後面開放型スピーカー箱 製作編(3)グリルクロス

C36type_Frame_Grillcloth_01.jpg
今回の後面開放型スピーカー箱は、着想から実行までたいへん長い時間がかかってしまった。JBLのD130を衝動買いしてしまって、「フルレンジ道楽、いよいよ動き出しましたよ」などと記事にしたのが2013年の9月24日。なぜそんなに時間がかかったのかといえば、箱をJBLのC型エンクロージャーのようにできないだろうか、などと考えてしまったからだとしか言いようがない。

JBLのC型エンクロージャー(C36、C38における)最大の特徴は、あのグリルクロス(スピーカー保護ネット)にあるように思える。あれは、前後に動かして着脱するのではなく、箱の底面にあけた細長いスリットから差し込むようにして装着している。なんとか真似できないものだろうかと思ったが、構造がよくわからない。当初、前から見ると30mm程度の分厚い板が使われているようだから、そこに溝が掘ってあるのかと想像した。

しかし、ネット上でC38やC36のリアバッフルを外した画像を見ると、どうもそんなに分厚い板は使われていないようなのである。前から見たのと後ろから見たのでは違う板の厚さ……この謎を解明(推測)するのに時間を要した。何も別に真似しなくてもいい、ふつうにグリルクロスと木枠を付ければいいではないか、と計画を断念してふつうの設計をして業者に発注しようかと思ったことも一度ではない。

C36type_Frame_Grillcloth_02.jpg次に、グリルクロス自体の問題もある。スピーカーネットとかグリルクロスとか言って色々売っているけれど、これだというものをなかなか見つけることができずにいた。イメージしていたのは、ヴィンテージ・スピーカーに使われているような、ざっくり編んだグリルクロス。じつは、オールドJBLならこれでしょう、というものをギターアンプ関係の店で買ってみたのだが、イメージがぴったり来なかった。

もう、オーディオ関係とかギターアンプ関係から離れて、ふつうの布屋さんを探すことにした。あれこれ見ているうちに、「麻ジュート・オフホワイト」というのがあったのでそれに決めた。あとは木枠とスリットをどうするかだが、ここにも問題がある。グリルクロスを木枠に取り付けた最終的な厚みは、使用するグリルクロスと取り付け工法次第で変わってくるので、実際に作ってみるまでわからない。したがって、これを正確に予測するのは相当難しい。

だからここだけの話なんだけど、今回は取り付け工法も決めていないのに、「たぶんだいたいこれくらいになるだろう」という「見込み設計」と「見切り発注」なのである。ふつう、そんなことはしませんよ。もし失敗したら、すべて台無しになるわけでしょう。だからこの段階でどうしても前に進めなくなってしまうのが普通なんです。その点、私(乙山)は極めつけのバカだから、なんとかなるさ、と見込みと見切りで発注をかけた。救いようのない阿呆である。

C36type_Frame_Grillcloth_03.jpgさて、実物を見ると9mmのMDF板に麻ジュートを取り付け、それを11mmのスリットに通さないといけないので、ふつうのようにぐるりと裏面に回しこんで留めることができない。つまり、「タッカーがきかない伸縮性のある布を、9mmの糊しろに木工ボンドで接着する」という不可能ミッションに挑まないといけないことになってしまった。この段階でやる気が失せてしまっても無理はない難題難問である。

解決策はこうである。ざっくり編んだ麻ジュートに直接タッカーがきかないのなら、段ボールかボール紙をかませて仮留めしたらどうだろう? そうしていったん仮留めしたものなら、木工ボンドで接着できるのではないか? 実行である。段ボールをハサミで切った小片をたくさん用意し、麻ジュートを軽く引っ張りながらミニタッカーで留めていくが、これはちょうどカンヴァスを木枠に張る要領で、木枠の中心から外側に向けて少しずつ留めていく。

世の中にはもっとスマートな方法があるに違いないのだが、ずぶのど素人(=乙山)は、そのとき思いついた最良と思われる方法をとりあえずとるしかない。仮留めが終わったら、木工ボンドを付けてブラシで均等にのばし、麻ジュートを木枠に接着する。木工ボンドが表面に浮き出てべたべたになるが、構わず軽く掌(指)で叩いて布にボンドを浸透させる。乾燥すると、木工ボンドは透明になって痩せるので、心配することはない(と思って進めるしかない)。

C36type_Frame_Grillcloth_04.jpg木工ボンドが完全に乾燥硬化するまで、次の作業に進むことはできない。今回は丸三日、放置しておいた。四日目、おもむろにカッターナイフで余分な布を切り離し、切断面を#400紙ヤスリで軽く研磨してととのえた。そして仮留めの段ボールとタッカー針をマイナスドライバーとペンチを使って除去しても、布の張りが緩み過ぎることはなかった。完璧ではないかもしれないが、なんとか麻ジュートが木枠に固定されているのがわかると思う(写真一枚目)。

出来上がった木枠とグリルクロスをスリットに通してみると(写真二枚目)……すっと通った! もし、裏面までぐるりと巻き込む工法をとったなら、このようにすっと通ることはなかったのではないかと思う。最後まで通してしまっても、底板からはみ出ることはなく、ここも狙い通りの出来になった(写真三枚目)。出来上がったグリルクロスを装着して記念撮影後、それらを眺めながら早速ジン&トニックで祝杯を挙げずにはいられなかった。


≪ 後面開放SP・バッフル塗装へ  後面開放SP・組み立て最終へ ≫


【付記】
● いやあ、最大の難問難関をなんとかクリアしましたよ。後は本格的にバッフルを箱に接合し、フロント部分の木枠を取り付けると、一応部品はすべて使ったとりあえずの「完成」ということになります。しかし、それにしてもできあがった木枠とグリルクロス、やはり歪んでいますね。できれば真っ直ぐに取り付けたかったのですが、仕方ありません。

11mmのスリットに9mmの木枠を、などと勝手に騒いでおりますが、スリットを木工ヤスリで広げれば済むだけの話。だけど、それは今回やりたくなかったのです。実は、そもそもこれは、乙山の設計&発注ミスなのでして、スリット幅を12mmで発注していれば、ふつうの工法がとれたわけです。恥晒しではありますが、念の為。


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こんにちは。
D130一発、だいたい想像はつきますが、CD、レコード、それぞれ、楽器の鳴りかた、詳しくレポートしてくださいね。D130の実力はそうとうなものですからね、楽しみでしかたありません。

驚異の暑さから解放され、大阪も新しいグリコができるのかな?

HOBO

Re: HOBOさん

HOBOさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
そうですねえ、順々に工程をふんで作っておりますので、
完成編まであと記事が三つ、これは予定通りなんです。

D130は新企画「フルレンジ道楽」でお披露目する予定ですので、
たぶん、10月中頃過ぎくらいになるんじゃないかと思います。
音源はCDだけで勘弁してくださいね。
まだ本当にできるのかな、と心配しながらやっております。
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