「フルレンジ道楽」、ついに動き出す

JBL_D130.jpg
かねてから平面バッフルまたは後面開放型でフルレンジをあれこれ聴いてみたいという構想はあったのだが、なかなか実現できずにいた。あまり難しく考えずに、とりあえず板を買って来てフルレンジユニットを取り付ければOK、のはずなのだがそうは問屋が卸さない。本当に平面バッフルをやるにはそれなりのスペースが必要で、ただでさえ散らかり放題になっている部屋の収拾がつかなくなってしまう。

そこで平面バッフルはあきらめ、後面開放型にすることにした。後面開放型にすれば、驚くほど小型化できる。たとえば、平面バッフルの最小型は1m×1mくらいだろうと思うが、四隅を後ろに折りたためば50㎝×50cm×25cmで収まる。50cm平方あれば、38cmの大型ユニットも装着できる。これは面白そうだ、と思ったが、問題はユニットの交換をどうするか、である。

前面バッフル板を交換式にするとあれこれユニットを聴くことができるが、それではユニットの数だけバッフル板が必要になってしまう。いちばん大きなユニットを装着できる穴をあけてバッフル板は固定し、あとはサブバッフル板を使って小さなユニットを取り付けるようにすればいいではないか。とここまで構想は進んだが、そこでほとんど座礁したようになってしまった。

いちばん大きなユニットをどうするか? この問題でほとんど構想は頓挫してしまったのである。いちばん大きなユニット、といえば38cmクラスのフルレンジまたはコアキシャル型になるだろう。具体的にはアルテック・ランシングの604系、タンノイならモニター・ゴールドかレッド、JBLならD130あたりになるのではないか。この中で中古市場に出回っていて値段的に手ごろな物といえば、D130に絞られる。

値段的に手頃といってもD130の場合、2個で約10万円程度が相場ではないかと思う。タンノイやアルテックを選んだ場合、20万円以上は覚悟しないといけないだろう。どうして、もっと新しいユニットではいけないのか? スペインのBeymaやイタリアのSICAあたりもよさそうだし、ノルウェーのSeasも面白そうである。イギリス/中国のMarkAudioもたいへん魅力的ではないか。なぜ、それらの新しいフルレンジユニットではいけないのか。

たぶん、いま挙げたフルレンジユニットなら、どれを使っても満足できると思う。むしろ古いユニットを使ったほうがリスクが大きく、落胆する可能性は大きい。どこに、どんな劣化が生じているか見た目にはわからないからである。本当は結論が出ているはずなのだが、どうしても古いユニットへのあこがれも捨てきれず、あれこれ考えて迷宮に入ったかのごとく構想はいつものように保留状態へ。実現はまだまだ先の話だ、ということになってしまうのである。

古いユニットに執着してしまう原因はおそらく、自分が聴く音源が比較的(というかかなり)古いものが多いからではないかと思う。1930~50年代のものを好んで聴く変な趣味があり、それは最新型のスピーカーではいまひとつうまく鳴ってくれぬ恨みがある。新しい設計のスピーカーユニットはたいへんクリアな音だと思うが、古い音源を聞くと音の悪さまでびしっと再現してしまいそうな気がして仕方がない。

古いユニットならそのあたりをうまく折り合いをつけて心地よく鳴らしてくれるのではないか、そんな期待をどうしても捨てきれぬ。そんなわけでとうとう某日、古いユニットを見かけたのでふらふらと入手してしまった。ああ、ついにやってしまった! 今まで何度か、この種の誘惑を振り切って臥薪嘗胆を貫き通してきたのだが、たまにはいいではないか。

写真がその現物であるが、コーン紙の破れもなし、センターキャップも凹みがなく、エッジも良好、わりと状態の良い物だと思う。とりあえず線をつないでiPodと0.4W電池式アンプで音出しをしてみたが、「音が出ない」とか「音が濁っている」というトラブルはないようだ。おそらく1970年代の物で、最後のアルニコ磁石のユニットではないかと思う。この後、1980年代に入ると、ほとんどの製品がフェライト磁石に移行していった。

1950年代製造のグレー塗装のフラットバック、16Ωタイプでないと……などという声がどこかから聞こえてきそうであるが、そういう本当のヴィンテージを待っていても出てこないまま時間だけが過ぎて行きそうである。自分に残された時間を考えると、いつかきっと、ではなく、今でなくてはいけないのだ、となんだか自分に言い聞かせるようにしている。「フルレンジ道楽または三昧」、とうとう動き出しましたよ。


「フルレンジ道楽」起点
フルレンジ道楽(1)へ ≫  後面開放型SPへ ≫

【付記】
● スピーカーユニットだけではどうにもなりません。箱をなんとかしないとならぬのですが、これは「プラモデルのように組み立てる」ことを目指して木材加工業者に発注する予定です。狙いはずばり、往年のJBL、C型エンクロージャーのように見えることを目指します。それに三菱のP160なんぞを装着して何食わぬ顔で聴かせる……こういうのを「人が悪い」などと申します。


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No title

いやあ、今どき(といってはなんですが)随分と上品な話題ですなあ・・・

そういえば・・・何時だったかお話した、阿倍野アポロの南側の商店街の西の突き当りにあった(と私が記憶している)四分休符というジャズ喫茶には大きなディスプレイを挟み込むように、大きな・・・それは大きなスピーカがあったのを覚えています。

目いっぱい大きな音でデキシーランドを聴きながら、チーズの盛り合わせあたりでバーボンをなめる気分は最高でした・・・

Re: gatayanさん

gatayanさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
まあこれは、何というかあくまで個人的な「決意」のようなものです。
そうでもしておかないと、いつまた、「保留」になるかわかりません。
このように公開すると、やらざるを得ない状況に追い込まれるわけでして、
それをわかって(ねらって)やっております。

阿倍野の〈四分休符〉、入ったことがないんです。
だけど外から見たことはあります。「あっ」てな感じでした。
不思議なことで、阿倍野の〈トップシンバル〉にはお見えにならなかったんですね。
そこもジャズを流しているパブでした。

No title

フルレンジ道楽ですか…
正しく男の趣味ですよね。

私の職場の元後輩がフルレンジ至上主義のヤツでして、スピーカーがいっぱいあれば偉い主義の私と論争になったことがありました。
まあつまらないカーオーディオに何を乗せるかと言った話の延長のことでしたが。
彼は基本的に2つのスピーカーで鳴らすのが一番良いと主張したのですが、私はBOSEの8スピーカーの最新式サウンドシステムを乗せるのだと言い張りました。
私の車だから好きにさせてくれれば良いんですけどね。

彼は乙山先生と同じく家の中で平面バッフルを企てたのですが、奥様からキツイお達しがあって断念した様で、いきおいカーオーディオに愛情を注ぐことに…

私も余裕があればこの分野に手を出したいのですが、如何せん資金が…

Re: Noriさん

Noriさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
フルレンジかマルチウェイか、そういう論議があること自体が、
とても「熱い」ことで、喜ばしいではありませんか。

乙山がフルレンジというのは、なにもそれが「音がいい」からではなくて、
スピーカーを低音用と高音用に分けると、ネットワークが介在したり、
音の位相管理などが難しくなるからでして、要するに、
「ど素人」だからフルレンジ、ということなんですね。
フルレンジのほうが音がいい、といいたいのではありません。

ボーズは研究を重ねた結果として製品を出していると思いますので、
安心してカーオーディオに設置できると思います。
乙山もボーズのシステムをカーオーディオに導入することをお勧めします。
詳細はわかりませんが、おそらくアンプも「込み」でしょう。
なので、まったく問題なく、音楽を楽しめると思いますよ。

わりと高いお金を出して、低音も高音もそれほど伸びていないものを、
わざわざ購うのはもはや「狂気の沙汰」であります。
手を出さないのがいちばんであるのは言うまでもありません。

No title

 フルレンジ、平面バッフル……う~ん、三、四十年前に戻っ
たようななつかしさですよ。

 フルレンジは音がぴたりと一点に定まるから、いいアンプで
鳴らすと、歌手が目の前に立って歌っているように聞こえるん
ですよね。低音がどうの、高音がどうの、という次元とはまた
別のリアルさがあり、体がゾクゾクしてきます。いいなあ。

No title

乙山さんこんばんは、
乙山さんのことだから、きっと素晴らしいものができると思いますよ。
アンプなんかもおそらく自作のものでマッチングさせるんでしょうから、
それこそ、「ひとが悪い」。

結局、乙山さんがなにをしたいのか、どういうものを作りたいのか、
そのへんについてはそれぞれの考え方がありますのでね。

この記事を読んでいてこんなことを思い出しました。
むかし、僕はクラプトンのストラトの音にあこがれましてね。どうしてもあの音が出したくて、しかし、それこそ本物の57年なんて何百万もしますからね、
そこで何とか、フェンダー社のそれこそ同じ時代のピックアップだけを手に
入れたんですよ。高かったあ。笑
業者にアッシュ材の軽いボディを作らせましてね、ちゃんと下から、ニトロセルロースラッカーで塗装して、ネックなんかも当時のものとそっくりに削ってもらって、いよいよ、ピックアップをつけて鳴らしてみると、おっ?結構いい音なんですよ。フレットなんかもこだわりましたからね。クラプトンと同じアンプにつないで。
本物じゃないものを使い、本物のようなまたそれ以上の音が出せれば
そんなカッコいいことはない、それこそ「人が悪い」んです。通ですよ。通。
ところが、、、枯れてないんですよ。そしてそれはフェンダーではない。
時を経て初めて出来上がるあの感じがないんですね。
それからですよ、僕は多少無理をしてでも本物を手にするようになったのは。
ヴィんテージの楽器がすべていい音がするとは限りません。ステージではレプリカしか使わないHOBOですわ。

この話と乙さんの今回のトライを重ねて考えないでくださいね。
グレー塗装だとか16Ωだとかそんなん関係ないですよ。車でもカメラでも完全
オリジナル派のあたしとはきっと考え方がちがうのでしょうから、正しい、まちがい、そんな次元の話にはなりませんしね。
銀座の某有名オーディオ屋の主人が、まったくオリジナルのスピーカーで、
人の悪い試みをしませんか?と打診されましたが、ローズを買ったほうが安い
ことに気づきローズ購入に至ったあたしです。

カーオーディオなんですが、ドイツやイギリスなんかにけっこういいものが
ありますよ。最低でもパワーアンプ、ウーハー、ツイーターは別のほうがいいと
思います。さんざん試したあたしです。街中を祭ばやしのようにドンドンいわせるあんなものとは程遠い、それはそれは知的な試みです。音は空間で作る
ものですものね。
長くなりました。
「人の悪い」素晴らしいものを!フルレンジ最高!大好きだす。

HOBO

No title

コメントがだぶりました、一個、削除してね。

フルレンジ一発の醍醐味・・・。

只野乙山様

お写真はD130でしょうか。C型エンクロージャーですか。どこまでも、こだわりと、美意識の調和ですね。
私などは、思いつきのまま、あれこれ突き進むタイプですので、熟慮が足りません。

音源、アンプ、どのようなシステムが構築されていかれるのでしょうか。

また続報お願い致します。

Re: 薄氷堂さん

薄氷堂さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
懐かしい話題でしょう?
むかし憧れていたものに、やっと巡り会えた気分です。

本当はもっと早くお付き合いするべきでしたが、
どうしてもその気が起きなかったのが不思議なくらいです。
いや本当、なんでいまさら、自分でも苦笑いしたくなります。

平面バッフルはスペース的に難しく、後面開放型になりそうです。

Re: HOBOさん

HOBOさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
フルレンジをあれこれ聴いてみたいという欲の深い男であります。
本当はハーツフィールドならそれ一つ、というのが理想ですが、
まだいろいろ聴いてみたくて、絞り切れません。

後面開放型の箱を作るだけでよいはずなのですが、
そこで少し「遊び」を入れたくなったのです。
この種の「遊び」が大好きで、どうして遊びになると熱中するのか、
自分でも苦笑いしたくなります。

HOBOさんのクラプトンの話、いかにもHOBOさんらしくて、
感心してしまいましたよ。乙山はJBLの音を目指しているのではなくて、
ただ遊びたいだけなので、今回のトライをクラプトン話と重ねはしません。
しかしどれだけやっても「あの音」が出ない経験が貴重なのですね。
HOBOさんが本物を知っている、とはそういう経験から来る「本当」のことだと。

HOBOさんのレベルには程遠い「お遊び」ですが、
あまりひどいのは古いユニットをぼうとくすることになりかねません。
きちっと後面開放型の「箱」を作ろうと思っています。

Re: フルレンジ一発の醍醐味・・・。 ; ハゼドンさん

ハゼドンさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
仰る通り、写真のユニットはJBLのD130です。
オーディオのことは好きなのですが、徹底したものではなく、
あまり人様にお見せできるものではありません。
なので「オーディオ」というカテゴリーも存在していない有様です。
多少時間がかかりそうなので、気長にやってみようと思っています。
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只野乙山

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