地下鉄谷町九丁目周辺を歩く(6) 讃岐うどん つる一製麺

TuruichiSeimen_01.jpg
丼物はそれだけで食事が完結する独特の食べ物である。本来は主食(米の飯)とおかずは別に食べるものであろうが、おかずをご飯の上に乗せて(ぶっかけて)食べるやり方は手っ取り早く済ませることができる。いわゆる一汁一菜式の食事が定着する以前は雑炊のようなものや、汁かけ飯のようなものが主に食されていたのではないかと想像する。丼物はだから、ひょっとすると日本人の心の故郷のようなものかもしれぬ。

天丼、かつ丼、親子丼、鰻丼、牛丼、他人丼(牛肉と卵)、海鮮丼といろいろあるけれど、どれがいちばん好きかと訊かれれば親子丼と答えてしまうかもしれない。たしかに鰻丼は大好きだし、天丼やかつ丼もたまに無性に食べたくなる魅力がある。だがそれらは本当にたまに食べるくらいでいいのだ。もし毎日でも食べることができるとしたら、親子丼か卵丼、あるいは木の葉丼じゃなかろうか。

というわけで今回は親子丼の気分である。谷町九丁目の交差点付近にうどん屋があるのを知っていて、そこでは丼物も出しているようである。先に丼物はそれだけで食事が完結する、などと書いておいてなんですが、親子丼とうどんのセットてなものがあるではないか。外はとても寒いことだし、うどんを食べてあったまりたいという気分でもあった。

と、言い訳をしながら谷町九丁目〈つる一製麺〉に来ている。カウンターだけの店で、どこか立ち食いうどん(そば)屋の雰囲気に似ている。讃岐うどん、と表に書いてあったけど、いかにも讃岐うどんという感じではなくて、ふつうのうどん屋さんである。いかにも讃岐うどんというのは、うどんの製麺所の一角で、セルフサービスでてんぷらなんかが並んでいる光景を思い浮かべていただきたい。

TuruichiSeimen_02.jpgさて料理が来ましたよ。予告しておいたとおり、親子丼とうどんのセットである。卵も一部半熟(いささか火が通り過ぎかも)で、うまい具合に拵えてありますね。学食だと完全に火が通った卵にたっぷりのつゆというのがお決まりのコース(?)だが、そういうものと比べては失礼であろう。しかしながら世の中は広いもので、けっこうな値段をとりながら学食以下のものを平気で出す店も存在するのである。

親子丼はやはりうまいなあ。上に三つ葉が乗っかっていれば最高なんだけど、ないものねだりをしても仕方がない。うどんがあれば、親子丼の飯を食べた後に汁を飲むことができるので便利だ。もっとも、私(乙山)は汁物がなくても平気で弁当を食べることができる人間だが、飯がのどにつっかえちゃって、という人もいるのではないか。

うどんを見ると、わかめと葱が乗っているだけの至ってシンプルなもの。出汁はいたって普通のもので、削り節と昆布でとっているのではないかと思う。温かいうどんにしたからか、讃岐うどん独特の強いコシはあまり感じられなかった。西宮にいた頃、〈うどん四国〉という店のぶっかけ生醤油うどんをよく食べた。水できりっと締めたうどんに酢橘を絞り、醤油をかけて食べるものだが、これはコシがあって噛み応えがあったように思う。

その〈うどん四国〉では出汁にいりこを使ってあって、それが讃岐うどんだと思い込んでいた。醤油の色がほとんどないいりこ出汁は味わい深く、それがお気に入りになってしまったほどである。なので〈つる一製麺〉のふつうの出汁にはちょっと肩すかしをくらってしまったような感じである。いりこ出汁より削り節と昆布の出汁のほうが大阪では受けると考えて意図的にしたのかもしれん。

しかしうどんと親子丼のセット、食べてしまうとお腹がいっぱいになってしまった。しまった、またしても腹八分目作戦を失敗してしまったではないか。しかもこのボリュームで630円、安くてうまいが当たり前の大阪魂を感じたんだけど、この店、たしか讃岐うどん屋さんだったのでは? そうか、本物というか現地の讃岐うどんはもっと安くてうまいんでしたね。


【付記】
● 看板には確かに讃岐うどんと書いてありますが、現地のそれを知っている人ならちょっと「?」となるかもしれません。いりこ出汁じゃないんです。だけどまあ、細かいことは別にして、費用対効果の話ではいい線をいっているのではないかと思います。


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No title

丼物は、大好きです。
いつも、うな丼、カツ丼、天丼、そして親子丼と悩みますが・・
悩む時はなんでもいいということだと思います。
サイコロを振りたいぐらいです。

最近、腹7分を心がけています・・
年を重ねて、これらを食したいと思うのは健康な証拠ですね。

たまに、丼物と讃岐うどんを近隣の稲沢市の「うどん市」で食します。

なんだか、かつを出汁のうどんの香りが漂ってきます。

No title

腹八分目が中々実践できないみたいですが、やはり少な目に注文して、足らなかったら何か足す方が上手く行きそうです。もしくは、残すことです。
私の場合、勿体ない事をしてしまった、という経験をすると、次から沢山注文し過ぎないように、となるのですが。

Re: otokiさん

otokiさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
丼物って、たまに無性に食べたくなりますね。
ウナギが高騰して鰻丼を気楽に食べられなくなって残念です。

> 最近、腹7分を心がけています・・
> 年を重ねて、これらを食したいと思うのは健康な証拠ですね。

乙山も昼は〈阪急そば〉のてんぷらそばだけ、という日もあります。
お昼を軽くすると、夕方にお腹が減って気持ちがいいですね。
ただ、人前でお腹が鳴るのには閉口します。
そういう予定がある場合、ついお昼はしっかりと、などと思ってしますのです。

稲沢市のうどん市、早速拝見しました。
いやはや、穴子天丼といいかき揚げ丼といい、何たる大きさ!
これは良いですねえ。ですが出汁は仰るように削り節と昆布のようですね。
讃岐うどんはいりこ出汁、これは乙山の思い込みなんでしょうか。

Re: yuccalinaさん

yuccalinaさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
本当、仰る通りですよねえ。乙山は外食で食べ物を残すのは、なにか罪悪感を抱いてしまい、
つい、最後まで食べよう、となってしまいます。

お昼を12時頃に食べ、19~20時になっても業務があるときなど、
ついしっかり食べておかないと、などと思ってしまうのです。
少なめのお昼と、わずかの間食のほうがいいかもしれぬ、とわかってはいるんですが!

寒い時の丼とうどん。

見知らぬ土地で、約束の時間が
差し迫って選択の余地が無い時などは
とりあえず
入る感じの丼物とうどんの店なんかは
特に真冬の寒い時などはたまりません。
季節外れですが気分は映画
幸福の黄色いハンカチで見た
食堂のシーンの
高倉健さんをやさぐれた氣分で
大人げなく気取りたくなります。
わたけしが、
もっぱら注文するのは、
親子丼とたぬきうどんなんですけど、
わたくしもつい、完食してしまいます。
因みに健さんは作品中ビールとカツ丼と
ラーメンをガッツリいってます。




Re: 寒い時の丼とうどん。 ; 四の字硬目さん

四の字硬目さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
寒いときには、温かい汁ものを食べたくなりますね!
ほうほう、そちらには「たぬきうどん」があるんですね。
おそらく、関東流の「たぬきそば」のように、
うどんに天玉を入れたものと想像します。

『幸せの黄色いハンカチ』、思い出すだけで涙腺がやばいです。
本当に観たら、また眼から液体があふれてしまいそう。
だけどビールとかつ丼、ラーメンというのは多めですよね。
刑務所から出てきた男、という設定では「あり」なんでしょうね。

No title

この手のうどん・・・本当に美味しくなりましたよね。
一昔前までは、かなり本格的なお店に入らなければ美味しいうどんなんか期待できなかったのに。

最近のこの手のうどん屋さんは、そんなお店の味を凌駕しているって言ってもいいぐらい水準が上がってきていますからね・・・上に乗せる天ぷらを含めて・・・

最近はうどんなしで天ぷらだけ食べて返りたいぐらいですよ・・・缶ビールを持ち込んでね。
そんでもって〆にやっとかけうどん・・・無理だろうなあ・・・でもしたいなあ・・・

Re: gatayanさん

gatayanさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
ラーメンの進化もすごいものがありますが、うどんもそうかもしれませんね。
モスクワにセルフうどんの店が進出し、そこそこ人気があるらしいのです。

乙山は一昔前の柔らかい、そこそこおいしい大阪うどんも好きですよ。
仰るように、てんぷらを食べて、締めにかけうどんというのは素敵です。
そのうち、そういう要望にも応えてくれる店もできると思います。

No title

うどん四国って昔大阪の堺東にあった「四國うどん」の系列店なのでしょうか・・・??
うちの両親が徳島県出身の為か、子供の頃たまに家族揃ってのお出かけで
外食する時はこのうどん屋が多かったです♪
普段食べるうどんとは全く違う歯応えが楽しかったのとかやくごはんが
美味しかったことは覚えているのですが
小さい頃は出汁の味まで気が回らず(^^;)

腹八分目作戦、うどんは量の割りにお腹が一杯になりやすいですし
(消化が良くてお腹がすくのも早いですが)
油脂も少ないのですからお昼に食べる分にはきっと大丈夫ですよ!
まぁ大盛り且つ連日ならちとヤバいかと思いますが・・・

Re: zumiさん

zumiさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
「うどん四国」と「四国うどん」、煮ているようで違います。
前者は「壁の穴」(東京)によるもので、後者は大阪発らしいです。

乙山は「うどん四国」を食べ、いりこ出汁が気に入り、
それが讃岐うどんだと思い込んでいたのです。
香川に行って食べたことがないので本場の味は知りません。

うどんって、仰るように消化がいいんでしょうね。
腹いっぱいになっても、胃もたれがないんです。
脂が多いと、ずっと後まで響きますよね。
下手な中華料理屋では、よくあることなんです。

うどんをお昼に食べるのは、良いですよね?

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Re: 鍵コメントさん

鍵コメントさん、コメントありがとうございます。
お気遣いありがとうございます。
ですが人前で腹が鳴るのもどうしたものか……
なのでつい、先のことを考え、食べてしまうのです。
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只野乙山

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