グレンキンチー12年 シングルモルト(ローランド)

Glenkinchie12yo.jpg
今回はたいへん珍しいローランド地方のシングルモルト〈グレンキンチー12年〉を飲んでみた。キャンベルタウンと並んであまり名前を聞かないのも理由があって、かつて200を超える蒸留所が存在していた同地区には、今や三つの蒸留所が稼働しているだけだという。グレンキンチーとオーヘントッシャン、そしてブラドノックがそれである。

ウェブ地図で見ると、タンノイのスピーカーの名前にもなっているエディンバラの東部で、A1道路やA68道路から離れたところのあるのがわかる。ボトルは透明でラベルが小さめになっているが、これはグレンキンチーの輝くばかりの黄金色によるものかもしれない。なるほどこれだけ色が綺麗なら透明のボトルに入れたくなるのもわかる気がする。

小さなグラスに注いでみると、有機溶剤系の強い揮発に混じって、洋梨か熟成の進んだバナナまたはドライフルーツを思わせる香り、そして蜂蜜のような香りがする。匂いにはスモーキーさやピート香を感知できない。口に含むと、ハーブ香がきいたモルトの甘みがまず来るが、これはかなりの糖度を感じる。それを追いかけてスパイシーさを感じるが、これは刺激的というほどではなく、かなりいいバランスだと思う。

フィニッシュの余韻はさほど長くない。ハーヴの香りとスパイシーさが抜けた後、モルトの甘みが舌に残るが、ヴァニラ系やカラメル系の華やかな甘さではなく、麦本来の甘さではないかと思う。若干の加水では味わいのバランスは崩れず、モルトの甘みをベースとしてハーヴ香とスパイシーさが広がりを見せる。引き際もストレートとあまり変わらずいい感じだ。

トゥワイス・アップ(ここではグレンキンチー20ml:水20ml)までもっていくと、さすがにスパイシーさは感知できなくなり、ハーヴ香はほとんど脱落して蜂蜜の香りが支配的になるが、じっくり味わっているうちに、やはりグレンキンチーは麦本来の甘みと草の香りで中核ができているのだな、とわかるような気がする。

オーバー・アイスで(氷に注いで)飲むと、面白いことにストレートで感じた甘さがほんの少し後退するような気がした。同時にスパイシーさもいささか後退気味になり、最後にモルトの甘みが草の香りを包み込む、というような感じでフィニッシュを迎える。舌に残るのはモルトの甘みなのだが、スモーキーさやピート香はいささかも感じられないように思えた。

水割りはどうだろうか。たとえば1:1の水割りを、オールドファッションド・グラスに注いでやる、なんてどうだろう。あっ、これはたいへん飲みやすいですね。ちょうどグレンキンチーのトゥワイス・アップが原形を残していたように、よく「伸びる」タイプ。煙くさいスコッチが苦手という人にはうってつけのやり方かも、と思う一方、グレンキンチーらしさはあまり……これ以上薄い水割りはお勧めできない。

最後にグレンキンチーをソーダ・ハイボールに仕立ててみるとしますか。ここでは10オンス・タンブラーにグレンキンチー40mlを注ぎ、軽くステアしてソーダで満たしたものを飲んでいる。うむ、悪くない、酸味が出てすべてをかき消してしまうことはなく、「グレンキンチー・ソーダ」といってもいいカクテルになっている。グレンキンチーそのものを味わうにはいささか違うかもしれないが、これはこれで、良い飲み物ではないかと思う。


【付記】
● ローランド地区はそのほとんどの蒸留所が操業停止してしまったので、ローランド・モルトを楽しむには限られた数しかありませんが、噂ではローランドにも蒸留所の新設があると聞きます。楽しみではあるのですが、いったいいつになったら飲めるのか、かなり先の話でしょうね。


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