『紳士は金髪がお好き』
『紳士は金髪がお好き』(1953年、アメリカ映画、91分)

原題:Gentlemen Prefer Blondes
監督:ハワード・ホークス
出演:ジェーン・ラッセル、マリリン・モンロー、チャールズ・コバーン、エリオット・リードほか

原題:Gentlemen Prefer Blondes
監督:ハワード・ホークス
出演:ジェーン・ラッセル、マリリン・モンロー、チャールズ・コバーン、エリオット・リードほか
マリリン・モンロー出演ということで『紳士はブロンドがお好き』を見た。モンローの単独主演というわけではなく、ジェーン・ラッセルとの共演作で、冒頭からニューヨークの舞台で歌って踊る二人が映される。金髪のローレライ(マリリン・モンロー)と黒髪のドロシー(ジェーン・ラッセル)は舞台を終えた後、楽屋で帰り支度をしているが、そこに現れたのが資産家の息子ガス。ローレライとガスはパリで結婚することになっていた。
ところが、ガスの父は金目当てではないかと二人の結婚に反対していた。フランス行きの豪華客船にローレライとドロシーは乗り込むが、ガスは同行できないという。その代わり、パリで落ち合うことを約束し、渡航費その他のための信用状をローレライに渡す。客船の中でも注目を浴びて上機嫌の二人だったが、ガスが雇った探偵のマローン(エリオット・リード)という男もローレライの言動を見張るために乗船していた。
とまあ、またもやマリリン・モンローが億万長者と結婚する話なんですね。今回は恋の駆け引きはなしで、ジェーン・ラッセルの存在もあって、ちょっと控えめな感じに思えた。彼女が単独主演女優としてトップ・スターに上り詰める直前の作品なのだ。とはいえ、例のお尻をスウィングして歩く「モンロー・ウォーク」も出てくるし、声量が少なめで頼りないのに、なぜか魅力的な低めアルトも堪能できる。
ジェーン・ラッセルという人をまったく知らなかったのだが、ネットで調べてみると『ならず者』(1940)という映画で主演女優を演じ、きわどい場面があったため上映中止になったという。同作によってジェーン・ラッセルは「セクシー女優」として広く知られるようになったのだそうだ。出演映画一覧を見ると、有名なのに数が少ないことがわかり、知らないのも仕方がないだろう。
マリリン・モンローはこの後トップスターとなり「セックス・シンボル」として知られることになるのだから、本作は新旧(?)二大セクシー女優が並び立つ豪華作品だったわけだ。二人を見ていると、落ち着いたお姉さんのように見えるドロシーと、どこか危なげな妹のローレライみたいな感じだ。探偵に富豪と一緒にいるところを写真に撮られた後、「戦うわよ」とローレライを引っ張っていくのがドロシーなのだ。
ところが、ドロシーは敵のはずの探偵・マローンを愛してしまう。何とかお金持ちと結婚するように画策するローレライだが、ドロシーはお金があるかどうかは問題ではない女性なのだ。ここでは立場が逆転して、ローレライのほうが現実的になって、もっと冷静に考えたほうがいい、とドロシーを諭すようになるのが面白いところだ。
結局、この映画は二人の女優をどう並び立たせるか、という所にいちばん神経を使って作られたのだと想像する。出演時間や見せ場もおおいに検討されたことだろう。ミュージカル・コメディ映画ということもあって、深みは全くないのだが、挿入歌「ダイヤモンドは女の親友」(Diamonds Are a Girl's Best Friend)にあるような、開き直った露骨な本音がかえってすがすがしく感じられる。
ところが、ガスの父は金目当てではないかと二人の結婚に反対していた。フランス行きの豪華客船にローレライとドロシーは乗り込むが、ガスは同行できないという。その代わり、パリで落ち合うことを約束し、渡航費その他のための信用状をローレライに渡す。客船の中でも注目を浴びて上機嫌の二人だったが、ガスが雇った探偵のマローン(エリオット・リード)という男もローレライの言動を見張るために乗船していた。
とまあ、またもやマリリン・モンローが億万長者と結婚する話なんですね。今回は恋の駆け引きはなしで、ジェーン・ラッセルの存在もあって、ちょっと控えめな感じに思えた。彼女が単独主演女優としてトップ・スターに上り詰める直前の作品なのだ。とはいえ、例のお尻をスウィングして歩く「モンロー・ウォーク」も出てくるし、声量が少なめで頼りないのに、なぜか魅力的な低めアルトも堪能できる。
ジェーン・ラッセルという人をまったく知らなかったのだが、ネットで調べてみると『ならず者』(1940)という映画で主演女優を演じ、きわどい場面があったため上映中止になったという。同作によってジェーン・ラッセルは「セクシー女優」として広く知られるようになったのだそうだ。出演映画一覧を見ると、有名なのに数が少ないことがわかり、知らないのも仕方がないだろう。
マリリン・モンローはこの後トップスターとなり「セックス・シンボル」として知られることになるのだから、本作は新旧(?)二大セクシー女優が並び立つ豪華作品だったわけだ。二人を見ていると、落ち着いたお姉さんのように見えるドロシーと、どこか危なげな妹のローレライみたいな感じだ。探偵に富豪と一緒にいるところを写真に撮られた後、「戦うわよ」とローレライを引っ張っていくのがドロシーなのだ。
ところが、ドロシーは敵のはずの探偵・マローンを愛してしまう。何とかお金持ちと結婚するように画策するローレライだが、ドロシーはお金があるかどうかは問題ではない女性なのだ。ここでは立場が逆転して、ローレライのほうが現実的になって、もっと冷静に考えたほうがいい、とドロシーを諭すようになるのが面白いところだ。
結局、この映画は二人の女優をどう並び立たせるか、という所にいちばん神経を使って作られたのだと想像する。出演時間や見せ場もおおいに検討されたことだろう。ミュージカル・コメディ映画ということもあって、深みは全くないのだが、挿入歌「ダイヤモンドは女の親友」(Diamonds Are a Girl's Best Friend)にあるような、開き直った露骨な本音がかえってすがすがしく感じられる。
【付記】
● 『風と共に去りぬ』が1939年制作と知って度肝を抜かれましたが、本作も「ゴージャス」という言葉がぴったりくるような雰囲気がありますね。何しろセクシー女優の共演なのですから、ゴージャスでなくてはなりません。二人ともルーベンスとかルノワールの絵画にあるような「グラマラス」なんですね。当節流行の細身はいささか行き過ぎなのかもしれませんね。
● 『風と共に去りぬ』が1939年制作と知って度肝を抜かれましたが、本作も「ゴージャス」という言葉がぴったりくるような雰囲気がありますね。何しろセクシー女優の共演なのですから、ゴージャスでなくてはなりません。二人ともルーベンスとかルノワールの絵画にあるような「グラマラス」なんですね。当節流行の細身はいささか行き過ぎなのかもしれませんね。
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「Diamonds Are a Girl's Best Friend」あそこ大好きなんです。そういえ人は結構多くて、いろいろな映画やCMなどでオマージュされてるらしいですね。思えば「チャーリーズエンジェル」のディスコのシーンも、そうなのかな?(これでキャメロン・ディアスの贔屓になりました)
ハワード・ホークスはノワール物や西部劇で有名ですがコメディの評価も高く、つられて「赤ちゃん教育」「ヒズ・ガール・フライデー」買っちゃったんですがまだ見てない……早く見よう。
ハワード・ホークスはノワール物や西部劇で有名ですがコメディの評価も高く、つられて「赤ちゃん教育」「ヒズ・ガール・フライデー」買っちゃったんですがまだ見てない……早く見よう。
Re: たんころりんさん
たんころりんさん、コメントありがとうございます。
あのくだり、本当に笑えちゃうというか、身も蓋もないけどそうだよな、
そんな感じにさせてくれますね。
チャーリーズ・エンジェル……懐かしいですね。
テレビ版で深夜(?)に放映されたものしか知りません。
もう一度見たいものですね。
あのくだり、本当に笑えちゃうというか、身も蓋もないけどそうだよな、
そんな感じにさせてくれますね。
チャーリーズ・エンジェル……懐かしいですね。
テレビ版で深夜(?)に放映されたものしか知りません。
もう一度見たいものですね。