アルミ板で箱組?

Al_Kraft_01.jpg
6463シングル0.5Wアンプに使う予定の出力トランスは、コアが剥き出しなのでケースに収めたほうが見栄えが良い。たとえばタカチのMB型アルミケースに収めるなどの手があるが、ちょうどよいサイズのケースはなかなか見つからないものだ。いま手元にあるタカチのMB型アルミケースを分解して眺めているうちに、これくらいなら自分で作れないだろうか、などと思ってしまった。

自宅から一番近いところにあるホームセンターに自転車で赴き、1.0tのアルミ板や足りない工具類を買ってきた。厚さ2.0tまでなら、アルミ板は素人でも切断と単純な曲げくらいできるのだ。金属定規とカッターナイフを使って2~3回(できれば両面から)スジを入れ、作業台と切れ端の木材の間にアルミ板を挟み、クランプで固定する。切れ端の木材などを当てて一気に「曲げ」を行い、逆方向に戻すのを何度か繰り返すと切断できる(写真一枚目)。

Al_Kraft_02.jpg切断がすんだら罫書きである。罫書き針を使ってもよいが、面倒なのでカッターナイフで罫書きとスジ入れを同時に行う。できるだけ曲げの回数を減らしたいので10㎜の部分を先に曲げてしまう。これは思ったより精度が出なかった。曲げ方が下手なだけであるが、工夫が必要である。曲げが済むと、45度の部分を切断するが、ここは金鋸で真ん中を切った後、先が曲がったニッパーを使えば楽に切り取ることができる。

この部分(写真二枚目)がアルミ板箱組の要で、金属用ヤスリを使ってていねいに仕上げないといけない。きっちり45度でかませるのではなく、曲げの部分に1~2mm程度の余裕を持たせたほうがいいと思う。これも組み上がった後でわかったことで、もう一度曲げを少し戻してヤスリがけをしたことを正直に書いておこう。いずれにしても面倒な作業であることは間違いない。

接合部分の45度加工がすんだら、後は最後の「曲げ」で箱の形に持っていくだけだ。こういう小さな曲げのときは深型クランプがあると便利である。木材の切れ端も適当な物がないので、60mm×60mmのプラ板(1.0t)を8枚積層した「板」をスクラッチで拵えて固定する。しっかり固定していないと、うまく曲げることができないのでこういう小物は作っておくと重宝すると思う(写真三枚目)。

Al_Kraft_03.jpgさて、写真四枚目は一応組み上がった箱の内側の部分である。この段階で定規を当ててみるとかなりの偏差が生じており、箱の外側のコの字型のアルミを曲げる気力が失われてしまった。というか、やっても意味がないのである。やはり10㎜の曲げの部分の精度がこの箱組の肝であろう。この部分は作業台と切れ端木材で一気に曲げるより、小型万力で一つ一つ曲げたほうが正解かもしれない。

ここまでやってみて思うのは、やはり板金加工は難しく、ハードルはかなり高いということだ。アンプの本体ケース(シャシー)の自作をなさっている方もいらっしゃると思うが、相当の腕前がないと見た目に満足できるものに仕上げるのは困難であろう。この後、アルミ同士を留めるためにタップを立てないといけないのかと思うと、気が遠くなってくるほどである。隣近所を思うと、あまり音を立てられない事情もある。

Al_Kraft_04.jpgタカチの実物を見ると、1.0tの厚さのアルミにM3タップが使われている。これは常識ではありえないことで、実際にやってみると1.0tではM3タップを立てられなかった。M3なら最低でも1.5tは欲しいところだが、1.5tになると、加工もたいへんである。実物を手になさったら、それが痛いほどおわかりになると思う。このあたりも難物だろう。

おかしいなあ、と思ってタカチの実物を見ると、わざとバリが出るような穴をあけ、それをタップに利用している。心憎いプロの技である。そして、己が作った不細工なものと、タカチのそれを比べてみると、自作しようなどという気持ちが完全に失せてしまいそうになる。想像の領域を超えぬが、おそらくタカチでは機械がすべて加工しているんじゃなかろうか。そう思ってしまうくらい、精度が高い工作であるということだ。


【付記】
● 今回の工作は、作業台なしでは到底あり得ないものでした。作業台とクランプ、小型万力があるおかげで、なんとかそれらしい形に持っていくことができたのです。真空管アンプの製作は作業台なしでもなんとかなりますが、あると作業効率が上がること確実であると断言できます。ちなみに乙山の使っている作業台は、ホームセンターで2000円ほどで販売されているものです。


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No title

只野乙山さん、こんにちは。
とても多才ですね....
お料理も、DIYも...
最近、DIY女子も増えてるみたいですよね。
ホームセンターで見てるととても夢膨らみます。
でも、自分は不器用なので、挑戦される方をとても尊敬します。
自分自身満足行く仕上がりではなくても、自分で作ったものは愛着が沸くのではないでしょうか?

Re: かえるママ21さん

かえるママさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
いやあ、板金加工は難しいですね。
なめてかかるとえらい目にあいますよ。
自分の甘さとか力の無さを実感したわけです。

ホームセンターとか100円ショップを利用して、
アイディア勝負のDIYをなさる方はすごいですね。
仰るように、女性の方でもご自分で道具を使って収納とか内装など、
活躍している方もいらっしゃるようですね。

次は頑張ってもう少し良いものを……てか、次はあるのかな?

No title

ご無沙汰しておりました^^;
40年も前に半田ごて片手に
真空管の受信機を作ったのを
思い出しました。既製のアルミ箱に
大量のアナを開けたのを思い出しました。
あのころの情熱が私には残っていないことに
愕然としています(笑)

Re: しょうちゃんさん

しょうちゃんさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
1970年代ですね。ちょうどトランジスターが出始めたころで、
真空管は現役から趣味へと変わろうとしていた時代でした。

我が家のテレビも真空管式のカラーテレビでしたが、
驚くべきことに1980年代の終わりまで使っていました。
真空管ラジオとかアンプを作るときはおっしゃるようにケースに、
たくさん穴をあけないといけませんね。

No title

こんにちは~。
おお!アルミケースの自作ですか!
こういう記事にも思わず反応してしまいます。

私もDIYだいすき人間。
娘の服も自分の服も、オーバーまで自己流で縫っちゃいますし、
非力なので力仕事はあまり出来ないけれど、ホームセンターに行くのは
大好きです。
力仕事よりは、細かなものを自分で作る方かな。
製本、製箱などは一時、必要があってやっていて、結構道具も揃えています。
これも、アルミほどではないにしても、分厚い厚紙を何枚も何種類も正確に
切りださないといけないので、非力な私には結構大変でした。
そして、正確に測ったつもりなのに、やはり微妙に狂う!(笑)
ちょうど乙山さんのこの45度の切りだしのように、厚紙も面取りして
組み合わせていくのですが、面取りのためのカッターもあるのですが、
これが勘どころがなかなかまたつかめない。^^
金箔の文字入れ用の道具なども持っています。
製本は、本体を綴じ合わせるのが、本当に力仕事で大変でした。

一時はまた、塩ビ板の加工も考えたことがあって、ホットボンド用のコテや
塩ビカッターも持っていますし、その他にも円形カッターやハンダゴテ…
小さなチェーン加工用のニッパー、鳩目穴用のパンチなど、
いろいろ道具だけは持っています。

作業机、は絶対に必要ですね!^^
私はかさばるオーバーを縫うのも製本するのもパソコンするのも、なんでもみな
炬燵テーブルの上でやるので、狭くて、作業中やはりいらいらしますよ~。(爆)

乙山さんは、雑な私と違って本格的なお仕事なさるんだろうな~。^^
こういうのは、見ているだけでも楽しいですね。

Re: 彼岸花さん

彼岸花さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
板金加工は難しいですね。曲げの手順とか色々勘所があって、
それがつかめたら、なんとかなるようなものですが、
「眺めて楽しむ」レベルに仕上げるのは至難の業でしょう。

彼岸花さんは製本とか箱作りをなさっているんですね。
軽いものなら細手のタコ糸で和綴じというのもあるでしょうが、
和綴じがさっと出来るようになるには年季が要るんです。

木箱や紙の箱だと、やはり接合部分がネックになるでしょうね。
木の場合は接合部をかみ合わせる仕事になりますが、
もう指物大工なみの手腕がないと難しいでしょうし、
厚紙の面取りは想像するだに難しい仕事ではないでしょうか。

> 一時はまた、塩ビ板の加工も考えたことがあって、ホットボンド用のコテや
> 塩ビカッターも持っていますし、その他にも円形カッターやハンダゴテ…
> 小さなチェーン加工用のニッパー、鳩目穴用のパンチなど、
> いろいろ道具だけは持っています。

えっ! 彼岸花さんが塩ビ版の加工を!
いったい、何を製作なさるんですか?
塩ビといえば、乙山の趣味の範囲でもありますよ。
塩ビのパイプを使ったスピーカー作りなんてのもあります。
それにしても相当な工具をお持ちではありませんか!

作業台は、もし自分で金属板に板を開け、
ケースを加工しようとするならあったほうがいいでしょうね。
電動ドリルで穴をあける場合、何かで固定していないと無理なんです。
ヤスリがけをするときも、クランプとか万力でがっちり固定していると、
作業効率が驚くほど上がります。これは本当ですよ。

今回は彼岸花さんのDIY熱に驚きました。
ちょっとした小物を作るときなども、やはり小型万力があると便利ですね。
正直、今回はあまりうまくいかず、ちょっとめげていますので、
トランスはケースなしでいけるものを買うかもしれません。
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