみよう。ベンリアック12年シェリーウッド20mlを氷を入れた6オンスタンブラーに注ぎ、だいたい、もといメジャー・カップできっちり量って正確な1:2の水割りになるよう仕上げる。うむ、よく伸びていますね。確かに香りのほとんどは脱落しているし、全体に薄まった感じはするけれど飲み物としてはそんなに悪くない。「何か飲みやすいものを水割りで」というオーダーに出してもいいのではないかと思う。

20mlを基準にするのはセコいな、という声が聞こえてきそうだが、以前と違ってこのベンリアックは売り物なので、店主が飲みまくっていてはいけないのだ。例によってソーダ割りも試してみるのだが、ここでも同じ6オンス・タンブラーで1:2のソーダ割りに仕上げた。飲んでみると、ぶち壊しになっておらず、なかなか良い印象。ただ、持ち味の甘い香りがふわっと漂ってくる完璧な組み合わせには今ひとつ、という感じだった。


【付記】
● テイスティングは酒の量販店で買ったボトルを自宅でのんびりやるのがベストなのですが、いくらでも飲んでしまいそうなので、酒屋に店まで運んでもらって行いました。写真はiPad Air2付属のカメラで撮影しましたが、そこそこ使える品質のようなのでこれで良しとしました。


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只野乙山

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⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

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