サントリーウィスキー(白角)



〈遊歩者 只野乙山〉 特別企画
【日本のウィスキーを飲む】



Shirokaku_01.jpg
夏になると酒の記事が増えてしまうのはいつものことであるが、これは思考回路がうまく働かなくなることもあるだろうし、どういうわけか酒の量が増えてしまうことにもよるだろう。とにかく暑くて、冷たい飲み物がおいしくて仕方がない。ウィスキーの記事ばかり書いているけれど、じつはジン&トニックをいちばん初めに飲んでいる。これも夏の恒例行事(?)となっている。

言い訳もこれくらいにしてウィスキーである。ジン&トニックがこの季節とてもおいしいのだが、せいぜい2杯くらいが限度で、それ以上飲み続ける気にはならない。もう一杯だけ何か飲みたい、というときにウィスキーがあればほっとする。なんだかんだいって、ウィスキーに戻ってくるのだからおかしなものだ。今回はカナディアン・クラブの記事の時に予告したようにサントリーウィスキーの〈白角〉である。

駅前のスーパーマーケットの酒売り場の、ウィスキーコーナーでいちばん売れているのは何か、というとサントリーウィスキー〈角瓶〉だろう。ふつうの角瓶、黒角、白角と三兄弟が仲良く並べられているのだが、これは他の酒のように一本ずつではなく、10本くらいずつ、一番下の所に置いてある。閉店近くの時間に滑り込むと、それがごっそりなくなっているのだから恐ろしい。

ところが、すべて売り切れているわけではなくて、三兄弟のうち二つは見事に売り切れているが、一つだけ一切売れずに残っているものがある。何だと思います? 行きつけのバーでバーテンダーにクイズとして出題してみたが、答えは〈白角〉。どういうわけか、白角だけが一本も売れずに残っていたのである。よし、私が買ってやろうじゃないか、というわけで買い物籠に入れた。

Shirokaku_02.jpgなんでそういうことになるのかわからないが、どれ、飲んでみよう。いつものようにトゥワイス・アップ(ウィスキー:水=1:1)で飲んでみる。ふうむ、どちらかというとピート香控えめの〈角瓶〉だけど、さらにピート香が抑えられている。それに〈角瓶〉で感じられる華やかな甘みも抑えられているように思った。なるほどラベルに「淡麗辛口」とあるけれど、それって日本酒の用語でしょう?

これ、飲んだ感じが非ピート系のウィスキーにそっくりなんですね。最近飲んだカナディアン・クラブにとても似ている。違うかもしれないが、ニッカウヰスキーのオールモルト系の味わいにも少し似ているような気もする。これは炭酸で割るより、そのまま飲むとか、氷に注いで飲む、あるいは濃いめの水割りにするのがいちばんいいかもしれない。たぶんソーダ割りにするとつまらぬ味になってしまいそうな気がする。

以前サントリー社から〈和イスキー 膳〉とかいって、食中酒としてのウィスキーが出たことがあったが、その時の宣伝文句も「淡麗辛口」だったのではないか。ニッカの〈オールモルト〉に対抗して出したものと想像するが、いつの間にか〈和イスキー 膳〉はラインナップから消えてしまった。現在、そのコンセプトを一手に引き受けているのが〈白角〉ではないかと思う。

いまや〈角瓶〉自体が事実上の「晩酌ウィスキー」になってしまったので、わざわざ「晩酌ウィスキー」というカテゴリーの製品を作る必要もない、ということなんだろうか。たしかに食中酒として飲みやすいようにブレンドされていて、それ用にするといいのかもしれないが、なんだか〈角瓶〉のおいしいところを薄めてしまっているような印象がしないでもない。そのあたりが、あの売れ残りに表れているのかもしれぬ。


≪ サントリーウィスキー(角瓶)へ  サントリーウィスキー〈角瓶 黒43°〉へ ≫


【付記】
● 実際、飲んでみると〈角瓶〉のテイストを残しながら、より「飲みやすい」ウィスキーにしようとしているというのはよくわかります。本当に、悪くない出来だと思います。ただ、あれだけ「角ハイボール」とか言って売り出しているわけでしょう、ソーダで割ると、パンチがないんですよねえ。

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No title

学生のころはこの角瓶が高嶺の花でねえ・・・
滅多に口にできない。ましてや、その上位にあったダルマさんなんて年に一回口にできるかどうか・・・。

それでも社会に出てやや裕福(?)になってからは、しばしば口にすることができるようになってきました。

まだその頃は黄色だけで・・・そのうちにここの社長の「熊襲」発言があって、サントリーの商品はできるだけ口にしないようになりましたので、白ラベルはあんまり口にしたことがないなあって感じで・・・

でもあんまり口にしたことがないってことは幾度かはあるわけで、その時の感覚としては、せっかく黄色があるのに、この味のものをわざわざ出す必要があったのかなって感じでした。まあいずれはなくなってしまうものだろうと思っていたらいつまでもあるんですよね。それがちょいと不思議で・・・

No title

今回は白角ですね。
記事にもありますが、何となく白角が売れ残ってしまうのは分かるような気がしますね。
『淡麗』というのは便利な言葉なのですが、ただ味のうすい物を淡麗と呼ぶのには違和感があるのです。
それと同様に『辛口』というのも同様な気がします。

ウィスキーを飲むというのはその風味を求めて飲むのであって、ウィスキーの味がしないモノをわざわざ買うという事は希でしょう。
無理に食事に合わせなくても…と思いますが、そういったニーズもあるのでしょうね。

ちなみに私は食後にゆっくりと晩酌をします。

Re: gatayanさん

gatayanさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
〈角瓶〉にいつの間にか兄弟ができて、どんなんだろうと飲んでみたのです。
何か、複雑な気分でした。なんでこういうものを作るのかなあ、と。

食中酒、というのはわかるんですが、〈角瓶〉のよさが薄められているのです。
別のものとして売り出せばよかったのですが、それはうまくいかなかった。
どうもこれは、〈角瓶〉の看板をもらっているだけのウィスキーかもしれませんよ。

飲んでみると、そんなに悪くないと思うんですが、
なんでわざわざ〈角瓶〉の兄弟にする必要があるのか、
そんなふうに思いました。角瓶は角瓶だけでいいのにな、という感じです。

「学生のころはこの角瓶が高嶺の花で」というのは至言です。
角瓶は、本来、そういうウィスキーだったはずですが、
時代がすべてを通り越してしまったのです。

Re: Noriさん

Noriさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
仰る通りで、ウィスキーぽさをなくしてしまえば、
それはただの「蒸留酒」なんですね。

一見わかりやすい「淡麗辛口」ですが、なんでそれをウィスキーで、といいたくなったのです。
やはりこれは、どうしても「オールモルト」の対抗馬として残したい、
ただそれだけの感じもしないではありません。

業界というのは一般消費者の見えぬところであれこれ画策しているので、
はっきりとは言わないけれど、やはり何かあるのです。
〈角瓶〉の看板を利用しないでは売れなかったのでしょう。

ところで、食後にゆっくりと晩酌、というのも面白いですね。
発想の転換とでも言えばいいのでしょうか。
食事を済ませた後で、お気に入りのウィスキーを楽しむわけですね。

白角、最高!

角瓶は高級酒と十分言えるウィスキーなのに、4ℓ ビンが販売されているので愛用して居ります。

でも、そのままでは情緒が無いいので、ちゃんと詰め替えて飲んでいるのですが、中でも白角はだんぜん旨いです。

きちんと10%の水割りで頂いております…4ℓ ビンを2か月で3本のペースですね。

Re: 白角、最高! ; ひろむさん

ひろむさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
今回の記事はあまり良いようには書いておりませんので、
白角のファンの方々には申し訳なく思います。

> きちんと10%の水割りで頂いております…4ℓ ビンを2か月で3本のペースですね。

なるほど、ウィスキー:水=1:2で割っていらっしゃるのですね。
ニッカでもその飲み方を勧めていましたね。
乙山はウィスキー:水=1:1にして、それを氷に注いで飲んでいます。

そうしますと、だいたいアルコール度数が20%くらいになり、
焼酎と同じような感じで飲めますからね。
酒とは関係ないのですが、そちらで最近掲載なさっている画像に、
目を奪われております。

No title

 角はやはり43度のオリジナルバージョンが好きですね。
もうかなり以前のことですけれど、復刻版(?)が店頭
に出たときには三本ほどまとめて買いましたよ。

> なんだか〈角瓶〉のおいしいところを薄めてしまって
いるような印象がしないでもない。

 同感です。飲みやすさと引き換えにパンチを失ったよ
うな気がするんです。ウィスキーは男の飲み物であって
ほしいなあ。

Re: 薄氷堂さん

薄氷堂さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
同感です。いちばん初めの〈角瓶〉がいちばんいいものだと思います。
それをしっかり飲んでおかなかったものですから、
あの〈角瓶〉がいちばんいいんだ、と強く言えない立場なわけです。

〈白角〉はおろらく〈和イスキー 膳〉のコンセプトを引き受けたウィスキーで、
そういう路線が好きな方もいらっしゃるわけですね。
実際、飲んでみるとカナディアン・ウィスキーにかなり近いものですよ。

蒸留酒もいろいろあるんだなな、ということで、
〈白角〉はそれなりに存在価値があるような気がしています。
カナディアン・クラブを飲んだ後だからこそ、そう思うのです。
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