ネヴィス・デュー(ブレンデッド)

NevisDew.jpg
今回は〈ネヴィス・デュー〉というブレンデッド・スコッチを飲んでみた。これは以前、〈ベン・ネヴィス蒸留所蔵出し〉として販売されていたものと同じらしいが、蒸留所と同じ名前で販売してはいけないという規制があるため名称を変更したということだそうだ。表ラベルの下側に日本語で「ベン・ネヴィス社製造」と書かれており、裏ラベルは全編日本語で書かれているのは本品が日本向けに作られているからだろう。

物の本*によると、ベン・ネヴィス蒸留所は1825年にジョン・マクドナルドによって設立された。彼は非常に背が高かったため「のっぽのジョン:Long John」と呼ばれ、それが後にボトルの名前となったブレンデッド・スコッチが作られているが、1980年代には操業を停止している。1989年にニッカウヰスキーが所有者となったが、その時ロング・ジョンのブランドも売却して(現在はペルノ・リカール傘下)今に至っている。

ウェブ地図でベン・ネヴィス蒸留所を見ると、ハイランド地方で英国最高峰のベン・ネヴィス山の麓、フォート・ウィリアムという町に存在している。近くに蒸留所はなく、ベン・ネヴィス山の登山が主な目的だが、ついでに蒸留所でも見ておこうか、というのにいいのではないかと思う。ニッカのサイトを見ると、竹鶴威氏が買収当時のことを回想しており、日本人が金に物を言わせて、と現地の人の反応を心配していたが、ニッカのウィスキー造りのことを知っていて、歓迎されたとある。

裏ラベルに日本語で書かれた文言は次の通り。「スコットランドの最高峰ベン・ネヴィス山の麓に、1825年、ベン・ネヴィス蒸留所は設立されました。スコッチの伝統製法で作られた、熟成した数十種の原酒を日本人の繊細な味覚にかなう、やわらかく、まろやかな味わいに仕上げました。ストレート・オンザロック・水割り(ウイスキー1:水2の割合)でお楽しみください」。

まずはストレートで飲んでみる。干しブドウ、蜂蜜、有機溶剤の香り。口に含むとモルトの甘みが来る。このモルトの甘みは蜂蜜を思わせるもので、香草の香りは控えめ。スモーキーさとかピート香はほとんどないといってよいほど。ヴァニラやカラメル系の香りはなく、味と香りはいささか単調な傾向にあると思える。鼻に抜けるときは若いグレーンのアルコールを感じる。

少し加水するとたいへんまろやかで滑らかになるが、味のバランスは崩れない。日本向けということで、水割りにしたときのバランスの良さをまず考えてブレンドしたのではないかと想像する。ウィスキー:水=1:2で割ったものを、オールドファッションド・グラスに入れて飲んでみると、じつにスムースで、ちょっと違うかのしれないがニッカの〈オールモルト〉とか〈モルトクラブ〉を思わせる味わいに近いような気がした。

最後にソーダ割りも試しておこう。何でもかんでもソーダ割りというのはどうかねえ、とか、そもそもスコットランドではソーダ割りなどしないものだよ、という声が聞こえてきそうだがあまり気にしない。「ワシはワシの飲みたいものを飲むんじゃ」とテレビドラマ『マッサン』の主人公になったつもりになっている。これはソーダ割りにしてもバランスは崩れず、味わいは良好である。

それにしても、『マッサン』のヒロインは可愛らしかった(←結局そっちかよ!)ですね。もともと甘さが強めのブレンデッドなので、ソーダが入ると端正な方向に振れてとてもいいのではないかと思う。総体的にみると、ライトタイプのスコッチだろうけど、知る人ぞ知る幻の逸品というほどではない。話の種に、飲んでおくのも悪くない一本という感じだが、店頭販売ではたぶん、見かけることもないような気がする。

* 土屋守『ブレンデッドウィスキー大全』(改訂版、小学館、2014年)

【付記】
● 今回は通販でネヴィス・デューを買ったのですが、これを扱っている販売店を見たことがありません。地域によってはあると思いますが、少なくとも近隣の酒店には置いてないでしょう。それにしても、ロング・ジョンのブランドを手放したのは残念なことだと思います。これはいまだに販売されているブレンデッド・スコッチで、以前飲んだときはなかなか良い印象を持ちました。中身はいったい、どうなってるんでしょうね。


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No title

ベン・ネヴィスの銘柄においては、このネヴィス・デューのほかに、ニッカのブレンダーが手がけたというフォート・ウィリアム、そしてシングルモルトの10年ものも飲んでみましたが、いずれも名品という程ではなかったですね。

サントリーがボウモア、マッカラン、グレンフィディックという名のある蒸留所を買収してきたのに対して、ニッカが買収したベン・ネヴィスはいまいちパッとしない気がします。

Re: RERAさん

RERAさん、コメントありがとうございます。
そうですね、フォート・ウィリアムとベン・ネヴィスのシングルモルトも、今度飲んでみます。
この蒸留所にはロング・ジョンというブランドがあったのに残念ですね。
仰るように、なんだかぱっとしない感じですよね。
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