カリラ12年 シングルモルト(アイラ)

CaolIla_12yo.jpg
今回はアイラモルトの〈カリラ(ケイル・イーラ):CAOL ILA 12年〉を飲んでみた。ウェブ地図で確認すると、アイラ島の北東部、ちょうど同島とジュラ島の間にある海峡沿いにケイル・イーラ蒸留所があり、少し北部にはブナハーヴン蒸留所がある。かつてはすべてブレンド用で、オフィシャル・シングルモルトのリリースは1980代後半だという。小さなグラスに注いでみると、かなり薄めのブロンドで、アードベック10年を思わせるような色合い。

スモーキーさとピート香がまず感じられ、この二つの香りが強いため他の香りは感知できない。口に含むと、やはり煙臭さとピーティさが感じられるが、煙臭さとともに木質香もあるように思う。次にハーヴ香を含んだモルトの甘みが来るが、ハーブ香も甘みも控えめで鼻に抜けるのは軽めのヨード臭。フィニッシュの余韻はそう長くないが、煙臭さの後にモルトの甘み、そして最後に残るのはヨード臭とピート香、ウッディさが混じった感じ。

若干の加水で何かがとくに変わるわけではなく、味わいの相似形は見事に保たれている。スモーキーさはそのまま残るのだが、甘みが後退してドライな味わいになるように思える。塩(潮)気はかなりあるように感じる。後に残るのは微弱なヨード臭なのだが、ヴァニラやカラメル系の甘さは全く感知できない。ドライで、一口飲んだらアイラのモルトとわかるのだが、何かが突出しているわけではない。アイリーク(イーラッハ)がどの蒸留所かわからないように、ブラインドで出されたら当てられるかどうか自信がない。

トゥワイス・アップ(ここではカリラ20ml:水20ml)までもっていくと、アルコールの揮発とスパイシーさが後退して非常に飲みやすくなる。ヨード臭が少し前に出てきて、スモーキーさ・ピート香・ヨード臭と、モルトの甘みのバランスが良くなる感じだ。さすがアイラというべきなのか、味わいのバランスが崩れることはない。スモーキーさとピート香の陰に隠れるようにしている木質香もよくわかる。

オーバー・アイス(氷に注いで)飲むと、モルトの甘みを強く感じる。このモルトにはハーブ香が含まれているはずだが、持ち前(?)である強めのスモーキーさとピート香が前に来ているので後から少し感じるほど。同時にスパイシーさが来て、最後に舌に残るモルトの甘みにハーヴ香の片鱗を感じる程度。ボウモアやアードベックに比べると、いささか自己主張が控えめだろうか。舌に残るのはモルトの甘みなのだが、最後の最後に来て鼻に抜けるのはヨード臭。

今度はトゥワイス・アップを氷に注いで飲むいわゆる「ハーフ・ロック・スタイル」でやってみよう。トゥワイス・アップのときに伸びの良さは確認していたので予想できるが、これはなかなか旨い。煙臭さとピート香・ヨード臭とモルトの甘みのバランス良さはそのままで、甘みが少し前に出てスパイシーさが消失する感じ。たいへん飲みやすく、いくらでもいけてしまいそうで怖い。

悪ノリついでに(おいおい)、カリラ12年を1:2水割りにしてみた。ここではカリラ12年30ml:水60mlを8オンス・タンブラーに入れた水割りを飲んでいる。おお、やはりよく伸びる。まだ、スモーキーさやピート香は残っていて、モルトの甘みも微かに感じる。「スコッチの煙臭さって何?」という人に、味わってもらいたい一杯だ。ただしこれは「カクテル」なので、カリラ本来の味わいを云々というものではなかろう。

例によって最後にカリラ・ソーダ・ハイボールをやってみよう。ここではカリラ12年40mlを10オンス・タンブラーに氷と入れてステアし、ソーダで満たしたものを飲んでいる。ほう、やはりアイラは強いなあ。酸味が前に出てくることはなく、スモーキーさとピート香を残したまま、モルトの甘みも消失せずに残っている。というか、甘みが少し前に出てくる感じで、そんなに悪くないソーダ・ハイボールに仕上がっているという感じがした。


【付記】
● スモーキーさとピート香、そしてヨード臭という、いわゆる「アイラモルトらしさ」は備わっているものの、ボウモアやラフロイグのようにわかりやすい個性的な味わいではないのがカリラでしょう。かつてほとんどがブレンド用だったというのがわかる気がしますが、飽きの来ない奥深さと高貴さがあるように感じました。

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No title

おお、今回はカリラですね。
私の印象では結構スパイスが強めにあって、酒の持つスパイスではなくて煙のピリピリではないか?と思ったり。

仰有る様に確かに煙とピートが強く感じられますから、ブレンデッドで個性的な酒を造ろうとした時には具合の良い酒なんだろうと思います。
バーで丸い大きな一つ氷の入ったグラスで飲んだ事があって、それでもアイラモルトの良さが伝わってくる位の良い酒だなと思いました。
ただやはりスパイスの部分が柔らかくなってくると、カリラの個性は判り難くなるかなと私も思います。

しかしこのところすごく良い酒ばかり飲んでおられる様で、実に羨ましい限りです。

No title

こんにちは。^^

毎回楽しく読ませていただいています。

私も、一口味わいた~い!と、毎回思うのですが、毎回書きますように(笑)
この頃身体がお酒を受け付けない。くすん…
でも、こういうコアなテーマの記事、(ラーメン食べ歩きも他のもそうですが、)
は、全然そのものを自分では知らなくとも味わえなくとも、読んでいるだけでも
楽しいですね。

私は、煙草にまつわるもろもろの文化というものも、自分では一度も
吸ったことがないにもかかわらず、とても好きで、愛煙家が、街の片隅で
(それも概してあまり綺麗でないところで)こそこそと急いで吸って
らっしゃるのを見かけると、少し気の毒になってしまいます。^^
まあ、煙草は自分の体に悪いだけじゃない、傍にいるかたにも害を
与えてしまいますので仕方ないですが。

他にも、乙山さんの洋服の記事なども、にこにこしながら読んでしまいます。
殿方の徹底したこだわり、ってなんか『可愛い』。(笑。失礼お許しを)
だから、私、結構、殿方向けの雑誌、好きなんですよ。^^

映画もね~。たくさん見たいんですけど。


Re: Noriさん

Noriさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
そうですね、カリラはわりとスパイシーさが効いているとは思うのですが、
それが際立っている、というほどでもないように感じました。

煙臭さと甘さ、スパイシーさのバランスが良いのだと言えるでしょうが、
逆にいうと特徴がない、ということでしょうか。
ブレンド用として、本当に向いているモルトだと思いました。

> しかしこのところすごく良い酒ばかり飲んでおられる様で、実に羨ましい限りです。

これは個人的理由で、必要があってのことなんです。
お金はかかるし、体の負担も相当なものなんですけど、
「希望」とか「夢」を意識して飲んでいると、なんとかいけそうです。
これが苦しみを紛らわすためになると、危ないんですよね。

Re: 彼岸花さん

彼岸花さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
まあ、このウィスキーってやつは、個人的な理由で取り組んでおりまして、
将来の自分にかかわって来るやもしれません。

なんかね、もう「乗り掛かった舟」みたいな感じでしょうか。
ウィスキーはアルコール度数がきついですから、
例えばシェリー酒なんかを、寝る前に一杯だけ、なんてのはどうでしょう?

煙草にかんして、もうあまり語る気がなくなってしまいました。
おおらかな時代が良かったなあ、とは思いますが、
迷惑に思う人のことを、もっと考える必要があるのは本当でしょうね。

乙山はもうそこから離れてしまっている、というか、縁がないのかもしれないのですが、
近頃「格好良い大人」が少なくなっているような気がします。
あんな大人にはなりたくない、のお手本のような男=乙山かも。

自分が嫌になること、わりとあるんですよね。
なにかから逃げている自分を、俺はこれで行くんだ、そうするしかないんだ、
でごまかしてないだろうか。いろいろ考えてしまいます。

No title

乙山さん。こんにちは。

そうですよね。このウイスキーの記事は、半ば必要があって取り組んで
おいでだと前に伺って承知しています。^^

でもそれを、大変だ、と思ったら、楽しさも失せてしまう。
何かを追求・追及するということは、それ自体が楽しいこと。
人生の大きな喜びの一つだと常々思っています。
私も、一読者として、乙山さんのこの企画をこれからも楽しませて
いただきたいと思います。^^

あれ~~~?
乙山さんは、それこそ『格好いい大人』のおひとりですよ~~~!
ここでお見せになる乙山さんのお姿は、主として『ダンディでクールな』
乙山さんですが、
乙山さんの、小さなささやかなものにも寄せる優しさ。私知ってるも~ん!(笑)
それに。ここに書きましたように、ちょと可愛い(笑)。

自分がいやになること、私などしょっちゅうです。
自分に疲れるというか…愚かだよなぁ、と始終思う。
今もちょっといやんなってます(笑)

シェリー酒ですか。飲んだことありませんでした。
試してみようかなぁ。ほんの少しのナイトキャップくらいは楽しみたいんですよね。
ありがとうございます!

Re: 彼岸花さん

彼岸花さん、再コメントありがとうございます。
シェリー酒は、熟成樽をスコッチの熟成に使うこともあるんですよ。
マッカランなんかがそうですが、そうすることでレーズンのようなフルーティさが出るんです。
スコッチの原酒に、強い個性を付けることができるんですね。

スコッチの蒸留所が樽を作って、それをシェリーのメーカーに回しているケースもあります。
甘みもあると思いますので、寝酒にはもってこいだと思いますし、
養命酒より格好いいじゃありませんか!

乙山はウェブログに「自分の好きなことだけ書く」と決めて始めましたので、
ウェブログには良い面しか上がっていないこともあります。
現実の「乙山」はつまんない男、じゃないでしょうか。

だけど、そんな自分でも、行ける所まで行ってみたい。
来年の春くらいから、生活がものすごく変わるかもしれません。
今は、希望と夢を抱いて、頑張ろうと思っています。

彼岸花さん。応援していただいて本当にありがとうございます。
少し、元気が出てきましたよ。

No title

おお~~~!
それは楽しみですねぇ♪


これからも応援しています。

(これ。お返事いいですからね~~。^^)

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只野乙山

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⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

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