グレンモーレンジィ・オリジナル シングルモルト(ハイランド)

GlenmorangieOriginal.jpg
グレンモーレンジィを初めて飲んだときのことはよく覚えている。若い友人が新婚旅行から帰って来たので是非家に寄ってほしい、と招待された。夕食を済ませ、もう少し何か飲みましょうか、と出してくれたのがグレンモーレンジィだった。なんでも新婚旅行はスコットランドに行ったとかで、そのお土産だという。名前だけは知っていたが、初めて飲んだときは本当にノックアウトさせられた。

とにかくグラスから広がる香りといい、口に含んだときの陶然となる心地といい、申し分のない一本だった。あまりのうまさについ杯が進み、二人でグレンモーレンジィのボトル半分くらいまで飲んでしまったことは今でも申し訳なく思っている。だが、おいしいねえ、うまいねえ、と何度も言いながら飲む私(乙山)の姿を見て、彼もきっと喜んでくれたと思いたい。幸せそうな若い二人の姿が、私には眩しすぎたのだ。

ウェブ地図で見ると、グレンモーレンジィ蒸留所はハイランド地方のインヴァネスという町からA9道路を北上したドーノック湾岸沿いに位置している。スペイサイドの蒸留所のような密集地帯ではなく、約10キロ西にバルブレア蒸留所がある。物の本*によると、グレンモーレンジィ蒸留所は「樽のパイオニア」だという。シェリー樽、ポート樽、バーボン樽、マディラ樽などに熟成させる「ウッドフィニッシュ」を市場に投入したのも同社が最初だそうだ。

実際、グレンモーレンジィは種類が多すぎて何が何だかわからないくらいである。今回は、同社でいちばん廉価の〈グレンモーレンジィ オリジナル〉を飲んでみた。グラスに注ぐと、何ともフルーティな香りが漂ってくる。有機溶剤とヴァニラが混じった香り、わずかにスモーキーさもある。口に含むと、ハーブ香を含んだ蜂蜜のようなモルトの甘みが感じられ、次に極めて微弱なスモーキーさとスパイシーさが来る。

ミディアムボディでモルトの甘みが支配的なのだが、スパイシーさは意外と強めで、極めて微弱な塩(潮)気も感じられる。フィニッシュの余韻はそう長く続かないが、スパイシーさが尾を引き、カスタード・クリームを思わせる香りが鼻腔を満たし、最後は麦芽香が舌に残る。加水しても味のバランスは崩れないが、多少平坦な味わいになる傾向があり、ストレートのほうが楽しめるように感じた。

氷に注いで飲んでもうまい。香りの広がりはさすがに抑えられてしまうが、甘さは逆に凝縮して感じる。〈オリジナル〉をフルボトルで飲んでいて感じたのは、開栓直後と時間経過後では香りがかなり変わってしまうのではないかということだ。バーボンでもそうだが、香りで勝負する酒はわりと空気に触れた後の変質が大きいように思う。できる限り早めにおいしく飲み切るのがいいでしょう。

やっぱりやるのかよ、という声が聞こえてきそうだがソーダ・ハイボールである。まあ、このクラスだったらそんなにお叱りを受けることもないと思う。ここでは〈オリジナル〉30mlを10オンス・タンブラーに入れてステアし、ソーダで満たしたものを……あっ、おいしい! 甘みと香りが前面に出て、じつにいい具合である。この化け方はやってみる価値があると思うが、開栓直後はそのまま飲むことをお勧めします。

*土屋守『シングルモルトウィスキー大全』(小学館、2009年)

【付記】
● 熟成年数無記名の〈グレンモーレンジィ オリジナル〉ですが、ソーダ・ハイボールでいい具合に化けてくれましたね。これは、エントリー山崎・竹鶴、グレンファークラス10年にも共通している傾向ではないかと感じました。ピート香を抑えて香りで勝負するウィスキーの宿命なのかもしれません。


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