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後面開放型スピーカー箱(構想・設計編)

SpeakerBox_Outline.jpg
フルレンジまたはコアキシャル型スピーカーを色々聴いてみたいと長らく思ってきた。いつか実現できたらいいな、なんて思っていたのだが、忘日つい魔がさしてJBLのD130をふらふらと買い求めてしまった。これを何とか平面バッフルで聴こうと思ったが、あまりにも巨大になりすぎるような気がして後面開放型箱でいくことに決めた、というのが発端であった。

そうならそうで、手っ取り早く後ろの開いた箱を組み立ててユニットを取り付けたらいいじゃないか、となるのだが、どうせJBLを使うんだったらC型エンクロージャーのようにできないかしら、などと余計なことを考えてしまったのが運の尽き、ウェブ上で資料を集めたり写真を見たりして研究を重ね、結局これは難しいなあ、で頓挫してしまったのであった。

しかしここで諦めてしまっては元も子もない。C型エンクロージャーの完璧な再現ではなく、それらしく見えたらいいではないか、と例によって妥協することにして少しずつ設計を進めていく。C型エンクロージャーといっても、元々の平面バッフル構想は100cm×100cmで、それを後ろに折り畳んで後面開放型にするのだから50cm×50cm×25cmくらいになる。それにいちばん近いのはC38(バロン)かC36(ヴァイカウント)だ。

これらの資料を見ると、箱の寸法がだいたい50cm×60cm×40cmになっており、狭い日本の家庭にはぴったりのサイズである。本物より奥行きが少ない分すっきりしているように思う。そういえばJBLにはC54(トリムライン)があり、驚くほど薄型でなかなか魅力的である。何だか正体不明の折衷型になる予感もあるけれど、だいたい50cm×60cm×25cmの線で設計を進めていこう。

板材に何を使うか? これは重要な問題である。もし、つき板を施さないでそのまま仕上げて見栄えの良いものを作るとなると、板材自体を相当高級なものにしないといけない。それにサンディングがたいへんである。片手で持てる6~8リットルの小さな箱ならまだしも、50cm×60cmの大きな箱を手でサンディングするのは想像を絶する重労働である。かといって安物の(よしんばそうでなくても)電動サンダーを持ち込めば相当大きな音がするのは想像に難くない。

板材にしても、やれフィンランド・バーチがどうの、ロシアン・バーチが云々、シナアピトンがなんちゃらと色々やかましい。熟練者は板材による音の違いを熟知しているのだろうから恐れ入るほかない。だが、それら高級板材にすれば、当然のこと値段も跳ね上がるだろう。だいたい、本当に箱が作られるかどうかわからぬ怪しげな男(乙山)が、作る前から板材であれこれ悩むのというのは噴飯ものに違いない。悩むより慣れろ、のはずなんだがなあ。

こういう諸問題が、設計の段階から山積しているのでスピーカーの自作箱はなかなか手が出しにくい感じがするのだろう。あんまり深く考えず、MDF板で箱を適当に作ったらそれでいいではないか、とも思う。その後、どうしてもつき板を張りたくなったら、そのとき注文すればいいではないか。MDF板にすれば、木目の方向を考えずに済むから非常に便利でもある。

ということで板材はMDF板に決まった。それでいいの、という声が聞こえてきそうだが、いいのである。本物のJBLだって米松合板につき板仕上げになっている。ご存知の方も多いと思うが、スピーカーの市販製品のほとんどは合板や集成材につき板で仕上げられている。無垢の製品もあるかもしれないが少数派だろう。げんに、今使っているヤマハの小型スピーカーも何かの寄せ集めの形成板につき板を張って仕上げてある。

それで音が悪いと思ったためしはないのである。というか、聞きわける優れた耳を持っていないだけのことなんだと思うが、これが己の姿なんだから仕方がない。箱の大きさと板の素材が決まれば、あとは板の厚さを決め、例によって2DのCADソフトで図面を引いていく。今回は業者に発注するため、いいかげんな図面では通用しない。引き出し線と寸法線入りの、どこへ出しても通用する図面でないとならぬ。

自分の遊び用としてどうしても3Dにしたければ、googleのSketchUpの無料版などを使ってもいいんじゃないかと思う。使ってみるとこれはかなり面白い。6463シングルアンプのときは使わなかったけれど、今後はSketchUpでアンプの内部構造を辿ってみるのも一興である。業者へ出す図面といってもそんなに肩肘張らなくてよい。向こうはプロだから、解読不可能な無茶苦茶なものでない限り、読んでくれる(?)ものである。

実際、以前6BQ5ppアンプの本体ケース(シャシー)の手書き図面を送って長野の加工業者に依頼したのだが、問題なく受け取ってくれ、数日後には完成したケースが届いたのである。通用している図面をよく観察し、見よう見まねでそれらしく書けばじゅうぶんである。業者によっては板取り図を書かなくてもいい場合もあるだろう。というわけで、後面開放型箱の図面を書き、業者に発注した。もう、後戻りはできない。


≪ 6463シングル0.5Wアンプへ  後面開放型SP箱・製作編へ ≫


【付記】
画像は自分用の図面で、業者に発注するものではありません。寸法も入れていませんし、断面図にして構造をよく理解するためにしてあります。こんな感じで、というのが大切で、この種の構想図を何枚も書き直して出来上がりに近づいていきます。さて、本当にできるんでしょうかね?

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非公開コメント

No title

とてもいいサイズだと思いますねえ。
D130一発でいくわけですから、
低音が広がるようにしてもしょうがないですし、
じつは僕もD130とかD123とか、一発でちいさめの箱とか、
板に埋め込んだりして鳴らしたいと思ってたんですよ、遊びで。

それと、箱の板の厚さはC型の例の厚みは欲しいところですがいかがですか?
楽しみですね、いいスピーカーになりますよ。
つき板はいらないように思いますねえ。テキトーっぽくていいですよ。
いいなあそういうの。そういうユルさ。

HOBO

Re: HOBOさん

HOBOさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
とにかく、大きすぎないことが大切です。
自室がそんなに広くありませんので、大きなものは置けません。

平面バッフルを選んだ段階で、ある程度低音は諦めねばなりません。
予想では、かなり軽くて弱めの低音再生になるはずです。
いずれにせよ、きっちりバスレフにしたC38やC36のような音は出ないでしょう。
075の助けもありませんから、高域もまったく伸びていないはず。

> それと、箱の板の厚さはC型の例の厚みは欲しいところですがいかがですか?

バロンやヴァイカウントを見ると、板厚30mmほどあるように見えますが、
裏を開けた画像を見ると、そんなに厚い板を使っているようには見えません。
あれはね、たぶん、スピーカーネットの枠を留めるために、
内側に板を貼り足しているんじゃないか、そう読んでいます。

本当に30mmの板で囲ってしまったら……むちゃくちゃ重いですよ!
おそらく本物でも本体は18~20mmの板じゃないかと思います。
乙山は18mmでいくことにしましたが、前の枠は30mmに見えるようにしています。

つき板、ひょっとしたら貼ってしまうかも。
まあ、それは成り行き次第ですよ!
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只野乙山

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