キャンベルタウン・ロッホ(ブレンデッド)

Campbelltown_Loch.jpg
有名なスペイサイドに比べてあまり名前を聞かないキャンベルタウンのスコッチを飲んでみた。それもそのはず、キャンベルタウンにかつてたくさん存在した蒸留所は閉鎖が相次ぎ、現在(2015年)スプリングバンク、グレンスコシア、そしてキルケランの三つのみ。キルケラン蒸留所は2004年から稼働しているたいへん新しい蒸留所だそうである。

そもそもキャンベルタウンはどこにあるのか気になってgoogle地図を見てみると、細長いキンタイア半島の先端の町で、東側にはアラン島(ざっくり編んだアランセーターで有名なアラン諸島はアイルランド西部で、これとは別)、西側にはアイラ島やジュラ島が見える。なるほどねえ、こういうところにあったのか、と感心する。名前だけは知っているキャンベルタウンだが、いったいどんなスコッチなのか興味があった。

今回は〈キャンベルタウン・ロッホ〉という、ずばり「キャンベルタウン」という名前が入っているのでつい購入ボタンを押してしまったものを飲んでみた。物の本*にも掲載されていない一本だが、スプリングバンク蒸留所から出ているという。販売サイトの情報によると、「フランク・マッカーディー(プロダクションダィレクター)が納得のいく原酒が手に入ったときのみ小バッチでつくられるプレミアムブレンドウイスキー。モルト含有率が60%以上と高い」とある。

この間飲んだ〈ウシュクベー・リザーヴ〉といい、モルトの割合が高いブレンデッドは期待が高まる。特徴的なのはその色で、カラメル色素による着色をまったくしていないかと思わせるような淡い色。スプリングバンク蒸留所ではすべての麦芽を自家製芽でまかなっており、自社でボトリングの最終工程まで行っているという。このように、すべての製造工程を自社で行っている蒸留所はほとんどないそうである。

まずはストレートで匂いを嗅いでみると、軽いスモーキーさと有機溶剤系の揮発成分、ナッツ類と蜂蜜が混じった香りがする。口に含んでみると日本のウィスキーとは全く別のタイプの、オイリーで何とも濃厚な感じがする。軽めのピート香を感じ、次いで香草を思わせるモルトの甘みが来るが、これはわりと甘みが強い。どこかにかすかに感じる塩気。口から鼻に抜けるときはグレーンの強い揮発性とピート香を感じる。フィニッシュの余韻は短めだが、かすかにヴァニラかカラメルを思わせる香りが残る。

加水するとオイリーさやナッツ類の濃厚さが引いて、香草香を伴ったモルトの甘みが前に出てくるが、ピート香も残っていてバランスは崩れていない。氷に注いで飲むとオイリーさやナッツ類の濃厚さやピート香もそのまま残り、たいへん好ましい。1:1水割りの液体分量はウィスキーのダブルと同じなので、それをオールドファッションド・グラスに入れても大丈夫。このやり方は「ハーフ・ロック」というそうで、サントリーが提案している。

若干の加水の際に濃厚さが後退すると感じたが、1:1まで加水するとじつに飲みやすくなる半面、キャンベルタウン・ロッホ独特の濃厚さも薄まってしまうような感じで、これは少しもったいないかなあ、とも思う。最後に例によって、ソーダ・ハイボールでやってみる。ピート香がわりとしっかり残っていて、濃厚さの片鱗がうかがえて、これも悪くないが、カラメルやヴァニラ系の「華やかな甘さ」が大好きな人にはお勧めできない。

そう、確かにカラメルやヴァニラ系の華やかな甘さによるリッチさはないのだけれど、日本で主流になっている華やかな甘さとは全く違う方向の味わいの濃厚さが、キャンベルタウン・ロッホにはあると思う。色は淡いので〈J&B レア〉のようにあっさりしているのかな、と思いきや、予想を見事に良い方向で裏切ってくれるキャンベルタウン・ロッホ、なんだか隠れファンになってしまいそうである。そしてシングルモルトのスプリングバンクも飲んでみたくなる気にさせてくれた一本だ。

* 土屋守『ブレンデッドウィスキー大全』(改訂版、小学館、2014年)

【付記】
● 本当に濃厚な味わいは意外でした。スコッチと言っても、じつに様々であることを実感させてくれた一本です。これは日本酒と一口に言ってもいろいろあるのと同じことで、「スコッチらしいスコッチ」というのは本当に無効だなあ、とつくづく感じました。

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No title

こんばんわ。
キャンベルタウンロッホ、まったくのノーマークでした!
価格的には、税抜で2,000円程度と完全に私の射程距離内です。
ぜひ、飲んでみたいと思います^^
レポートありがとうございました

Re: 葉桜悟郎さん

葉桜悟郎さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
これ、なかなか面白い味ですよ。
日本のウィスキーとは全然違う方向の、何とも言えぬ濃厚さがあり、
隠れファンになってしまいそうです。
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只野乙山

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