サントリーローヤル



〈遊歩者 只野乙山〉 特別企画
【日本のウィスキーを飲む】



SuntoryRoyal_01.jpg
〈ザ・ブレンド・オブ・ニッカ〉を飲んだのなら、〈サントリーローヤル〉も飲んでおこうではないか。じつは前者と一緒に通販で買い求めておいたのである。ついでに白状すると、同時にロバート・ブラウン旧ボトルに加えてボストンクラブ二種も購入した。通販で買うなら、本数を多くしたほうが有利であるのは言うまでもない。これらキリン・ディスティラーズのウィスキーはあまり店頭で見かけないので通販で買うしか方法がない。

サントリーリザーヴに手が出なかった者にとって、ローヤルがどれほど神々しく有難く見えたことか、これはもう今の感覚では決してわかるまい。自分で買うなどまずできるはずもなく、大学時代に友人の家に遊びに行ったときなど、彼のお父さん秘蔵(?)のローヤルをこっそり(おいおい)お裾分けしてもらって味わったことしかないような気がする。ふだん飲んでいる角瓶やオールドと格段に違う熟成感があり、これは違うわ、などと感心したように思う。

勤めだして自分のお金を自由に使えるようになっても、フルボトルでローヤルを買う気になれなかった。どうしてそういうことになったのか自分でもよくわからないのだが、どこかこう「何年か早い」気がしたのではないかと思う。その頃すでにニッカウヰスキーの〈フロム・ザ・バレル〉や〈ピュアモルト〉が発売されており、そちらの方ばかり飲んですっかり満足していたので「別に飲まなくてもいいか」となってしまった。

そうこうしているうちに1980年代の終わり頃、世の中は泡沫経済の好景気とやらで妙に浮かれており、とてつもなく高級な〈クレスト〉や〈インペリアル〉、そして〈響〉が登場し、それまで「社長さんや重役クラスのウィスキー」だったローヤルが、その地位を明け渡すことになったのだった。その後、酒税法改正による洋酒天国時代に突入してからはスコッチに目が行ってしまい、ローヤルがあることすらすっかり忘れていたほどだった。

たぶん、初めて自分で買ったことになるんじゃなかろうか。ローヤルのボトルをつくづく眺めていると、昔のはナイフとかハサミで切らないといけないリボンのようなものがあったんじゃないだろうか、と思う。なんだか幾分、チープになったような気がするのは私(乙山)だけだろうか。微妙な違いかもしれないが、以前の高級感が失われてしまったような感じがする。中身のほうも、1960~80年代のローヤルではなさそうな予感がしてきましたよ。

早速オーバー・アイスで(氷に注いで)飲んでみる。以前のローヤルをしっかり飲んでいるわけではないので比較することはできないが、かつてのような陶酔感、うっとりさせてくれるような何か(アウラ/オーラのようなもの?)はない。それだけローヤルに距離を置いて味わえるようになったということだろうか。私が変わったというより、世の中の動きに押し流されるようにローヤルも変わってしまったということなのだと思う。

やはり旨いですねえ。サントリー初代マスターブレンダーにして創業者である鳥居信治郎の理想を具現化した〈ローヤル〉、まことに口当たりがいい。ピート香はほとんど感じられないが、これが鳥居の出した「答え」なのだと思う。どこか香草を思わせる、やや硬目の甘さがベースになっているのだが、複雑かつ重層的な味わいで、それがなんだか探り出したくなる思いも手伝って、つい「もう一杯」となってしまう。いや本当、良いウィスキーじゃないか。

SuntoryRoyal_02.jpgフィニッシュもいいですね。チョコレートを思わせる香りにカラメルやバニラの香りが重なって、良い響きを醸し出している。次いで8オンスタンブラーによる「1:1水割り」を飲んでみたが、ストレートに近いときに感じた核の部分の硬さが和らいで、甘さが前面に出てくる。ここにおいてローヤルの持ち味が開花したように感じた。水割りなんて、という声も聞こえてきそうだが、濃い目の水割りというやり方は日本人に合ってるんじゃないかと思う。

そもそもメーカーお勧めの水割りは「1:2水割り」なのだ。ウィスキーのアルコール度数はおよそ40%だから、1:1水割りだと半分の20%になる。1:2水割りではさらに半分の10%になる(これは間違い。1:2水割りだと約13.3%になる。10%にするなら1:3水割りでないといけない)のだが、これでもビールの4~5%に対して大きいわけで、飲みやすさを求めるならなるほど、メーカーお勧めの1:2水割りも悪くない、と思う。居酒屋などで焼酎の水割りを頼む人もいるが、あれはじつに理に叶った飲み方で、無理に濃いウィスキーを飲む必要はないと思いますよ。

最後に10オンスタンブラーによる「ローヤル・ハイボール」という暴挙(?)に出てみた。予想した通り、カラメル香とバニラ香が前面に出て、何ともリッチなハイボールではありませんか。確かにうまい、これはこれでいいんだけど、いささか平坦になってローヤルの核が見えなくなってしまうように感じた。ピート香を捨象した分だけまろやかになっているので、そこを味わわないのはちょっと勿体ない気がする。ソーダ割りは大好きでよくやっているけれど、もっぱらスコッチ・ソーダである。


【付記】
● 初めてきちんと飲んだローヤル、なかなか良いものだと思いました。もう中身は変わっていると思いますが、変わらない一本、というのもあってほしいものだと思います。そう、「何も足さない。何も引かない」とかいうテレビ宣伝があったようにね。


≪ ザ・ブレンド・オブ・ニッカへ  ロバート・ブラウン旧ボトルへ ≫


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No title

私が中学校を卒業する時・・・もう40年ほど前になりますが、同じクラブの面々とお世話になった顧問の先生にウイスキーでもお送りしようじゃあないかということになりました。それぞれが出せる金額を合わせると5000円弱・・・それでちょうど良いウイスキーを買おうとみんなで酒屋さんに・・・
そこにあったのがこのサントリーローヤル。値札には4500円也とありました。よしこれだと即決。
この4500円という金額・・・隔世の感がありますね・・・

No title

今回は『ローヤル』ですね。
乙山先生が以前仰有っていた様に「虚心に飲めば良い酒」だと私も思います。
以前スコッチの煙臭さや潮気の感じ、そしてものによっては薬品臭がするというのは日本人に受け容れ難いものだったでしょう。
だからこの酒のように優しく穏やかな酒が旨かったのだろうなと想像出来ます。

最近は『山崎』や『響』などがある為にステータス性はかなり希薄になっておりますが、確かに鳥井信次郎が目指したものが理解できるような気がしております。

強めの刺激も水割りにすれば殆ど気にならなくなりますし、当時のおじさん達が好んだ水割りの味はこんな感じなのだと想像出来て面白かったりもします。
少し希薄ながらにサントリーらしさを充分感じられて、2500円前後で飲めるというのは結構良いような気がします。

Re: gatayanさん

gatayanさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
中学生の時にクラブの顧問の先生にローヤルを!
いや、美談ですねえ! いい活動ができたということだと思います。

仰るように、かつてローヤルは確かに4000円超でしたね。
リザーヴさえ躊躇してたくらいですから、ちらっと見ただけ、
だけど昔のローヤルって言えば、本当に後光が差していたものです。

いやはや、隔世の感が致します。

Re: Noriさん

Noriさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
若いころローヤルを飲んだときは「うまいなあ」と思いましたよ。
どれくらい理解できていたかは怪しいものですが、
旨いものって、理屈抜きに旨いんですね。

それからもう、長い年月が過ぎてしまいました。
こんにち、距離を置いてローヤルを飲んでみても、
乙山はなかなか良く出来た良いウィスキーだと感じました。

現在のサントリーのラインナップの中では、
ホワイト、リザーヴ、ローヤルは好きな部類に入ります。
2500円前後というと、12年物スコッチより高いくらいですが、
それらに引けを取らぬと思える味わいだと思うのです。

昔のことを思えば、これが2500円前後で買えるというのはいいことですね。
記事には書きませんでしたが、〈ザ・ブレンド・オブ・ニッカ〉と近い味わいで、
ザ・グレンリヴェットにも似ているんじゃないかと感じました。
大雑把に、ということですけど。

No title

はじめまして。
私も最近ローヤルを買って、改めてネットを徘徊していたらたどり着きました。
私はトワイスアップが好きなのでよくそうしますが、1:2がおすすめだったのですね。

ちなみに、1:2の場合は10%ではないです…。仮にウイスキー100ミリならその40ミリがアルコールですので、水の比率が2なら全量300ミリ中アルコール40ミリ、すなわち、30分の4で約13%(ワインや日本酒に匹敵)となります。念のため。

Re: amm.さん

amm.さん、初めまして。コメントありがとうございます。
いやあ、本当ですね! うっかりしておりました。
40%の半分の半分にしたいのなら、1:3水割りでないといけません。
せっかくのご指摘ですから、間違いの部分はそのままとして、
括弧にて補足をしておきたいと思います。
ありがとうございました。

今は昔

鳥井信治郎が最後の力を振り絞って作った最初のローヤルと今のローヤルでは味が変わっているかもしれませんが、個人的には物足りなく感じています。
実家の都合で、お供え物のお下がりとして飲む機会が多いのですが、いろいろなウイスキーを飲んでしまった自分には力不足に感じてしまいました。

ライバルであるニッカのザ・ブレンドやフロム・ザ・バレルと比べてみると、穏やかすぎて物足りなく感じてしまいます。
その後で響の12年や17年を飲んでしまったことで、なおさらローヤルの存在意義がわからなくなってしまいました。

個人的な持論として、サントリーは4000円以上出さないと本気を出さない、というのを身に入れていますが、今あるローヤルも例外ではなくなってしまいました。

角瓶を復刻したついでに、オールドやローヤルも当初のものを復刻してほしいと思います。

Re: 今は昔 ; RERAさん

RERAさん、コメントありがとうございます。
昔からローヤルを飲んでいたわけではないので、
今とどう違うのか、あまりわからないのが残念です。

今のローヤルはなかなかいいものだと思いました。
オールドの復刻、というか、元に戻してほしい感じですね。
それだったら、買ってもいいかなと思うんです。
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只野乙山

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