ラングサイド(赤ラベル、ブレンデッド)

LangSideRed.jpg
今回はブレンデッド・スコッチ〈ラングサイド〉(赤ラベル)を飲んでみた。あの〈ビッグピート〉の製造元(というかブレンダー)で知られるダグラス・レイン社の子会社であるラングサイド・ディスティラーズ社が出している一本。物の本*によると親会社のダグラス・レイン社も2013年から新生ダグラス・レイン社とハンター・レイン社に分裂しており、ラングサイドは後者の系列になっている。

ラングサイド・ディスティラーズ社はいわゆる瓶詰業者で、ラングサイド蒸留所は存在しない。日本ではあまり見かけることがないラングサイドは、南アフリカ向けに作られたという。8~12年熟成されたモルト原酒が24種類使われ、モルトとグレーンの比率は3:7になっている。主要モルトはオーヘントッシャンやブレアアソールが使われているそうだ。

早速小さなグラスに注いで香りを確かめる。まず来るのは若いグレーン由来と思われるアルコールの揮発。次いで蜂蜜を思わせる香りとかすかなヴァニラ香がする。口に含んでみると、ハーブ香を含んだモルトの甘みがあるが、それよりも蜂蜜のような味わいのほうが強い。若いグレーンのアルコールが舌やのどにキックを与えてくれる。深みや広がりはなく、単調な傾向に思えた。

ううむ、これが2200円以上のブレンデッド・スコッチなのかなあ? これがジョニー・ウォーカー黒ラベルやシーヴァス・リーガル、グレンリヴェットより高いとしたら、何かの間違いじゃなかろうか。どうも腑に落ちぬのでネットでラングサイドを調べていたら、これの黒ラベルもあるみたいだ。たしか注文するときも黒のラベルだったような気がするんだけど……

LangsideBlack.jpgラングサイドの黒ラベルこそ、2200円以上の価値がある商品ではないのか? だが物の本には赤ラベルのラングサイドがしっかり掲載されている。そしてテイスティング・ノートにはそんなに悪くないような内容が記載されているではないか。やっぱり、何かの間違いじゃないだろうか。どこかで、なにかが、ずれているような気がしてならない。

自分なりに仮説を立ててみる。「物の本 改訂版」の出版は2014年で、後書きを見ると2012年(あるいはそれ以前から)改訂版に向けて執筆が進められたようである。筆者がティスティング・ノートを書いたのはダグラス・レイン社分裂の前で、おそらくラングサイド黒ラベルを飲んだのではないか。カメラマンがラングサイドの写真を撮る頃、ちょうどダグラス・レイン社は分裂(2013年)していて、今後の話としてはハンター・レイン社扱いの公式ボトルとして赤ラベルを選ぶのが正確だった。

一方、販売店のほうは、ダグラス・レイン社が分裂した後も以前のまま黒ラベルを紹介しており、買う方も黒ラベルと思って買ったのだが、すでにもう黒ラベルの在庫はなく、赤ラベルを出荷するよりほかなかったのではないか。この仮説に根拠はないけれど、ラングサイドの赤ラベルが上に挙げた三本より値段が高い(あるいはほぼ同じ)というのはどう考えても納得できない。買うときも「ラングサイドの入荷が遅れております」とのコメントがあった。

販売店の画像を拝借したのでご覧ください(画像二枚目)。黒ラベルには「プレミアム・リザーヴ」の文字がはっきり見えるけど、赤ラベルには何も書いていないのがわかるだろう。なのでこの記事をご覧になった方には、ラングサイドは黒ラベルを買うことをお勧めします。赤ラベルしかない場合はキャンセルなさったほうがいい。赤ラベルは値段ほどの価値はないと断言する。だけど、怖いもの見たさというか、話の種として飲むというのも一興かも。

*土屋守『ブレンデッドウィスキー大全』(改訂版、小学館、2014年)

【付記】
● ラングサイド(赤ラベル)の味自体はそんなに悪くないと思います。だけどこれが2200円以上の商品だというのは悪い冗談にしか思えません。本当は悪い冗談というより別の言葉を使ったほうが当たっているでしょう。笑ってしまうより他ありませんが、販売サイトには「商品の外観は変更されることがあります」と注意書きがあるので、「罪はない」のでしょうが、要注意物件(?)かと思われます。「剛の者」はお飲みになるといいかも。


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No title

こんばんは。いつも楽しく読ませていただいてます。

僕の手持ちの「物の本」は1999年4月10日初版第一刷発行版なんですが、
該当するラングサイドの142~143ページには、しっかり黒ラベルの写真が掲載されてますよ。

「8~12年熟成のモルト原酒24種が醸すしっかりとしたコク」で始まる解説の大半は薀蓄で、
飲み口の解説は最後の三行のみ。

写真にはもちろん「プレミアム・リザーヴ」の文字も判別できます。

改訂の際に入れ替わったのかなぁ(;´∀`)謎ですね

Re: たけまるさん

たけまるさん、コメントありがとうございます。
いろんな事情でボトルデザインの変更はあるでしょうが、
黒ラベルと赤ラベルはたぶん違う物だと思います。
〈ブラックボトル〉もつい最近デザインが変更されて、
あれっ、と思ってしまいましたよ。
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