『ブルース・ブラザーズ』

『ブルース・ブラザーズ』(1980年、アメリカ)
TheBluesBrothers_BR.jpg
原題:The Blues Brothers
監督:ジョン・ランディス
出演:ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド、キャリー・フィッシャーほか

いつか記事にしようと思っていたのだが、大好きなものはかえって書きにくいものがある。『ブルース・ブラザーズ』もその一つだったが、今回、ブルーレイ・ディスクで改めて見て楽しませてもらった。舞台はシカゴ、刑務所から出てきた兄のジェイク(ジョン・ベルーシ)を弟のエルウッド(ダン・エイクロイド)が迎える場面から始まる。

兄弟は自分たちを育ててくれた孤児院に出所の挨拶に行き、そこで院長から5000ドルの税金を払えぬため立ち退きの要求をされていることを知る。孤児院で兄弟を世話してくれたカーティス(キャブ・キャロウェイ)に相談すると、悪いことは言わない、教会に行け、と説得される。渋々ながら教会に行った兄弟は、ジェームズ牧師(ジェームズ・ブラウン)の説話を聞いていたが、突然光に包まれ、神の啓示を受ける。

「そうだ、バンドだ!」とジェイクは叫び、ジェームズ牧師の歌に合わせて信徒たちと踊りだす。かつてのメンバーを集めてバンドをやれば、5000ドルなんて軽いものさ、というわけである。そうして兄弟は「神のお告げ」のもとに孤児院を救済するという「聖なる任務」の遂行のために、かつてのバンドのメンバーをもう一度「ブルース・ブラザーズ」として活動するよう説得を開始する。

ところが、出所したその夜に信号無視で警官に呼び止められ、エルウッドが免許停止中であることが判明。このままだと逮捕されると踏んだエルウッドは車を急発進させ、警察を振り切ろうとする。警官は応援を要請し、逃げる兄弟たちは商業エリアの中に車で入り込み、店に車で突っ込んだり、露天商の商品を構わずぶっとばしたりの無茶苦茶ぶり。パトカーも商業エリアの中を追走、ついにお互いがぶつかり合って兄弟を逃がしてしまう。

疲れた兄弟が帰った所はエルウッドのアパート。だが二人を狙う謎の女(キャリー・フィッシャー)が車からロケット弾(!)を撃ち込む。入口の所は崩壊されてしまったが、まだ部屋は無事のようで、兄弟は眠り込んでしまう。翌朝、居場所を突き止めた警官たちが寝ている兄弟の部屋に踏み込もうとした瞬間、轟音とともにビル自体が吹き飛ばされてしまう。謎の女が仕掛けた爆薬だった。こうしてまたも兄弟は警察から逃れる。

とまあ、こんな感じで兄弟は警察から逃げながらバンドのメンバーを集めていくのだが、そこに謎の女が絡んで命を狙われるし、最後にはシカゴ中の警官、軍隊、特殊部隊まで出動しての大騒ぎ。しかも白人のみの鉤十字の政党が街頭演説をしているときに、兄弟が「気に食わねえ」と車で走って全員を橋から川に落としてしまったため、彼らからも追われる破目になる。

とにかく全編コミカルで笑いが絶えない映画なんだけど、本作はミュージカルでもある。例の台詞を歌う従来のミュージカルとは違うが、まぎれもなくミュージカル映画だと思う。客演しているミュージシャンも豪華なもので、牧師役のジェームズ・ブラウン、ソウル・フード店の女主人役としてアレサ・フランクリン、楽器店主役のレイ・チャールズ、そして孤児院の管理人役のキャブ・キャロウェイ本人が、あの「ミニー・ザ・ムーチャー」を舞台で披露するのも見所だ。

ジョン・ベルーシのヴォーカルと、ダン・エイクロイドのブルース・ハープもなかなかのもので、彼らが真剣に音楽をやっていることがわかる。もともと「サタデー・ナイト・クラブ」という人気番組で「ブルース・ブラザーズ」として演奏していたのが先で、映画はあとで作られたものだそうだ。ブルース・ブラザーズ・バンドとしてアルバムも出しているが、それは今でも最も売れているブルースのアルバムである、と付録にあった。

なぜ大好きなのに記事にできなかったのか、それはたぶん本作に理屈はいらないからじゃないかと思う。本当に理屈抜きで、ただ見て、存分に楽しむことができるエンターテインメント中のエンターテインメント、それが『ブルース・ブラザーズ』という映画だ。そして、ブルースに一歩踏み込んで、というか黒人音楽に惹かれたとして、客演ミュージシャンが誰かわかるようならもっと楽しめる、そんな心憎い仕掛になっている映画だ。


【付記】
● 付録の『メイキング・オブ・ブルース・ブラザーズ』を見ると、夏の設定になっているけれど撮影は冬に行われたそうです。レイ・チャールズが歌って人々が踊る場面、これも見所の一つだけど、たしかに半袖で踊っています。ジェイクとエルウッドも黒ずくめの服装ですから、夏の撮影だったら大変だったろうな、と思います。


人気ブログランキングへ blogram投票ボタン
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

大好きです

こんにちは。

ブルース ブラザーズ。

文句なしに、一番好きな映画です。ここ30年、不動の1位です。

中でも一番好きなシーンは、アレサ フランクリンのソウルフードカフェのシーンです。

もう何回見たかわかりません。

後年シカゴに行って市役所の建物を見たときは感無量でした。

Re: 大好きです ; ぢょん・でんばあさん

ぢょん・でんばあさん、コメントありがとうございます。
客演ミュージシャンの場面はすべて圧巻ですね!
教会ではダンスがすごいし、ソウル・フード店ではアレサ自身がすごい!
楽器店ではレイもすごいし、外で踊っている人たちも拍手。
そして、キャブはもう言うことなし!
1930年代の映像もあるくらいですよ。

シカゴ市の全面的協力があってこそ、の映画ですね。
『ブルース・ブラザーズ』を見てシカゴへ、という人もいるくらいで、
観光資源としても、『ブルース・ブラザーズ』は貴重です。
最後の曲は『スウィート・ホーム・シカゴ』ですからね!

No title

こんにちは。

私もブルースブラザーズ大好きです。ブッカーT&MG'sもこの映画で知りましたし、ここからブルーズに目覚めたと言っても過言ではありません。カントリー酒場での「Gimme Some Lovin'」、途中で終わっちゃうのが残念でしたが、格好良かったですし、ペリーメイスンに乗ってのドリフト駐車なぞ、音楽と共に映像が蘇ります。
ところで、キャブ・キャロウェーが若い頃出演したミュージカル映画なぞは、ご覧になってますか?私は昔タップダンスを習ってて、彼がニコラス・ブラザーズと共演したミュージカルなぞ、断片的に見たことがあるのですが、メッチャカッコイイでしす。

Re: yuccalinaさん

yuccalinaさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
『ブルース・ブラザーズ』は何度見てもいいですよね。
以前はたんにコメディとして見たのですが、それでも十分楽しめます。
ある程度音楽がわかってくると、また違った面が見えてきて楽しいのです。

キャブ・キャロウェイはYouTubeで断片的にしか見ていませんが、
とにかくダンスが巧い人ですね。マイケル・ジャクソンのような動きを、
ずっと前からキャブがやっていた、そんな印象を受けました。

鉄板的定番。

この作品、何十回も見ました。
ついには、コスプレまでしました。
わたくしの大定番です。^o^

Re: 鉄板的定番。; 四の字硬目さん

四の字硬めさん、こんにちは! コメントありがとうございます。

> ついには、コスプレまでしました。

日本で黒づくめをやると、「喪服」になってしまうんですね。
あちらではブラック・タイはパーティで用いても大丈夫なんですけどねえ。
何か柄の悪い人のように思われる可能性もあるので、難しいところです。
プロフィール

只野乙山

Author:只野乙山

⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

⚫︎ 下の「全ての記事を表示する」をクリックすると、全記事のタイトル一覧が出ますので過去記事を参照することができます。

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
最新記事
最新コメント

openclose

最新トラックバック
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QRコード
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

アーカイヴ

2017/07 (7)

2017/06 (9)

2017/05 (9)

2017/04 (8)

2017/03 (9)

2017/02 (4)

2017/01 (1)

2016/06 (1)

2016/05 (13)

2016/04 (13)

2016/03 (20)

2016/02 (10)

2016/01 (11)

2015/12 (10)

2015/11 (10)

2015/10 (11)

2015/09 (13)

2015/08 (10)

2015/07 (11)

2015/06 (10)

2015/05 (10)

2015/04 (10)

2015/03 (11)

2015/02 (9)

2015/01 (11)

2014/12 (9)

2014/11 (10)

2014/10 (11)

2014/09 (10)

2014/08 (10)

2014/07 (10)

2014/06 (10)

2014/05 (11)

2014/04 (10)

2014/03 (10)

2014/02 (9)

2014/01 (11)

2013/12 (9)

2013/11 (10)

2013/10 (10)

2013/09 (10)

2013/08 (11)

2013/07 (10)

2013/06 (10)

2013/05 (10)

2013/04 (10)

2013/03 (11)

2013/02 (9)

2013/01 (11)

2012/12 (9)

2012/11 (10)

2012/10 (11)

2012/09 (10)

2012/08 (10)

2012/07 (10)

2012/06 (10)

2012/05 (11)

2012/04 (10)

2012/03 (10)

2012/02 (10)

2012/01 (9)

2011/12 (9)

2011/11 (10)

2011/10 (10)

2011/09 (10)

2011/08 (10)

2011/07 (9)

2011/06 (9)

2011/05 (10)

2011/04 (8)

2011/03 (8)

2011/02 (12)

2011/01 (12)

2010/12 (12)

2010/11 (13)

2010/10 (15)

2010/09 (15)

2010/08 (14)

2010/07 (16)

2010/06 (17)

2010/05 (21)

2010/04 (18)

2010/03 (20)

2010/02 (23)

2010/01 (27)

2009/12 (27)

2009/11 (27)

2009/10 (26)

2009/09 (24)

2009/08 (19)

2009/07 (21)

2009/06 (30)

2009/05 (26)