アナゴと胡瓜、わかめの酢の物

AnagoSeaweedSlicedCucamberSeasonedWithVinegor.jpg
男子が料理する場合、手軽にできてそこそこ見栄えがするものがまず選択されるのではないかと想像する。たいてい炒め物か焼き物になるのだが、材料を用意さえすれば、後はさっと炒めるだけでできる。次はたぶん、煮物ではないかと思う。揚げ物じゃないのか、という意見もあるかもしれないが、油の処理がたいへん面倒なのでそういうものにはあまり手を出さぬのではなかろうか。

ふだん揚げ物を頻繁につくる家庭なら、男子が揚げ物に手を出すことがあるかもしれぬが、たいてい油の処理は自分以外の人に任せているのではないか。だから揚げ物より煮物に手を付けるわけで、メニューは「手作り本格カレー」や「ビーフシチュー」だったりする。そもそもカレーというのはだね、などとカレーやシチューに一家言もつ男子は少なくないだろう。

和え物はさっと合わせるだけでできるから、それを作る男子は多いかもしれないが、私(乙山)の予想では和え物を作る男子は少数派。ちがうかなあ。たとえば「ぬた」をいそいそと作る男子という絵はなんだか想像しにくいような気がする。俺はいつも和え物をやっているぞ、という方がいらしたらぜひコメント欄にてその旨お伝えください。

さらに少ないのは酢の物ではないか。酢の物は酒のあてにするのもいまひとつで、たぶんあの甘酸っぱさが障壁になっているのではないか。いいや俺は酢の物が大好きだ、酒のあてとしてあれ以上の物はないという人もいるかもしれぬがたぶん少数派だと思う。定食だのなんとか御膳だのに添えられているから仕方なく箸を付けるけれど、進んで酢の物を作る男子が料理人以外で存在するだろうか。

なので和え物、とくに酢の物がさっとできれば男子の素人料理としてはそこそこいい線をいってるんじゃないかと思う。酢の物といえば「タコと胡瓜とわかめ」であるが、タコは意外と高いのだ。それも遥か遠洋でとれたと思しき輸入物のタコですら、けっこうなお値段が付いている。蒲鉾とかフェイク蟹肉で代用しようかな、と思って某スーパーマーケットの食料品売り場をぶらぶらしていたら、いいものを見つけたんですよ。

「刻みアナゴ」というやつである。焼いたアナゴを細切りにしてあるんだけど、これを見た瞬間、ぴんときましたね。朝のサンドイッチに使う胡瓜はあるし、乾燥わかめのストックは常備している。これっきゃないね、という感じである。だが、酢の物といってもあの例の甘酢にしてしまっては酒のあてにならぬではないが今一つである。

そこで甘酢にしてしまわずに「土佐酢」でいくことにした。土佐酢は三杯酢を出汁で割ったものだと思ってくださればいい。作るのが面倒なので、ここは横着の極みではあるけれど、土佐酢として販売しているものをそのまま使うことにした。実際使ってみると、思いの外うまくできたので驚いている。これを基本に、自家製の土佐酢を作ってみるのもいいだろう。

買ってきた「刻みアナゴ」、胡瓜、わかめを用意する。胡瓜は輪切りにして軽く塩もみして数分間、後に塩抜きをして絞っておく。わかめは必要分だけ水に入れて戻し、戻れば絞って水気を切る。後はこれらを混ぜ、土佐酢をかけて合わせ、皿に盛るだけ。いと簡単手軽、横着料理ここに極まれり、である。アナゴとわかめなので、青海波の器を用意して盛り付けた。なかなかいい雰囲気(?)である。

土佐酢仕立てなので、甘みが抑えられた上にカツオの出汁がきいており、酒のあてとしても上々である。本来これは箸休め程度の一品であるが、野菜中心のわが晩酌においてはアナゴが入っていることもあって準主役クラスの料理といえる。じゃこおろしなどと食べれば、小規模とはいえ「さかな作戦」の一端を担うことにもなる。酢の物も、土佐酢でいけばおいしいし、酒のあてとしてもばっちりということがわかった次第である。


【付記】
● 野菜中心の晩酌(夕食)を続けておりますと、この間忘れていたフィレ肉を解凍して食べたところ、胃が吃驚して寝付けないという、笑えぬ仕儀に相成りまして、夜中の三時頃にノート型コンピューターを起動させてしまいました。フィレ肉でさえこれですから、焼肉なんぞ深夜に食べた日にはいったいどうなることやら、恐ろしくて想像だにできません。

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No title

アナゴですか・・・大好物です。
うな丼よりもアナゴ丼の方が好きなくらいですから。

私の故郷の松島では、かたのよいアナゴがよくつれまして・・・

サンマの切り身か、するめいかの切り身を針につけて・・・舟の上から海中にぽいっと・・・

ちょっと待っていると缶コーヒーの缶の太さのやつが上がってきます。

ふっくらとして・・・明石のアナゴも関西では有名ですが、松島のアナゴもいいですよ・・・

No title

記事を拝見しました。

確かに和え物を作る男は少数派でしょうね。
乙山先生はいつも一手間かけて綺麗で美味しそうな料理を作っておられるので、記事を拝見する度に頭が下がります。
私もこんな風に一手間かけたものを作りたいなと。

実は私は煮浸しが好きで、関西ではよく『菜っ葉の炊いたん』と呼ばれるものを作っています。
湯葉と菜の花の煮浸しとか、最近は小松菜と油揚げを使って作ります。

歳をとると脂っこいものより野菜の炊いたものが旨かったりしますね。

Re: gatayanさん

gatayanさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
酢の物をしようかな、と思っていたときにアナゴがあったんですね。
ううむ、だけど缶コーヒーくらいの太いアナゴは立派なもので、
それを丼に仕立てたら最高でしょうね。

以前広島に旅行した時、穴子飯というのを食べました。
夏のことでしたが、仰るようにご飯との相性がよく、
とても美味しかったように思います。
アナゴ、ウナギ、ハモ、じつはどれも好物なんです!

Re: Noriさん

Noriさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
和えものを作る男子として、これからも精進していく(?)所存であります。
なにしろ手軽でさっとできるので、こんないいものはないという感じです。

以前ならたぶん見向きもしなかった和え物、酢の物ですが、
晩酌を野菜中心にしないとなりませんので、半ば「仕方なく」という感じです。
高血圧対策として、などと言っていますがもうほとんど食事療法レベルですね。

煮びたしもおいしいですね。
湯葉っていうのもとても良さそうです。
さっとできる感じもよく、乙山もやっていますよ!

^^

お久し振りです^^

あなごと胡瓜の和え物。
美味そうですね。

自分は子供の頃から。
酢の物が苦手でして(子供はみなそう?)
進んで食べたことがありません。

しかしどういうわけか。
柑橘系を搾って(例えば白菜漬け)
食べるのは好きだったんです。

考えるにたぶん。
柑橘系の香りが好きだったのかもしれません^^;)/

Re: ^^ ; waravinoさん

waravinoさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
どうもどうも、お久しぶりです!
酢の物が好き、っていう子どもは少数派でしょう。
あれ、ご飯のおかずとしては全然だめですものね。
甘さを抑えて、出汁なんかがきいていれば、なんとかおかずになりますが。

なので乙山はもっぱら「土佐酢」で食べます。
これならなんとか、いやけっこういい酒のあてになるんです。
柑橘類をしぼって食べるというのはいいアイディアですね。
レモンや酢橘など、魚にも鶏肉にも使えますね。

No title

おぉ美味しそう!!
私も砂糖でこってり味付けたおかずや酒のアテが苦手で(おやつとして
つまむのは好きですが)、煮物やたまに作る酢の物は全て砂糖抜きです・・・
しかし煮物はまだしも、酢の物は砂糖抜きだとよく間の抜けた味に
なってしまうんですよね~
素材の良し悪しプラス調味料の匙加減がモロに出ると言うか(^^;)
土佐酢、自分で作ろうとすると面倒がって結局手付かずになるので
市販のもので試してみます!
とか言いつつ酢の物にかつお節をまぶした手抜き版で済ませて
しまうかもですが(笑)
夏近くになると酢の物(というか酢を活かしたおかず)が
食べたくなるんですよねぇ♪

Re: zumiさん

zumiさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
いや本当、醤油とカツオ抜きの「甘酢」はあてになりにくい!
なのでもっぱら土佐酢でいってます。

しかも横着極まる市販の土佐酢。
これがけっこういける味に仕上がるんですよね。
今度三杯酢をちゃんと作って、それに出汁を加え、
本物に近い土佐酢をつくってみようかな、なんて考えています。

ぽん酢に近い成分だと思うのですが、
またどこか違う感じなのが面白いですね。
ぽん酢ぶっかけは、すぐそれとわかる味なのですが、
土佐酢は一味違う感じになるんですね。
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只野乙山

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