白菜と薄揚げの煮炊き物

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相変わらず葉物野菜が高めのままである。ニラはその中でも比較的安い方なのでよく利用するようにしているが、いつもニラばかり食っているわけにはいかない。それにニラは、どちらかというとはっきりした味付けにしたほうがおいしいようで、食べるときもかなり繊維が固めなので何度もかみ続けないといけない。

同じ葉物野菜でも、青物とはいえないのかもしれないが、白菜などはその対極にあるような感じがする。癖は非常に少なく、繊維は柔らかい。くたっとするまで煮てしまえば、極端な話、かまずとも食べられてしまいそうなほどである。今回はその白菜を薄揚げ(油あげ)と合わせて煮炊きにしてみた。

要するに「菜っ葉と薄揚げの煮炊き」であるが、菜っ葉は家にあるものなら何でもいいのではないかと思う。小松菜やしろ菜はもちろんのこと、あるいは青梗菜でもいいのではないか。いかにも中国野菜のような響きがあるが、しろ菜と青梗菜のちがいはほとんどないと言っていいくらいだ。

このような菜っ葉の煮炊きを、京都では「**の炊いたん」と言うのだが、これはなにも京都の専売特許ではあるまい。祖母は大阪の女性であったが、よく「**の炊いたん」と言っていた。「炊いたん」は「炊いたもの」というほどの意味で、神話の巨神でもなければ木星の衛星でもないのは言うまでもない。「たいたん」と入力して変換しようとするとそれにしようとするので苦笑してしまう。

材料は白菜と薄揚げだけ。白菜は1/4カットでも90円という恐ろしい値段。分量を忘れて90円という値札に釣られて手を出す自分の庶民感覚が情けない。薄揚げは一枚物というか、稲荷寿司のように中に何かを入れるためのものではないものを好んで使っている。関西ではよく「京揚げ」などと称して販売しているが、東の方の事情はわからない。

削り節と昆布で出汁をとって、などと本格的にやる必要はさらさらなくて、これはいろいろなやり方があると思う。煮汁を作って白菜と薄揚げを放り込み、しばらく煮ると出来上がる。油で白菜と薄揚げを炒め、そこに粉末出汁の素を入れ、酒としょうゆで味を調える方法もある。これだと、水を一切入れずとも白菜から水気が出るのでOKである。

今回は淡口しょうゆを使っているので色はほとんど付いていないけれど、すき焼きの白菜のように、しっかり色が付いているものも食欲をそそる。色々なやり方があるのだが、私(乙山)はよく鍋の残り汁を使って煮炊き物を作る。本当なら鍋の最後に雑炊をしてなくなるはずの代物だが、最後に雑炊をすると食べすぎになるのである。

休日なら昼に雑炊をすることもあるが、それもできずに冷蔵庫に鍋ごと放り込んだままになっているのもしばしばで、仕方ないからそれを煮炊き物に使う。水炊きの残り汁を少し鍋に入れ、そこに白菜と薄揚げを投入、砂糖少しとみりん、酒を入れてしばらく煮る。最後に粉末出汁の素と淡口しょうゆを入れ、そのまま保温調理器へ入れて放置。

保温調理器がない場合、しばらく煮て火を止め、放置しておくだけでいいと思う。少しずつ冷めてくるけれど、味はこの段階で染みていく。夕方食べるのなら、かなり早い段階から作っておいて、一度完全に冷めてからもう一度軽く温めるくらいが最良である。だが、白菜と薄揚げなら、それほど味をしみ込ませる必要もなく、煮上がったらそのまま食べてもいいのではないかと思う。

何とも優しい味である。汁ごと一緒に全部食べてしまえるくらいの味に仕上げるのが好みである。すぐできる、しかも簡単にできる菜っ葉の煮炊き物は、もはや「心の友」と言ってもいいくらいで、じつにしばしば食卓に登場する。深夜に換気扇を回して臭いの強い炒め物などができぬ場合も、煮炊き物なら周囲に迷惑をかけずともできるのではないかと思う。


【付記】
● いやまったく、こういうものを「料理」と称してぬけぬけと記事にしてしまう厚かましさをお許し願いたいものです。


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No title

「タイタン」はしっかり料理と思いますよ(笑)
「ニタン」「ヤイタン」「ツケタン」が姉妹品です。

No title

昔は白菜に限らず、葉物の野菜を炊いたやつは嫌いで嫌いで・・・

それが何となくおいしく感じられるようになってきたのはお酒を常飲するようになってから・・・

私の酢機器rしを直したという点においてお酒は全く偉大です(笑)。そして、そのお酒のあてとして私がもっとも好きなものの一つの油揚げ・・・堪えられませんなあ・・・

Re: しょうちゃんさん

しょうちゃんさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
ああそうでした、仰る通りですね。
「煮たん」「焼いたん」「漬けたん」でしたね。
「魚の焼いたんがあるけど」なんて使いますものね。

Re: gatayanさん

gatayanさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
いつの間に「菜っ葉の煮炊き物」なんかが好きになった(?)のか、
もうわからなくなってきましたよ。

日本酒にはこの種のお総菜がぴったりですものね。
ワインではこうも参りません。
揚げを焼いて、生姜と葱を添えて醤油をかける……これでもう充分ですね。

No title

いやいや、これで立派な一品料理ですよ。
私も自分で『菜っ葉の炊いたん』を作ったりします。
昔はもっと脂っこいものを好んだのですが、日本酒を飲むようになってから『煮浸し』が好物になってきました。

他所で飲みに行く時もおばんざいがあるような店を選び、『菜っ葉とお揚げの炊いたん』は外せませんね。
ちなみに最近はラーメンでシメとかしないで、専ら佃煮や漬け物でお茶漬けというでシメをしております。

No title

こんばんは~。
いや~、この美味しさ、わかりますよ~。
まして、鍋物をした後の汁で炊いたのなら、なおさら味がしみて
美味しいでしょう。
白菜は癖がなくて、煮るとたくさん食べられるし、ありがたい野菜ですね。
私は、白菜とお豆腐のお味噌汁が大好きで。^^
お味噌は九州の麦みそ。
白菜は、それだけで油炒めしても美味しいです。少し大きめのざく切りに。
味付けは簡単に『つゆの素』のようなだし汁を使って、飴色に柔らかく煮上げます。
仕上げに一味唐辛子をふりかけるか、あるいは唐辛子を最初から
刻んで入れて炒めると、ピリッとパンチの利いたお味に。
シンプルだけど意外な美味しさ。ごはんのおかずにお酒のあてに、と。^^
あと、白菜は、柔らかく茹でて水気をぎゅっと絞って1センチ幅くらいに切り、
水切りした木綿豆腐と少量のお味噌で、簡単な白和えにしても
すごく美味しいです。これ、日本酒のおつまみにきっといけますよ。

Re: Noriさん

Noriさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
ふつう「焼き物」とか「揚げ物」を好むものですが、
だんだん「煮炊き物」が好きになってきました。

何か総菜がある店がいいというのは本当ですね。
それにラーメンでしめるというのは久しくしておりません。
あれはやはり20~30代の人がやることでしょうかね。

晩酌に炭水化物をとりませんので、そもそもしめがない状態です。
外で飲んだら、しめにお茶漬けなんていいですね。

Re: 彼岸花さん

彼岸花さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
水炊きの後、ふつうは雑炊ですが、それをやると食べすぎになり、
仕方なく、冷蔵庫で保存することになります。

次の日に雑炊ができればよいですね。
卵とか何も入れず、ひたすらくつくつ煮て、
最後にしょうゆを少しだけ入れ、自家製の梅干しで食べるのです。
梅干がうまいって、なんて素敵なんだろうと思いましたね。

白菜の味噌汁、おいしいですねえ!
むかし宮沢賢治の「味噌と少しの野菜を食べ」というくだりを読んだとき、
白菜の味噌汁のことに違いない、というか、
自分の「味噌と少しの野菜」とはこれだ! と一人で納得していました。

今なら味噌とはおそらく「おかず味噌」のことだろうし、
野菜とはたぶん「漬物」ではないかと想像できますが、
子どもの頃は白菜の味噌汁のことしか考えられませんでした。

No title

しみた味の感触というかイメージというか郷愁というか
それに誘発されて煮物を作るというのはよくありますね。

出汁のしみた白菜……
出汁のしみた大根……

妄想のようにそれがイメージ化されると作ってしまいます。

野菜ではないのですが、最近、あるお店のアラ煮にイメージが強く湧いて。
しかし、そのお店、途中下車なんです。それが面倒で行ってません。
行かないでいると、妄想は消去できず、困っています。

No title

 米以外のものを「炊く」というのは関西弁でしょうね。
こちらではまず使いません。ぼくもかつて最初に耳にし
たときはずいぶん違和感がありました。

 京都の人はプライドが高いから、そんなことをいった
ら田舎者扱いするんでしょうけど、いくら田舎者でも
Titan などという大胆なまちがいをすることはありませ
ん(笑)。意味はわかりますとも。

Re: 根岸冬生さん

根岸さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
煮物はおっしゃるように何か郷愁を感じさせるものがありますね。
おでんを食べるとき、人はそんなことを思うのかもしれません。

アラ煮は食べ出すとたまりませんね!
なるほど途中下車の店でそんな感じになっているのは乙山にもあります。
そこがいい店だというのはわかっているのですが、
特急電車に乗ると通過してしまうのです。

だけど気になって仕方ないんですね。
何かの機会があるのを待っている感じです。

Re: 薄氷堂さん

薄氷堂さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
なるほど、関西以外ではあまり野菜を「炊く」とは言わないのですね。
今回意識して「煮炊き物」と表記しましたが、普通は「煮物」ですよねえ。

「たいたん」と入力すると、変換第一候補が「タイタン」なのでしょう。
毎度、苦笑させられます。「たいた」なら素直に「炊いた」とくるので、
その後「ん」を入れるようにしていますよ。
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