モンキー・ショルダー(ブレンデッド・モルト)

MonkeyShoulder.jpg
以前から某酒の量販店で見かけて気になっていたけれど、名前が風変りなのでずっと避けていた〈モンキー・ショルダー〉を飲んでみた。物の本*によると、製造元はグレンフィディックで有名なウィリアム・グラント&サンズ社で、同社傘下のグレンフィディック、バルヴェニー、そしてキニンヴィの三つのモルト原酒による、ブレンデッド・モルト・ウィスキーだそうである。

グレンフィディック蒸留所はスペイサイドとして知られているが、ウェブ地図で確認すると、スペイ川というよりフィディック川沿いにあり、北部にバルヴェニー蒸留所が存在している。キニンヴィ蒸留所はバルヴェニー蒸留所のすぐそばにあって、両蒸留所の仕込み水は同じものを使っているという。キニンヴィのモルト原酒はなかなか入手できない「幻のモルト」のように言われているが、モンキー・ショルダーにはふんだんに使われているという。

ボトルの肩のところに三匹の猿が貼り付けられており、チャーム・ポイントになっている。これも物の本に書いてある情報だが、モンキー・ショルダーはウィスキー初心者や女性向けというコンセプトで作られたという。本当かどうか知らないが、「この三匹の猿が『可愛い!』ということで、女性を中心にファンが急増」などと書いてある。その「女性」って、やっぱり英国人の女性ということなんだろうか。

グレンフィディック蒸留所と関係が深いとわかったら安心して飲めるというもので、どうして以前は敬遠していたのだろうと自分でもいぶかしくなる。たぶん、名前とあの猿のせいじゃなかろうか。なんか、思いっきり怪しくありませんか? まあ、それはいいとして、まずはストレートで。何ともフルーティーな香りに有機溶剤系が溶けあっているような、ドライフルーツも思わせる香り。煙くさい香りはない。

口に含んでみると、モルトのえもいえぬ甘みの後に、香草を思わせるモルトの核がやって来て、わずかにスパイシーさも感じられる。たいへん滑らかで、クリーミーという言葉を使いたくなるほど。香りで予想したように、ピート香やスモーキーさは皆無で、おそらくほとんどピートを使っていないのではないかと想像する。塩(潮)気も全く感じないのでストレートでくいっと飲めてしまう。

フィニッシュの余韻は長めで、ほのかにヴァニラを思わせる香りが鼻腔に充満し、カスタードクリームのような甘さには香草の香りが含まれて満足できる。長期熟成モルトにある、うっとりするようなエステリーさには及ばないが、かなり満足できる味わいに仕上がっていると思う。とにかく一切のはったりがなく、モルトの旨み、甘みを心行くまで堪能できるように感じた。

加水しても味わいのバランスが崩れることはなく、見事に香りと味わいの相似形を保っている。加水した分、アルコールの当たりが柔らかくなってさらに飲みやすくなり、つい杯を重ねてしまうのにご用心。氷に注いだり、ウィスキー1:水1の水割りにしても、本当においしいですね。ただ、スモーキーさがまったくないので、アイラモルト命の人はどこか物足りなくなると思う。このあたりは、好みが分かれてしまうところではないだろうか。

これだけモルトの旨みが出ていると、あんまりソーダ・ハイボールにしたくないなあ。だけど、ソーダ割りというのは日本でたいへん人気の高い飲み方なので、やってみたくもあるんですね。ひょっとしたら、ものすごい化け方をするかもしれぬ、などという下心もある。で、やってみると……うむっ、けっこういけるではないか! バーボン&ソーダに近付いたような味わいで、これは悪くない。というか、この味が好きだ、という人がいてもおかしくない「カクテル」になっている。

* 土屋守『ブレンデッドウィスキー大全』(改訂版、小学館、2014年)

【付記】
● モンキー・ショルダーをソーダ・ハイボールで飲んでいて思ったのは、これはたぶんウィスキー・サイドカーにぴったりじゃないだろうか、ということです。ブランデーとホワイト・キュラソー、レモン果汁でシェイクするサイドカーですが、ブランデーの代わりを、モンキー・ショルダーならしっかり果たしてくれるんじゃないか、という予感がしました。


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