豚肉と豆腐の鍋

SlicedPorkAndTofu.jpg
豚肉と青菜だけのシンプルな鍋料理に「常夜鍋」がある。青菜は主にほうれん草を使うことが多いそうだが、水菜(京菜)でやってもいいのではないかと思う。とにかく、豚肉と青菜を昆布出汁で煮るだけだからあっという間にできる。ぽん酢で食べる常夜鍋は不思議と飽きがこなくて、連日それでも構わないくらいである。

常夜鍋を作るつもりで豚肉(もも肉の薄切り)を買って帰ったはいいものの、あると思い込んでいた水菜がなく、代わりにあるのは豆腐。豚肉と豆腐で「肉豆腐」を作ることを考えたが、関西で「肉豆腐」といえば牛肉と豆腐になるので、なんだかぴんとこなかった。そうこうしているうちに、さるウェブログで豚肉と豆腐の鍋をしていたのを思い出した。

常夜鍋のように昆布出汁で煮るのではなく、出汁に味を付けたもので豆腐と豚肉を煮る鍋料理が、たいへんおいしそうなのだ。これはもう、真似をしてみるに限る、と思って早速実行に移した。なにしろ材料は豚肉と豆腐だけである。出汁をとったほうがおいしいとわかっているけれど、ヒガシマルうどんスープでやることにした。寒いし、お腹が減っているのだ(関係ないか)。

豚肉は部位によって火を通し過ぎると硬くなってしまうので、沸騰した出汁で煮続ける必要はなく、食べる直前にそっと入れるくらいでいい。世の中には「豚しゃぶ」という料理があるそうだが、あれなど豚肉の性質を考慮したなかなか良い食べ方というか料理法ではないかと思う。熱い汁の中に薄切りの豚肉を入れて泳がせ、色が変わったらさっと食べるわけである。

いい方法ではあるが、いちいち面倒くさいので、ここは一気に軽く火を通してしまう。ボウルか何かに豚肉を張りつけるようにして並べる。そこに熱湯を回しかけ、軽く火を通し、すぐ水に移して軽くすすいでおく。この際、熱湯は沸騰したものを使うより、60~70℃くらいのほうが都合がいい。熱すぎると、火が通り過ぎてしまうのだ。

熱湯でヒガシマルうどんスープをとかし、沸騰した瞬間、火を止めてしまう。そこへ、豆腐を入れ、半分火を通した豚肉もそっと入れる。蓋をして保温調理器へ移し、数分間放置しておく。保温調理器がない場合、100円ショップなどのニットキャップを二重にし、それで片手鍋をくるんで放置する。ニットキャップを二重にしたものは、紅茶を淹れるときも役に立つ。

豆腐はそのままでも食べられるのだから、温めるだけでじゅうぶんなのだ。豚肉も火を通し過ぎては具合が悪い。なので保温調理器を使ったわけだが、一種の低温調理法(?)なのかもしれない。豚肉と豆腐の鍋ができるまで数分間、小松菜のおひたしでもつまみながらぬる燗酒を飲む。いま飲んでいるのは〈呉春〉の普通酒。

出汁汁には味が付いているので器にとればそのまま食べられるが、器に少し出汁汁を入れ、そこに柚子胡椒をとかしこみ、七味唐辛子を振り入れ、あれば柑橘類の絞り汁も少し入れるのが乙山流である。今回は冷蔵庫に三つ葉があったので、それを豚肉と豆腐に添えるようにした。豚肉と豆腐だけでも一向に構わないが、彩りはよくなった。

豆腐は煮立たせていないので「す」がたつはずもなく、申し分ない具合にできている。豚肉も、もも肉を使ったわりには柔らかく、とてもおいしくできたのではないかと思う。何も、もも肉を使う必要はなくて、脂が好きな人は豚バラ肉の薄切りでもいいだろう。三つ葉の香りがあると、豚肉がさらにおいしくなるような気がする。とにかく、豚肉と豆腐の鍋は思った以上にいけるもので、考案した人物に敬意を表する。


【付記】
● 豚肉と豆腐の鍋は、京都に住んでいるという一風変わった「おっさん」の所で見かけたものです。ご自分で「おっさん」と名乗っているようなので構わないと思いますが、くれぐれも「只野乙山」をそのように発音なさらぬように。皆様の心の中ではどのような読みでも結構ですが、公式には「乙山=おつざん」ですのでどうぞよろしく願います。

後日、残り汁にきちんととった出汁を入れ、味を調えて同じものを作ったところ、とてもおいしくてびっくりしてしまいました。さっとやってもいいのですが、きっちりやるのもやっぱりいいなあ、それだけのことはあるなあ、とつくづく思いました。

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No title

美味しそう~!この鍋一品で酒がどれだけ進むことか・・・
「休前日限定鍋」として真似してみたいです(笑)
実際のところ豚肉のビタミンB・豆腐の植物性たんぱく質&イソフラボンなどなど
体に良い成分が含まれている上、さっぱりして消化もしやすく連日の仕事に疲れた
身体にも優しそうな花丸メニューではないかと♪

ヒガシマルうどんスープ、あなどれませんよね!!
実は私、たまに出汁巻など作る時にこのうどんスープを重宝しています(^^;)
まぁきちんとした出汁をとるに越したことは無いのですが、時間や気力体力に余裕の
ない時には心強いお助け調味料です♪

No title

常夜鍋と言えば、わが家では
ほうれんそうと豚肉です。
毎日、食べても飽きない感じですよね^^
豆腐もいれてみようっと!

酢醤油に柚子胡椒って最高の取り合わせですよね。
30代で柚子胡椒を知った時、それを知らなかった
それまでの人生を呪ったものです。

No title

わが家でもヒガシマルスープを使ったシンプルな味の鍋をよくやります。豚肉はアクの強い野菜との相性も良いですよね。私は春菊を豚バラ肉で巻いて食べるのが好きです。
扱いが楽なのでバラを使う事が多いです。豚の腿肉は火を通し過ぎると固くなりますが、脂が少ない分肉の美味しさが分かる気がします。

^^

常夜鍋~これ作ったことがありますよ~。豚肉好きの自分にとってはぴったりの料理でした。自分の場合。豚肉・豆腐以外に春菊を入れて。ポン酢で食べていました。今の季節には一度作りたい料理ですね^^)/

Re: zumiさん

zumiさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
詳しい理屈は知りませんが、お酒を消化するのにたんぱく質が必要とのこと。
その点、この鍋は豚肉と豆腐ですので高たんぱくです!

ヒガシマルうどんスープ、重宝しています。
実際、寄せ鍋というかソップ炊きなど、
味付き出汁の鍋のときはこれの出番です。

うどんスープなのに、これでうどんを作ったことがない!
なんか変だなあ、と思うのですが、まあいいか!

Re: しょうちゃんさん

しょうちゃんさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
今回は豚肉と水菜で常夜鍋を作るつもりだったのですが、
あると思い込んでいた水菜がなかったのです。

それで「仕方なく」という感じでしたが、やってみるとOKでした。
味付き出汁の鍋に「柚子胡椒」は欠かせませんね!

> 30代で柚子胡椒を知った時、それを知らなかった
> それまでの人生を呪ったものです。

えっ、そうなんですか!
たしか柚子胡椒は九州地方の名産品だったような……
違っていたらお許しくださいね。
柚子胡椒最高!

Re: yuccalinaさん

yuccalinaさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
ヒガシマルうどんスープ、便利ですよねえ!

> 豚肉はアクの強い野菜との相性も良いですよね。私は春菊を豚バラ肉で巻いて食べるのが好きです。

そうそう、豚肉と春菊の相性はいいですね。
常夜鍋、豚肉と春菊でやってもいいと思います。
ふだん、豚肉のコマ切れというのを使っておりますが、
このときは、コープ(生協)でもも肉の薄切りしか置いてなかったんですね。

Re: ^^ ; waravinoさん

waravinoさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
常夜鍋はいいですねえ!
具だくさんの寄せ鍋もいいのですが、具材を厳選して、
シンプルな鍋のほうがおいしいような気もします。
仰るように、豚肉、豆腐、春菊の三点セットの鍋は最強です。

No title

相変わらず、いつ見ても美味そうなもの、食べてまんなあ。
乙山先生の記事を見ると
三年大阪に暮らした、あの頃に覚えた関西風味のお料理が
甦ってくるんですよね。
東京生まれの東京育ちだと、基本は嗜好が関東なので。
でも、関西の美味さを舌は覚えています。

No title

美味しそうですね!
私は、尾張在中ですが、娘が数年前に大阪の大学に通ってまして、何度も関西へ行く機会がありました。
大阪のたこ焼き食べたら、こちらのものは食べられませんでした。

関西と名古屋では、だしの取り方が違いすぎます。

私も豆腐鍋が大好きで豆腐屋のラッパ(近くに来るんです)で走っていきます。
我家は、昆布だしで寄せ豆腐(150円也)と白菜を入れポン酢でいただきます。
たまに三枚肉を入れますが・・焼酎のつまみに最高ですね。

No title

これは美味しそうですね。
さっぱりと、頂けそうです。
ヒガシマルうどんスープは有名なんですか?
ググってみましたが、一度も食べた事がないので、これも探してみたくなりました。うすくち醤油なんですね。

今はお料理で、困った時にネットを調べると何でも解決出来る便利な世の中になりましたよね。

付記に、くすくすっと笑ってしまいました。かえるままは心の中で「おつやま」さんと申しておりました。長いお付き合いの途中で「おつざん」さんと知りましたが、最初に「おつやま」さんと思い込んでしまったのです。

No title

夜中に再コメントいたします。(←不眠症)

たしかに柚子胡椒は九州ですね。
私、生まれも育ちも岩手県釜石市です。
中学で九州に来ましたが、大学は東京だったので、
両親共々、九州の文化にはゆっくりと
染まっていったのです。

Re: 根岸冬生さん

根岸さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
関東と関西の料理の味付けの違いはあるでしょうね。
大阪市生まれで畿内を出たことがないことに加え、
やれ塩分とりすぎに気を付けろだの、制限もあるのです。
薄味志向になりがちなのです。
しっかり色がついてないと、という料理もありますね。

Re: otokiさん

otokiさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
なるほど、愛知だと関東文化圏の影響が強いでしょうね。
おそらく、三重もそうじゃないかと思います。

愛知と三重は地続きですし、東海道というものがありますからね。
距離はありますが、江戸と伊勢を行き来する人が多かったのでしょう。
三重から大阪へとなると、山越えをしないといけません。

そこが、関東文化圏と、関西文化圏の境界だと思います。
名古屋の味噌の使い方は、関西人には真似できませんよ。

> 私も豆腐鍋が大好きで豆腐屋のラッパ(近くに来るんです)で走っていきます。

豆腐さんのラッパ、こちらでは聞かなくなりました。
なぜか哀しげですが懐かしさもありますね。

Re: かえるママ21さん

かえるママさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
ヒガシマルうどんスープは、関西ならどこでも手に入るものです。
かなり面白いテレビ宣伝もしているようですよ。
たしかに、北海道にない、ということはありそうですね。

このウェブログを立ち上げたとき、ちょうど西宮に住んでおり、
近所に甲山(かぶとやま)というこんもりした山があるのです。
甲(こう)の山があるのなら、乙(おつ)の山があってもよかろう、
そんなつもりで「乙山」が生まれたのです。

おつやま、もあながち外れた読みではないようですよ。

Re: しょうちゃんさん

しょうちゃんさん、再コメントありがとうございます。
なるほど、経緯を伺うと30歳まで柚子胡椒を知らなかった、
というのを納得しました。そうなっても仕方ありませんよ。

乙山が柚子胡椒を食べたのは高校生の時でした。
関西のちゃんこ鍋屋さんでしたね。
あの薬味は何なのか、と家族で話し合ったりしたものです。
今では柚子胡椒を手放せなくなってしまいました。

No title

豚も豆腐も鍋ではよく使うのですが・・・
それだけとは・・・

確かにうまいでしょうね。

それに柚子胡椒も・・・いい・・・

こうなるとお酒は、「冷や」ではいけない・・・「燗」ですなあ・・・
それも、ぬるいやつ。

私の好みからいえば、青いものは三つ葉ではなく、「セリ」。
東北の人間にとっては「セリ」ですねえ・・・

Re: gatayanさん

gatayanさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
今回は他に入れるものがなかったのでこうなったのですが、
具材を絞ったほうが良くなることもあるように思いました。
怪我の功名のような感じですよ。

なるほど「セリ」とは気付きませんでした。
三つ葉はよく見かけるのですが、セリはどうでしょうね。
たぶんあるんでしょうけど、気にしていませんでした。
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只野乙山

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⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

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