相生ユニビオ 〈レインボーウィスキー〉



〈遊歩者 只野乙山〉 特別企画
【日本のウィスキーを飲む】



RainbowWhisky.jpg
「日本のウィスキーを飲む」という企画を立ち上げた以上、日本国において製造または販売されているウィスキーをできるだけ多く飲んでみようと考えているのだが、たとえばピュアモルトの赤なんかを飲みつけていると、他の比較的廉価のウィスキーがかすんでしまうのが難点(?)だ。たとえば〈ホワイトオークあかし〉というのを単独で飲んだら、わりといけるじゃないかと思うのだが、ピュアモルトの後だと「若いなあ」と感じる。

そんなわけで日本の比較的廉価なウィスキーを購入するのは正直気が引けるのだが、今回はすでに発注済みの〈レインボーウィスキー〉を飲んでみた。ボトルのデザインはメタリックシルバーのラベルで、こういう色は工業製品には合うけれど飲食品にはいまひとつ合わない気がするのだがなあ、と思ってしまう。ボトルデザインは大事なポイントなのになあ、とも思う。

さてネットで少し調べてみると、〈レインボーウィスキー〉は愛知県の相生ユニビオという会社が出しているもので、ホームページを見ると、みりん造りを中心とした 「相生味淋株式会社」、焼酎製造を中心とする「愛知酒精工業株式会社」、清酒製造を手がけてきた「相生酒造株式会社」、2004 年10月、これら3社が合併し、「相生ユニビオ株式会社」として 新しく生まれ変わりました、とある。

なので製造品はみりん、料理酒、日本酒、焼酎、ウィスキー、リキュールと多岐にわたっており、〈レインボーウィスキー〉はその一部門ということになるのだろう。ウィスキー一本で勝負している会社とはおのずからちがうのかもしれぬが、とりあえず飲んでみようではないか。いつものようにウィスキー:水=1:1にして飲んでみる。

初めはモルトの香りがするのだがすぐに引いて、後にいかにもアルコールという感じの味わいに代わってしまう。だが余計な香料の類は使っていないと見えて意外に素直な味だと思う。かつての合成ウィスキーは無理にそれっぽい雰囲気を出そうとして香料をたくさん使っていたように思うが、レインボーウィスキーはそういう無駄なあがき(?)をしていないせいか、そんなにひどい味ではないと思う。

メーカー希望小売価格は720ml=1223円(ホームページによる。2013年3月現在)ということだが、実勢価格は1000円前後であろう。私(乙山)はネット通販で900円台で購入したが、スコッチが1000円前後で買えることを思うとこれは相当厳しいのではないか。たとえばインヴァーハウス・グリーンプレイドやロングジョン、グランツ・ファミリーリザーヴなどの味を1000円として、味だけで値段を付けて見よ、と言われると、わたしはこれに500円と付けてしまうかもしれない。

本当はもっと安い価格で売りたいのではないかと思う。だが、1989年の酒税法改正以来、それまで安かった焼酎類の酒税が引き上げられ、結果として焼酎や廉価ウィスキーの値段が上がってしまったのである。くだんの酒税法改正の背景には英国などの外圧があったとされているが、彼らの狙いはスコッチにかかる関税を引き下げるより、焼酎類の酒税を引き上げることにあったのではないかと思ってしまうほどだ。

廉価ウィスキーはだから、500~800円程度でなければ今や存在価値を失ってしまったといえる。相当高レベルな1000円程度のスコッチがあるのだから、800円でも味のわかる人なら手を出さないんじゃないだろうか。かりに500円だとしても、味を考えると「ううむ」となってしまうのではないか。サントリーオールドが大衆ウィスキーに、角瓶が「おつとめ品」になってしまった今、廉価ウィスキーは想像以上に厳しいのではないだろうか。


≪ ブラックニッカスペシャルへ  ピュアモルト〈レッド〉へ ≫


【付記】
● いいウィスキーは減るのが早いですね! それを思うと、レインボーウィスキーはよくもったのではないかと思います。いいのか悪いのか、何とも苦笑したくなるありさまですが、味はそんなにひどくなく、ソーダ割りで最後まで飲み切ることができました。その後に飲むピュアモルトがまさに神品のごとくに思われるのも、こうしたウィスキーの効果であります。

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No title

記事を拝見しました。

乙山先生のおっしゃっていた『摩訶不思議ウィスキー』とはこれの事だったんですね。
確かに不思議な感じがしています。

一昔前の合成ウィスキーは香りばかり強くて、味は淡麗という表現ではなくハッキリ薄くて、たとえるならバニラエッセンスを飲んでいる感じがしたものです。
そんな小手先の技を使わず、原材料にも『スピリッツ』と明記してあるだけ潔いと思えたり…

変な税制のお蔭でハイニッカがピュアモルトと同じ値段だったり、バランタインのファイネストとサントリーレッドが同じ場所に並べて売ってあったりしてますから…

良いスコッチが安い値段で飲めるのは良い事なんですが、太刀打ちするのは大変でしょうね。

ちなみにピュアモルトのレッドは本当に良い酒ですよね。

No title

>高レベルな1000円程度のスコッチがある

そうなんですよね。一昔前までは飲むこと自体夢のまた夢だったようなやつでも、いつも飲んでるブラックニッカにタバコ一箱分さえ足せば飲めるんですからねえ・・・

世の中も変わったものです。

Re: Noriさん

Noriさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
乙山が摩訶不思議と言ったのは、なんでこの時代に、これが、
という感じがしたので、ついそのような言葉を……

本当に不思議ですよね、なんでこの時代に、このレベルのものが、という感じです。
とうに淘汰されているはずなのですが、まだ残っている、それも不思議です。
やる気があるんだかないんだか、それも不思議なんですね。

仰るように、一昔前の合成ウィスキーは主にバニラエッセンスとカラメル色素で
成り立っていたのでしょう、他にいろんな香りがありますから、
このあたりの「絶妙」なブレンドに、各社の腕の見せ所(?)があったのだ、と。

本当にいいものを作ってくれれば、1000円だろうが、買いますよ。
こうなってしまったからには、本物を作るしか残る道はない。
その点、ピュアモルトのレッドは旨いですねえ!

> ちなみにピュアモルトのレッドは本当に良い酒ですよね。

いや本当、全面的に賛成!
ブレンダーの才能に脱帽します。
これはここだけの話、Noriさんと乙山だけの秘密にしておきましょう。

Re: gatayanさん

gatayanさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
そうでしょう、いや本当、これは困った(?)ことでありまして、
gatayanさんの「楽園」は今や、高騰しているのです。

そういう「楽園」を、我々は失ってしまったのです。
輸入洋酒天国を手に入れる代わりに。
なんとも複雑な気分ですよ。

No title

乙山さん、
この企画、取り組みそのものに尊敬の念をいだくHOBOであります。
ホンコンやきそばといいこのウイスキーといい、真剣に意見を戦わせる
大人の可愛さがおちゃめでステキです。
きょう近くのスーパーに行きましてね、ウイスキーのコーナーを
しばらく眺めてましたよ。〈トリス〉なんてお洒落ですねえ。
ポケットボトルっていうんですか?ちっこいの。
あれは味わうことを目的としたもんじゃないんですねきっと。
なんかあればいいみたいな。安ければ安いでお洒落なトリス。
フェリーなんかに乗る時カバンの底にそっと忍ばせて、隠し持つみたいな。
トリスってどうなんですか?おじさんのキャラクターがみょうにオシャマで惹かれた
んですが、、、安いし。最低ですかあれって。

乙さんはバーボンはやらないんですか?
オールドグランダットが大好きです。馬鹿っぽくて、笑

べつばなですが、〈北海道まるだし〉って最高ですよ。

HOBO

Re: HOBOさん

HOBOさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
トリスウィスキー、一時見かけなかったですね。
昔見た、例のトリスおじさんのテレビCMがなんだかよかった。
飲むたびに、顔が赤くなっていくんですね。

だけどねえ、乙山はトリスを飲んだことがないのですよ。
それこそ、この企画で扱わなくては、というところでしょうか。
フェリーに乗るときはトリスより角瓶のポケットボトルをお勧めしますが、
コンビニエンス店などでバーボンのポケットボトルがあるでしょう?
そっちのほうがいいと思いますよ。

バーボンとかテネシー、大好きですよ。
だけどそれは、バーで一杯だけやるのが好きなので、
乙山にとって、ボトルを抱え込んで飲むタイプの酒ではありません。
あの華やかな香りにうっとりし、いくらでも飲んでしまうのが怖い。

それにあまりに華やかなので、いささか飽きが来るのです。
煙臭いスコッチは、どういうわけかそうならないのが不思議です。
バーボンは、空気に触れると変化するのも早いですからね。
そんなわけで、バーボンはバーでやることにしています。

北海道丸出し、ってことですか?
道民というかどさんこ的なアイデンティティ?
うそうそ。出汁の話でしょう。
ありがとうございます!

No title

 レインボーウィスキーというのは知りませんでした。

> その後に飲むピュアモルトがまさに神品のごとくに思われる

 笑いました。どんなものにもなんらかの価値をみつけようとされ
るところなど、まったく仏様のようなお方ですね(笑)。

Re: 薄氷堂さん

薄氷堂さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
この「経験によって相対的に価値が高まる」というのは、
生活のいろいろな場面で起きていることなのです。

料理(味覚)がまさにそれですし、オーディオ(聴覚)でもあるので、
そんなに珍しいことではないと思いますよ。
このウィスキー(?)は、苦しい思いをして飲む、というほど
ひどいものではなかったことを再度申し上げておきましょう。

No title

ウイスキーの味のわかる乙山先生がうらやましい。ぼくは何を呑んでも「ウイスキー」としか感じないのですよ。「これうまいやろ?」ときかれて「うん、確かにウイスキーの味がする」と答えるレベルです。
でも一つだけ好んで飲めるのが「イチローズモルト」という会社の奴なんですが、味覚に自信がないのですが、あれはどうなんでしょうか?
機会あれば教えてください(^.^)

Re: 一生喜劇さん

一生喜劇さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
イチローズモルトは、肥土伊知郎氏によるウィスキーのベンチャー企業で、
今最も注目されている蒸留所ではないかと思います。

もちろん乙山の「日本のウィスキーを飲む」という企画でも取り上げるべきものですが、
いかんせん流通量(生産量)の少なさからか、高価であります。
なので今しばらくは様子を見て、そのうち、ということになりそうです。

イチローズモルトがおいしいとおっしゃるのだから、一生喜劇さんの味覚は大丈夫。
そのように仰った段階で「何を飲んでもウィスキー」ではありませんからね。
むしろ「良いものを知っていらっしゃる」ということになるわけです!
乙山はまだイチローズモルトを飲んだことがないんですね。

No title

乙山先生御教授ありがとうございます。そおかぁ、味覚は大丈夫なんですねえ。これからは乙山先生のブログを参考にウイスキー呑んでみます(^.^)

Re: 一生喜劇さん

一生喜劇さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
大丈夫、大丈夫。というか、優れた味覚の持ち主かも!
単刀直入に、乙山のウェブログなど、参考にはなりません。

もっとしっかりしたウィスキー専門の情報を発信している方の、
頼りになる情報をお探しになったほうが、いいでしょう!

イチローズモルトもいいけれど、ニッカのピュアモルト三種、
ぜひ試してみてくださいね。
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