チェイベック(ブレンデッド)

TebheagNanEilan.jpg
今回は〈チェイベック〉を飲んでみた。物の本*によると、正式には〈チェイベック・ナン・イーラン〉で、意味は「島の可愛い娘」とのこと。たしかにボトルのラベルを見ると、赤い大きな字でチェイベックとあり、そのしたに「ナン・イーラン」と書いてある。1976年にスカイ島の地域振興とゲール語普及の目的でつくられたという。主要モルトはスカイ島にあるタリスカー蒸留所のものらしい。

ラベルはほぼすべてゲール語で書かれているようで、ほんの一部に「BLENDED SCOTH WHISKY」とあり、もう一つは「UNCHILFILTERED」の文字。多くのウィスキーは0~5度に冷却してろ過するが、このウィスキーは冷却なしでろ過しているということだそうだ。そしてボトルの一番上と下には「GAELIC WHISKY」という文字が書いてある。ゲール語を日常語とする人たちはたいへん少なくなっているそうだが、そういう人たちに大人気とのこと。

小さなグラスに注ぐと、わりと強めのアルコールの揮発臭に、どこか蜂蜜を思わせながらハーヴ香も感じられる。スモーキーさはあるか、ないか感知できない。口に含んでみると、ハーヴ香を含んだモルトの甘み、そしてスパイシーさが来る。モルトの甘みはどこかドライフルーツを思わせるものも微弱に感じられる。フィニッシュの余韻はわりと長めで、舌にはスパイシーさ、鼻にはアルコールの揮発が感じられる。

それらが引いた後にはモルトの甘みが舌に残るのだが、スパイシーさはかなり後まで続くように思える。長期熟成モルトのうっとりするようなエステリーさはないかもしれないが、はったりがない味わいで好感が持てる。いわば大人の味わい、といったところだろうか。若干の加水でアルコールの揮発臭は後退して飲みやすくなるが、スパイシーさはまだ残っている。

トゥワイス・アップ(ここではウィスキー15ml:水15ml)までもっていくと、アルコールの揮発臭もスパイシーさも、ともに後退する。微弱でほとんど感じられないスモーキーさが少しだけ顔を見せるような気がするが、それとはっきりわからぬ匙加減である。グラスの残り香にはピートらしきものがはっきりあるので、完全なノンピートではないと思う。

オーバー・アイスで(氷に注いで)飲んでもうまい。若いグレーンもブレンドされているはずなのだが、それとはっきりわからぬほどでモルトの含有量は多めかもしれない。よく出来たブレンデッドだが、ヴァニラとかカラメル系のわかりやすい「甘さ」はないゆえ、「可愛いお嬢さん」という名前のわりには硬目の味わいに感じた。引き際があっさりしてしまうのは加水によるもので仕方がないと思う。

予想はそんなに良くないと思うが、一応ソーダ・ハイボールに仕立ててみる。ここではチェイベック30mlを10オンス・タンブラーに注いでステアし、ソーダで満たしたものを飲んでいる。酸味が前に出て、チェイベックの良い部分がほとんどすべて後退している。もちろん、これはこれですっきりした飲み物だとは思うが、自分としてはあまりお勧めできない。

*土屋守『ブレンデッドウィスキー大全』(改訂版、小学館、2014年)

【付記】
● チェイベック、なかなか良いブレンデッドでした。喉と鼻にガツンとくる若いグレーンを感じさせぬ味わいなので、さながらシングルモルトのようにそのまま飲むか、あるいは氷に注いで飲むのがお勧めです。割りものにするなら、水割りがいいのではないかと思います。


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ついにっ!

乙山殿もついにコレをレビューして
くださいましたかぁっ(嬉)!
かなりマイナーなブレンデッドみたいですが、
わたくしは大好きですっ。
この味わいに
得も言われぬバランスの良さを、上品さを
感じます。たまたまお値打ちにスタンディングの
BARで数ヶ月前に飲めたのですが、
ネットでもあまり取り挙げられていなかった
とのですから、私だけが知っているぅ〜
なんて、一人で勝手に悦に入っておりました。
また機会があったらゆっくりと飲んでみたい
ウイスキーでした。
乙山殿、レビューありがとうございました。

No title

ゲール語は日本で言えばアイヌ語みたいなものでしょうか?
地名などには残ってるけど、今は誰も使ってないような。
スコットランドは独立運動があったくらいだから、言葉にもこだわりがあるんでしょうね。

Re: ついにっ! ; 四の字硬目さん

四の字硬目さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
タリスカーと思われる原酒を主要モルトにしたチェイベック、
スパイシーさが支配的で、なかなか味わい深いブレンデッドでした。

仰るように、バランスの良いブレンドで、品がいいですね。
まるでシングルモルトのように飲めてしまうことからも、
モルトの含有量はかなり多いのではないかと想像しています。

リッチな感じはないですが、いかにもスコッチという感じで、
好感が持てる一本ではないかと思います。

Re: kyさん

kyさん、コメントありがとうございます。
そうでしょうね、詳しくは知りませんが仰るような感じだと思います。
昔、ゲリラといえばパレスチナとIRAでしたね。
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只野乙山

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