墨廼江(すみのえ)特別純米酒中汲みひやおろし

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秋の日はつるべ落とし、とはよく言ったもので、陽が落ちるのが早くなりましたね。それとともに朝夜の気温が低下、もう上着なしでは肌寒いほど。昼間暑くなって上着を脱いだとしても、夜には必要だから上着なしで出勤するわけにはいかない。こうなってくると、日本酒が俄然おいしくなってくる。

いつものように煮物とちょっとした惣菜で晩酌を済ませようと駅前のスーパーマーケットに立ち寄ったところ、生のタラ(北海道産)があるではないか。ウェブログでお付合い下さっている釧路と奈良の方々に「タラはたいへん旨いものである」と吹き込まれてしまった以上、これを見逃すわけにはいかぬ。タラと水菜(京菜)、木綿豆腐とえのき茸、葛きり(コープこうべで調達)の鍋といこうじゃありませんか。

それにね、日本酒のいいやつを一升瓶で4本、すでに入手しているんですよ。ネット通販で2500円クラスのを送料無料でまとめ買いしたのである。どれからいこうかな、なんてちょっと幸せな気分で物色する。こういうときは、できるだけ日本酒度の低いものから飲むようにしている。つまりあまり辛くないものから、次第に辛口に移行していくというわけだ。

別にそのようにしないといけない決まりはないのだが、そうすると日本酒の味がよくわかるような気がする。秋の飲み始めはいつも〈呉春〉の普通酒と決めているけれど、これは日本酒度が±0度という稀有な酒で、これの後に他の酒を飲むと、その酒の性格がよくわかるのだ。今回は4本あるうちの〈墨廼江(すみのえ)特別純米酒中汲みひやおろし〉から入ることにした。

〈墨廼江特別純米酒中汲みひやおろし〉は宮城県石巻市にある墨廼江酒造という蔵元から出ている酒で、一升瓶で2600円くらい。ふだん飲んでいるのは2000円クラスだからちょっと贅沢かもしれないが、純米酒のひやおろしなのでまあこんなものだと思う。販売店によると「原料米:五百万石、精米歩合:60%、日本酒度+3、酸度:1.8」とある。

タラ鍋は魚から出汁が出るのでわざわざ削り節と昆布で出汁をとる必要はなく、粉末昆布だけで出汁をとる。これは表面積が限りなく100%に近いもので、邪道かもしれないが、ごく少量で昆布出汁をとることができる。これに日本酒(1800ml=500円程度、もっぱら料理用に使っている)をどぼどぼ注いだものに食材を入れていく。タラはすぐに火が通るので最後のほうにそっと入れるようにした。

さてタラ鍋もできたことだし、こいつで〈墨廼江〉でもやることにしますか。アルミの片手鍋に作ったので画像は勘弁ください。タラ鍋はなんとまあ、あっさりしていることだろう。いつも鶏肉で鍋を拵えるので、その違いには驚くほどである。だけど魚と昆布の出汁が出ていてたいへん上品である。〈墨廼江〉を口に含むと、穏やかな味わいの後にほんのり果実を思わせる吟醸香も漂ってきて実にいい具合である。

ううむ、これは旨みと酸度の加減が絶妙で、よくできている見事な酒だ。ついつい、杯を重ねることまちがいなしの良酒、美酒である。これはいかん、気を付けないとどんどん飲んでしまうではないか! 販売店のウェブページに「石巻は漁港ということもあって魚介類にあったさっぱりしたお酒を醸しています」などとあるけれど、本当だ、これは今夜のタラ鍋にはぴったりの酒。いや、久しぶりにいい酒を飲んだなあ、という気分になりましたよ。


【付記】
● 奈良(三友亭主人さん)と釧路(薄氷堂さん)の方々が仰っていたことは本当でした。タラ鍋はじつに旨いものでした。どこか遠くにフグを思わせる(それはないか?)味わいもあるような気がして、また食べたくなったほどです。そうだ、水菜(京菜)もえのき茸もまだあることだし、今夜もまたタラがあればいいのにな、なんて思ったのでした。

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燗酒を飲む(4) 夜明け前 特別本醸造 辰の吟

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足痛を抱えていると外出する気が全くなくなってしまうのが困りものだ。食料品など、あれもこれも買わないといけないのに、とか思いながらもできるだけ動かさないようにするほうがいいと考えてしまうからだろう。それでも、最も痛かった(ヤバかった)時点からすると、痛みは少し低減しているのではないかと思う。

大きめの総合病院に行ってきましたよ。近隣の整形外科の紹介状とレントゲン画像、MRIのCD-ROM、血液検査の結果と担当医の所見なんかを携えて、阪急電車某駅で降りたのだが、そこから徒歩で15~18分くらい。健康な足であればなんてことはない距離なんだけど、こっちは足痛を抱えているのだ。タクシー乗り場で待ってはみたものの、待てど暮らせどタクシーは現れない。

まさかそんなね、とか思いながら時計を見ると予約時刻の30分前を切ってしまっているではないか。無謀だけど仕方ないな、というわけで足を少し引きずるようにして徒歩で総合病院に向かう。今朝はもう鎮痛剤を投与済みなので、そんなに苦痛を伴う歩行ではなく、某市住民の方に途中で道を訊きながら、ようやく予約時刻の5分前に受付を済ませることができた。

待合の廊下というかロビーとでもいうべき場所で待っていると、ギプス、松葉づえ、車椅子の人たちが大勢いて、それらのもうはっきりとわかる大怪我に比べると自分の関節炎(?)など本当にかすり傷以下といってもいいほどで、「あれっ、おれ、何しに来たんだっけ?」などと思ってしまうほどだった。

診察ではすでに検査しておいた資料をもとに、問診を少しばかりした後、どうもその可能性が非常に高いですね、と示してくれたのが「一過性**骨なんとかカントカ」というもの(ややこしくてはっきり覚えられないですね)で、可能性が高いというわりにはあっさりと「確定」ボタンを押したお医者様なのでした。

結局、今まで通り「痛かったら鎮痛剤を投与してできるだけ安静にしている」ことになったのだが、一応病名がわかってみるとなんだか気分がすっきりした。鎮痛剤を連続投与するのはあまり気持ちのいいものではないけれど、そうするしかないから仕方がない。心なしかいささか痛みも和らいできたような気もするので、気分を明るく、何か楽しいことを考えようじゃないか、というわけでやっと本題です。

今回は〈夜明け前 特別本醸造 辰の吟〉を飲んだ。川西の酒店で買い求めたもので、以前から〈夜明け前〉は知っていた。これの純米とか吟醸、生酒なんかを飲むと、とにかく香りがいいのに驚かされる。開栓すると、うっとりするようないい香りが広がって、少し離れていてもそれとわかるくらい強めの香り。飲めば果実を思わせる芳醇さに、ついつい杯が進んでしまう「おそろしい」酒です。

〈辰の吟〉は酒店の人とも話をして「燗でもいけますよ」ということで買い求めた。一升瓶=2200円(税込)くらい。あまり熱めの燗にするとせっかくの香りが飛んでしまうような気がするので、ぬるめの燗にして飲む。燗でも、香りがしっかり残っていますね。というか、約2000円クラスの本醸造でこの香りと味わいはなかなかないんじゃないか、と思う。

一升瓶のラベルにはあまり詳しいことが書かれていないので、例によってネット販売店筋の情報によると、「原料米:山田錦、精米歩合:60%、酵母:アルプス酵母、日本酒度:+2、酸度:1.3」ということらしい。アルプス酵母なんていうの初めて聞いたけど、よくある「協会**号」というのではない自社製の酵母なのかもしれない。燗でもおいしいけれど、やはり〈夜明け前〉はきりりと冷やして飲むのがいちばん、かもしれません。


【付記】
● この値段でこの味わいはあり得ない、などと書いているのですが、過去に書いたものを読むとなんだかいつもそんなことを書いているようで少し恥ずかしい気がしますね。


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燗酒を飲む(3) 紀土(キッド)純米酒

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今年の冬は燗酒に親しんだ。それまでほとんどと言っていいくらい燗酒を飲まなかったが、どういうわけか「燗をやってみよう」と思い立ち、実行してみた。もちろん、燗専用の酒器などはないので、徳利に日本酒を注ぎ入れ、それを湯煎するだけである。あまり熱すぎず、かといってぬるすぎる燗もつまらぬもので、自分にとってほどほどの温度を手探りで探し、楽しんできた。

今回は川西にある酒店でもとめた和歌山の酒〈紀土純米酒〉である。なるほど和歌山は紀州だから「紀」で、その土地や風土の意味を込めた「土」なんだな、と納得し、それを〈きど〉と読んで(呼んで)いた。つまり酒屋さんでも「〈きど〉をください」と言っていたわけだが、お店の人は小声で「ああ、〈きっど〉ですね……」と言っていた。

ああそうか、地元ではそれを〈きっど〉と言うんだな、こういう地元だけで流通する言い方ってけっこうあるんだよな、などと勝手に思い込んでいた。ところがどっこい、一升瓶の裏ラベルには〈紀土 -KID-〉と書いてあるではないか。平仮名ならぬ片仮名で書いた〈キッド〉こそが正式名称だったわけで、今度はちゃんと発音しようと思う。

早速燗でやってみました。これはなかなかいける酒だなあ。香りをしっかり感じるし、旨みと酸味が程よく味わえる、非常にバランスのとれた仕上がりになっているように思った。ラベルには「原材料名:米(国産)・米こうじ(国産米)、精米歩合:麹米50%(山田錦)・掛米60%、使用酵母:協会7号酵母、アルコール度数:15度以上16度未満」とある。日本酒度やアミノ酸度などの表示はないけれど、それで困るとか助かるなどということはない。

純米酒でありながら、値段は一升瓶=1980円というなんとも良心的価格ではないか。うむ、これはふだんのお付き合いにはぴったりの値段だな、と思う。ふだんの酒としてよく〈呉春〉や〈香住鶴〉の普通酒を飲むことがあるけれど、これもだいたい同じくらいの値段である。〈紀土純米酒〉は、それらに比べるとはっきりと香りが立っているように思うが、これが料理の邪魔にならない、いい具合に仕上げられている。

川西に所用があるたびに、帰りに日本酒を買うようになってしまった。なにしろ川西にはいい酒店がけっこうあるので、ついつい池田で買うより川西で、ということになってしまうのだろう。また川西にはレンタル店〈蔦屋〉もあり、CDやDVDのレンタルをするにも便利なのだ。もちろん池田にも蔦屋はあるけれど、川西のほうが規模が大きいので、どうもそちらの方に足が向いてしまう。

考えてみると、川西にはレンタル店〈蔦屋〉のほかにも紀伊国屋書店もあるし、阪急百貨店もある。だから川西に住んでいるとよほど特別な用事でもない限り、池田に行くことなどないのではないかと思う。げんにこうして、池田に住んでいる人間が自転車を走らせて川西に買い物に来ているわけである。池田にあって川西にないもの、それはもう銭湯と立ち飲み屋くらいなものではないか、などと思いながら〈紀土〉を背負って自転車を走らせる。


【付記】
● 和歌山の酒〈紀土〉(キッド)はなかなかのものでした。だけど新しい酒を見つけるのはそう簡単に参りません。種類豊富な酒店そのものが、街から消滅しようとしているわけで、これからはウィスキーにしろ日本酒にしろ、もっぱら通販で買い求めるのが主流になってくるかもしれません。


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秋田の酒 〈ながまれ〉

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池田に住んで思うのは「いい酒屋さんがないなあ」ということだ。もちろんこれはいい酒屋さんを探せていないということに尽きるのだが、中華料理店と酒店、蕎麦屋を探すことにかけてはちょっと自信がある(というかそれしか見ていない?)のだ。西宮/宝塚に住んでいたときも本当にいい酒店を二軒ほど知っていたし、川西でも三軒のいい酒店を探しだした。なのに池田は……どうしてだろう。これは自分でも謎というほかない。

池田でまず第一に挙げるべき酒店は駅付近のステーションNにある〈にいみ酒店〉ではないかと思う。店自体はそんなに大きくないというか、もうはっきり言って小さな店構えだけど、隣には池田の酒飲みなら誰でも知っている立ち飲み屋〈備前屋〉がある。なにしろ小さな店だから店頭には酒がそんなに並んでいないけれど、〈備前屋〉で出している酒なら販売してくれるのではないかと思う。

次は池田駅高架下の商業施設ブランマルシェにある酒販売コーナーだろうか。これは酒店というより「酒販売コーナー」とでも言うしかないような雰囲気だが、ここで〈呉春〉、〈緑一〉、〈秋鹿〉と大阪の酒が買えるし、〈百楽門〉という奈良の酒も買うことができる。それらはみないい酒だと思うので、わりと利用している。だけど困るのは、何か他の酒を飲みたいなあ、というときだろうか。日本酒はこれ一本、と決めて飲むことのできない男なのだ。

つい最近も、なんだかね、みたいな感じで切れてしまった酒をどうしようか、と駅前のスーパーマーケットの裏通りをゆっくり自転車で走っていた。このまま進めば某酒の量販店というコース。ああ町の酒屋さんには相すまぬことであるよなあ、などと思うのであるが洋酒はもう某酒の量販店でしか買えない体質になってしまったんである。

おまけに、そこには銀河高原ビールも少々安い値段で置いてある。駅前のスーパーマーケットではいつの間にか銀河高原ビールの取り扱いをやめたようで、これには本当に残念だ。銀河高原ビールは少し高いけれど、この稀少なビールが日本から消滅してほしくないと本気で願っているゆえ、何の足しにもならぬかもしれないが愛飲している。

日が沈むのが早く、もう暗くなってしまった道をのんびりと進むうちに、ふと何か商店のような風情の軒先があったのではないか、しかもそこには酒瓶のようなものがあったのではないかと後戻りすると、昭和の雰囲気を濃厚に残した、時代に取り残されたような一軒の酒屋があった。

店主が一人で店番をしているようだけど、その人がもう「人物」とでも言うのがふさわしいような感じである。風貌はシアトル・マリナーズで活躍している野球の鈴木選手がかなり齢を重ねた、とでも言えばいいのだろうか。細身の体はそのままで、意志の強そうな強い光を持った目をしている。話せば朴訥なようでいてじつは強い主張をしっかり持っているのがそれとなくうかがわれる、なんとも手ごわそうな雰囲気の人に思えた。

これは普通酒ですが、なかなかいけるんですよ、と勧めてくださったのが〈ながまれ〉という秋田の酒。このあたりで秋田の酒を見かけることはほとんどないので、それにします、と購入を決めたが金額を聞いて驚いた。一升瓶=1400円である。何かの間違いではないか、と思ったがそれを口にできず、〈ながまれ〉をリュックサックに入れて自宅まで運んだ。

それが「えっ」と驚くような味だったら奇跡のような出来事だと言えるが、この世の中でそうそう奇跡は起きるものではありません。やはりお値段なりの味、ということでしょうか。だけど、なるほど酒店のご主人が言う通り、けっこういけるんですね。燗もなかなかいいけれど、これはひょっとしたら冷やのほうがいいかもしれない。やはり燗は、冷やでは見えなかったところまで全部さらけ出してしまうところがあるように思う。

〈ながまれ〉は秋田の八重寿(やえす)名醸株式会社が出しているようで、ネットで調べてみるとどういうわけか同社の製品群の中に〈ながまれ〉が入っていないようである。ラベルに書いてある文言を転記しておくと「原材料名:米(国産)、米こうじ(国産)、醸造アルコール、糖類、酸味料」とある。

酒米名が明記しておらず、添加物もかなり多そうで、ふつうだったらまず手に取らないのではないかと思うのだが、そのわりにはなぜかけっこう飲める酒である。これはもちろん、人によることは言うまでもありません。ちなみに「〈ながまれ〉とは、家の中などで、足を伸ばしてゆっくりお休みなさいを意味する秋田の方言です」とラベルに書いてありました。


【付記】
● 池田にもこういう興味深い酒店があったんですね。名前を失念してしまいましたが、なにしろ「酒店 池田」で検索をかけても地図に載っていないくらいなんです。焼酎の品揃えが面白く、夏は絶対ここに来るぞ、などと思ったのでした。


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燗酒を飲む(2) 百楽門本醸造

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いよいよ近畿地方も本格的な冬が到来した、という感じである。朝、ベランダに出ると吐く息が白い。そうそう、冬はこうでなくちゃ、と思う。30年以上前だと、地方によっては外の水道管が凍結して使い物にならなくなった、などという話があったくらいで、今は比較的暖冬気味なのかもしれない。

現在(12月20日頃)の室内温度はだいたい17~18度くらいである。断熱シートを使っているおかげか、まだそれほど暖房装置を使いまくっているわけではない。ベランダに出ると他の部屋の人がエアコンを稼働しているのか、室外機の稼働音が聞こえてくる。夜、外気が10度を下回ってくる中を「寒っ」などとつぶやきながら帰って来ると、部屋に入れば暖房なしの状態でもほんのり暖かく感じるほどで、これは本当にありがたい。

風呂に使って体を温め、風呂上りにあたたかい料理で燗酒(その前にまず缶ビールを一本飲むんだけど)をちびちびやっていると、暖房をしなくても済むくらいである。もちろん、多少厚着をしているわけですが、燗酒を飲むと骨の髄から温まってくるのがうれしい。そんなわけで、いまはもっぱら燗酒を飲んでいる。

今回の酒は〈百楽門本醸造〉である。これは奈良の酒で、御所市の葛城酒造という蔵元が出している。駅の高架下の商業施設にある酒販売コーナーで入手した。以前、これの純米酒がとても個性的な味で気に入ってしまい、冷蔵庫で冷やしてそればかり飲んでいたような気がする。ネットで〈百楽門〉をあれこれ見ていると、「百楽門を知るなら、まずこの1本から」などと書いてあるではないか。

しかも〈百楽門本醸造〉は一升瓶=1750~1890円くらいで、私が買ったのは1950円くらいだったと思うが、とにかく一升瓶が2000円を切るのはうれしいことだ。一升瓶=3000円くらいが私(乙山)の買える上限で、それはお正月とか特別な時に限られる。ふだんなら本当、一升瓶=2000円くらいが基準になっているわけです。

さて今回は〈百楽門本醸造〉をぬる燗にした。燗専用の器具がないため、徳利をどぶんと湯に浸けて湯煎をする。正確に温度を測るための「酒燗計」なるものも世の中には存在しているようだけど、面倒くさいのでその都度飲みながら「勘」で「燗」を仕上げます。その時にタイマーで計っておけば、次回からだいたいどれくらいの時間でぬる燗になるか、わかるわけで、専用器具などなくても燗酒を楽しむことはできる。

さるウェブログでは冷やとぬる燗、熱燗を丁寧に飲み比べてレポートしていらっしゃる方もいて、つくづく感心してしまう。私は酒は好きだがそれほど量を飲めないので、二合以上飲むことはできない。冷や→ぬる燗→熱燗と酒がどう変わるか、というのは本当はしっかり検証するべきなんだろうけど、そんなことをやっていてはぶっ倒れてしまいます。

やはりぬる燗は旨いなあ。冷やでは隠れていた部分が、少し熱を加えることによって動きだす、という感じだろうか。冷やとはまた違った顔を見せてくれるとでも言えばいいのだろうか。ちなみに〈百楽門本醸造〉は「原料米:備前雄町ほか、精米歩合:60%、アルコール度数:15.7度、日本酒度:+5、酸度:1.4、アミノ酸度:1.3」とあるようだ。〈百楽門本醸造〉は一本一本新聞紙で丁寧にくるまれていて、大事にされているんだなあという感じが伝わってくるとてもよい酒だと思う。


【付記】
● 写真に写っているのが池田の陶磁器店で買い求めた一合徳利と猪口です。乙山の好みでは備前焼とか佐渡の無名異焼など雰囲気がいちばんで、次に何も色付けのしていない青磁か白磁ですね。大阪は中之島にある東洋陶磁博物館で見た、朝鮮古代の青磁の器の見事さと言ったらもうえも言えぬものでした。釉薬はあまり使っていないのが好き、というわけですが、今回の藍色(紺色?)の器もそれはそれでいい雰囲気で、楽しくお酒を飲ませてもらっています。


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只野乙山

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