サントリーレッド
【日本のウィスキーを飲む】

江井ヶ嶋酒造の〈ホワイトオーク・レッド〉を楽しんで飲めたので、それなら元祖(?)レッドとでもいうところの〈サントリーレッド〉も楽しめるのではないか、と考えた。サントリーレッドは十三にある〈十三トリス〉で以前ソーダ割りにして飲んだ経験がある。その時はプレミアムモルツのハーフ&ハーフ→トリス・ソーダ→レッド・ソーダ→ホワイト(1:1を氷で)飲んだ。
十三駅西出口を出た付近に飲食店が密集する小路があって、その中に〈十三トリス〉もあるのだが、近頃そこで火災が発生し、十三トリスも火災に巻き込まれてしまったようである。何度か利用したことのある〈十三屋〉も焼失した。なんとも残念なことであるが、あの飲食店街が再開するのはかなり後のことになるのではないかと思う。
十三トリスでレッドのソーダ割りを飲んだときも悪い印象はなかったので安心してフルボトルを買い求めた。某酒の量販店にはどういうわけかレッドのフルボトルが置いてあり、ついでに1000円クラスの若いスコッチも一緒にもとめた。レッドだけだとさびしいとき、ちょっと入れるという悪戯用である。
サントリーレッドのことはご存知の方も多いと思うが、もとは1930年に寿屋(現サントリー)が発売した〈赤札〉だった。前年に発売された〈白札〉の不評を受けてブレンドを変え発売された〈赤札〉も売れ行きはよくなかったので製造中止になってしまう。1964年、二代目社長が〈サントリーレッド〉として販売し、これが現在まで残っているのだが、おそらく〈赤札〉と〈レッド〉の味わいは異なるのではないかと思う。
1970年代の終わり頃から1980年代中頃まで、映画番組か何かの途中に入るレッドのCMに大原麗子が出ていたのをよく覚えている。山好きである夫の荷物を支度した後、山ばかりに夢中になる夫に腹を立て(?)、リュックサックに蹴りを入れる姿がたいへん可愛らしく愛嬌があった。最後の決め台詞「少し愛して、なが~く愛して」もじつに印象に残るものだった。情の、深いところをピンポイントで突いてくるまことに巧妙なCMだったと言える。
良いなあとは思いながらも、実際にお世話になったのはオールドのほうで、レッドは夏場にコーラで割ってよく飲んだように覚えている。ウィスキーのコーラ割りは飲み物としては良くできていてたいへん飲みやすいものだが、ウィスキーの味を楽しむ飲み方ではないように思う。ソーダ割りがおいしく感じられるようになったのはかなり後になってからだった。
そんなわけで、実際にはちゃんとレッドを飲んでいなかったというのが本当のところだ。では改めて飲んでみましょう。やっぱりストレートでやらぬといかんのかなあ。もういきなりソーダ割りか水割りでいきたいんですけど……まあ撮影用に小型グラスに注いだわけだし、それをちょっと口に含むと、おお、やはり若いグレーンのアルコールがまず舌に来る。
ラベルには「モルティ&リッチ・フレーバー」なんて書いてあるけれど、文言のようではない。どちらかというと辛口で、角瓶に感じられる甘さはほとんどない。トリスより少しはウィスキーらしく仕上がっているという感じだろうか。加水すると尖ったアルコールが少し柔らかくなり、飲みやすくなる。当初から水割りで飲むことを計算されたブレンドではないだろうか。
「レッド対決」としてホワイトオーク・レッドと比較した場合、私(乙山)はホワイトオーク・レッドに軍配を指すと思う。でも、これはこれでいいではないか。YouTubeなどで映像を見るまでもなく、あの面影と声はしっかりと脳裏に刻み込まれている。あの面影と声を心の中で再現しながら、サントリーレッドのソーダ割りと水割りを楽しんだ。
十三駅西出口を出た付近に飲食店が密集する小路があって、その中に〈十三トリス〉もあるのだが、近頃そこで火災が発生し、十三トリスも火災に巻き込まれてしまったようである。何度か利用したことのある〈十三屋〉も焼失した。なんとも残念なことであるが、あの飲食店街が再開するのはかなり後のことになるのではないかと思う。
十三トリスでレッドのソーダ割りを飲んだときも悪い印象はなかったので安心してフルボトルを買い求めた。某酒の量販店にはどういうわけかレッドのフルボトルが置いてあり、ついでに1000円クラスの若いスコッチも一緒にもとめた。レッドだけだとさびしいとき、ちょっと入れるという悪戯用である。
サントリーレッドのことはご存知の方も多いと思うが、もとは1930年に寿屋(現サントリー)が発売した〈赤札〉だった。前年に発売された〈白札〉の不評を受けてブレンドを変え発売された〈赤札〉も売れ行きはよくなかったので製造中止になってしまう。1964年、二代目社長が〈サントリーレッド〉として販売し、これが現在まで残っているのだが、おそらく〈赤札〉と〈レッド〉の味わいは異なるのではないかと思う。
1970年代の終わり頃から1980年代中頃まで、映画番組か何かの途中に入るレッドのCMに大原麗子が出ていたのをよく覚えている。山好きである夫の荷物を支度した後、山ばかりに夢中になる夫に腹を立て(?)、リュックサックに蹴りを入れる姿がたいへん可愛らしく愛嬌があった。最後の決め台詞「少し愛して、なが~く愛して」もじつに印象に残るものだった。情の、深いところをピンポイントで突いてくるまことに巧妙なCMだったと言える。

そんなわけで、実際にはちゃんとレッドを飲んでいなかったというのが本当のところだ。では改めて飲んでみましょう。やっぱりストレートでやらぬといかんのかなあ。もういきなりソーダ割りか水割りでいきたいんですけど……まあ撮影用に小型グラスに注いだわけだし、それをちょっと口に含むと、おお、やはり若いグレーンのアルコールがまず舌に来る。
ラベルには「モルティ&リッチ・フレーバー」なんて書いてあるけれど、文言のようではない。どちらかというと辛口で、角瓶に感じられる甘さはほとんどない。トリスより少しはウィスキーらしく仕上がっているという感じだろうか。加水すると尖ったアルコールが少し柔らかくなり、飲みやすくなる。当初から水割りで飲むことを計算されたブレンドではないだろうか。
「レッド対決」としてホワイトオーク・レッドと比較した場合、私(乙山)はホワイトオーク・レッドに軍配を指すと思う。でも、これはこれでいいではないか。YouTubeなどで映像を見るまでもなく、あの面影と声はしっかりと脳裏に刻み込まれている。あの面影と声を心の中で再現しながら、サントリーレッドのソーダ割りと水割りを楽しんだ。
【付記】
● ソーダ割りと水割り、どちらでも楽しめますが、どちらかといえば水割りのほうがあっているかもしれません。トリスより少しだけ高級なのですが、どういうわけかトリスのほうが値段が高くなっているようです。このあたりの事情は謎としか言いようがありません。
● ソーダ割りと水割り、どちらでも楽しめますが、どちらかといえば水割りのほうがあっているかもしれません。トリスより少しだけ高級なのですが、どういうわけかトリスのほうが値段が高くなっているようです。このあたりの事情は謎としか言いようがありません。


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No title
「少し愛して、なが~く愛して」
CMの詳しい内容はおろかサントリーのどの製品のCMだったかも
忘れていたのですが(^^;)、この声・口調ははっきり覚えています。
「女子力」なんて安っぽいちんけなレベルを超えた底力と存在感が
あるんですよね~♪
CM放映当時、私が飲酒可能年齢だったらハマっていたかも・・・(笑)
また機会があれば飲んでみたいです♪
CMの詳しい内容はおろかサントリーのどの製品のCMだったかも
忘れていたのですが(^^;)、この声・口調ははっきり覚えています。
「女子力」なんて安っぽいちんけなレベルを超えた底力と存在感が
あるんですよね~♪
CM放映当時、私が飲酒可能年齢だったらハマっていたかも・・・(笑)
また機会があれば飲んでみたいです♪
Re: zumiさん
zumiさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
あの台詞、なんか印象に残りますよね。
あの頃は録画機がなかった時代で、CMもきちんと(?)見ていましたし。
HDに録画してスキップ、なんていうのを覚えてしまうと、
CMもまともに見なくなりました。
というか、いまはテレビさえありません(!)のでねえ。
サントリーレッドはたいへん飲みやすかったです。
なにか割りものにして飲むといいんじゃないかと思います。
某酒の量販店で800円くらいでしょうか。
あの台詞、なんか印象に残りますよね。
あの頃は録画機がなかった時代で、CMもきちんと(?)見ていましたし。
HDに録画してスキップ、なんていうのを覚えてしまうと、
CMもまともに見なくなりました。
というか、いまはテレビさえありません(!)のでねえ。
サントリーレッドはたいへん飲みやすかったです。
なにか割りものにして飲むといいんじゃないかと思います。
某酒の量販店で800円くらいでしょうか。
No title
僕は、何だか宇津井健とレッドの瓶の形が
頭に浮んでくるんですけど。
大原麗子は素敵でした。
可愛い女と言ったほうがいいのかな。
あのCMは特に。
頭に浮んでくるんですけど。
大原麗子は素敵でした。
可愛い女と言ったほうがいいのかな。
あのCMは特に。
Re: 根岸冬生さん
根岸さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
当初、レッドのCMは宇津井健だったようですね。
1960年代中ごろですから、トリスも並行して発売したんですね。
この時期は残念ながら記憶にありません。
1970年代の終わり頃から1980年代半ばまで、
ちょうど大原麗子が出ていた頃、映画番組もまだ華がありましたし、
ウィスキーの宣伝も盛んでしたね。
録画機がないものだから、テレビに張り付いて見ていました。
当初、レッドのCMは宇津井健だったようですね。
1960年代中ごろですから、トリスも並行して発売したんですね。
この時期は残念ながら記憶にありません。
1970年代の終わり頃から1980年代半ばまで、
ちょうど大原麗子が出ていた頃、映画番組もまだ華がありましたし、
ウィスキーの宣伝も盛んでしたね。
録画機がないものだから、テレビに張り付いて見ていました。
No title
好き嫌いは別として、このボトルは確かに郷愁をそそりますよね。
うちのオヤジはこいつをやってはいませんでしたが、他所のおじさんがちびちびやっていたのは幼いころの思い出に残る光景でした。
私はまだやったことがありません。
ご承知のサントリー嫌いになる以前も、これは飲んだ記憶がないです。
なんででしょうね・・・
うちのオヤジはこいつをやってはいませんでしたが、他所のおじさんがちびちびやっていたのは幼いころの思い出に残る光景でした。
私はまだやったことがありません。
ご承知のサントリー嫌いになる以前も、これは飲んだ記憶がないです。
なんででしょうね・・・
Re: gatayanさん
gatayanさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
乙山もレッドをきちんと飲んだ記憶がないのです。
初心者の頃、夏場にごくごく飲みたいときに、
コーラ割りのお供に登場したくらいでした。
この度、きちんと飲んでみると、
案外まともな(失礼)感じがして意外(失礼)でした。
確信はありませんが、1960~70年当時と、今ではブレンドが違うのでは?
単純にそう感じました。
乙山もレッドをきちんと飲んだ記憶がないのです。
初心者の頃、夏場にごくごく飲みたいときに、
コーラ割りのお供に登場したくらいでした。
この度、きちんと飲んでみると、
案外まともな(失礼)感じがして意外(失礼)でした。
確信はありませんが、1960~70年当時と、今ではブレンドが違うのでは?
単純にそう感じました。
No title
レッドといえば寮の先輩達から無理に飲まされた経験があって、余り良い印象が無いんですよね。
そんな状態だから味わうとかは無縁でして、しばらくウイスキー嫌いになってしまった原因ともなっていました。
今虚心に飲んでみれば感じも変わる可能性もありますよね。
このあいだの角プレの記事を拝見して、虚心に角プレを味わっているところなのです。
そんな状態だから味わうとかは無縁でして、しばらくウイスキー嫌いになってしまった原因ともなっていました。
今虚心に飲んでみれば感じも変わる可能性もありますよね。
このあいだの角プレの記事を拝見して、虚心に角プレを味わっているところなのです。
Re: Noriさん
Noriさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
そうですか、寮の先輩たちから無理に……辛い経験でしたね。
わりと多くの会社が独身寮みたいなものを持っていて、
それが個室じゃないこともあるんですね。
毎晩酒宴が開かれ、かなり辛いものがあります。
プルーストではありませんが、味は記憶を蘇らせるもの。
無理をなさらぬよう願います。
飲まなくても損したことにはならぬと思います。
プレミアム角はなかなかだと思いました。
そうですか、寮の先輩たちから無理に……辛い経験でしたね。
わりと多くの会社が独身寮みたいなものを持っていて、
それが個室じゃないこともあるんですね。
毎晩酒宴が開かれ、かなり辛いものがあります。
プルーストではありませんが、味は記憶を蘇らせるもの。
無理をなさらぬよう願います。
飲まなくても損したことにはならぬと思います。
プレミアム角はなかなかだと思いました。
No title
「少し愛して、なが~く愛して」のCMは。子供心に記憶にあるのですが、
自分は世代から外れてしまい、飲んだ記憶がありません。
レッドは東京でも置いてある店が少ないですねえ。
自宅にある、特級表示のオールドと飲み比べてみたいものです。
旧レシピのオールドは、それなりに足を使えば、比較的手に入りやすく
値段も1000円台ということもあって、たまーに買いに走っては、ちびちびと飲んでおります。
自分は世代から外れてしまい、飲んだ記憶がありません。
レッドは東京でも置いてある店が少ないですねえ。
自宅にある、特級表示のオールドと飲み比べてみたいものです。
旧レシピのオールドは、それなりに足を使えば、比較的手に入りやすく
値段も1000円台ということもあって、たまーに買いに走っては、ちびちびと飲んでおります。
Re: nandemonaさん
nandemonaさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
大原麗子によるレッドのCMはかなり長かったのですが、
1980年代後半からオールドのCMに彼女が出るようになり、
「今日からうちもオールドです」とやっていましたね。
1980年代の中ごろ、時代がオールドを追い越したのです。
今でも昔のオールドが入手できるのは信じがたいことです。
どこかの酒店にデッドストック品があるということでしょうかね。
ちょっとうらやましい感じがします。
大原麗子によるレッドのCMはかなり長かったのですが、
1980年代後半からオールドのCMに彼女が出るようになり、
「今日からうちもオールドです」とやっていましたね。
1980年代の中ごろ、時代がオールドを追い越したのです。
今でも昔のオールドが入手できるのは信じがたいことです。
どこかの酒店にデッドストック品があるということでしょうかね。
ちょっとうらやましい感じがします。
No title
>今でも昔のオールドが入手できるのは信じがたいことです。
>どこかの酒店にデッドストック品があるということでしょうかね。
タネを明かすと、古酒を取り扱う専門の酒屋さんがいて、
そういうお店で購入したり、ネットのオークション上で購入しています。
オールドは出荷数も多いこともあって、比較的入手しやすいのです。
そういう物のほとんどは未開封品で、金属製のキャップで、ラベルに特級と表示されていればしめたもの。
(特級とあるものは、1989年以前の製造になります)
確か関西のほうでも、古酒販売を専門とする業者があったはずですね。
ネット上でのオークション販売も盛んなようですので、調べてみてはいかがでしょうか。
>どこかの酒店にデッドストック品があるということでしょうかね。
タネを明かすと、古酒を取り扱う専門の酒屋さんがいて、
そういうお店で購入したり、ネットのオークション上で購入しています。
オールドは出荷数も多いこともあって、比較的入手しやすいのです。
そういう物のほとんどは未開封品で、金属製のキャップで、ラベルに特級と表示されていればしめたもの。
(特級とあるものは、1989年以前の製造になります)
確か関西のほうでも、古酒販売を専門とする業者があったはずですね。
ネット上でのオークション販売も盛んなようですので、調べてみてはいかがでしょうか。
Re: nandemonaさん
nandemonaさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
> タネを明かすと、古酒を取り扱う専門の酒屋さんがいて、
> そういうお店で購入したり、ネットのオークション上で購入しています。
なるほど、古酒専門の業者があるということですね。
それなら特級と書かれた本物も入手できるでしょう。
物によっては30年くらい経過したものもあるかもしれませんね。
もう一度、あのオールドを飲んでみたい気がしますが、
お値段のほうが……仰るように入手しやすそうですけど、
一部法外な値段をとる業者もあるみたいだし……
少し気が引けてしまっている感じです。
> タネを明かすと、古酒を取り扱う専門の酒屋さんがいて、
> そういうお店で購入したり、ネットのオークション上で購入しています。
なるほど、古酒専門の業者があるということですね。
それなら特級と書かれた本物も入手できるでしょう。
物によっては30年くらい経過したものもあるかもしれませんね。
もう一度、あのオールドを飲んでみたい気がしますが、
お値段のほうが……仰るように入手しやすそうですけど、
一部法外な値段をとる業者もあるみたいだし……
少し気が引けてしまっている感じです。