鴨葱ならぬ鶏葱

ChikenAndGreenOnion.jpg
先だって蕎麦屋で合鴨と葱を食えなかったのだが、どうも気になって仕方がない。「合鴨と葱」というがもともとは鴨と葱。地域にもよると思うが私(乙山)の経験では鴨肉など売り場のどこを見ても置いてあったためしがなくて、合鴨ですら牛、豚、鶏の売り場の片隅でたまにスライスしたものをちらっと見かけるくらいなのだ。正直に告白しておくと、自分で合鴨とか鴨を買って料理したことなどないのである。

ではなぜ合鴨、合鴨と言っているかというと、以前、今はなくなってしまったホテルプラザのメインバーで、「合鴨ロースのブラックペッパー風味(だったと思う)」というのを機会あって食したが滅法旨く、これはどうやって作るんだろうなあとつくづく思っていた。また大阪市内に住んでいた頃、近所にとてもいい焼鳥屋さんがあって、そこで「合鴨ロース」というメニューを見たときにはすかさず頼んだものだ。

合鴨というのは野生のマガモとアヒルの交配種だそうで、においの強い鴨肉より食べやすいとされるが、鴨肉を実際に味わったことのない者としてはぴんとこない。そういう事情を知ったうえで食べやすいという理由で合鴨を選んでいるのではなく、そもそも肉の売り場や料理店で合鴨しかないから合鴨になっているだけなのだ。いつか一度、本物の鴨を食べてみたいものだと思う。

合鴨と葱が気になって仕方ないのだが、合鴨がそう簡単に手に入るわけでもなく料理法もいまひとつわからぬので、ここは鶏と葱でいこうじゃないか。料理法はいろいろあるけれど、塩をふって魚焼きグリルで焼く、という最も簡単なものを採用する。これ、本当に簡単なんだけど、実際にやってみると相当うまいのにちょっとびっくりするほど。

鶏肉はなんでもいいと思うが、もも肉を用意しよう。冷凍状態の外国産はいささか気が引けるが、そういうものはから揚げなどに用いるとよい。国産の「なんとか地鶏」などと書いてあるものを選ぶと少し高いが間違いないだろう。一人で食べるのなら100~150gくらいがちょうどいいのではないかと思う。もも肉一枚がだいたい250~300gで売っていると思うので、半分に切って塩をふっておく。

魚焼きグリルを3分間ほど予熱しておき、皮を下にして6~7分焼き、裏返して5~6分、ほどよく焼き色が付いたなら出来上がり。葱は鶏肉より火が通りやすいので、鶏肉を裏返してから最後の2~3分でグリルに投入し、焦げぬよう見張りながら焼きあげる。白葱はある程度長いままの状態で焼き、焼き上がってから食べやすい大きさに切ったほうが扱いやすいのではないかと思う。

焼き上がったら包丁で食べやすい大きさに切って皿に盛り、白葱を添えて供する。そのままでもじゅうぶん旨いが、レモンや酢橘など柑橘類を添えて絞ってかけると尚おいしい。切って盛り付けてしまった後で、写真に撮るなら切る前がよかったな、などと思ったけれど時すでに遅し。これはいつもの只野乙山的現象なので、あれこれ悔やんでも仕方がないと呆れつつあきらめる。

焼き上がりまである程度時間がかかるので、山芋の短冊で銀河高原ビールを開け、五目豆で〈香住鶴 但馬の誇り〉のぬる燗をやりつつ、魚焼きグリルで調理するという横着なやり方を採用した。食べてみると、ううむ、旨いっ! 塩だけなんだけど、鶏の旨みをじゅうぶんに堪能できる料理だとつくづく思う。「魚焼きグリルを活用する」などという本で、まずいちばん初めにやってみるとよい、とあるのが鶏の塩焼きなのだ。

皮の脂は見事に落ちてパリッと香ばしく仕上がり、肉は柔らかくできている。こういうものを食べると、スーパーマーケットの惣菜売り場の「鶏のから揚げ」などというものを買って食べる気が失せてしまうものだ。いかに夾雑物が多く、素材自体に上質なものを使っていないかが丸わかりになってしまう。鴨葱ならぬ鳥葱、でもじゅうぶん、満足することができました。


【付記】
● 鶏と葱の組み合わせもなかなかのものですね。焼鳥屋さんに「ねぎみ(葱身?)」というものがあるのも頷ける次第です。鶏と葱はフライパンで作ってもおいしく、食べやすい大きさに切った鶏肉に軽く塩をして片栗粉をまぶし、それを弱火~中火で焼き、色付いたところで裏返し、焼きます。鶏にあらかた火が通ったところで白葱と唐辛子の輪切りを入れ、味付けは一人分=醤油(5ml)、酒(10ml)、焼き肉のたれ(5ml)で仕上げます。これもなかなかおいしいもので、酒のつまみにもご飯のお供にもぴったりでしょう。

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お久しぶりです。

うちの父が鴨せいろが大好きで、しかしながらお店で頼むとなんだかとってもお高いので、いつもオアシス前の鶏屋さんで鴨(合鴨なのかな?)を買って、自宅で製作しております。焦げ目のついた葱ってほんとに美味しいですよね…

初めまして

初めまして、こんばんは。

鶏肉も白葱も美味しそうに焼き上がっていますね。
記事を読んでいて、今はまだ暗い朝方だけれど、調理して一杯飲みたくなりました。
「銀河高原ビール」美味しいですよね。泡が細かくて、トロッとしていて大好きです。
販売しているお店が少ないのが残念です。

Re: 白プードルとお散歩さん

白プードルとお散歩さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
いやあ、本当お久しぶりですね、お元気ですか?
そうそう阪急オアシスの前に鶏屋さんがありましたね。

じつはあそこで買ったことがないのですが、なんだかよさそうですね。
もしそこに鴨があるのなら、一度買ってみようかな……
良い情報、ありがとうございます!
この季節、葱がおいしいですよねえ。

Re: 初めまして ; ΑЛЗХさん

ΑЛЗХさん、初めまして! コメントありがとうございます。
魚焼きグリルで鶏肉を焼くとおいしいですよ。
余分な脂が落ち、それでいて肉汁もたっぷり、なかなかのものです。
塩味だけなので、鶏肉自体いいものを選ぶと、本当に最高です。

銀河高原ビール、もうネット通販で2ケースまとめ買いしてますよ。
送料無料で買えますし、いちいち持ち運びしなくていいので便利。
ただね、最近の銀河高原ビール、ちょっと以前より味が……気のせいかもしれませんが。
ビール酵母が生きているから、その都度ちがってくるとはわかっているんですが、
今度買うかどうか、ちょっと迷っているところです。

No title

もう、話を伺ってるだけで、お腹がぐ〜と鳴りますね。
美味しそう。大好きです。
やっぱり、上質なお肉をさっぱりと塩で本来の味を味わいながら頂くのが一番でしょうね。
これなら、美味しくて、いくらでも行けそうですね。

Re: かえるママ21さん

かえるママさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
鶏塩グリル焼きはなかなかのものですよ!
本当はザンギのようなものが好きなのですが、
家では揚げものをめったにしないので、もっぱらグリル焼きかフライパンです。
仰るように、ある程度良質の肉を選ぶのがいちばんのポイント。
そうすれば、塩だけでおいしく食べられるんですよね。

No title

あくまでも個人的嗜好なんですが
(それは極めて東京的に先鋭化しているということです)
鴨に関しては、僕は汁ものが最高に好きです。
部位はモモ。皮付き。
まあ、大き過ぎず小さ過ぎずの切り方で
味付けは関東的醤油味。風味でなく味。
皮からの脂もしっかり出汁としてだす。
具材は、これまた東京ネギ。
薬味ではなく具材として。

こうすると、鍋でも旨いし、汁でも旨いし、
雑炊でも旨いし、うどんでも旨い。
東京は、お雑煮もカシワをよく使います。

Re: 根岸冬生さん

根岸さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
汁もの、からイメージするのはやはり鴨南蛮のようなものです。
もし鴨肉(合鴨)が手に入ったら、乙山なら「焼く」という方法をイメージしていました。

たとえば鴨のローストとか、鴨のスモークのようなものです。
なるほど東京の伝統的な食べ方はやはり「煮る」ということでしょうね。
ああ、それもおいしそうだなあ!

根岸さんが仰ってるのは合鴨ではなくて、鴨肉のことですよね?
東京ってふつうに鴨肉を食べるというか、売っていたりするんですかね。
こちらでは合鴨ならまだしも、鴨肉を売っているのは見たことがありません。
もちろん、それは乙山だからで、あるところにはあるのだと思いますが。

京都なら鴨川(加茂川)があるくらいだから、
鴨はよく食べられているのかもしれません(?)ね。
いつかそのうち、たぶん、近いうちに、鴨または合鴨を手に入れ、
何か料理をしてみようとたくらんでいます。

No title

記事を拝見しました。

鴨葱と聞いて矢も楯もたまらずに…

焼いた鶏と葱はもの凄く相性が良いですよね。
私はたまに豚肉で鴨葱ならぬ豚葱を楽しんでおります。
この時は塩胡椒ですが。

ちなみに蛇足も良いところなのですが、この間もう一つ言い忘れていた事がありまして…
ここも中々良いようです。
http://www.atariyasoba.com/

Re: Noriさん

Noriさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
鴨と葱、乙山は合鴨も好きですし、本当の鴨も食べてみたいのです。
なかなか両者とも、望む形で売り場にありませんし、
通販で取り寄せて料理することになりそうです。

なるほど豚葱ですか! これもまた、良さそうですね。
葱がおいしい季節、白葱に豚肉を巻いたものを、
焼いてみようかな、などと思っていたのですよ。
豚葱もおいしいでしょうね。

ご紹介くださったお蕎麦屋さん、三国ですね!
阪急三国駅からは遠そうですが、散歩がてら歩くと、いいかもしれませんね。
貴重な情報、ありがとうございます!

No title

只野乙山さん、お久しぶりです。

これシンプルだけど、とても美味しそうですね。
簡単にこういう葱が手に入らないので残念です。

これに感化されて今夜は鶏だけでもグリルにしてみましょう。

いつも本当に美味しそうな夕飯で、私の手抜き料理が恥ずかしくなります。

No title

鶏とねぎの組み合わせはいいですね。
どうしたっておいしいい。
かも南蛮ならぬ鳥南蛮なんてのもありますし・・・
ネギを下に敷いて、ホイル焼きってのもありますし・・・

う~んワインが飲みたくなった・・・

Re: まん丸クミさん

まん丸クミさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
そちらでは白葱がなかなか売ってないのですね。
気候からすると白葱の栽培も適していそうに思えますが、
それを常食する人たちが少ないということなんでしょうね。

魚焼きグリル、本当に便利です。
いろいろなもの(とくにフライ、てんぷら)を温めるのに、トーストに、
魚焼き、肉のグリル焼きなど大活躍です。
手抜きというのは乙山の得意技ですよ、
これなんか塩ふって放り込むだけですからね。

Re: gatayanさん

gatayanさん、こんにちは! コメントありがとうございます。

> 鶏とねぎの組み合わせはいいですね。
> どうしたっておいしいい。

本当本当、本家の鴨も食べてみたいけど、鶏と葱はおいしいです。
ホイル焼きというのもいいですね。
茸類はそれでおいしくグリル焼きできそうですし、
たまねぎのホイル包み焼きというのもよさそうです。

なんでも血をサラサラにしてくれる効果があるのだとか……
これはもう食べないと!
鶏のグリル焼きの場合、白ワイン、たとえばシャルドネなんかが合いそうですね。
一方、鴨のローストにはなぜか赤ワインが合いそうです。
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只野乙山

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