オペアンプたった1個の電池式プリアンプ 構想・設計編

BatteryPreAmp_Design_Original.jpg
このところ、JBLのD130で楽しく聴いているが、音源や状況によってはもう少し高域・低域ともに欲しいなあと思うこともある。たとえば夜遅く、音量を絞っているときなど、高域と低域が聴こえにくくなることがあるし、加齢とともに高域が聞こえにくくなっていくのには逆らえない。そんなことから、トーン・コントロールの付いたプリアンプが欲しいなあ、と思っていた。気に入ったプリアンプが市場にないのなら、例によって自分で作るしかあるまい。

近頃はどういうわけか入力切替と音量調節だけのプリアンプが幅を利かせており、それ以外の機能は「不要な、音を悪くするアクセサリー」と考えられている風潮がある。たしかに、必要以上に接点を増やすのは良くないだろうし、低域・高域ともに伸び切って左右差がほとんどないスピーカーで聴くならバランス調節もトーン・コントロールも不要、となってもおかしくない。それはそれでいいだろう。だが、私(乙山)が自分用に使うプリアンプはそうであってはならない。

トーン・コントロールは上述の理由から必ず付いていないといけないし、バランス調節も必要である。たとえば、ヴィンテージ・ユニットを購入した場合、必ずしも左右の音圧が一致しているとは限らないし、聴く側の両耳がいつまでも健全であるとも限らぬのである。どうしても欲しかったヴィンテージ・ユニットが一個しかなく、とりあえずモノラルで聴いているけれどちょっと他の物と合わせてステレオで聴きたいこともあるだろう(ないない!)。

最後のはちょっとこじつけっぽいけど、気の利いたプリアンプや本当のプロ機にはバランス調節が付いているものだ。それと、ステレオ/モノラルのモード切替もあってほしい。例えば、上述のように、どうしても欲しかったヴィンテージ・ユニットが一個だけある場合、モノラル再生したくなる。現在、モノラル音源のCDをかけると左右から同じ音が鳴って、真ん中あたりに音が集まるようになっているけれど、あれは本当は一本のスピーカーだけで聴いたほうがいいような気がする。

それに、たとえば245のナス型管とかシーメンスのEdなんかが偶然一本だけ手に入ったら、二本揃うのを待つよりモノラルのパワーアンプをこしらえたくなるんじゃなかろうか。だから最新のステレオ音源を、わざわざミキサー回路を通じてモノラル化し、それをモノラルのアンプ、一本のスピーカーで聴きたいことだってある、と思う(ないか)。モード切替はモノラル(左)/ステレオ/モノラル(右)と万全に備えたい。リバースはさすがに必要ないと思う。

これはあってもなくてもいいけれど、あると便利に思うのは出力切替。真空管アンプ好きの人なら何台もアンプを持っているはずだし、スピーカーもメイン機とサブ機があったりするんじゃなかろうか。システム自体が何系統もある人はいいけれど、システムやスピーカーのセレクターを使っている人もいるんじゃないかと思う。だったら、プリアンプで出力切替をしたほうが話が早いと思うのは私だけだろうか。

というわけで、入力切替、音量調節、バランス調節、トーン・コントロール、モード切替(と出力切替)を備えたライン専用プリアンプを構想している。で、これを真空管式で本格的に作るのではなく(おいおい)、オペアンプを使って電池式でできないだろうかと考えた。なんでそうなるんだ、という声が聞こえてきそうだが本気である。以前、パワーICを使って0.4W電池式アンプを作った際、電池式っていいもんだなあ、とつくづく思ったのである。

それにスピーカーも100dB超の高感度で、プリアンプでノイズを発生させると厄介なのである。多分、ラインレベルだったらそんなに心配することはないと思うが、何しろこちらはずぶのど素人である。どこでどんな間違いをしでかすかわからない。真空管式だとどうしても電源トランスを導入せねばならず、下手をするとハムノイズやその他ノイズを出してしまいかねない。ここは、安全かつ安心、しかも安価ということなしのオペアンプでいきたい。

通常オペアンプは正負電源を用意するのが建前だが、低電圧の単電源で使える「レール・トゥ・レール」仕様のオペアンプがある。これだったら電池駆動も可能だし、レール・トゥ・レールのオペアンプは電源電圧付近までフルスウィングするので出力電圧もじゅうぶんである。具体的には単3電池×3の4.5V電源の場合、およそ4V(p-p)、1.4V(rms)の出力電圧を見込める。利得も30~40dBはふつうに稼げるので、利得の面でもおそらく問題はないだろう。

実際に運用するとなると、トーン回路はCR型かバクサンダール型になるわけだが、前者の場合ヴォルテージ・フォロワー(バッファー)→トーン回路→アンプ回路となり、後者も反転回路になるゆえもう一つの反転回路が必要で、いずれにしてもオペアンプはデュアルで2個、シングルだと4個必要である。電池式だからできるだけ素子の数を減らしたいところである。デュアルオペアンプを使い、非反転回路の帰還部分にCR型トーン回路(可変抵抗はC型)を挿入すれば、オペアンプたった1個でなんとかなるのではないか。

オペアンプたった1個の電池式プリアンプ。ううむ、このあっけなさ、なんだかQUAD22を思わせる雰囲気じゃありませんか。QUADのピーター・ウォーカー氏が現在いたとしたら、やったかもしれないなあ、なんて一人で勝手に想像して楽しくなった。この際だから、外見もQUADにどことなく似たような感じにできればいいなあ。実際に作るのも楽しいけれど、こんなふうに構想している段階が一番楽しいのかもしれない。だけど本当にできるんだろうか。


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【付記】
● QUADみたいにするのなら、ぜひとも使いたい多連プッシュスイッチ。どうやらそれが今回の最大の難題になりそうな気がしてきました。多連プッシュスイッチが入手できぬ場合、ふつうのロータリースイッチを使うしかないのですが、それも近頃は良品が少なくなってきたようです。マイクロ・コンピューターで制御したセレクターもあるのでしょうが、電池式のこともあり、ここは電源の要らぬ機械式で行きたいところです。

もう一つの難所、それは前面パネルの印字です。インスタント・レタリングが昔はたくさんあったのですが、いまは少なく、シルク・スクリーンで行うしかなさそうです。原稿を作ってシルクの版を焼き、そして印刷するのですが、この工程が面倒です。しかも一回だけの印刷で……透明フィルムに反転して印刷したものを透明アクリル板に貼り、LEDのバックライトでマッキントッシュのプリアンプのようにするとシルク印刷を回避できますが、電池式プリアンプではできません。たぶん、製作に入るのはかなり後のことになると思います。


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