ザ・ブレンド・オブ・ニッカ



〈遊歩者 只野乙山〉 特別企画
【日本のウィスキーを飲む】



TheBlendOfNikka_01.jpg
今年(2015年)の正月には〈ザ・ブレンド・オブ・ニッカ〉を飲もうと決めていた。じつは以前、これを飲んだことがあるのだが、予想とあまりに違っていて「あれっ」という感じになってしまい、記事にすることもできなかった。どうしてそうなったのか、自分でもよくわからない。スーパーニッカやフロム・ザ・バレル以上の最高品質のモルト、グレーンによるブレンデッド・ニッカ。そこにいったい何を期待していたのだろう。

初めて飲んだ時のことを思い出してみると、一言でいって「おとなしい」だった。ウィスキーの要素すべてがこの一本に詰まってはいるんだけど、際立つところがなくて、なんだか「つかみどころのない」感じがしたように思う。ニッカのウィスキーを飲むと、ああこれは余市が云々、宮城狭が云々と、わかったようなことを言って楽しんでいるけれど、ザ・ブレンドはブレンドの妙とでもいうのだろうか、中身が簡単にわからぬように加減されているように思えた。

だけどまあ、ザ・ブレンド・オブ・ニッカを飲んだけどよくわからん、では話にならぬので、今回再び立ち向かってみることにした。逃げてばかりではいけないのである。今回も通販にてもとめた。店頭にこれを置いてある酒店など、近隣では見かけることさえできない状態で、例のテレビドラマの影響でやっとハイニッカとかブラックニッカ・スペシャルが酒の量販店に並ぶようになったけれど、今後も通販で購うしかなさそうな気配である。

早速飲んでみますか。オーバー・アイスで(氷に注いで)やってみた。若いグレーンによる強いアルコールはそれほど感じることはなく、じゅうぶん熟成された原酒を使っていることがわかる。そして今のニッカのラインナップの中ではかなり強めに思われるピート香が残っていて、それに香草を思わせるような味が合わさったものがベースになっている。この香草のような香りは何なのかわからないけれど、つかみどころがないどころか、他のニッカ・ウィスキーにはない独特の味わいなのではないかと思う。

TheBlendOfNikka_02.jpg間違っているかもしれない(その可能性は大きい、いうまでもない)が、スコッチのシングルモルトの中には香草を感じさせるものがベースになっているものがある。〈ザ・ブレンド〉はそこに微妙にピートをきかせた味わいになっている。複雑かつ重層的で、バニラやチョコレートを思わせる香りはあるが、わりと控えめになっており、グレンリヴェットにかなり近い感じがするけれど、果実を思わせる仕上がりにはなっていない。

ところが、トップ・ノート(香水じゃないんですけど)はピート香と香草の味わいが支配的なんだけど、氷が溶けるにつれて薄れていき、えもいわれぬ感じに変化していく。ほんの少しの加水、そこにベスト・ポイントが存在するのではないかと思う。そして一杯を飲み終わる頃のラスト・ノートはチョコレートかバニラを思わせる馥郁たる香りと、それを追いかける微弱なピート香で鼻腔が満たされる快感を味わうことができる。ああ、おいしかったなあ、という感じがして、「もう一杯!」といいたくなる。

フィニッシュの引き際が本当にエレガントですね。一杯のグラスの中に、少しずつ変化する様子が味わえる小宇宙がある感じ。オーバー・アイスで少しずつ、愛でるように飲んでゆっくり時間が過ぎゆくのを味わうのにふさわしい〈ザ・ブレンド・オブ・ニッカ〉。本当にいいウィスキーですね。なんで以前、この良さがわからなかったのか、そっちの方が不思議なくらいである。答えは単純、己が未熟だった、というだけ。本当、丸氷とバカラのオールドファッションド・グラスを使いたくなるほど絶妙なブレンドである。


【付記】
● やっとつかめました。文句なしです。私的な感想なのであてになりませんが、「初めの一口」でノックアウトさせてくれる酒というより、加水によって「変化する様子」を味わう酒だと思いました。なのでストレートでもじゅうぶんおいしいのですが、できればオーバー・アイス(オン・ザ・ロック)をお勧めします。

いささか乱暴かもしれませんが、ソーダ割りも試してみました。ピート香とハーブ香は引っ込んで、バニラ香とチョコレート香が前に出てきます。オーバー・アイスでは感じなかった酸味も出ていますね。だけどこれ、相当贅沢なハイボールですねえ! 以前試したシングルモルト山崎のハイボールも最高に贅沢な一杯だけど、〈ザ・ブレンド〉ハイボールも最高に贅沢なハイボールの一杯、といえるでしょう。


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No title

明けしておめでとうございます。
まだ身辺がバタバタしており、ご挨拶が遅れました。申し訳ありません。
まだ自分のブログも更新出来ていない有様で、落ち着くまでもうしばらくかかりそうです。

今回は『ザ・ブレンド』ですね。
以前入手されたと聞いたときから乙山先生のインプレッションを伺いたくて、今回の記事は待望のものでした。
確かに他のニッカの酒とは傾向が違っていて、少しばかり私も戸惑いました。

でも仰有るように少しずつ加水するとか氷の溶けていくのをたのしむとか、ゆっくり構えて楽しめる良い酒ですよね。
私もそう感じていましたので、記事を拝見して思わず膝を打っていました。

記事を拝見してまた飲みたくなってきましたので、いつもの酒屋で買ってこようかなと考えてます。

Re: Noriさん

Noriさん、明けましておめでとうございます。
コメントありがとうございます。

〈ザ・ブレンド・オブ・ニッカ〉、本当に良い酒でした。
なぜ、以前この味がわからなかったのか、不思議な感じがしています。
予想では、「ニッカの何かに似ている」と、
「スーパーニッカやピュアモルト三兄弟以上の高級感」など、
かなり期待を膨らませてしまったようです。

だけど、それを見事に裏切るような、ニッカのいずれとも似ていない、
まさに唯一無二のブレンドだったのです。
根底のあるのは不思議なハーブ香と弱めのピート香、
そして他では感じられなかったチョコレート香ですが、
これらを見抜けなかったのは己の未熟さの露呈以外の何物でもありません。

若干の加水が本来持っている性質を開花させるようで、
ストレートをそのまま飲むのもけっこうでしょうが、
幾分加水したほうがもっと、楽しめるような気がします。
じっくり、氷の解けるのを待って楽しむ「大人のためのウィスキー」。

これが近所の酒屋にふつうに置いてあるなんて、
じつに素晴らしいことじゃありませんか。
乾杯!
今年もどうぞよろしくお願いします。


No title

おお!
新春第一弾のお酒の記事ですね。^^
格調高く♪

あらら。
私も、ザ・ブレンド・オブ・ニッカ。いただきたくなってきてしまいました。
お医者様の許可が出たら、一杯目はこのお酒にしてみようかな(笑)。
お酒の味はわからないながら、せめて雰囲気だけでも。

今年の記事。楽しみにして行きます♪


No title

只野乙山様、明けましておめでとうございます。

綺麗な角瓶ですね、レーベルの紙質もタイプ・フェースもシンプルでいいですね。
乙山さんが、お正月に大切にとっておかれた一杯ですね。
満足されている様子が伝わってきました。

私は、お正月はアイス・ワインを少し頂きました。これも色々とあってなかなか面白いワインです。でもめちゃ高いのでなかなか飲めませんが。

今年も、地元のトピックや美味しい食べ物のお話を楽しみにしています。
Shonai の話題もあればよろしくお願い致します。
な~んて少しプッシュしてしまいました。

今夜はなんとマイナス20度位になると予報しています。乙山さんもお風邪などめしませんように。

Re: 彼岸花さん

彼岸花さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
このウィスキーを以前飲んだとき、うまくつかめなかったんです。
今飲むと、たいへん個性的で他のニッカとは違うのに、
どうしてこれがわからなかったのかと不思議に思います。

1日30mlだけ、ならば大丈夫なはずなんですけどね。
最も乙山はそれだけでは済まぬので厄介なんです。
適量を楽しく、これは自戒しないといけませんね。

Re: まん丸クミさん

まん丸クミさん、明けましておめでとうございます。
コメントありがとうございます。

ザ・ブレンド・オブ・ニッカ、というネーミングもいいですし、
このボトルデザインもなかなか秀逸ですね。
スクリューキャップになっていますから、
ピュアモルトのように抜けやすいこともありません。

アイス・ワインの生産は条件によるでしょうし、
生産量も少ないのでどうしても高価になるのだと想像します。
一度飲んでみたいなあとは思うのですが……

庄内の記事、できればまた何か書いてみたいと思います。
そちらの寒さはとてつもないものでしょう、
どうぞ御身体お大事になさいませ。
今年もどうぞよろしくお願いします。
プロフィール

只野乙山

Author:只野乙山

⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

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