シングルモルト宮城狭(旧ボトル)
【日本のウィスキーを飲む】

隣町の川西には所用で週一回ごとに足を運んでいる。レンタルメディア店も大規模だし、紀伊国屋書店や阪急百貨店もあるという便利さである。駅前のスーパーマーケットが閉店してもう何年にもなるようだが、最近新しく同種の店ができたようである。どうせ代わり映えしないものだろう、と高をくくって見向きもしなかったが、つい最近時間があるのを機にちょっと覗いてみた。
するとどうだろう、一階の酒売り場がなんとも種類豊富で驚かされた。入ってまず目に付くのはビールの種類の多さで、ベルギービールやらその他、海外製のビールをたくさん陳列してある。その次はワインで、これまたかなりの空間を占めている。ウィスキーは奥のほうで小ぢんまりとしているが、それでもなかなかの品揃えである。江井ヶ嶋酒造の〈ホワイトオーク・レッド〉のフルボトルが置いてあるなんて、なかなかのものである。
今回はその中からニッカウヰスキーの〈シングルモルト宮城狭〉を買った。もちろん、熟成年数無記名のエントリー級。以前飲んだことがあるので安心して買うことができた。開封すると、バニラ香とカラメル香が混じったような香りがぱっと広がり、リッチな気分になる。オーバー・アイスで(氷に注いで)飲んでみると、若いアルコールを幾分感じるが、わりと練れていると思う。次いでバニラかバナナを思わせる果実香が広がり、煙臭さはほとんど感じられない。
この感じは、なんとなくスペイサイドのシングルモルトに似ているんじゃないかと思う。スペイサイドのモルトは、どちらかといえば軽めのピート香で、バーボン樽かシェリー樽で熟成された、飲むと陶然となるようなまろやかさがある。それに近いような気がした。ちなみに余市蒸留所のモルト原酒は、おそらくハイランド・モルト(とアイラ・モルト)を意識しているんじゃないだろうか。わりと強めのピート香とコクがある重厚なモルトのイメージである。
水割りでウィスキーを飲むときは、ウィスキー:水=1:1で割ったものを、8オンスのタンブラーで氷と一緒に飲むようにしている。メーカー側では「水割りのおいしい飲み方」として、ウィスキー:水=1:2を推奨しているようだが、それではいささかウィスキーのおいしさが減じてしまうような気がしないでもない。〈シングルモルト宮城狭〉は、この「濃いめ水割り」もばっちり合っているように思う。オーバー・アイスではちょっときついかな、というときにお勧めだ。
ソーダ割りにしても、味が薄まって面白くない、ということはまったくなくて、むしろソーダ割りにしたほうがいいような気にもなってくる。つまり〈シングルモルト宮城狭〉は、ストレートでもそれなりに楽しめるし、トゥワイス・アップでもオーバー・アイスでも、さらには水割りやソーダ割りでも楽しめる、まことにオールラウンドなシングルモルト・ウィスキーじゃないかと思う。この何でやってもうまい、というのは〈ブラックニッカ・スペシャル〉も共通している。
ただ、いささか華やかさが強めでもうちょっとピート香が欲しいと感じる人は、この宮城狭モルトをキー・モルトにした〈ピュアモルト赤〉をお勧めする。華やかさ(甘さ)とピート香のバランスが絶妙で、飲むほどにそのブレンドの見事さにうっとりする。まあだけど、〈シングルモルト宮城狭〉は、それだけでもじゅうぶん味わえるものですよ。値段も500ml=1400円前後で手頃、本当によく出来た価値ある一本だと思う。
※原酒不足のため、現在(2015年)シングルモルト宮城狭は中身と値段が変わっています。
するとどうだろう、一階の酒売り場がなんとも種類豊富で驚かされた。入ってまず目に付くのはビールの種類の多さで、ベルギービールやらその他、海外製のビールをたくさん陳列してある。その次はワインで、これまたかなりの空間を占めている。ウィスキーは奥のほうで小ぢんまりとしているが、それでもなかなかの品揃えである。江井ヶ嶋酒造の〈ホワイトオーク・レッド〉のフルボトルが置いてあるなんて、なかなかのものである。
今回はその中からニッカウヰスキーの〈シングルモルト宮城狭〉を買った。もちろん、熟成年数無記名のエントリー級。以前飲んだことがあるので安心して買うことができた。開封すると、バニラ香とカラメル香が混じったような香りがぱっと広がり、リッチな気分になる。オーバー・アイスで(氷に注いで)飲んでみると、若いアルコールを幾分感じるが、わりと練れていると思う。次いでバニラかバナナを思わせる果実香が広がり、煙臭さはほとんど感じられない。
この感じは、なんとなくスペイサイドのシングルモルトに似ているんじゃないかと思う。スペイサイドのモルトは、どちらかといえば軽めのピート香で、バーボン樽かシェリー樽で熟成された、飲むと陶然となるようなまろやかさがある。それに近いような気がした。ちなみに余市蒸留所のモルト原酒は、おそらくハイランド・モルト(とアイラ・モルト)を意識しているんじゃないだろうか。わりと強めのピート香とコクがある重厚なモルトのイメージである。

ソーダ割りにしても、味が薄まって面白くない、ということはまったくなくて、むしろソーダ割りにしたほうがいいような気にもなってくる。つまり〈シングルモルト宮城狭〉は、ストレートでもそれなりに楽しめるし、トゥワイス・アップでもオーバー・アイスでも、さらには水割りやソーダ割りでも楽しめる、まことにオールラウンドなシングルモルト・ウィスキーじゃないかと思う。この何でやってもうまい、というのは〈ブラックニッカ・スペシャル〉も共通している。
ただ、いささか華やかさが強めでもうちょっとピート香が欲しいと感じる人は、この宮城狭モルトをキー・モルトにした〈ピュアモルト赤〉をお勧めする。華やかさ(甘さ)とピート香のバランスが絶妙で、飲むほどにそのブレンドの見事さにうっとりする。まあだけど、〈シングルモルト宮城狭〉は、それだけでもじゅうぶん味わえるものですよ。値段も500ml=1400円前後で手頃、本当によく出来た価値ある一本だと思う。
※原酒不足のため、現在(2015年)シングルモルト宮城狭は中身と値段が変わっています。
【付記】
● 普段飲みにしているウィスキー、たとえば江井ヶ嶋酒造の〈ホワイトオーク・レッド〉などの後に〈シングルモルト宮城狭〉を飲むと、本当にうまいなあと感じます。で、その後、オーク・レッドに戻っても大丈夫なところがオーク・レッドの魅力でしょうね。えっ、もう飲みすぎで味なんてどうでもよくなってるって? そうかもしれません。
● 普段飲みにしているウィスキー、たとえば江井ヶ嶋酒造の〈ホワイトオーク・レッド〉などの後に〈シングルモルト宮城狭〉を飲むと、本当にうまいなあと感じます。で、その後、オーク・レッドに戻っても大丈夫なところがオーク・レッドの魅力でしょうね。えっ、もう飲みすぎで味なんてどうでもよくなってるって? そうかもしれません。


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No title
ノンエイジの宮城峡はなかなか良い酒ですよね。
酒齢の若い酒にしては穏やかで、ウィスキーが苦手な人達の感じる『障壁』を余り感じることのない間口の広い酒だと思います。
私もパーで最初に飲む酒は大抵宮城峡から始めることが多いんです。
それとピュアモルト・レッドには確かに仰有る様な風味があります。
しかし最近のスーパーの品揃えは結構豊富で、大手の酒販店に行かなくても大抵の酒は手に入ったりします。
便利で良いのですが、町場の酒屋さん達は結構苦労しているんじゃないかと…。
酒齢の若い酒にしては穏やかで、ウィスキーが苦手な人達の感じる『障壁』を余り感じることのない間口の広い酒だと思います。
私もパーで最初に飲む酒は大抵宮城峡から始めることが多いんです。
それとピュアモルト・レッドには確かに仰有る様な風味があります。
しかし最近のスーパーの品揃えは結構豊富で、大手の酒販店に行かなくても大抵の酒は手に入ったりします。
便利で良いのですが、町場の酒屋さん達は結構苦労しているんじゃないかと…。
Re: Noriさん
Noriさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
本当、シングルモルト宮城狭のエントリーはいい出来だと思います。
ピート香が好きな人からすると、物足りないかもしれませんが、
これはこれで、いいんです。
ノンエイジ=未成熟ということでしょうけど、かなり練れていると思います。
これは説明不要で、もっと安いものを飲めばすぐわかりますからね。
バーでなら、飲み初めにはいいかもしれません。
その後、次第にピート香の入ったものを飲み、仕上げはアイラモルトで。
アイラモルトを最初にやれば、後のものがかすんでしまいますからね。
日本酒なら、個人酒店主の熱心さと蔵元の心次第で、
販売路が開けることがありますが、ウィスキーはそういう販路がありません。
もうウィスキーはネット通販、酒量販店、スーパーマーケットで買うものなんですね。
ウィスキーを扱ういい酒店がなくなってしまったのは残念です。
本当、シングルモルト宮城狭のエントリーはいい出来だと思います。
ピート香が好きな人からすると、物足りないかもしれませんが、
これはこれで、いいんです。
ノンエイジ=未成熟ということでしょうけど、かなり練れていると思います。
これは説明不要で、もっと安いものを飲めばすぐわかりますからね。
バーでなら、飲み初めにはいいかもしれません。
その後、次第にピート香の入ったものを飲み、仕上げはアイラモルトで。
アイラモルトを最初にやれば、後のものがかすんでしまいますからね。
日本酒なら、個人酒店主の熱心さと蔵元の心次第で、
販売路が開けることがありますが、ウィスキーはそういう販路がありません。
もうウィスキーはネット通販、酒量販店、スーパーマーケットで買うものなんですね。
ウィスキーを扱ういい酒店がなくなってしまったのは残念です。