『デューク・エリントン・ミーツ・コールマン・ホーキンス』
Duke Ellington Meets Coleman Hawkins / Same (1962)

01.Limbo Jazz (05:15)
02.Mood Indigo (05:56)
03.Ray Charles' Place (04:05)
04.Wanderlust (05:00)
05.You Dirty Dog (04:20)
06.Self Portrait (Of the Bean) (03:53)
07.The Jeep Is Jumpin' (04:50)
08.The Ricitic (05:53)

01.Limbo Jazz (05:15)
02.Mood Indigo (05:56)
03.Ray Charles' Place (04:05)
04.Wanderlust (05:00)
05.You Dirty Dog (04:20)
06.Self Portrait (Of the Bean) (03:53)
07.The Jeep Is Jumpin' (04:50)
08.The Ricitic (05:53)
デューク・エリントンは晩年、幾名かのジャズ奏者とセッションをした音源を残しているが、今回はテナー・サックス奏者のコールマン・ホーキンスとの共演『デューク・エリントン・ミーツ・コールマン・ホーキンス』(1962)を聴いた。ホーキンスはフレッチャー・ヘンダーソン楽団のソロ奏者として活動し、ソロ名義『ボディ・アンド・ソウル』(1946)でも知られる、スウィング・ジャズの代表的テナー奏者である。
CD付属の資料によると、エリントン楽団にはベン・ウェブスターというテナーサックスの看板ソロ奏者がいたが、1943年にウェブスターが楽団を辞めると、エリントンはホーキンスの加入を考えていたらしい。だがそれは実現せず、1962年になってインパルスのプロデューサー、ボブ・シールによる企画で両者が共演することになったという。スウィングのビッグバンド出身のホーキンスにとって、エリントンはスウィング仲間のようなものではないかと想像する。
録音時のメンバーはデューク・エリントン(p)、コールマン・ホーキンス(ts)、ジョニー・ホッジス(as)、ハリー・カーニー(bs, bcl)、レイ・ナンス(cor, vln)、ローレンス・ブラウン(tb)、アーロン・ベル(b)、サム・ウッドヤーズ(ds)という顔ぶれで、エリントン楽団の精鋭あるいは重鎮たちによるコンボ・スタイルの演奏で、気心の知れた和気あいあいとしたセッションのように感じた。
(1)はそんな和んだ感じを象徴するかのような楽しい楽曲で、だれかが主旋律をハミングする声も収録されている。テーマを奏した後、ジョニー・ホッジスのとろけるようなアルトを受けて各メンバーがソロを受け継ぎ、ホークのソロは(3:33)あたりから。(2)はエリントン楽団の代表曲ともいえるもので、ホークのソロから始まる。1コーラスは低音を効かせた節回しで、2コーラスからは高音域に移行して滑らかなソロが展開、最後までホークの一人舞台といった趣きである。
エリントンは作曲するとき、この部分は楽団のこの人に演奏してもらおう、と明確なイメージを持っていたようで、そうした意図に演奏者がきっちり、ときにはそれ以上に応えることによってエリントン楽団の音楽が生まれるのだとわかる一瞬だ。エリントン楽団の演奏による「ムード・インディゴ」より曲想が膨らんでいるというかのめり込んでいるというべきか。それにしてもアンサンブルが美しいのはたまらない魅力だ。
(3)はうって変わってアップテンポの曲。(4)はミディアム・テンポのブルースでエリントンとホッジスの共作。ホッジスの比較的長めのソロが聴けるが、やはり「美音」のホッジスは健在で嬉しくなってくる。(5)はホークのソロの後、ホッジスが受け、ローレンス・ブラウンのトロンボーンが活躍している。
(6)はエリントンとビリー・ストレイホーンの共作でゆったりしたバラッド。のっけからホークのソロで始まるが、バラッドもじつに魅力的で、特に低音域に振りきったときの感じがたまらない。何か包容力のようなものを感じるんですね。この後をホッジスが受け継ぐのだが、ホッジスは高域よりに吹いていて、そのまろやかな感じはクラリネットかオーボエを思わせるものがある。
(7)のアップテンポでスウィンギーな感じはまるでカウント・ベイシー楽団のオール・アメリカン・リズムセクションのようではないか。曲によってはまったくスウィングしないエリントン楽団だが、ここでは各メンバーが快調に飛ばしまくっている感じがする。なんでもできるというか融通無碍、とでも言えばいいのだろうか。(8)ではレイ・ナンスがヴァイオリンを披露、多芸ぶりを発揮している。
コールマン・ホーキンスとエリントン楽団の相性はかなりいいんじゃないか、という感じがした。ホークもビッグバンドのメンバーだった人だから、楽団(というかエリントン)が何をやりたいのか、そのあたりをきっちり理解しているわけなんだろう。この時期のエリントン楽団のテナー奏者といえばポール・ゴンザルベスだろうけど、ホークはそれと違った味わいを出しているということで楽しい一枚だと思う。
CD付属の資料によると、エリントン楽団にはベン・ウェブスターというテナーサックスの看板ソロ奏者がいたが、1943年にウェブスターが楽団を辞めると、エリントンはホーキンスの加入を考えていたらしい。だがそれは実現せず、1962年になってインパルスのプロデューサー、ボブ・シールによる企画で両者が共演することになったという。スウィングのビッグバンド出身のホーキンスにとって、エリントンはスウィング仲間のようなものではないかと想像する。
録音時のメンバーはデューク・エリントン(p)、コールマン・ホーキンス(ts)、ジョニー・ホッジス(as)、ハリー・カーニー(bs, bcl)、レイ・ナンス(cor, vln)、ローレンス・ブラウン(tb)、アーロン・ベル(b)、サム・ウッドヤーズ(ds)という顔ぶれで、エリントン楽団の精鋭あるいは重鎮たちによるコンボ・スタイルの演奏で、気心の知れた和気あいあいとしたセッションのように感じた。
(1)はそんな和んだ感じを象徴するかのような楽しい楽曲で、だれかが主旋律をハミングする声も収録されている。テーマを奏した後、ジョニー・ホッジスのとろけるようなアルトを受けて各メンバーがソロを受け継ぎ、ホークのソロは(3:33)あたりから。(2)はエリントン楽団の代表曲ともいえるもので、ホークのソロから始まる。1コーラスは低音を効かせた節回しで、2コーラスからは高音域に移行して滑らかなソロが展開、最後までホークの一人舞台といった趣きである。
エリントンは作曲するとき、この部分は楽団のこの人に演奏してもらおう、と明確なイメージを持っていたようで、そうした意図に演奏者がきっちり、ときにはそれ以上に応えることによってエリントン楽団の音楽が生まれるのだとわかる一瞬だ。エリントン楽団の演奏による「ムード・インディゴ」より曲想が膨らんでいるというかのめり込んでいるというべきか。それにしてもアンサンブルが美しいのはたまらない魅力だ。
(3)はうって変わってアップテンポの曲。(4)はミディアム・テンポのブルースでエリントンとホッジスの共作。ホッジスの比較的長めのソロが聴けるが、やはり「美音」のホッジスは健在で嬉しくなってくる。(5)はホークのソロの後、ホッジスが受け、ローレンス・ブラウンのトロンボーンが活躍している。
(6)はエリントンとビリー・ストレイホーンの共作でゆったりしたバラッド。のっけからホークのソロで始まるが、バラッドもじつに魅力的で、特に低音域に振りきったときの感じがたまらない。何か包容力のようなものを感じるんですね。この後をホッジスが受け継ぐのだが、ホッジスは高域よりに吹いていて、そのまろやかな感じはクラリネットかオーボエを思わせるものがある。
(7)のアップテンポでスウィンギーな感じはまるでカウント・ベイシー楽団のオール・アメリカン・リズムセクションのようではないか。曲によってはまったくスウィングしないエリントン楽団だが、ここでは各メンバーが快調に飛ばしまくっている感じがする。なんでもできるというか融通無碍、とでも言えばいいのだろうか。(8)ではレイ・ナンスがヴァイオリンを披露、多芸ぶりを発揮している。
コールマン・ホーキンスとエリントン楽団の相性はかなりいいんじゃないか、という感じがした。ホークもビッグバンドのメンバーだった人だから、楽団(というかエリントン)が何をやりたいのか、そのあたりをきっちり理解しているわけなんだろう。この時期のエリントン楽団のテナー奏者といえばポール・ゴンザルベスだろうけど、ホークはそれと違った味わいを出しているということで楽しい一枚だと思う。
【付記】
● エリントン楽団のフルメンバーで演奏する盛り上がりはありませんが、「バンドの中のバンド」によるコンボ・スタイルもいいですね。エリントン楽団のエッセンスを味わえるような感じとでも言えばいいのでしょうか。
● エリントン楽団のフルメンバーで演奏する盛り上がりはありませんが、「バンドの中のバンド」によるコンボ・スタイルもいいですね。エリントン楽団のエッセンスを味わえるような感じとでも言えばいいのでしょうか。


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