ピュアモルト 〈レッド〉



〈遊歩者 只野乙山〉 特別企画
【日本のウィスキーを飲む】


PureMaltRed_01.jpg
ピュアモルトの瓶のデザインは秀逸なのだが、ただ一つ難点を挙げるとしたら栓の取れやすさではないかと思う。以前、開栓直後のピュアモルト・ブラックをウェブログ掲載用として撮影するためにボトルを布で拭こうとしたら、うっかりボトルの首のあたりをつかんでしまい、そのまますぽっと栓が抜け、床に1/3ほど飲ませてしまったことがある。

あまりのことにしばし呆然となってしまったが、外国の諺で「こぼれたミルクを見て嘆いて(泣いて)も無駄だ」というのは本当で、まさか床に這いつくばってウィスキーを舐めるわけにはゆかぬ。これをこちらでは「覆水盆に返らず」というのだろうか。残りはもちろん楽しんで飲んだのだが、こうなるとウェブログにはしばらく書く気が失せてしまったのである。

というわけで今回はピュアモルトのレッドを取り上げる。ピュアモルト三種の中ではブラックしか飲んだ記憶がなく、もっぱらほぼ同時期に発売されたフロム・ザ・バレルばかり飲んでいたように覚えている。なので昔から知ってはいたけれど、じつは初めて飲むウィスキーなのだ。情報では宮城峡のモルト原酒をキーモルトにしているというので、どこか華やかな味わいを予想していた。

グラスに注いで水を足し、ウィスキー:水=1:1になるようにしてまず匂いを確かめる。果実を思わせる匂い(エステリー?)とともに少し木の香り(ウッディ)、そしてピート香も漂ってくる。口に含んでみるとえもいえぬバランスの良いこくと熟成感(ボディ)、そして意外にしっかり残っている煙臭さ(ピーティ)がうれしい。予想した華やかな甘さは意外なほど抑えられていて、それは後からほのかに漂ってくるように感じた。

PureMaltRed_02.jpgなんというバランスの良さであろうか。ウィスキーに対する感じ方は人それぞれだとは思うけれど、ウィスキーの要素すべてがこのブレンドには含まれていて、もしウィスキーのイデアがあるとするならば、ピュアモルト・レッドはそれにかなり近いのではないか、などと好い加減なことを思ったりした。いい意味での中庸、ウェルバランスなのである。これに比べると、ブラックとホワイトはどこか突出した部分が際立ち気味と言える。

それはそれぞれの持ち味ともいうべきもので、ブラックはかなりどっしりとくるボディにピート香がたまらない魅力だし、ホワイトはあのアイラモルト独特のヨード臭とピート香に惹かれてしまう。だが、ピュアモルト三種を並べて一生どれか一本だけと付き合っていかないといけない、などという選択肢を迫られたとしたら、わたし(乙山)はレッドを選んでしまうかもしれない。

ピュアモルト・レッドは本当に出来のいいブレンドで、これを生み出したブレンダーの才能に敬服する。これを飲み付けてしまうと新しいスーパーニッカもかすんでしまうほどだ。もう私の中ではフロム・ザ・バレルとピュアモルト三種は新しいスーパーニッカの上位に置かれてしまっている。つまらぬ風潮を追いかける蒸留所ではなく、ピュアモルトのように業界に新しい風穴を開ける蒸留所であり続けてほしい。その意味で、スーパーニッカのテコ入れを何よりも望む次第である。


≪ レインボーウィスキーへ  サッポロウィスキー37°へ ≫


【付記】
● 久しぶりにニッカのホームページを覗いてみると、なにやら3月下旬に新しいブラックニッカが出るような様子ですね。何があろうとフロム・ザ・バレルとピュアモルト三種は残してほしい。このたびピュアモルト三種をすべて飲み直して、つくづくそう思いました。

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No title

これは飲んだことがありますよ。
でも、それが何時のことだったか思い出せないくらいに昔のこと。

どんな味だったかなあ・・・・

「うまいなあ・・・」と思った記憶は残っているのですが・・・・

Re: gatayanさん

gatayanさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
これは1980年代の発売ですから、もう二十数年前のことですよ。
乙山はこれのブラックを飲みましたが、レッドを飲んだ記憶はありません。
このたびレッドを飲み、そのブレンドの巧みさに感心しました。

No title

記事を拝見しました。

床が飲んだ天使の分け前のお話ですね。
私はホントに這いつくばってすすろうとしましたが…

でもピュアモルトのレッドは本当に旨いですよね。
おっしゃる通りに尖ったり引っかかったりすることがなく、穏やかな良い酒です。
私もピュアモルト三種の中からひとつ選べと言われたら、レッドを選んでしまいそうです。
個性的な尖った酒も好きですが、一番落ち着くのはこの酒だったりします。

これからもずっと造り続けて欲しいと、私も思います。

No title

いつも拝見しています。乙山先生推薦のピュアモルト入手手配中なんですよ。ウイスキー好きになってみようと思いまして...。

Re: Noriさん

Noriさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
あの抜けやすい栓には参りましたね。
ついうっかり、ガラスに触れぬように持ってしまったんですね。
すると、あのようなことに……

もうピュアモルトのレッドがなくなってしまいそうです。
そうなったら、もう一度ブラックに戻ってみます。
もう買って冷暗所に保管してあるのです。
ザ・ブレンド・オブ・ニッカと一緒に。

Re: Noriさん

一生喜劇さん、こんにちは! コメントありがとうございます。

> ウイスキー好きになってみようと思いまして...。

えっ「ウィスキー好きになってみよう」ですって?
何を仰るんですか、もうそうなっていると思いますよ。
だってね、ウィスキー好きでもよっぽどの人でないと、
イチローズモルトは飲んでないと思いますからね。

新しいブラックニッカ、

ニッカの公式サイト見ました。
ワクワクして居ても立っても
いられません。o(^▽^)o

モニタープレゼントにも応募しました。
どうやら値ごろ感のある価格で
発売されるみたいなので嬉しいです。

ウイスキー バンザイっ (*^◯^*)

Re: 新しいブラックニッカ、; 四の字硬目さん

四の字硬目さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
ニッカのホームページ、御覧になったようですね。
どなたかが、どこかで「新しいブラックニッカが」と仰っていたので、
乙山も早速チェックしてみた、というわけです。

どんなものが出てくるやら、なんだか楽しみですね。
もし「華やかで軽やかな新しい世代の嗜好に合わせた」ものだったら、
ちょっとがっかりするかもしれません。
心の準備だけはしておこうと思います。

No title

昔電子レンジで日本酒を燗しようとしてうっかり半分近く
ぶちまけてしまったことを思い出しました・・・ご愁傷様です(^^;)

ピュアモルト3種、私も一度飲み比べしてみたいです!
新しい味の開発も良いですがやはり定番は定番としてそのまま
残して欲しいですよね・・・

No title

最近、分かったんですが
ウイスキーって安くありませんね。
まあ、昔から比べたら安くはなっているんだろうけど
情けないけど、懐具合で
いまだに島酒です。とほほ。

Re: zumiさん

zumiさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
この手の失敗は、酒飲みならみんなやっているわけですね。
一升瓶からそのまま注ごうとして、おっと、なんてもうしょっちゅうです。

ピュアモルト三種、これは飲んでおかないと!
R天市場でうまく探せばなんと1300円台で買えますよ。
送料はかかりますが、500~600ポイント使えばほとんど送料無料!
もしショップがわからなかったらメールで。

Re: 根岸冬生さん

根岸さん、こんにちは! コメントありがとうございます。

> 最近、分かったんですが
> ウイスキーって安くありませんね。

そうですね、本来ウィスキーというものは安いものではないのです。
1989年以前のウィスキーの価格は、ほとんどが酒税(および関税)ですが、
それにしても高かったですね。

焼酎は度数が25%ほどなので、40%くらいのウィスキーとは、
本当は別物のはずなんですが、蒸留酒とひとくくりになってしまって、
昔より値段が高くなってしまいました。
もし「焼酎ブーム」がなかったとしたら、たいへんなことになっていたでしょう。

新しいブラックニッカ。

先日、
レアなスコッチに力を入れている
Barのマスターに「キリン富士山麓」に
ハマってると伝えると、
お客さん、「えらいマニアックなもの
におハマりですね」 と言われました。
その時わたくしがすすめられて
飲んでた酒はシーバスの特級でした。
どっちがマニアックやねんっ (^_^;)

新しいブラックニッカリッチブレンド
に期待したいです。
多分ニッカの事ですからマニアック
でしょう〜 o(^▽^)o

ウイスキー ラブ。



Re: 新しいブラックニッカ。 ; 四の字硬目さん

四の字硬目さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
まあ、バーのマスターの言わんとすることもわかるように思います。
サントリーやニッカならまだしも、キリンはウィスキーでは少数派で、
おそらく「富士山麓樽熟50°」以外のウィスキーはほとんど入手できないでしょう。
そんな意味でマニアックなんでしょうね。

で、シーバス・リーガルの特級ですか!
特級表示ものはもう少ないでしょうね。
1990年頃から現在の表示になっていますので、
少なくとも20年物以上、ということになりますね。
良い経験をなさったじゃありませんか。

新しいブラックニッカ、とても楽しみですね!
あんまり期待し過ぎると、がくっとくるかもしれませんよ。
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只野乙山

Author:只野乙山

⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

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