ボストンクラブ二種



〈遊歩者 只野乙山〉 特別企画
【日本のウィスキーを飲む】



BostonClub.jpg
キリン・ディスティラリーの製品で印象に残っている一本として〈NEWS〉というウィスキーがあった。非常に低価格なのにあっと驚く華やかな甘さと香りがあり、何度か買ったことがあるほどである。現在では販売されていないけれど、その代わり〈ボストンクラブ〉を入手することができる。以前飲んだことはあるがほとんど味の記憶がないので、このたびしっかり味わってみようと購入に至った。

以前は一種類しかなかったのに、「豊醇原酒」と「淡麗原酒」の二種類がある。これはおそらく、サントリーの角瓶にも三種類あるように、コクを求めたものと、飲みやすさを求めたものを分けて出そうということなのだろう。本来は一本一記事でいくのを常としているが、今回はボストンクラブ兄弟をまとめて書いてみようと思う。

まずボストンクラブのオリジナルを継承していると思われる「豊醇原酒」から飲んでみよう。ボトルの裏ラベルには「豊醇原酒は、ヘビーピートモルト由来の豊かなスモーキーフレーバーとしっかりした飲みごたえが特徴です」とある。グラスに注いでみると、有機溶剤系と華やかな香りがし、口に含んでみると、なんだかまるでバーボンを思わせる味わい。どこがヘビーピートモルトなんだ、と言いたくなるほど煙臭さはない。

前からキリンはバーボンの風味に近いウィスキーを作るのが得意だと常々思っていたが、これほどだとは思わなかった。たぶんこれ、空になったバーボンのボトルに移し替えて、酒にうるさくない人に飲ませたらバーボンで通ってしまうのではないだろうか。氷に注いでもソーダ・ハイボールに仕立てても、華やかな甘さがずっと残っているのはバーボンと同じ。だからどういう飲み方をしても基本の味は変わらない。

今度は「淡麗原酒」をやってみよう。「淡麗原酒は、そのやわらかい口当たりとすっきりとした味わいが特徴です」と裏ラベルにある。グラスに注いで香りを確かめると、アルコールの揮発がまず感じられ、ウィスキーらしさはあまり確認できなかった。メーカーのサイトを見ると、ノン・ピートとライト・ピートのモルト原酒が中心、などと書いてある。

口に含んでみると、本当に煙臭さは全くなく、なんだかカナディアン・ウィスキーを飲んでいるみたいな気分になってくる。なるほど、食中酒というか晩酌ウィスキーとして考えているのだろうけど、単独で飲んで感心することはできないなあ。お勧めとしては、「淡麗」をベースとして、そこに「豊醇」を少し加えてハイボールにすることだろうか。これは実際飲んでみて、そんなに悪くない飲み物だと思う。

たしかに単独としては感心しない「淡麗」だけど、カナディアン・ウィスキーに近い味わいはカクテル・ベースにもってこいなのだ。たとえばC・C(カナディアン・クラブ)はマンハッタンのベースとして採用されている。というわけで、「淡麗」(40ml)とヴェルモット(20ml)、アンゴスチュラ・ビターズを使ってマンハッタンを作ってみると、予想通りばっちりの物ができた。

本家C・Cのマンハッタンにはかなわないかもしれないが、マンハッタンにおいてウィスキーはあまり強い自己主張をしないもので、味の大部分はヴェルモットとビターズで決まってしまうと思っている。さすがシーグラムと組んでいただけあって、カナディアン・ウィスキーもお手のもの、というわけだろうか。サントリーやニッカと違ってスコッチのほうを向かず、アメリカンとカナディアンのほうに近寄る立ち位置が、キリン・ディスティラリーということだろうか。


【付記】
● ボストンクラブ、本当に減りの遅いウィスキーでしたが、マンハッタンに使いだすと、あっという間になくなりそうになってしまいます。ただし男性の方なら、ドライ・ヴェルモットを使った「ドライ・マンハッタン」になさることをお勧めします。ただの「マンハッタン」はかなり甘いカクテルです。


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No title

いつも気になっていて、一度試してみたいとは思っているのですが、瓶の方が小さめですからちょいと損のような気がして(せこい話ですが)、手が伸びずにいます。まさか4000mlの大びんなんて言うのは風情にかけますしね・・・

Re: gatayanさん

gatayanさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
ボストンクラブの瓶は売っていないことが多くてほとんど見かけません。
今回も通販で買ったんです。たしかに4LのPETボトルは大きすぎますね。
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