シングルモルト白州



〈遊歩者 只野乙山〉 特別企画
【日本のウィスキーを飲む】



SingleMaltHakushuEntry.jpg
諸般の事情によって6月の下旬から断酒していた。別に、身体を壊したとかそういう深刻な事態になってしまったわけではない。アルコール、肝臓、コレステロール、高血圧、この四者は複雑に絡まり合っており、親和力(?)があるのか相互補完的に作用するのだ。また相互作用の悪循環にはまってしまうこともあるので注意が必要である。

今回はとにかく一度、アルコールを断って様子を見ようじゃないか、ということでしばらく断酒してみた。強烈な離脱症候群(いわゆる禁断症状)、たとえば幻覚や幻聴などでおおいに苦しむということもなく、わりとすんなり断酒できた。冷蔵庫にビールが常備してあるのに不思議なものである。これが自分の意志と判断で実行できぬとなれば要注意。

結局、お盆休み前まで50日間以上断酒していたわけだが、盆休み前の仕事最終日、「もういいか」ということで久しぶりに飲んだ。大丈夫かな、と一瞬思ったがビール一缶でぶっ倒れる、などということはなかった。ビール風味飲料ばかり飲んでいたことだけあって、本物のビールはやはりうまいなあ! などと改めて痛感した。

では、ウィスキーも久しぶりに飲もうじゃないか、と選んだのはサントリーの〈シングルモルト白州〉である。熟成年数無記載のエントリークラスのシングルモルトだが、お値段のほうはクォーターボトルで約1000円、普段ならまず敬遠する高価なものだけど「御祝」とか「御褒美」みたいなもんだからいいではないか。

正直に書いておくと、白州なんて知ったのは比較的最近のことで、サントリー社が「白州」という名前のウィスキーを出すまではまったく意識していなかったと思う。ニッカの宮城峡蒸留所が1969年竣工、その後1973年に白州蒸留所が設立されたという。2013年からはグレーン・ウィスキーまで同蒸留所で自社生産しているという。いやまったく、知らないことばかりである。

さて、開封して匂いを嗅いでみると、なんだか昔のウィスキーを思わせる香りがしたような気がした。早速、オーバー・アイスで(氷の上に注いで)飲んでみる。着色をほとんどしていないかのような薄めの色。想像したのとまったく違っていたので驚いたが、ずいぶん硬質な味わいである。〈山崎〉に感じられた甘ったるさは少なく、香りも重層的な感じはなく素直な(つまり平坦な)味わい、若いアルコールが強めに思えた。

木質的な香りと味わいもほのかに感じられるが、煙臭さはほとんどしなく、口に含んでそれと意識して探せばわかるほどの微弱さ。仕込みの工程の詳細は不明だが、麦芽の乾燥にピートをごく軽く使っているのではないかと思われる。歴史ある山崎蒸留所に比べて原酒の種類が限られているせいなのか、いささか香りと味わいに深さや広がりがないような気がするが、これを私(乙山)は嫌いではない。ただし、クォーター約1000円だと思うと首を傾げたくなる仕上がりだと言わざるを得ない。

最後にソーダ割りにしてみた。じつにすっきりしている。スプリッツアーを飲んでいるかのようなほのかな酸味。木質香が勝っているような雰囲気にかすかなピート香があるが極めて微弱。バニラ香はないが、フィニッシュの引き際にかすかに甘みも感じられる。これ、ひょっとするとストレートやトゥワイス・アップ、あるいはオーバー・アイスよりソーダ割りがいちばん合っているかもしれない。また買うかどうかは非常に微妙なところである。


≪ シングルモルト山崎へ  竹鶴ピュアモルトへ ≫


【付記】
● 〈白州〉はもっと甘い感じ、バーボンに近いようなものをイメージしていました。どうしてそうなるか根拠はないのですが、なんとなくそんなふうに思っていたのです。ところが、飲んでみると〈白州〉は明らかに「剛」のウィスキーで、日本酒で言われる「男酒」に喩えることができるかもしれません。


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No title

この辺りのレベルのウイスキィーになると、最近とんとお目にかかっていないってのが現実ですが・・・クォーターボトルで約1000円・・・この手がありましたね。
これだったら、ちょっと気張れば私にも行けそうです。

今度やってみます。

Re: gatayanさん

gatayanさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
これは高価なウィスキーですよ。クォーターで1000円、
いつも飲んでいるのはフルボトル1000円前後ですからねえ。

やはりその値段に見合った中身でないと、納得できないものです。
そのあたり、もう少し頑張ってほしいなあと思います。

No title

ご無沙汰しております。
このところ色々とバタバタしておりまして、長いこと失礼を致しました。

今回は『新白州』ですね。
私もサントリーのラインナップで白州は別物だと思っております。
唯々穏やかなだけの酒ではなく、明確に個性の立っているのが好印象なのです。

でもそれも10年物あたりからだと文句なしに「いい酒だ」と思えるのですが、このノンエイジについては少しもの足らない感じがします。
値段も修売になった10年物と同じなのですから。

乙山先生が仰有っている通り「もう少し頑張ってほしいなあ」と思うところです。

Re: Noriさん

Noriさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
そちらの様子を拝見してお忙しいのだろうと思っていました。
乙山も盆休みに書いたものにウィスキーの記事を加え、なんとかしのいでいます。
まあ、無理をすることはないのにな、と自分でも思うのですが。

さて〈白州〉、これは面白いウィスキーでした。
予想したものと違って、「剛」な感じがしたのです。
おしなべて甘ったるい感じのサントリーですが、
これは違うなあ、と感心しました。

ですが、やはり値段と品質は釣り合っていませんね。

久々の…、

久々のウイスキーレビューに
乙山殿のお元気な様子が伺えてわたくしは
ひたすら嬉しいかぎりです。(^○^)

ノンエイジ白州はもう少しだけ
味、風味共に練れてくれていると有難いの
ですが、モルトウイスキー入門編なので
いたしかたなく、まあ
歯がゆいトコですね!

あっ、因みにわたくしは先日
ニッカの宮城峡ノンエイジを初めて
飲みました。それはそれは
でらうまかったです。(^○^)

Re: 久々の…、; 四の字硬めさん

四の字硬めさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
乙山は相変わらずですよ!
しばらくウィスキーの記事を書いておりませんでしたが、
もともとウィスキーがメインのウェブログではなく、
何がメインなのかよくわからぬ始末です。

白州はなかなか面白い味でした。
予想してたのと違って、「ガツン」とくるんですね。
これはこれで、嫌いではないのですが、
値段を考えると疑問を感じます。

シングルモルト宮城峡は、良い出来じゃないでしょうか。
良いウィスキーだと思います。

No title

白州は私も好きです。グレンフィディックのようにスペイサイド風の青リンゴやナシのようなさわやかさがあって、サントリーにおいては異端の立場かもしれませんが、もっと評価されてもいいと思います。

ミニボトルで12年も売っていますが、ノンエイジのアップグレードともいうべき塾生による深さが素直に感じられます。

Re: RERAさん

RERAさん、コメントありがとうございます。
サントリーのウィスキーということで、バーボンに近い味を予想していたのですが、
これは見事に裏切られました。ですが白州は嫌いではありません。
白州12年は楽しみにしています。

No title

白州は、自分が初めて山崎蒸溜所へ行っった際に買った、
蒸溜所専売ウイスキーの白州8年で、その魅力に取り付かれ、
以来、自分の中では白州がウイスキーの基準になってるようです。

ノンエイジ白州に関しては、自分は少し思うところがあり
手元にある終売してしまった白州10年のボトルとも飲み比べて、
確かに白州の特徴は受け継がれているんだけれども、
10年で感じた深みがないせいか、正直がっかりしたところはあります。

かなりキツイ言い方をすると、ハイボール向けかなぁと……
10年の後継の位置にありますが、もう少しメーカーには頑張って
ほしいところです。

Re: nandemonaさん

nandemonaさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
乙山はうっかりしておりまして、サントリーが〈白州〉というのを出すまで、
白州蒸留所があるというのを知りませんでした。
恥ずかしながら、この記事で飲んだのが初めてです。

飲んでみて、硬派のウィスキーだなあ、と思いました。
もっとバーボンに近いものを予想していたので意外でした。
考えてみると、甘さが支配的なモルトは山崎蒸留所の得意とするところで、
同じものを作っても仕方がないということなんだろうと思います。

このエントリー白州、クォーターボトルで約1000円するんです。
仕上がりを考えると、ちょっと高いような気がしますね。
だから、また買いたいという気にはなりません。
値段と味のバランスが取れたいいものを、本当は作られるはずなんですけどね。
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