『レザボア・ドッグズ』

『レザボア・ドッグズ』 (1992年、アメリカ映画、100分)

ReservoirDogs.jpg
原題:Reservoir Dogs
監督:クェンティン・タランティーノ
出演:ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、マイケル・セドマン、クリス・ペン、スティーヴ・ブシェミ、ローレンス・ティアニー、クェンティン・タランティーノほか


冒頭はいかにも悪そうな男たち(強盗集団)が会食しているが、これから行うヤマの内容を話すはずもなく、ほとんど意味のない会話を続ける。ブラウン(クェンティン・タランティーノ)がマドンナの「ライク・ア・ヴァージン」について自説を開陳、それを呆れたり感心したりして仲間が聞いている。その後、ぞろぞろ連れ立って歩く場面が印象的で、プロの犯罪集団が目立つ格好をして集団行動するのはどうかと思うが、映画ですからね。

次にいきなりホワイト(ハーヴェイ・カイテル)が腹部を撃たれて重傷のオレンジ(ティム・ロス)を乗せて車で逃亡する場面になる。彼らは計画実行後に集まるアジトに到着、オレンジを横たわらせるがそのままでは助かりそうにない。そこへピンク(スティーヴ・ブシェミ)が現れ、「俺たちの中にイヌがいる」という。ホワイトはオレンジを病院へ連れて行こうとするが、オレンジはそんなことをしたらこいつは全部吐いてしまうぞ、と断固反対する。

ピンクは、俺たちが現場に着いたときすでに警察は待ち伏せていた、誰かが警察と内通しているに違いない、奴らはここも知っているはずだ、ここにいたらヤバい、一刻も早く逃げちまおう、という。しかしホワイトは仲間を裏切るような真似はできない、と二人は対立し、ホワイトがオレンジに本名と出身地を話したと聞いてあきれ果てるピンク。こいつは死にかけているんだぞ、なのに「そいつはできない」なんて言えるものか、と二人は殴り合いを始める。

そこへブロンド(マイケル・セドマン)が現れると、二人は怒りをブロンドへ向ける。なぜ撃った、それもあんなにたくさんの……お前はいかれてるんだ、というホワイトだが、ブロンドは平然とあれは仕方なかった、奴らが言うとおりにしなかったのがいけなかったのだ、と言い、二人は一触即発の状態になる。ピンクは、俺たちプロだろ、ガキの喧嘩じゃないんだ、と二人をなだめる。するとブロンドはいいものを見せてやろう、と車のトランクを開けると拘束された警官がいた。

途中まではこんな感じで進んでいくのだが、ホワイトやブロンドがどんなふうに今回の事件にかかわっていくかを描いたカットバックが挿入され、後の『パルプ・フィクション』(1994)を彷彿させる。裏切り者は誰なのか、という疑問は映画が進む中でわりとあっさり示されるのが少し残念な気持ちがしないでもないが、展開上そうするしかなかったのかな、とも思う。『ユージュアル・サスペクツ』のように最後にアッと言わせる感じを少し期待していたんだけど。

ホワイトことハーヴェイ・カイテルの行動原理は、仲間を裏切ることはできず、死にゆく仲間を見捨てることもできない「義」と「情」の美学といったところだろうか。それにピンクのような現実的・理性的な生き方が対置して描かれており、「義と情」はやはり(?)滅びの美学に結びついていくというのが闇社会物語(ノワール)の定番なんだろうか……ピンクは最後まで生き延びてお宝も手に入れるんですね。

『パルプ・フィクション』にはいくつかの救いと不思議な明るさがあったけれど、『レザボア・ドッグズ』はより暗く、ギャング映画とか任侠映画に近いものがあり、タランティーノ監督も意識的にそれを狙ったのだと思う。そういえば、通行人は別として、女性が一切出てこなかったような気がするけれど、これも意識的にそうしたんじゃなかろうか。主役はハーヴェイ・カイテルなんだろうけど、ティム・ロスもそれに負けぬくらい光っているように感じた。


【付記】
● アクション映画というカテゴリーで手にしたのですが、爽快とか痛快なものではなく、かなりほろ苦いものが残ります。なのにどこか陽気な感じのする主題曲が妙に合っているのが不思議に思えました。かなりきつい場面もありますので、家族向け・お子様向けではありません。


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これは怖かった

こんにちは。
以前WOWOWでやってたのを録画して観はじめたのですが、
バイオレンス描写が怖くて痛そうで途中で止めちゃいました。
私に耐えられるのは「パルプ・フィクション」「キル・ビル」までみたいです。

Re: これは怖かった ; 木曽のあばら屋さん

木曽さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
そうですね、おそらく拘束された警官に尋問する場面と想像しますが、
あれはちょっときついものがありましたね。
だいたい、オレンジが撃たれて死にそう、ってだけで負荷がかかっているんでしょうね。
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