地下鉄谷町九丁目駅周辺を歩く(3) ビア・ケラー トラウム

BierKeller_Traum_FrontView.jpg
相変わらず地下鉄谷町九丁目駅周辺や、近鉄上本町駅周辺をうろうろしている。今回は店にドイツの国旗を掲げた〈トラウム〉(ドイツ語で「夢」)に行ってみた。なにしろ、「ドイツ風ハンバーグ」と明記している店である。この間から理想のハンバーグ云々とか言っていたので、ひょっとしたら、という期待もあった。

ところがこの店、開店が12時頃になっていることが多く、早めのランチを狙ってここに足を運んだ時はたいてい入れなかった。そうかといって午後1時近い時間に行ってみると営業していなかったりで、かれこれ数度、接近してみたものの振られっぱなし、というありさまだった。もし異性だったら、もう脈はないな、と見切りをつけてもいいようなくらいだが相手は飲食店である。

おっ、今日は開いてるじゃないかと喜んだのもつかの間、目当ての「ドイツ風ハンバーグランチ」は売り切れだと掲示板に書いてある。一気に脱力してしまったが、選択肢として「ムニエルランチ」と「カツレツランチ」がある。ドイツ風ハンバーグは食べられないにしてもせっかく縁があったのだから、と階段を上った。店は二階にあるのだ。

ドアを開けると、左側に調理場とカウンター席があって、右側はテーブル席になっている。どうやらカウンターは満席のようで、二人用のテーブル席に座った。清潔な室内に白いテーブルクロスが敷いてあり、なんだか高級レストランの雰囲気である。奥はガラス張りになっており、街の景色を眺めながらゆったりした気分で食事ができる。

たとえそこから見えるものが「myth」(神話。ギリシャ語「ミュトス」に由来する)などという名称が付いた「ホテル」であったとしてもいいではないか。そして窓際の席に四人連れで陣取っているのが上品そうな御婦人方であっても一向に構わぬ。あたかも自分が萩原朔太郎とか立原道造ででもあるかのごとく救いがたい勘違いとともに、背筋を伸ばして目を閉じ、心で耳栓をして「ムニエルランチ」を静かに待つ。

さて料理が来ましたよ。何ですかね、ムニエルというのは魚に小麦粉をはたいて多めのバターで揚げ焼きにしたもの。今日はカラスカレイのムニエルです、と料理を持って来たとき店の人が言っていた。それの上にトマトソースがかかっていて、さらに黒っぽいのはバルサミコ酢(?)だろうか。なんだかたいへんお洒落な雰囲気である。

おやおや、いつものラーメンにチャーハンはどうしたよ、そっちの方があんたにはお似合いじゃないかね、という声が盛んに聞こえるような気がしまくっていて、自分でもそう思わぬでもないがまあいいではないか。添え物としてフライドポテト、ブロッコリと人参のグラッセがついていて、サラダにはスモークサーモンが入っていますね。

BierKeller_Traum_MeuniereLunch.jpgご飯の盛り方が少なめで、おそらく200g前後、ひょっとしたらそれを下回っているのではないかと思われる。いくら少なめとはいえ、まさかそれを一気にかきこんで「ねえちゃん、おかわりな」などと大声で注文するわけには参らぬ。腹八分目作戦を実行している者は、このようなお上品仕様にも平然と対応することができるので便利である。

いつも思うのだがご飯の皿盛りはいただけないなあ。まさかナイフとフォークを使えっていうんじゃないだろうな、と思っていたら、籠には箸が入っていたので迷わずそれを使った。そりゃまあ、一応ナイフとフォークを使って食えぬわけではないが、できることならそれは避けたいところ。ここは全編箸で通すことにした。

私(乙山)の食べる速度は遅いほうだと思う。それは例の「腹八分目作戦」の一環としてそうなっているので、目安としては80%の量を、1.2倍の時間をかけて食べる、ということだ。多くの飲食店では私より後に料理の来た人が、私より先に食べ終わって出ていくことも珍しくないくらいだが、その私でさえ、今回に限ってはわりと早めに食事を終えてしまった。

つまりそれくらい、全体の分量が控えめになっているということで、この店がどういう人たちをターゲットにしているかが浮かび上がってこようというものだ。しかし店前の掲示板のカツレツランチに添えられた言葉は「ガッツリいきたい人はこれ」とあるから、特定の人だけに絞り込んでいるわけでもないと思う。

トマトソースはやはり魚介類に合うんだなと再認識した。ムニエルといえばレモンバター・ソース一辺倒というわけでもないだろう。またムニエルにはたっぷりのじゃがいもを、というのも古い時代の思い込みに過ぎぬようである。それにしても「ドイツ風ハンバーグ」はどうも気になって仕方がない。それを食べるために、この店にはまた来ることになると思う。


【付記】
● いささか控えめのランチだったので、しばらくするとお腹が鳴って……などということにならなかったのが不思議なほどでした。腹八分目作戦とはいえ、けっこう「食べ過ぎ」になっている場合もままありまして、本気で腹八分目にとどめておこうという場合、むしろこれくらいでいいのではないかと思います。

店は若い男女二人で切り盛りしているようでした。おそらくご主人と奥さんと想像できますが、食後にパウンドケーキのようなものをスライスしたものを、どうぞ、とサービスで出してくれたりと、なかなかいい雰囲気の店でした。あの二人を見ていると、たぶん、なんだか応援したくなるんじゃないでしょうか。

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No title

知っていますか。チンギス・ハーンの見果てぬ夢。
彼は世界帝国をめざして西へ向かいました。
征服はかなわなかったんですが
彼の騎馬隊が持っていたタルタルステーキをハンブルグの商人が目をつけました。
そして編み出されたのがハンバーグです。
それはアメリカに渡ってハンガーガーが誕生します。
現在マクドナルドは北京にもあります。
チンギス・ハーンの世界征服はなりませんでしたが
モンゴル・タルタルステーキは世界を制覇して中国に戻って来ましたとさ。

Re: 根岸冬生さん

根岸さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
なるほど、モンゴル帝国のタルタルステーキをハングルグの商人が……
それは知りませんでした。ハンバーグとハングルグが似ていることは知っていましたが。

モンゴル帝国のタルタルステーキは、おそらくコリアン料理「ユッケ」と
深い関係があるのではないかと思うのですが。
タルタルステーキ=ユッケと解釈する人もいるのではないか。

その店のドイツ風ハンバーグというのは、どうやら牛肉100%に近いものを、
ミディアムで焼き上げたもののようです。なんだか楽しみです。
たぶん表面はカリッとしていて、なかはミディアムですからね!
今度もう一度、〈トラウム〉に行ってみようかと思っています。

忙しさは少し落ち着いたのでしょうか。
お大事になさってくださいね。

お店との縁。

あるんです。
相性やタイミング、
店主から気に入られているか
否か、それによる扱われ方などなど、
お客として食べに行く側もそれはそれで
苦労があって大変だったりします。
美味しい店だと尚更感慨深いですね(汗)

Re: お店との縁。 ; 四の字硬目さん

四の字硬目さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
そうそう「縁」ってありますよね。こればかりは不思議なもので、
相性、タイミング、居心地が良し悪し、いろんなことが
また行くか、もう行かないかにかかわってきますからね。
本当に「縁」って不思議なものです。

No title

記事を拝見しました。

私は子供みたいだと言われるのですが、ハンバーグを好んでおります。
看板に『ドイツ風ハンバーグ』なんて書いてあったら、気になって仕様がないと思います。
今回はちょっと残念でしたが、料理を見てると凄く期待が持てそうですね。

それにしても街のレストランにふらっと入るというのは、良いものですよね。
期待と不安が相半ばした感覚というのがいい…
休みの日には私もやってみたいなと。

Re: Noriさん

Noriさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
かつてハンバーグはなにかたいへんなご馳走だったように思うのですが、
今ではあまりにありふれたものになってしまいました。
ミートボールみたいなものが氾濫しているわけです。

乙山が理想のハンバーグと思うのはそういうものではなく、
ひょっとすると『ドイツ風ハンバーグ』がそれに近いのかな、
などと考えているのです。〈トラウム〉という店のハンバーグ、
ちょっと楽しみなんですよ。

No title

 わざわざ「ドイツ風」と銘打っているのは本物である
ことを主張しているのでしょうが、売り切れとは残念で
したね。

> いつも思うのだがご飯の皿盛りはいただけないなあ。

 まったく同感です。食べづらいのなんの(笑)。インディ
カ米でしたら皿にスプーン(フォークはちょっと……)
というのもありなんですけど。

Re: 薄氷堂さん

薄氷堂さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
「ドイツ風」とありますのでどんなものかと、期待しているのです。
なんだかミートボールを大きくしたようなハンバーグが多いので。

洋食屋さんの食器類の中に飯椀がないのでしょうが、
いかにも「飯椀」というデザインのものでなく、
洋食の皿と一緒にしても違和感のない飯椀ふうのボウル(?)
のようなものでもいいと思うんです。
ご飯の皿盛りはもういい加減やめにしてほしいですね。
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只野乙山

Author:只野乙山

⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

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