6463シングル0.5Wアンプ (外観・内部デザイン編)

6463singleShassis(2).jpg
真空管アンプの部品が調達できたなら、次はアンプの外観と内部の部品配置のデザイン(設計)に移る。熟達者はゆったりめのケース本体(シャシー)を用意して、だいたいこんな感じ、で進めることができるのだが、ど素人(私=乙山)の場合そうは参らぬ。小さな出力だから小さなケースでいきたいもんだ、などと考えてしまいがちである。

そうして、電源トランスとOPT、真空管とスイッチ、ランプなどの配置を考え、それに見合ったケースを用意するだろう。それから内部構造を考えるわけだが、あれっ、思っていたより部品が多くて全部収めることはできない、とか、他の部品と接触してしまう、などといったことが起こってしまうものである。小さいアンプを作ると、こういうところが難儀である。

わかっているのだが、できれば見て楽しい外観デザインでいきたい。QUADⅡオリジナルやマランツ♯2のように、どこか美しさを感じさせるようなデザインができるといいのだが、到底不可能である。それでもまあ、できるだけがんばってみようと思う。内部構造は、3D-CADができればかなり実物に近い感じで詰めることができるが、2D-CADしか使えぬのでそれで我慢するしかない。

CADソフトは慣れぬうちは「何をしたらいいかわからない」感じがしていらいらするが、作業は「点を定め、点と点を結び、距離を測定し矩形や円形を配置する」だけである。ある程度のアウトラインができれば、「移動」して理想に近づける。しかもこれがフリーソフトだというのだから驚く。業者にケース加工を依頼するのではなく、自分で穴をあけるだけの目的だから寸出しと指定をする必要がないので気楽だ。

6463singleShassis_Side.jpg今回は電源関係と入出力端子をすべて向かって左側面に集中配置することにした(画像二枚目)。こうすると、棚にアンプを収納して使うことができる。いちいち後ろに回して抜き差しを行う必要がないので便利である。ACインレットは丸型2pのXLRレセプタクルを使用した。ITTキャノンはこれを認めていないけれど、定格は200V/15Aなのでまったく問題はないと思う。

とにかく、一度これを使えば止められぬほど便利なのである。挿入すればロックされて安全、しかもACコードは一本あれば使い回しできる(おいおい)し、いうことなしの優れものだと思う。抵抗器とキャパシターは平ラグを使って固定することにした。本当はベークライトにタレットを立てる昔風のスタイルが好きなのだが、スペースの関係上、平ラグを使わざるを得ないのである。

平ラグをL金具で立てて両面を使う予定だが、この両面作戦はマッキントッシュのアンプの内部構造をご存知の方ならお馴染みのものだと思う。平ラグにつける部品を鏡像配置にして、抵抗器側を抱き合わせることによって左右の配線差をなくしつつ、電流が多く流れて熱くなった抵抗器にキャパシターが炙られるのを回避するつもりである(なにしろ、安価な85℃耐熱の通常品なので)。

この平ラグは、本来なら皿ビスを用いて自由に配置できる。だがケースの厚さは0.8tである。ザグリ加工がうまくいくかどうかは、実際にやってみないとわからない(0.8tでM3はたぶん無理)のである。しかもOPTを固定するビスとナットの配置によっても制限されている。それらを考えぬと後で大変なことになるのは必定である。

こういう部分があるからこそ、ど素人は逡巡し、作業が遅れてしまう。ザグリ加工ができぬ場合のことを考えて平ラグを配置する必要がある。どれだけ慎重に設計しても、何か見落としていたり忘れていたりするものだ。だから現場はいつも、現物合わせである。設計図も予定もあるのだが、思わぬ予定変更など、いつだってあるのが現場というもの。

近頃は高耐圧のアキシャル・リード(いわゆるチューブラー)型キャパシターが市場に少なく、仕方なくすべてラジアル・リード型にした。電解キャパシターは賞味期限(?)があるので要注意である。抵抗器やキャパシターはオーディオ用を避け、すべて汎用・産業用を選択した。電源ユニットは後部または側部に配置し、チョーク・コイルは内部に組み込むようにした。これはH=60mmのケースにとって好都合である。

ここまで来るのに、二転、三転、紆余曲折したのは言うまでもない。ベテランの方でも、内部を何度も作りかえてやっと出来上がる、ということもあるのではないかと思う。しかし、いつも思うのは「こうやったら良かった」というエクセレントなアイディアは、どういうわけか本体ケースに穴をあけて引き返すことができなくなったときに思い浮かぶことが多い、ということだ。


≪ 6463シングル部品調達編へ  6463シングル 製作編へ ≫


【付記】
● たぶん、まだ、紆余曲折するんじゃないでしょうか。早く作りたい、という気持ちはあるのですが、ここで立ち止まって練り上げることが乙山には必要なのです。すんなり製作へ移行できて、すんなり完成する人がうらやましい限りです。なんでこうも手が遅いのか、と自分でも思うのですが致し方ありません。

画像は二枚とも最終決定ヴァージョンのひとつ前のものです。なので完成体は画像の図面とはいささか異なったものになる予定です。


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No title

>「こうやったら良かった」というエクセレントなアイディアは
どういうわけか本体ケースに穴をあけて引き返すことができなくなった
ときに思い浮かぶことが多い

・・・私も似たようなパターンに落ちることが多々あります(^^;)
悩み抜き、策を練りきったはずの作品なのに提出後やたらより良い
アイデアや改善策を思いつくのは・・・何故なんでしょうね~
作品制作中はプレッシャーで発想力が縮こまっているのか・・・??

ともあれ、ご自身に納得いくモノを作り上げるには試行錯誤はもちろん
全体を客観的に見るための時間も大切だと思いますので、たっぷり
紆余曲折しながら練り上げてください~♪

Re: zumiさん

zumiさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
いや本当、これは本音中の本音でしてね、いつもそうなんですよねえ。
要はその時に、それをがっちりつかんでおけば、次に使えるわけです。
といいながら、乙山もうっかり、いいアイディアを忘れてしまうんですよねえ!

真空管でステレオアンプを格好良く作るのは難しいんですね。
とくに、プッシュプルアンプではそうだと思います。ご存知ないかもしれませんが、
QUADの最新型ステレオ・プッシュプルアンプのデザインはいけません。
本当はすべてモノラル×2でいきたい気分ですが、
ミニチュア管だとそうする意味がなくなってしまいます。

乙山、今回CADを使いましたが、zumiさんCADはいかがですか?
CADが使えると、引き手あまた(?)かもしれませんよ。
PhotoShopにIllustrator、Premiere、そしてCADが使えれば、
かなり引き手もあるんじゃないでしょうか!
なあんてね。

No title

「引き返すことができなくなったときに
良いアイディアが思い浮かぶこと」に
一票!

それから、「慣れた頃に終わる。」は
いかがでしょうか?(笑)

良い音がでるといいですね。

Re: しょうちゃんさん

しょうちゃんさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
そうでしょう、えてしてそんなもんですよね。

> それから、「慣れた頃に終わる。」は
> いかがでしょうか?(笑)

仰る通り! まさにそんな感じですよねえ!
良い音なんて、そんな高級なことは乙山にはできません。
ひどい雑音なく音が出れば、それでOKです。

こんにちは、
お元気そうでなによりです。
人間、いろいろタイプがあれど、大まかなカテゴリーに分けます
と≪機械的人間≫と≪感覚的人間≫に分かれるのかなと思います。
オーディオだと、ワウフラッターがどうだとか、ここんとこ
一ミリかどうだとかそういうタイプ。ぎゃくになんかわかんないけど
こんな感じ、感覚的な雰囲気でいくひとと、
ぼくは今まで乙さんは≪機械的人間≫と思い込んでいたんですが、
意外に≪感覚的人間≫なのかなと思ったりしています。

このアンプはなんかこう、風通しのいい音がしそうで楽しいですね。
風通しといえば、アルテックの409B,DIGなんかで何気に
ドゥービーやイーグルスなんて、ユルくていいと思いませんか?
まさに≪感覚的人間≫っぽくて風通しがいいなあ。お洒落だなあと。

Re: HOBOさん

HOBOさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
思考が「論理的」か「感情的」か、それで二分することはできますね。
論理的にはそれでいいのだろうが、感情的にはできない、
それが人間なのだと思います(大岡越前?)。

機械的人間は、感情より論理を優先するのかな、と。
具体的にはスター・トレックのミスター・スポックとかね。
HOBOさんの仰りたいことと少し違うかもしれません。

もう一つ。
自分で判断することのできない人、
それは乙山の考える「機械的人間」にきわめて近いものです。
ですが世の中にはそれで、というか、その方がいい、
という人が少なからず存在するのです。
常に携帯電話を持って誰かに指示を仰ぐ人。

DIGでさくっと聴くって、それは達人の領域ですね。
409系は、埋め込み式スピーカーで、本来ハイファイ用途ではない。
だけど魅力的な音がするようですね。
755系も本来はハイファイ用途ではないと思うのですが、
いい音出すようですね。アルテックって、深いですよね!
乙山もなんか一つ欲しいなあって思いますよ。
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只野乙山

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⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

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