ジョニー・キャッシュ 『ゴスペル・コレクション』

Johnny Cash / The Gospel Collection (2010)

JohnnyCash_GospelCollection.jpg
01.I Was There When It Happened
02.Belshazzar
03.That's Enough
04.The old Account
05.The Great Speckle Bird
06.Troublesome Waters
07.There'll Be Peace In The Valley (For Me)
08.Were You There (When They Crucified My Lord)
09.He Turned Water Into Wine
10.Jesus Was A Carpenter
11.The Greatest Cowboy Of Them All
12.Keep Me From Blowing Away
13.Far Side Banks Of Jordan
14.Daddy Sang Bass
15.Swing Low Sweet Chariot
16.It Was Jesus
17.God Will
18.Amazing Grace


ジョニー・キャッシュという人を知ったのは比較的最近のことである。なにしろあのエルヴィス・プレスリーより少し遅れて活動を始めたカントリーのシンガーのようである。エルヴィスでさえ、もはや過去の人になってしまっている世代の人間が、ジョニー・キャッシュのことを知らぬのも無理はない。例によって「名盤100選」などの情報誌でその名を知ったのだと思う。

しかしなんという精悍な面構えというか強面だろう。歌を歌っていなかったらこの人、町の与太者とか犯罪者(失礼)になっていたとしてもいささかも不思議ではない感じがする。だがその表情になんとも言えぬ魅力があって、今回の『ジョニー・キャッシュ/ザ・ゴスペル・コレクション』もほとんどジャケット買いしたようなものだ。

本来はカントリーのシンガーでたまにゴスペルも歌うことがある、というジョニー・キャッシュのゴスペル・ソングを集めたコンピレーション盤。聴いてみると、何とものんびりした雰囲気で、カントリーとフォークを合わせたような感じで、このアルバムではロックとブルースのほうに傾いていないのが特徴といえる。

CD付属のブックレットを見ると、1950年代後半から1975年までの音源が集められているようだが、残念ながら演奏メンバーはジョニー・キャッシュ以外は不明である。ゴスペルにはコーラスが付き物で、たとえば(1~3)のコーラスはいかにも素人くさい感じがする。ところが(4)のバックコーラスは上手すぎる。これ、ひょっとしたらプラターズの面々が参加してるんじゃなかろうか。

ジョニー・キャッシュのヴォーカルはなんとも味わいのあるバリトン・ヴォイスで、声だけ聴いていて魅了される稀有な存在ではないかと思う。実際、彼のファンにはおそらくラジオやテレビを通してだと思うが刑務所内の囚人が多いそうで、それを知ったジョニー・キャッシュは刑務所内でライヴを行ったという。それがまたたいへんヒットしたそうである。

カントリーとは言うけれど、このアルバムを聴いている限りウェスタンの方向には行っておらず、スライド・ギターを多用したいかにもウェスタン、という感じではない。フォークといってもいいのだが、スリー・フィンガーを多用したいかにも、というフォーク・イディオムでもない、独特のサウンドになっているように感じた。

こういう行き方もあるんだなあ、と感心したけれど、今回のゴスペルソング集とかではなくてジョニー・キャッシュ本来の「歌」を収録した初期のアルバムなんかを聴いてみたいものだと思った。また伝説の刑務所ライヴも聴いてみたいではないか。ロカビリーのような、初期のロックンロールなんかも、ジョニー・キャッシュには似合いそうである。


【付記】
● 日本ではそれほど知られていないけれど、アメリカ本国ではむしろエルヴィス・プレスリー以上のファンがあるかもしれないジョニー・キャッシュ。カントリーというのは日本で演歌に人気があるのと同様、ものすごい裾野が広がっているんじゃないかと思いました。


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No title

只野乙山さん、こんばんは。

ジョニー・キャッシュは、いまでも根強い人気がありますね。
私は、カントリー系が苦手なので彼は聴きませんが、70-80年代にテレビをつけるといつも彼の顔がどこかの歌番組で出現していた記憶があります。ジョン・デンヴァーやドリー・パートンなどもその一人ですね。(その後テレビを見ないので分かりませんが)近年も彼を題材にした映画が作られていたと思うのですが、あの強面がとても苦手でもありました。私の中でもやはりカントリー=演歌という感じなんです。演歌と類似した世界感がそこにはあると思えます。エルビスも苦手だったから一体何なのでしょうね。(ナッシュヴィルなどの地域的な雰囲気なのかもしれません、テキサス訛りも何故か苦手です)

でもカントリーってやはり地域的には国民的音楽として愛されていると思うのでジョニー・キャッシュの存在はお亡くなりになった今でも永遠に健在なのでしょう。でも彼のゴスペルはちょっと聴いてみたい気もします、怖いもの見たさの感じかな。

Re: まん丸クミさん

まん丸クミさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
ジョニー・キャッシュは本当に強面ですね。
強面といえばトム・ウェイツなんかも相当なもので、
この二人はアメリカの二大強面歌手だと言えるかもしれませんね。

かつてジョニー・キャッシュが司会の歌番組のようなものがあった、
というのをネット上の情報で確認しました。
エド・サリヴァン・ショーのようなものかな、と思ったのですが、
ちょっと違うかもしれませんね。

カントリーと言ってもウェスタンよりのそれではなく、
フォークの要素もあって、それに少しロックの雰囲気を入れてあります。
エルヴィスは晩年のパロディばかり見て育ったせいか、
真面目に聴いてきませんでしたが、聴いてみると意外なほど格好よかったです。

ゴスペルと言ってもキリスト者以外は日本では馴染みがないでしょうが、
ジョニー・キャッシュの「アメージング・グレース」はなかなか良かったですよ。

No title

こんばんは

 渋いCDを購入されましたね。
 このジャケットはずいぶん若い時のものですね。
 「刑事コロンボ」に出たのを見て驚いたことがあります。
 その時はこの写真の倍くらいありました。体格がです。
 でも、あのジョニー・キャシュがコロンボに出るとは驚きでした。乙山さんがおっしゃるようにプレ スリーを凌ぐ人気があったようです。さっそく、youtubeで聴いてみます。

じつに素晴らしい素材。

こんばんは、乙山さん。
ジョニー•キャッシュ、
じつに素晴らしい素材のチョイスだと思います。
かれは、そうだなあ、ストレートコーヒーみたいな素材で、
混じりけの無いナイスガイだと思いますよ。
まったく洗練されていないというか、そのまんまというか、
ざっくばらんというか、高倉健みたいな人なんだと思いますよ。
ぼくからすれば、演歌ではないんですねえ、牧歌というか、
ジャンルのない人間臭さがカレの魅力のような気がします。
じつはこのアルバム、聴きたかったんですよ。
ジャストチョイスベリーハッピー!
じつに素晴らしい素材であります。
ありがとう。

HOBO

Re: mikitaka08さん

mikitaka08さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
ジャケットの彼だけを見るともう若いとは思えませんが、
ジョニー・キャッシュは2003年頃に亡くなった人でしたね。
晩年のことを思えばたしかに「若い」ですね!

ジョニー・キャッシュが『刑事コロンボ』に出ていたなんて!
それは知りませんでした。えっ、体格が倍も?
それも、ちょっと想像できません。
エルヴィスとだいたい同じころから活動をはじめ、
ずっと後まで活動を続けていた人ですから、ファンも多かったと思います。

Re: じつに素晴らしい素材。 ; HOBOさん

HOBOさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
ジョニー・キャッシュを聴いたのは本当に最近のことです。
伝説だけ聞いていて、実際に聴いたことのない人ばかりです。

まだ『ゴスペル・コレクション』しか聴いていませんが、
HOBOさんが仰るように、「ジャンルのない人間臭さ」が魅力なんでしょうね。
カントリーとはいうものの、いかにもカントリーって感じじゃありません。

これは不思議な感じですね。
たしかに演歌になると、演歌以外の何物でもないようになるのですが、
ジョニー・キャッシュはそうじゃないんですね。
HOBOさんの仰ること、わかるように思います。
他のものも聴いてみねば……
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只野乙山

Author:只野乙山

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