フォート・ウィリアム(ブレンデッド)

以前ニッカウヰスキー社(つまりアサヒビール社?)が所有者であるベン・ネヴィス蒸留所から出ている〈ネヴィス・デュー〉を取り上げたが、同蒸留所から出ているもう一つのブレンデッド・スコッチ〈フォート・ウィリアム〉を飲んでみた。あまりぱっとしないという情報を得ていたのである程度の予想はできるのだが、いったいどんなものだろう。
ラベルはおそらくベン・ネヴィス山と蒸留所を描いた絵が使われているが、正直あまり魅力あるデザインには思えない。ボトルの裏側には日本語で何か書いてあるので、これも「日本向け」のウィスキーということなんだろうけど、小売店でこれを見かけることはあまり(というかほとんど、否まったく)ない。小さなグラスに注いでみると、蜂蜜やアルコールの揮発臭はあるが、スモーキーさはほとんど感じられない。
口に含むと、かすかにハーブ香を含んだモルトの甘みとスパイシーな感じがする。若いグレーンのアルコール由来と思われるが、このスパイシーさは意外と強め。重層的な味の広がりはなく、同蒸留所が出している〈ネヴィス・デュー〉とたいへんよく似た傾向だといえるが、あえて言うと、こちらのほうが辛口。〈フォート・ウィリアム〉のほうがスパイシーさがきいているからかもしれない。
このスパイシーさが後を引いて、フィニッシュの余韻はわりと長めに感じる。ピリッとくるスパイシーさの後にはほんのりと麦の甘みが残る感じでなかなか良いのではないか。もちろん、そこには長期熟成のウィスキーのように陶然となるようなエステリーさはないけれど、ストレートで飲める品質を保っていると思う。
若干の加水で若いグレーンのアルコールは後退し、飲みやすくなるが、加水によって何かが大きく変わるということもなく、味のバランスは崩れていないといえる。じっくり味わっているうちに、ここに極めて微弱だがピート香があることがわかってくるのではないかと思う。オーバー・アイスで(氷に注いで)飲むと、スパイシーさは後退し、甘さが前面に出てくるように感じた。
ウィスキー:水=1:1の水割りはなかなかうまい。ボトルの裏ラベルには日本語で「スコッチの伝統製法で作られた原酒をニッカウヰスキー社ブレンダーにより日本人の繊細な味覚にかなう、甘くやわらかでスムースな味わいに仕上げました。ストレート、オンザロック、水割り・ハイボール(ウィスキー1:水またはソーダ2の割合)でお楽しみください」と書いてある。
せっかくのお勧めだから1:2水割りもやってみますか。8オンス・タンブラーに30mlのフォート・ウィリアムを注ぎ、ちょうど倍量の水をメジャーカップで量って注ぎ入れ、ステアしたものを飲んでみる。ううむ、悪くないんですけどね、お勧めだと薄まりすぎじゃないかなあ。濃い目の水割りか、氷に注いで飲むのが一番じゃなかろうか。この酒のいちばんの特徴と思えるスパイシーさが後退してしまうんですよね。
ソーダ・ハイボールに仕立ててみると、何かが引き立つわけでもなく、あまり面白くなかった。この酒はね、そういう飲み方をするもんじゃないんだよ、ということを訴えているかのような仕上がりである。まあ「隠れたる名品」とか「知られざる逸品」などと言うレベルではないことは確かだが、個人的にはそんなに悪くないと思う。そうかといって、是非ともお勧めできるとも言えぬのが何とも……
ラベルはおそらくベン・ネヴィス山と蒸留所を描いた絵が使われているが、正直あまり魅力あるデザインには思えない。ボトルの裏側には日本語で何か書いてあるので、これも「日本向け」のウィスキーということなんだろうけど、小売店でこれを見かけることはあまり(というかほとんど、否まったく)ない。小さなグラスに注いでみると、蜂蜜やアルコールの揮発臭はあるが、スモーキーさはほとんど感じられない。
口に含むと、かすかにハーブ香を含んだモルトの甘みとスパイシーな感じがする。若いグレーンのアルコール由来と思われるが、このスパイシーさは意外と強め。重層的な味の広がりはなく、同蒸留所が出している〈ネヴィス・デュー〉とたいへんよく似た傾向だといえるが、あえて言うと、こちらのほうが辛口。〈フォート・ウィリアム〉のほうがスパイシーさがきいているからかもしれない。
このスパイシーさが後を引いて、フィニッシュの余韻はわりと長めに感じる。ピリッとくるスパイシーさの後にはほんのりと麦の甘みが残る感じでなかなか良いのではないか。もちろん、そこには長期熟成のウィスキーのように陶然となるようなエステリーさはないけれど、ストレートで飲める品質を保っていると思う。
若干の加水で若いグレーンのアルコールは後退し、飲みやすくなるが、加水によって何かが大きく変わるということもなく、味のバランスは崩れていないといえる。じっくり味わっているうちに、ここに極めて微弱だがピート香があることがわかってくるのではないかと思う。オーバー・アイスで(氷に注いで)飲むと、スパイシーさは後退し、甘さが前面に出てくるように感じた。
ウィスキー:水=1:1の水割りはなかなかうまい。ボトルの裏ラベルには日本語で「スコッチの伝統製法で作られた原酒をニッカウヰスキー社ブレンダーにより日本人の繊細な味覚にかなう、甘くやわらかでスムースな味わいに仕上げました。ストレート、オンザロック、水割り・ハイボール(ウィスキー1:水またはソーダ2の割合)でお楽しみください」と書いてある。
せっかくのお勧めだから1:2水割りもやってみますか。8オンス・タンブラーに30mlのフォート・ウィリアムを注ぎ、ちょうど倍量の水をメジャーカップで量って注ぎ入れ、ステアしたものを飲んでみる。ううむ、悪くないんですけどね、お勧めだと薄まりすぎじゃないかなあ。濃い目の水割りか、氷に注いで飲むのが一番じゃなかろうか。この酒のいちばんの特徴と思えるスパイシーさが後退してしまうんですよね。
ソーダ・ハイボールに仕立ててみると、何かが引き立つわけでもなく、あまり面白くなかった。この酒はね、そういう飲み方をするもんじゃないんだよ、ということを訴えているかのような仕上がりである。まあ「隠れたる名品」とか「知られざる逸品」などと言うレベルではないことは確かだが、個人的にはそんなに悪くないと思う。そうかといって、是非ともお勧めできるとも言えぬのが何とも……
【付記】
● これを飲まずして云々、などではなくて、別に飲まなくてもいいウィスキーかもしれません。もちろん乙山は飲んで良かったと思っています。だってね、こうしてウェブログの話の種になってくれたではありませんか。むしろそれを飲んだことがある、という事実が大切なのかもしれません。
● これを飲まずして云々、などではなくて、別に飲まなくてもいいウィスキーかもしれません。もちろん乙山は飲んで良かったと思っています。だってね、こうしてウェブログの話の種になってくれたではありませんか。むしろそれを飲んだことがある、という事実が大切なのかもしれません。
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