男鹿半島と周辺を歩く(3) 蕎麦処 丑澤屋(三種町)

Ushizawaya_01
なぜか月曜日に休みが多い。ところが月曜日は、男鹿市船川のファミリーレストラン〈園〉の定休日なのだ。「ラーメンと炒飯のセットが食べられる」という情報を得ており、一度行ってみたいと思っているのだが休日と合わない。その代わり、ドジャース男鹿店なんかでさくっと買い物を済ませ、昼ビールを楽しめているわけだ。

いや何もね、〈園〉にこだわる必要はなく、男鹿で行ってみるべき店は他にもあるわけで、〈園〉がダメだから昼ビールになるってのもおかしな話だよね。やはりこの男、ただ単に昼ビールが飲みたいだけじゃない? 男鹿半島で行ってみるべき所は沢山あるというのに、引きこもり気味になっているのはなぜなのか、自分でもわけわかんないね。

何か(誰か)に背中を押されないと、外へ出て行動的になるなんてほとんどない質なのだ。そんな折、姉から明日休みだけど蕎麦でも食べないか、と連絡が入るのは嬉しいものだ。蕎麦か、良いね、と言いながら心のどこかで昼ビールのことを思っている卑しい自分を感じながら、大潟村の道の駅への道順をウェブ地図で調べる。

なるほど、県道55号線から国道101号線に入り、海岸沿いの道を走る、と。そのまま野石の交差点を直進、県道54号線を進み、最後に右折で到着、と。これをメモに書いて出発。クルマに案内装置をインストールしてしいないので、こういう原始的な方法をとっているが、以前だったら紙の地図を開いて入念にルートを確かめたんじゃなかったっけ。

牧野の交差点で左折して国道101号線に入るのに、そこを直進してしばらく走ってから、おかしいねえ、今頃は海岸沿いを走っているはずだが? とか自分でツッコミを入れ、Uターンをして牧野に戻り、国道101号線に入って海岸沿いを走った。そんなこんなで、どうにか大潟村の道の駅までたどり着きましたよ。

Ushizawaya_02姉を乗せて、蕎麦屋に向かう。今回は三種町(元の八竜)の〈丑澤屋〉(うしざわや)という蕎麦屋さんに来た。すごく立派な門構えだけど、さっと通り過ぎてしまいそうだ。土、日、水と休みになっていて、本業はレタスの水耕栽培をなさっているという。だから「蕎麦ができるまでサラダでも召し上がってくださいな」とボウルいっぱいのレタスが出てきた。

11時半過ぎに入店した私たちの他に、数名の客が入ってきて「大盛りね」とか注文している。やはり知る人ぞ知る、というか、地元の人はよく知っているということなんだろう。さてそうこうしているうちに料理がきましたよ。蕎麦は淡く緑がかった、綺麗な色をしていますね。更科蕎麦、とあったから挽きぐるみは使っていない色白の蕎麦。

Ushizawaya_03蕎麦の横にはかいわれ大根と鶏胸肉のハム(?)が添えられており、これがなかなか美味しかった。ほぼ真空に近い状態に密封した袋に鶏胸肉と調味料を入れ、低温調理したのではないかと勝手に想像する。山芋のとろろとか、ニシンを煮たもの、そしてお約束(?)のがっこ(漬物)が付いている。未だ何に合わせるかよくわからないが、これぞ秋田スタイル(文化)なのである。

冷水じめというより、氷水じめと言えば良いのだろうか、蕎麦が冷たく、しっかりと冷えて出てくる。こちらの方が、歯ごたえがいいのだろうと想像する。咀嚼して、鼻に息を抜くときに香る蕎麦の香りがたまらない。ちょっと蕎麦好き、という程度の男にとっては上等すぎる店かもしれない。これで700円だから、なんだかとても幸せな気分になって店を出た。


【付記】
⚫︎ 蕎麦のついでに、というのも変ですが、男鹿にいわゆる「うどん屋さん」は存在しません。奈良の方に「そちらにうどん屋はないのでは」というコメントを頂いたとき、いやいや秋田市に稲庭うどんの店がありますよ、などと返答したのだが、たしかに秋田市にはあっても、男鹿にうどん屋はありません。

男鹿半島と周辺を歩く(2) 農園りすとらんて ハーベリー(三種町)

20170413172406419.jpg
車がないときは「クルマを買ったら**へ行ってみよう」とか色々想像して楽しみにしていたけど、いざクルマがあるとなると、あまり出かける気が起こらないのはどういうわけだろう。これは本当に不思議で、自分でもわけがわからない。男鹿半島のことをあまり知らないということが大きいだろうけど、それだけなのかな。

忘日、冬タイヤと夏タイヤを交換するから、と姉に会うことになった。冬タイヤと夏タイヤがあることも初めての経験。確かに、秋田で一冬を越した今では、雪道を走るためのタイヤが必要なことがよくわかる。昔、阪奈道路を走っていたとき、凍結していたのかブレーキを踏んだら後タイヤが横滑りして冷や汗をかいたことが一度だけある。

InnerOfHerberryその日は久しぶりに中華料理を食べた後、姉とちょっとしたドライブになった。男鹿に住んで長い姉は、男鹿半島の名所とか地域の人しか利用しない良い店をよく知っていて、先達としては本当にありがたい。私にとって、まさに「あらまほしき先達」なのである。若美から大潟村に入って三種町へ抜け、海水浴場があるのを教えてもらった。

海岸沿いには巨大な風車があり、風力発電をしているようだ。これは、初めてフェリーで初めて秋田に来た時にも見たもので、秋田港に風車が備え付けてある。国道101号線沿いに潟上市から男鹿市へ入ると、巨大ななまはげ立像とともに、風車が見える。へぇ、すごいなあ、という感じで見ていたのだが、これだけ並ぶと壮観である。

GoatOfHerberry海水浴場の浜はかなり砂の量が多く、鳥取砂丘とまではいかないものの、それを思わせるレベルの堆積ぶり。そのため、周囲に防風と防砂を兼ねた松が植えられているのだが、松たちはものの見事に傾いている。何もそこまで斜めにならなくっても良いじゃんよ、と言いたくなるほどだが、風に加えて雪の重みもあるんじゃないかと想像する。

ここまで砂が多かったら、いっそのこと「秋田にも砂丘があるの、知ってた?」みたいな感じで観光資源にできないかな、とか思ってしまう。でもすぐ背後に農家の人の畑があるので防砂が最重要の課題となる。JA王国だからね。地域の人の生活を優先して確保しながら、観光資源のことも考えるのは難しいですよ。

さてその後、ちょっとカフェでも寄っていく? ということで三種町の〈農園りすとらんて herberry(ハーベリー)〉さんに立ち寄った。どうやって行ったのか、もう思い出せないけど、姉のナビゲーションによってたどり着いただけ。こんな所(失礼)にレストラン&カフェがあるの、という感じ(てか、男鹿はどこでもそうだけど)。

お邪魔したのは昼過ぎ、ランチの営業が終わったカフェ時間。ご夫婦でやってらっしゃるので、クルマで出かけようとするご主人に「今、大丈夫ですか?」と問い合わせ、ご主人が奥様と携帯で確認してからの入店となった。いかにもレストラン、という感じの門構えではなく、個人邸宅を改装した感じ、だろうか。

OtszanChoiceでも天井が高いのが良いですね。そんなに詰め込んだ感じがしなくて、横に蔵書があったりするのだが、本棚が異様に高い。こんなに高い本棚、図書館以上かも。もし萩原朔太郎がいたらお気に入りになるかもしれない感じのレストラン。朔太郎なら「ふらんねる」のシャツにネクタイをつけ席に着き「ふらゐ」(たぶん白身魚)を食べたんだろうな。

もうね、中華でお腹いっぱいだったのでケーキも食べられない。中華料理店〈東東〉でたらふく食べた後、コーヒー・ゼリーとホット・コーヒーをやったからね。姉の「とんちゃん定食」にコーヒーゼリーが付いているのを見て、「ねえ、後でコーヒーが来るんならさ、それ、俺にちょうだいよ」とか言って、コーヒー・ゼリーをせしめたわけ。

ElderSisterChoiceで、私はコーヒー、姉は「何とかハーブティー」(忘れた)を頼んだ。「お好きなカップをお選びください」とのこと。乙山チョイスは画像4枚目で、姉チョイス5は枚目。コーヒー屋さんではないので、味がどうとか野暮なことは言わない。ちなみに姉はコーヒー屋さんです。大潟村の道の駅の、コーヒーのテイクアウト店ね。

ああ、本当にいい天気、静かな時間が流れてゆく。〈ハーベリー〉の離れではヤギを飼っていて、ヤギが昼寝をしていたり、気が向いたら表に出てきてゆっくり歩いたりするのを見ながら時間が過ぎ行くのを楽しんだ。姉がいなかったら、私がここにいることもなかったと思う。姉に感謝である。


【付記】
⚫︎ 風車、ハーベリーの内部、ヤギが写っている画像は、姉からもらったものです。基本、すべての画像と文章は乙山によるものですが、このようにして、ごく稀に乙山以外のものもあります。提供に感謝します。

男鹿半島と周辺を歩く(1) 中華レストラン 東東(三種町)

TonTon_Mitanecho
秋田県男鹿市に住んで半年以上経つけれど、生活上で特に困ったことはないと思う。 近隣に商店がないので不便といえば不便だが、もう慣れてしまった。それに今は車もあるので、本当に困ることはなくなった。住めば都になれば良いね、と姉は言うけど、別に都でなくたっていいのだ。

私が田舎臭さを感じるのは環境に対してではない。環境というのは「そういうもの」なので、仕方がないのである。環境よりむしろある種の人間(のセンスと思考パターン)に、田舎臭さを感じてしまうのは都会でも田舎でも同じ。あ、だけど、クルマであちこち行ってるうちに、男鹿にないものに気づいてしまったんである。

それは中華料理店である。前から薄々わかっていて、何となく違和感を抱き続けてきたような気がする。だけどふだん職場の賄いを食べているので、それと気づかなかったのではないかと思う。国道101号線沿いにラーメン店はわりとあるけれど、いわゆる中華料理店がなぜか全く見当たらないのである。

この不思議な現象の原因は不明である。大阪に住んでいた頃、徒歩5分以内に6軒もの中華料理店があるのが普通になっていた私にとって、市全体を探さないと(探しても)中華料理店がない、というのは少し寂しい。大阪の方が変なんだよ、っていう声が聞こえてきそうだが、JR秋田駅周辺には中華料理店がわりと存在していてなんだか嬉しい。

実はね、自分で気づいたんじゃなくて、そうだって教えてもらったんですよ。冬タイヤと夏タイヤを交換する時、姉の家から夏タイヤを持ってきてもらい、最寄りのガソリンスタンドで交換してもらった。その後、お昼でも食べようか、となってお勧めの蕎麦屋に行ったんだけど、あいにく閉まっていて、中華にしようか、となったわけです。

姉が何気なく「男鹿に中華、ないからね」と言ったとき、忘れていた何かを思い出したかのように、頭の中でモヤモヤしていた奇妙な感覚がくっきりと像を結んだのである。そうか、そうだったのか! なるほど確かにそうだよな、と一人で妙に納得してしまったけど、中華料理店に行くのは去年(2016年)の夏以来だもんな。

で、三種町の中華レストラン〈東東〉に行ってみた。いやもうね、ゴマ油とかニンニクを炒めた香りとか、たまんないですね。頼むものは決まっているけど、一応メニューを見ると、えっ、うそっ、ラーメンと炒飯のセットがない! ラーメンと中華丼、天津飯、麻婆丼のセットはあるのに、炒飯のセットがないのはどうしてなの?

わけわかんないけど、まあいいか。ラーメンと中華丼にしましたよ。こっち(東日本)の天津飯って甘酢でしょ、嫌いじゃない(食べられる)けどごめんねそんなに好きじゃない(たぶん注文しない)の。それに酢豚と味、かぶるじゃん? でも酢豚と天津飯、糖醋丸子(肉団子の甘酢あんかけ)のトリプル甘酢を平気でいっちゃう剛の者がいないとも限らないもんね。

TonTon_RamenSetさて料理がきましたよ。どどーん、という感じの分量! これ、ラーメンと半分の中華丼じゃないよね? フル分量の組み合わせだろうか。だから1000円以上するんだ。それに漬物(がっこ)が付いてる! 何に合わせたらいいのか未だにわからないけど、これは文化なのであって、余計なものでは決してないのを今では理解しているつもりだ。

ラーメンのど真ん中にナルトが鎮座して他のすべての具材を圧した存在感を出している。お味はザ・中華そばと言いたくなる感じで、良いんじゃなかろうか。中華丼のあんのとろみは絶妙で、文句のつけようがないほど素晴らしい。キャベツが使われているけど、もし白菜だったらノックアウトされていたかもね。

姉が頼んだのは「とんちゃん定食」というもので、大きな豆腐の上に野菜炒めが乗っかったこれまた分量満点で食べ応えがあり過ぎるくらい。姉も私も「く、苦しい……食べ過ぎた」となってしまったほど。ターゲットは完全に男性だと思うけど、男性社員に連れてこられたみたいな女性社員の姿も見えて、ほぼ満席状態。

いやあ、実に久しぶりの中華、思い切り堪能しましたよ。なぜラーメンと炒飯のセットがないのかわからないけど、味はなかなか良かったし、値段も良心的だと言える。ラーメンと半分炒飯のセットでもう少し値段が安かったら、また通ってしまうに違いない。いや、「とんちゃん定食」をまだ食べてないんだもの、また来ることになると思う。


【付記】
⚫︎ 中華レストラン〈東東〉は秋田県山本郡三種町にあり、男鹿市からだと国道101号線を北上して行くのですが、乙山はかなり遠く感じます。秋田に住んで長い姉は「まだ近いほうだよ」と言いますので、やはり秋田は広い(でかい)ですね。題名は「**を歩く」となっておりますが、もはや歩いておりません。事実と違うのですが、ご理解のほどよろしくお願いします。

地下鉄長堀橋駅周辺を歩く(5) 中華そばの店 丸福

Marufuku_01.jpg
ふだん堺筋の東側エリアの店ばかり利用しているが、堺筋の西側も相当数の会社と飲食店があるのは知っていた。休日、自転車に乗ってちんたら町の様子を見るのが好きで、堺筋を渡って西側に出かけた。すると、小路を入ったところにある目立たない「中華そばの店」を発見した。店名は〈丸福〉とある。いや何とも良い風情の店ではないか。今度来よう、と決心して通り過ぎた。

そして休日、いよいよ〈丸福〉で中華そばを食べるために自転車に乗るのだが、今日は昼食後に梅田のヨドバシカメラに用事がある。iPad用のタッチペン(スタイラスペン?)が欲しいのだ。長堀橋からヨドバシカメラ梅田店まで、そんなに無理をすることなく自転車で何とか行けるのではないか? そんなことを考えながらのんびり運転していると、〈丸福〉を見失ってしまった。

は、なにやってんの? と自分でも言いたくなるような間抜けさである。どうしてこの限られたエリアの中で迷ったりできるのか。同じ道を何度かくるくる回って、ようやくたどり着くと、すでに店内は客がわりと入っていて、なかなか人気の店だとわかる。高級感は全くなくて(失礼)、庶民的な町の中華そば屋さんという感じだ。

Marufuku_02.jpgグランドメニュー(?)は壁にかかっているけれど、お昼はさらに品数を絞り込んで限定しているようだ。中華そば、ワンタン、ワンタン麺、チャーシュー麺、チャーシューワンタン麺、ちゃんぽん、五目そば、五目ワンタン、五目ワンタン麺、焼き飯、そしてライスが昼のメニューということらしい。ただし「ラーメンと半炒飯のセット」などは用意していないようだ。

本当はラーメンと半炒飯のセットをいきたいところだが、ないんだから仕方がない。中華そばの単品を注文した。客はどんどん入ってきて、私の前の席にすかさず座って相席となった。神戸は三宮センタープラザの「秀鳳飯店」などもそうだったが、相席必至の店というのは必ずあるものだ。そしてそういう店はかなりの確率で「いける店」のことが多いのではないかと思う。

さて料理が来ましたよ。焼豚、卵、葱、モヤシ、メンマが乗っている。程よい醤油の色をした透明度の高いスープ、麺は中太のストレート麺。スープを飲んでみると、鶏ガラがしっかりきいた、自分が大好きな味わいでうれしくなった。ついつい何度も飲んでしまうなあ。焼豚(煮豚?)は少し硬いというか歯応えがあるのでこれくらいの分量で良いのではないか。

Marufuku_03.jpg中華料理店でラーメンと炒飯のセットを頼んだ場合、ラーメンのスープを飲み切らずに残すことが多いのだが、それは一口飲んだときに旨いと感じるような塩分濃度に仕上げていることと、もう一つは塩分のとりすぎに敏感になってしまって、つい残してしまうのだと思う。だけど今日はあれっ、最後までスープを飲み切ってしまいましたよ。

これで430円。いやあ、久しぶりにうまい中華そばを食べさせてもらったなあ。満足して店を出ると、すぐ隣に「50円」という文字の自動販売機があるじゃないか。全部食べ切ったせいでちょっと暑いくらいだから、缶入りアイスコーヒーでもいきますか。70円の缶コーヒーを買ってその場でごくごく飲む。これでランチとコーヒー合わせて500円ちょうどである。なんか、幸せだなあ。って、あんたどんだけ……


【付記】
● ラーメンは430円ですが、チャーシューワンタン麺を頼んでも650円。何ともうれしい庶民の味方ではありませんか。もしセットメニューがあったら、間違いなく通い詰めになってしまいそうなほど魅惑的な味わいと雰囲気の店でした。やはり11時過ぎか13時過ぎを狙って入店するのがベストでしょう。


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西宮名塩を歩く ラーメン店 だしと麺

Ago_Dashi_Ramen.jpg
題名は「西宮名塩を歩く」だけどちっとも歩いていないのである。何しろ、駅を出てすぐの所から自動車に乗せてもらい、視聴会の会場までそのままだった。確かに厳密には歩いていないのだが、同じ題名で書くようにしているから仕方がない。その日は、「自作の友」さんご自作の「正12面体SP・BOX」を聴かせてもらいにJR西宮名塩駅を訪れた。

JR西宮名塩の駅に到着したのが11時20分頃だったので、そのまま昼食をとりましょう、という流れになった。自作の友さんは拙ウェブログ「遊歩者 只野乙山」に目を通して下さり、私がラーメンと炒飯の記事ばかり書いていることを気遣って下さったのか、「乙山さん、ラーメンでも食べに行きましょうか」ということになった。ラーメン大好き人間としては願ったり叶ったりの展開なのだが、少し申し訳ない気持ちも。

「近くに新しくできたラーメン屋があるのでそこにしましょうか」ということになり、車で数分、〈だしと麺〉という店に入った。11時半頃でもうすでに行列ができかけている。自作の友さんと私は、店員さんがテーブルを片付ける間だけ待って、席に案内された。店の壁にはいろいろな種類の削り節のサンプルがディスプレイされていて、魚介系の出汁に力を入れていることがわかる。

メニューを見ると、「あっさり」と「濃厚」があるようなので、迷わず「あっさり」を選択した。私は〈天下一品〉でも絶対に「あっさりスープ」を頼む人間である。「こってり」を頼まずして何のための天一(てんいち)か、とファンの人は呆れると思う。だが、自分はあっさりスープでもかなり濃厚に感じるのだ。というわけで、あっさり派の「飛魚(あご)だしそば、熟玉なし、高菜ご飯」にした。

さて料理が来ましたよ。表面を覆ってしまいそうな大きな焼豚(煮豚?)、青菜が乗っていますね。そして玉ねぎの生をざっくり切ったものがゴロッと入っている。生の玉ねぎの硫化アリルが苦手な人は困ると思うが、いろいろ試した結果、この生玉ねぎを採用したのだろうと想像する。スープはわりと透明感があり、テーブルの上に置かれた段階でもう魚介系の香りが漂ってくるのがわかる。

一口飲んでみると、「おっ」と思うほど魚の出汁が強烈に効いているのがわかる。メニューに「焼き飛魚煮干しと鶏節を使用したコクうまスープ」とあるので、魚だけではなく鶏も使われているようだが「鶏節」とは何のことかわからない。確かにあっさりしているけれど、コクとうまみがしっかりあって何度も飲みたくなるスープである。これが、生の玉ねぎとなるほど合っている。

麺は平麺のような感じで、自家製麺なのかもしれない。もちっとした感じでなかなか面白い食感。これだけスープがしっかりできていれば、麺はどんなものでもよさそうに思うが、この平麺が飛魚だしスープに最も合っているということなんだろう。なるほど、これなら人気が出て遠くから車で来る人がたくさんいるのもうなづける。自作の友さんも私も、スープを最後まで飲み干してしまった。私が玉ねぎを残したのはここだけの話。


【付記】
● 以前、西宮/宝塚に住んでいた時、今津線を使っていました。西宮市と宝塚市の境界線は仁川という川になっていて、仁川から北は宝塚市だと思い込んでいたのです。なので、名塩(なじお)は西宮市の飛び地なのかな、と思っていました。だけどウェブ地図で見ると、確かに飛び地ではなく、西宮市だったんですね。ラーメン店〈だしと麺〉を出た後、コープこうべがあるのを見て、思わず立ち寄ってみたくなる衝動に駆られました。

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只野乙山

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