『宇宙戦艦ヤマト2199』

『宇宙戦艦ヤマト2199』(DVD版、全7巻)

SpaceBattleShipYamato2199_01.jpg
原作:西崎義展
総監督:出渕裕
音楽:宮川泰/宮川彬良


もう数年前のこと、あの『宇宙戦艦ヤマト』のリメイク作品が劇場公開されており、YouTubeで予告編の映像を見たとき、あまりの変わりように驚いてしまったのを覚えている。いわゆる「松本キャラ」が一掃されて全く違ったイメージになっていた。リメイク版『宇宙戦艦ヤマト2199』に多少の違和感を覚えたが、予告編を見ているうちに慣れてしまうのが不思議だった。

なんだか面白そうだな、と気になっていたけれど、DVDを買ってみるほどの思い入れはなかった。ある日、駅前のスーパーマーケット内にあるレンタルメディア店で映画を何本か手にしたとき、ふと『ヤマト2199』のことを思い出し、アニメコーナーに行ってみたら、あるではないか。全7巻あるけれど、第1巻だけ手にしてレジに向かった。

早速ノート型PCで見ると、やはり映像が圧倒的にきれいなのに驚く。登場人物たちはどうしても旧作と比べてしまうのだが、新しい世代ということでこれでもいいのかな、と思う。沖田艦長は違和感がないのだが、佐渡先生と徳川機関長はちょっと可愛らしすぎるんじゃないだろうか。それと、数名の頭髪がぴょんと立っているけど、あれはいったい何なんだろう。なんだかとても残念に思う。

一方、メカニックは旧作より細部まで作りこまれていて感心してしまう。おそらく3Dレンダリングも取り入れているのだと想像するが、現在のアニメーションはあまりにも鮮明でごまかしようがないんでしょうね。駆逐艦「ゆきかぜ」とかガミラス艦艇なども手抜きがなく細部まで描き込まれており、たぶんヤマト本体のパースペクティヴも正確なんだろうと思う。

『旧ヤマト』と『ヤマト2199』をうまく結び付けているのは音楽ではないかと思う。多少の編曲の違いはあるが旧作とほぼ同じ感じに仕上げられており、これは旧作で音楽を担当した宮川泰の御子息である宮川彬良によるもの。旧作でも音楽の秀逸さは際立っていて、テープレコーダーにテレビ放送の音声だけ吹き込んで何度も繰り返して再生して楽しんだ記憶があるほどだ。

SpaceBattleShipYamato2199_02.jpgその後、展開が気になって残りの巻も他の映画とともに借りて、すべて見てしまったことは言うまでもない。旧作では無理があるなあと感じていた部分がわりと修正されているのも見所で、旧作では森雪がレーダー係と看護婦および佐渡医師の補助、そして艦内生活の世話役とあまりの激務にちょっとなあ、と思っていた。本作では女性乗組員が増え、分担や交代制、自動操縦などが取り入れられたが、旧作では交代なしの出ずっぱりでしたからね。

また、「波動防壁」というのはいいアイディアだと思う。だいたい、旧作でヤマトは直撃弾を受けすぎているんですね。ふつうの艦だったら冥王星の「反射衛星砲」一発で沈みますよ。旧作「七色星団の決戦」でもヤマトが受けた直撃弾の多さからすると、やられないのが不自然。で、ドメル艦隊はドリルミサイル一発でほとんどが壊滅って……波動防壁のおかげでかなり不自然さが払拭されたように思うが、それにしても、たった一隻であれだけの艦隊を打ち破るというのはいくらなんでも……

旧作及び『2199』におけるドメル艦隊についてもう一言だけ言わせていただくと、ドメル戦法はなんだか姑息な手段のように思えるかもしれないが、ドメルは波動砲の存在を知っていたのであり、艦隊同士の直接対戦なら、決定打に欠くドメル艦隊は明らかに不利なのであって、どうしても「姿を隠したうえでの機動攻撃」という作戦を取らざるを得なかったのではないだろうか。敵の波動砲を封じるのを第一とし、対抗する武器として「物質転送機」を導入したのもわかる気がする。

そして、「亜空間ゲート」という短絡手段を入れたのも良かった。あれで航路の大幅な短縮が可能になったのだし、ガミラスの主力艦隊を置き去りにできた、という設定も可能になったのだろう。それがなかったら、またしてもヤマト一隻で膨大なガミラス艦隊を打ち破るというありえない筋書を逃れるわけにはいかなかっただろう。旧作当時と『2199』制作時ではコンピューターの進歩に格段の違いがあるのだが、コンピューターの扱いも不自然さを感じないようにできている。

とにかく『宇宙戦艦ヤマト2199』には旧作に対する深い愛情と尊敬を感じた。セリフが抑制されているのも良く*、無駄なシークェンスも少なくて、総監督のセンスの良さがわかるいい出来だ。せっかくのリメイクだからそのままでは面白くないはずだし、見ていて「おおっ、そうきたか」と思わず感心した場面も数知れず、旧作の熱心なファンの方にもお勧めできるものではないかと思う。ただ、返す返すも残念なのは、あの変な、頭からぴょんと飛び出た髪の毛である。

*例えば、旧作で有名な森雪の台詞「古代君が死んじゃう!」というのがありますが、思わず「ユキよ、死ぬのは古代君だけじゃないんだぞ」とかツッコミを入れたくなりますよね。

【付記】
● 旧作と『2199』のいちばん大きな違いは何といっても「見た目」ですが、なあに、見ているうちに慣れてしまいますよ。『2199』の出来はいいものだと思いますが、これによって旧作の価値が減じた、などと言うことはいささかもありません。あれはあれで良いもので、また別の味わいがあるのではないでしょうか。じつは旧作もYouTubeでほぼ全編を見てしまって、やっぱりいいなあ、と思ったのです。


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