ジャック・ティーガーデン / ピー・ウィー・ラッセル

Jack Teagarden / Pee Wee Russell (1938、1940)

JackTeagardenPeeWeeRussell.jpg
01.Shine (03:52)
02.St. James Infirmary (04:12)
03.World Is Waiting for the Sunrise (04:06)
04.Big Eight Blues (04:12)
05.Baby Won't You Please Come Home (02:24)
06.Dinah (02:36)
07.Zutty's Hootie Blues (03:01)
08.There'll Be Some Changes Made (02:56)
09.I've Found a New Baby (02:14)
10. Everybody Loves My Baby (02:22)


ジャズのビッグバンドの映像を見ていると必ず出てくるのがトロンボーンである。たいてい一番後ろにトランペット、その前がトロンボーン、一番前にサキソフォーンとかクラリネットという配置になっていることが多い。ディキシーランド・ジャズの時代でもトランペット(コルネット)、トロンボーン、クラリネットの三管編成が多く、ジャズとは切り離せない楽器のように思われがちだが、コンボスタイルではあまり見かけることがない。

実際、ジャズ・トリオとかカルテットと呼ばれる中でトロンボーンが登場するのはめったにない。私(乙山)が知らないだけなのかもしれないが、まだ見たことがないのである。クラリネットが音圧(音の強さ)の関係であまり使われなくなったのはなんとなくわかるが、トロンボーンは音圧でそんなに負けているとは思えない。どういうわけでトロンボーンが花形楽器でなくなっていったのだろうか。

トロンボーンを演奏する様子を見ていると、左手は楽器を保持するのに使われており、もっぱら右手を前後にスライドさせることによって旋律をとっているようだ。これではバルブ式による楽器に比べて速いパッセージを繰り出しにくいのではないか、となんとなく思った。ビ・バップのものすごく速いテンポの演奏と、トロンボーンの雰囲気はどうも合っていないような気がする。

ジャズのトロンボーン奏者といえば、グレン・ミラーを思い出す。その次にトミー・ドーシーだろうか。いずれもビッグバンドのリーダーだった人で、いくつかの映像がYouTubeなどで確認できる。J・J・ジョンソンやカーティス・フラーという名手がいるそうだが、不勉強な私はまだ聴いていない。そして忘れてはならぬのがジャック・ティーガーデンではないかと思う。

じつはジャック・ティーガーデンという人も以前から知っていたわけではなくて、村上春樹と和田誠の『ポートレイト・イン・ジャズ』で初めて知った。テキサス州生まれでアメリカ先住人の血を引く人だそうで、1920年代から活躍しているという。ルイ・アームストロングとほぼ同世代で、ディキシーランド/ニューオーリンズスタイルのジャズ、ということになるんだろうと思う。

CD自体が売れないと言われている今、音源自体があまりないのだ。過去何度かジャック・ティーガーデンのCDを買おうとしたけれどほとんど「取り寄せ品」で、結局「キャンセル」扱いにせざるを得なかった記憶がある。今回、ピー・ウィー・ラッセル絡みで購入したCDにジャック・ティーガーデンも収録されているものがあった。『ジャック・ティーガーデン/ピー・ウィー・ラッセル』というCDだ。

(1~4)が『ジャック・ティーガーデンズ・ビッグ・エイト』として1940年に録音、残りは(5~8)が『ピー・ウィー・ラッセルズ・リズメーカーズ』として1938年、(9~10)はピー・ウィー・ラッセルを含むトリオでの1938年録音である。聴いてみると、やはりディキシーランド/ニューオリンズのジャズで、楽しくなってくる。

ジャック・ティーガーデンのトロンボーンはなんだかしみじみとした味わいがあって、ミディアム・テンポかスロー・バラードがいちばん似合っているような気がする。(2)ではティーガーデンがヴォーカルを披露しているが、ちょっとだみ声気味の渋いバリトン。後にルイ・アームストロングと二人並んでヴォーカルをとる映像などを見ることができるが、アームストロングと立派に渡り合える実力の持ち主であるとわかる。

1959年には来日公演をしているようで、その模様もYouTubeで見ることができ、やはりスロー・バラードで歌い、トロンボーンを吹くジャック・ティーガーデンがいる。映像だけしか見てないけれど、その様子からお人柄がにじみ出ていると感じた。だからルイ・アームストロングとも相性がいいのだろう。こういうエンターテインメントよりのジャズを認めぬ人も多いと思うが、私は大好きである。Amazonでボビー・ハケットと組んだ『コースト・コンサート』があるようなので、早速購入ボタンを押してしまった。


【付記】
● ジャック・ティーガーデンといい、ピー・ウィー・ラッセルといい、そしてもボビー・ハケットなんかもそうですが、聴いていると「いい仕事してるなあ」って思います。決して目立たないんだけど、いぶし銀のようなえも言えぬ味があって、古いジャズ好きとしてはたまらぬ魅力があるのです。

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No title

只野乙山さん、今晩は。

1940年以前のジャズはほとんど聴かないまん丸ですが、トロンボーンは大好きです。優しい深い味わいの音色でビッグバンドにはかかせないパーツですね。しかしビッグバンドだけに留まらず結構、クインテットや、セクステットなどでもお目見えしますよ。特に Jay Jay Johnson、Curtis Fuller、Kai Winding など本当に素晴らしいです、一度聴いてみてください。トリオでは流石に聴いたことはありませんが・・・

最近、SF Jazz Collective の Robin Eubanks や、Wycliffe Gordon という素晴らしいトロンボーン奏者を聴きましたが現代的な洗練された味だけでなく同時に暖かいモノも持ったよい演奏をされていました。新しいトロンボーンにも是非挑戦してみてくださいませ。

カナダにも現在活躍している素晴らしいトロンボーン奏者が沢山います。
Russ Little, Gene Smith, Terry Promane, Alastair Kay, Alan Gene Smith, Terry Promane, Alastair Kay, Alan Trudel などなど、でも今夜は古いビッグバンドを掘り出して聴く事にしましょう。

Re: まん丸クミさん

まん丸クミさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
何年か前、Membranの10CDで『ディキシーランド・ジャズ』というのを買い、
聴いているうちに古いジャズというのもいいもんだなあと思うようになりました。

その中にジャック・ティーガーデンやキッド・オリー、エディ・コンドン、
ルイ・アームストロング、シドニー・ベシェ、ジョニー・ドッズなどが収録されています。
そしてデューク・エリントンの1920年代の音源なども聴くようになりました。
ベースの代わりにチューバを使い、ギターではなくバンジョーなんですね。

J・J・ジョンソンとカーティス・フラーは名前だけ知っていて、
聴いたことはありません、クミさんが仰るのならぜひ聴いてみようと思います。
カイ(ケイ)・ワインディング(?)というのも知りません。

カナダは国を挙げてジャズを大事にしていますね。
助成金だか奨学金だかがあるのだと聞いたことがあります。
いいミュージシャンが育つし、出てくるんですね。
現役のジャズメンを見聞きできるのはうらやましい限りです。
貴重な情報、ありがとうございます!
プロフィール

只野乙山

Author:只野乙山

⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

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