ボウモア12年 シングルモルト(アイラ)

Bowmore_01.jpg
日本のウィスキーばかり飲んでいるとスコッチ、それもピート香がきいたものを飲みたくなる。今回は〈ボウモア12年〉を選んだ。自分で買って飲むのは初めてだけど、ボウモア自体は行きつけのバーで飲んだことがある。世界で最も個性的なウィスキーの一つといっても過言ではないアイラ・モルトだが、ボウモアはその中でも比較的飲みやすいという印象を持っている。個性的な味で有名なラフロイグは怖くてまだ飲んでいないが、アードベックなら飲んだことがある。

アードベックはボウモアに比べてヨード臭もピート香も強く、かなり個性的な味に思える。ラフロイグはそれ以上というから、いったいどんなんだろう、と興味がある。いつか、ラフロイグのミニチュアボトルから入ってみたいと思っている。ミニチュアでないと、危険ですからね。アルコールならたいていの物はいけると思っていたけれど、これはダメ、というのも人によっては存在するのではないだろうか。

以前、職場関係者の人たちと飲み会を行ったとき、さあ次はどうする、となった。その場で散開してもよかったんだけど、まだ午後9時を回ったばかりである。じゃあ、ウィスキーでも飲もうか、と一軒のバーに入った。各自てんでに注文するのだが、アードベックを注文する人もいる。世の中にはやはり通人がいるものだな、と私(乙山)はグレンモーレンジを頼んだ。ところが、くだんの通人、アードベックを口に含んだ瞬間、「うわっ、なにこれ? ヨードチンキじゃん!」と叫んだのだ。

これは本当に起きた出来事であって、私の作り話ではないが、ウィスキーにそんなに詳しくない普通の人に、アイラ・モルトがどういうふうに受け取られるか、如実に表しているといえるだろう。日本のウィスキーの黎明期、本物のスコッチに近いものを目指して作ったら「煙くさい」と不評だったのもうなづ(ず)ける。大方の日本人の嗜好はそうしたもので、アイラ・モルトはどちらかというと「日本では人気のないウィスキー」と言ってもさほど的外れではないだろう。

Bowmore_02.jpg私はスコッチのピート香が嫌いでなく、むしろ好きなくらいで、だからこそアイラ・モルトにすんなり入ることができたと思うが、だめな人はやっぱりだめ、になるんじゃないだろうか。それくらい個性が強いのがアイラ・モルトというものだ。さあ、久しぶりに飲んでみることにしますか。オーバー・アイスで(氷に注いで)やると、うむ、しっかりピート香がきいているのがわかる。ヨード臭もあるけれど、わりと控えめになっていると思う。

ピート香と控えめなヨード臭の底には甘み(バニラ香、カラメル香)があって、これがまた、くどさがなく何度も味わっていたくなるような甘さである。他にもっと香りと味の要素はあると思うが、鈍感な私の舌ではほかの微妙な香りはよくわからぬ。とにかく、三本柱(ピート香、ヨード臭、甘さ)のバランスがうまく取れているいい出来のシングルモルトだと感じた。あえて喩えると、ジョニー・ウォーカー黒ラベルの、ピート香をさらに際立たせた感じ、だろうか。

これは割りものにはしたくないですね。氷に注いでそのまま、ちびちびと、少し氷が溶けるのを待ちながら、ゆっくり飲むのがいいように思う。できるだけいい姿のオールドファッションド・グラスを用意し、できればコンビニエンス店で透明な氷を買って、お気に入りの音楽を聴きながらやるのがいいんじゃないだろうか。その際、部屋の照明を暗くして、真空管がぽっと灯っているのが見えるといい雰囲気だ。個性の強いアイラ・モルトだけど、ボウモアは「初めてのアイラ・モルト」としてもお勧めできる一本だと思う。


【付記】
● 部屋の照明を暗くして、真空管が……などと書いておりますが、休日の昼間を利用した撮影後、そのまま試飲、という成り行きでした。もちろん後日、上に書いたようにしてボウモアを楽しんだことは言うまでもありません。だけどこういうウィスキーは減りが早いのが難点(?)です。


人気ブログランキングへ blogram投票ボタン
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

おお、今回はボウモアですね。
ボウモアは仰有る様にピートと煙の匂いが強いながらに、影に華やかな香りを内包した旨い酒ですよね。私はラフロイグを好んで飲む様な人間ですけど、ボウモアのウェルバランスもなかなか良いと思います。

以前若い衆とバーに飲みに行ったときに「何飲んでるんすか」と聞いてきたので、私が飲んでいたラフロイグを飲ませてやったら、二度と私のグラスに興味を持たなくなりました。
何しろ正露丸の香りですから。

乙山先生も病膏肓に入るというか、常人には理解しがたい通人の世界にお入りになってるようです。
『アイラモルトのディープな世界にようこそ』と言わせて頂きます。

Re: Noriさん

Noriさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
アイラ・モルトをきちんと飲んでいなかったのですが、
去年、行きつけのバーでボウモアとアードベックを飲んだのです。

それくらいまでなら、なんとかいけるようですが、
やはりラフロイグは怖いなあ……ミニチュアボトルがあるといいのですが。
その点、ボウモアなら安心してハーフサイズを買えました。

ふつうの人にとって、アイラ・モルトはやはり「きつい」んでしょうね。
ジョニー・ウォーカーでさえ、「煙くさい」という人もいるくらいでして。
不思議なのは、なんで昔「ジョニ黒」が贈答品だったのか、ということです。

いったいだれが、あれを始めたんでしょうね。
もらった人も、そんなに喜んで飲んだとは思えないのです。
乙山はあの煙臭さが好きなんですけどねえ。

No title

ボウモア、味の表現さすがですね。
勉強になります。ボウモアで知ったアイラのモルト。
やはり、正露丸としか例えられない(笑)
ブログで紹介するたび、「おなかに良いウィスキー。」と揶揄されております。
そんなアイラ好きの小生が見つけたのが、
アイリーク、(イーラッハ)。
ミステリアスな酒らしいですけど、アイラそのもので、楽しんでおります。

Re: 凧太郎さん

凧太郎さん、コメントありがとうございます。
ラフロイグはともかくとして、ボウモアはまだ、
正露丸までいってないような気がしますけど……

アイリーク(イーラッハ)は知りませんでした。
値段が非常に手頃で、飲んでみたくなりました。

No title

先日、すごい店に行ってきました。
原価バーなるところです。
ボウモア12年シングルで160円でした。
http://www.genkabar.jp/index.php?c=5-3

Re: 根岸さん

根岸さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
なるほど〈原価バー〉ですね。
ボウモア12年のシングル、160円というのは、仕入れ値にもよりますが、
だいたい、合っていると思います。
まず初めに1500円払わないといけないはずですが、合算はどうでしたか?

No title

せこい考え方ですが
普通の店がこれに利ザヤをいくら乗せるかを考えると
飲みしろ1500円を超えて計3000円になったら
そこから先はすべて安い酒だったと自分なりに納得して
飲み過ぎました。

Re: 根岸冬生さん

根岸さん、再コメントありがとうございます。
アイラモルト、シングル1000円くらいとる店、ざらにありますからねえ!
それを思うと、やはり安い。
今日は飲むぞ、って決めた日にぴったりの店だと思います。
仰るように「納得して」飲める店ですよね。

味わい深いアイラモルト

私は最初のアイラモルトととしてボウモアを飲みましたが、改装のような香りのするスモーキーさに惹かれてしまいました。

その後、ラフロイグ、アードベッグと飲んでいきましたが、三者三様ですね。

ボウモアは比較的抑えめでシェリー樽原酒の豊かな香りを伴って華やかな印象でしたが、ラフロイグ10年は独特のスモーキーをこれでもかと猪突猛進した印象、アードベッグ10年は正露丸のような特徴的な香りを強調した印象に思えました。

アードベッグが問題なく受け入れられれば、ラフロイグも問題ないです。

その上で次を求めるとなると、ラガヴーリンでしょうか?そのあとはブルイックラディ、キルホーマンですかね?

Re: 味わい深いアイラモルト ; RERAさん

RERAさん、コメントありがとうございます。
ボウモアはピート香とヨード臭の底に、果実香があるのが好きです。
アードベックもたいへん気に入ってますが、
ラフロイグは恐ろしくてまだ飲んでいません。
12年物のミニチュアボトルから入ろうと思っています。
プロフィール

只野乙山

Author:只野乙山

⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

⚫︎ 下の「全ての記事を表示する」をクリックすると、全記事のタイトル一覧が出ますので過去記事を参照することができます。

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新記事
最新コメント

openclose

最新トラックバック
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QRコード
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

アーカイヴ

2017/08 (4)

2017/07 (9)

2017/06 (9)

2017/05 (9)

2017/04 (8)

2017/03 (9)

2017/02 (4)

2017/01 (1)

2016/06 (1)

2016/05 (13)

2016/04 (13)

2016/03 (20)

2016/02 (10)

2016/01 (11)

2015/12 (10)

2015/11 (10)

2015/10 (11)

2015/09 (13)

2015/08 (10)

2015/07 (11)

2015/06 (10)

2015/05 (10)

2015/04 (10)

2015/03 (11)

2015/02 (9)

2015/01 (11)

2014/12 (9)

2014/11 (10)

2014/10 (11)

2014/09 (10)

2014/08 (10)

2014/07 (10)

2014/06 (10)

2014/05 (11)

2014/04 (10)

2014/03 (10)

2014/02 (9)

2014/01 (11)

2013/12 (9)

2013/11 (10)

2013/10 (10)

2013/09 (10)

2013/08 (11)

2013/07 (10)

2013/06 (10)

2013/05 (10)

2013/04 (10)

2013/03 (11)

2013/02 (9)

2013/01 (11)

2012/12 (9)

2012/11 (10)

2012/10 (11)

2012/09 (10)

2012/08 (10)

2012/07 (10)

2012/06 (10)

2012/05 (11)

2012/04 (10)

2012/03 (10)

2012/02 (10)

2012/01 (9)

2011/12 (9)

2011/11 (10)

2011/10 (10)

2011/09 (10)

2011/08 (10)

2011/07 (9)

2011/06 (9)

2011/05 (10)

2011/04 (8)

2011/03 (8)

2011/02 (12)

2011/01 (12)

2010/12 (12)

2010/11 (13)

2010/10 (15)

2010/09 (15)

2010/08 (14)

2010/07 (16)

2010/06 (17)

2010/05 (21)

2010/04 (18)

2010/03 (20)

2010/02 (23)

2010/01 (27)

2009/12 (27)

2009/11 (27)

2009/10 (26)

2009/09 (24)

2009/08 (19)

2009/07 (21)

2009/06 (30)

2009/05 (26)