フェイマス・グラウス(ブレンデッド)

FamousGrouseStd.jpg
つい最近〈ネイキッド・グラウス〉というのを飲んだとき、そういえばフェイマス・グラウスってどんな味だったかなあ、とたいへん気になった。1000円前後で買えるウィスキーの中ではかなりいけるもので、「迷ったらこれ」と言い切れるほどだと覚えている。まだネイキッド・グラウスが残っているうちに、フェイマス・グラウスを飲んでおこうと神戸の頃末商店で入手した。

小さなグラスに注ぐと、まず蜂蜜の香りと若いアルコールの揮発臭を感じる。かすかなフルーティさにスモーキーさがあるか、ないかという香り。口に含むと、ハーブを思わせる味わいの次に、わりと強めのスパイシーさが来る。このフルーティーさは干しブドウに近いもので、どこかチョコレートを遠く思わせる味わいと隣り合わせなのだが、はっきりそれとわかるカカオの香りではない。

フィニッシュの余韻はわりと長めで、舌にはスパイシーさが後を引くのだが、最後に舌に残るのはモルトの甘み。鼻にはアルコールの揮発が抜けた後、モルトの甘みが主に漂うのだが、干しブドウのようなフルーティーさとハーブのきいたモルトの甘さが主成分で、カラメルやヴァニラ系の華やかな甘さは感じられない。スモーキーさはあるか、ないかわからないくらい。

ほんの若干の加水でスパイシーさはおやっと思うほど後退し、モルトの甘みが前に出てくる。だがストレートで飲んだ複雑な味わいはやや平坦化されて、かすかに感じたチョコレートの風味などもはや感知することができない。トゥワイス・アップ(ウィスキー:水=1:1)まで加水すると、スパイシーさとかフルーティーさは後退し、よくある1000円前後のブレンデッド・スコッチみたいになるが、「飲みやすい」のは間違いない。

だからウィスキー:水=1:1を、オールドファッションド・グラスに注いで水割りにしても、飲みやすいのだがあまり面白くない感じだ。なるほど飲みやすいのかもしれないが、このウィスキーの核をつかみ損ねているような気がしないでもない。伸ばしてもオールラウンドでいける物と、そうでない物があるというのは面白いことだ。だが、これはこれで決して悪いわけではない。

そのまま氷に注いで飲んだほうが良いのかもしれない。スパイシーさは後退し、甘みが凝縮された感じになる。スモーキーが少しだけ前に出てくるように感じたが、これは確かにあるとわからぬ程度。そしてどこかビター・チョコレートを思わせる風味もあって、これはこのクラスのブレンデッドでは他にないものではないかと思う。ただ、引き際があっさりしてしまうのは仕方がないことだろう。

ソーダ・ハイボールに仕立ててみる。ここでは30mlのフェイマス・グラウスを10オンス・タンブラーに氷と入れてステアし、ソーダで満たしたものを飲んでいる。酸味が前に出てきて、フェイマス・グラウスの良さがかなり減じてしまうような気がした。一つのカクテルとして、これはこれでいいのかもしれないが、自分としてはあまりお勧めできない。

フェイマス・グラウスはうまくいけば1200円前後で買えるブレンデッドで、このクラスの中では最高レベルの一つではないかと思う。ストレートで楽しめる品質を保っており、薄めすぎるとつまらぬ味わいになるので、そのまま氷に注いで飲むか、ストレートで少しずつじっくり飲むのがいい感じだ。1200円前後でこの味わいはちょっと他にないように思える。


【付記】
たしかに、ネイキッド・グラウスの風味がフェイマス・グラウスにはありました。それにしてもこのスタンダードはよく出来ています。割りものにしないほうが良い、という1000円クラスのスコッチはそうあるものではないんですよね。今後ずっと付き合う酒としてネイキッド・グラウスとスタンダード・グラウスのどちらかを選べ、といわれれば、後者を選んでしまうかもしれません。


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