アンティクァリー12年(ブレンデッド)

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今回は〈アンティクァリー12年〉を飲んでみた。ウィスキー虎の巻*によると、名前はウォルター・スコットの同名小説から、とある。アンティクァリーはアンティークと似ていて、意味は「好古家」(古美術/古文献の専門家、収集家、骨董好き)だという。製造元はJ&Wハーディ社で、1857年の創業だという。創業者がウォルター・スコットのファンで、自ら手掛けたブレンデッドに小説の題名をもらって〈アンティクァリー〉と名付けたそうだ。

長らく親しまれてきたが1980年代になって生産中止になり、1990年代にトマーティン社がブランドを買い取って復活させたという。現在トマーティン蒸留所の所有者は宝酒造なので、日本の取扱業者も同社が行っている。かつてのブレンドとは異なっているようで、クラガンモアやベンリネス、そしてトマーティンにアイラモルトもブレンドされている、と書いてある。

グラスに注いでみると、蜂蜜のような香りに微弱なハーブ香とヴァニラ香が漂ってくる。口に含むと、やはり蜂蜜を思わせる味わいにハーブ香を含んだモルトの甘みが重なってくる。モルトの甘みが主体だけどオイリーさもあり、スモーキーさやピート香はきわめて微弱だが感じられるように思う。うっとりするようなエステリーさはないが、スパイシーさを伴うフィニッシュの引き際はなかなかのもの。

スウィートな味わいなのでストレートでくいっと飲めてしまうけど、一応加水してみると、味わいのバランスが崩れず、より飲みやすいものになる。氷に注いで飲んでもうまく、ヘザーハニー(?)を思わせるモルトの甘みがより凝縮されて感じる。香りは冷えたぶんだけ広がりをいささか失うが、さほど大きな変化ではなく、じゅうぶん楽しめるのではないかと思う。

ただ、昨今における日本の「華やかで甘い」ウィスキーが大好きな方や、アイラモルトが大好きな方なら、一口飲んだときにインパクトのなさにがっかりするかもしれない。何を隠そう、この私(乙山)のテイスティング・ノートにずいぶんネガティヴな言葉が並んでいるのを正直に書いておこう。この記事は、そのテイスティング・ノートを一切見ずにちびちび飲んで書いているが、これはフルボトル一本と向き合う中で生じた変化だと思う。

要するに、アンティクァリーは端正でバランスの取れたブレンドである一方、飲んだ瞬間これといった特徴がわかりにくくて、一口でノックアウトさせてくれるものではない。この点、非常に重要で、強調してし過ぎることはないと思う。アンティクァリーは一本3000円以上するんだから、どれだけうまいんだろうと期待してしまいがちになる。そして価格と期待のずれに「あれっ」となってしまう可能性が高いことを書いておこう。

*土屋守『ブレンデッドウィスキー大全』(改訂版、小学館、2014年)

【付記】
● 自分もそうでした。飲んだ瞬間、なあんだ、と思ってしまったのです。で、その後しみじみとうまいなあ、と思えるようになる不思議な一本。ブレンデッド・スコッチって本当に面白いなあ、と思わせてくれる一本でもあります。なんだか自分の勉強不足を思い知らされた感じがします。


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