阪急庄内駅周辺を歩く(2) 中華料理 くすさん

Shonai_201301_Stn.jpg
一月某日、仕事中ではあるけれど空き時間(つまり休憩)を多めにとることができたので、散歩を試みた。昼食時間も入れての散歩だが、駅周辺を少しだけ歩くのではなく、今回はけっこう歩いてみましたよ。阪急宝塚線庄内駅で降り、今まで歩いたことのない音楽大学のほうに足を向けてみることにした。別に音大に用事があるわけではないけれど、まあいいか、といつもの目的なしの遊歩者になるとしよう。

Shonai_201301_01.jpg某日とは言いながらじつは日曜日なのである。学生たちもほとんど歩いていないだろうと踏んでの音楽大学周辺散歩を実行したのだが、予想は当たっていたようだ。しかも正月、まだ松の内といってもいいくらいではないか。人通りの少ない庄内駅の西側の通りを歩き、「音大通り」とか称する道を、西に向かっててくてく歩く。

この道は「通り」であって商店街というわけではない。だが商店が通りに面していくつかあって住宅街だか商店街だかわからない様相を呈している。西宮/宝塚にいた頃は住宅地と商業地の区分がかなりはっきりしている地域にいたせいか、こういう商店と住宅が混在している通りになにか懐かしい感じを抱きながら歩いた。

Shonai_201301_03.jpgしばらく歩くと大阪音大のオペラハウスに到着。せっかくだからデジタル写真機に収めておこう。オペラハウスの真ん前には喫茶店があり、見ると「MODERN JAZZ & COFFEE since 1969 BLUE NOTE」とある。いわゆるジャズ喫茶であるが、1969年の開店だとすると、33年間も営業を続けていることになる。ここのコーヒーはきっとうまいに違いないと思うのだが、休日でないのが残念、先に進もう。

Shonai_201301_02.jpg「音大通り」のほぼ終点付近まで来たとき、比較的大きな道路との交差点があったのでそこを左折、庄内駅西側の商店街を目指して歩く。正月だけあって人気がほとんどなく、車の通りも少ないので、のんびりぼんやり歩く私の散歩にはうってつけの日だ。晴天に恵まれ、かれこれ数十分歩いているので身体も温まってきたようだ。

正確に街の地勢が頭に入っているわけではないから、目的地があってもそこに辿り着けるわけではないのはいつもの通り。歩きすぎて府道152号線付近まで来たときになってようやく、そろそろ左折せねば、などと考える始末である。ほどなく歩くと庄内神社があったのだが、境内に進んで参拝をすることなく通り過ぎる。どうやら住宅地に踏み込んでしまったようである。

Shonai_201301_05.jpg住宅地とは言うけれど新しく造成した「なんとか台」などと銘打ったいわゆる住宅街とは違って、住宅と商店が見事に混在しているのが懐かしい。以前住んでいた大阪の天王寺区もこのような町の構造になっていた。そして町に必ず一つか二つある銭湯。これも大阪ならではの町の風景ではないかと思う。ずっと大阪に住み続けている人には想像がつかないかもしれないが、商店街と銭湯のない町、というのもあるわけです。

Shonai_201301_06.jpg府道152号線を見たときからかなり南にずれてしまっているとはわかっていたけれど、どうやら阪急電車と国道176号線の交差点まで来てしまったようである。国道を北上すれば庄内の駅に辿り着けるのはわかっているので安心したところ、目の前に異様な建築物が現れた。幹線道路と軌道の交差点にできた三角地帯を最大限まで利用した、何とも名状しがたい形状の家屋である。

見れば「おでん」と書いた提灯をぶら下げていることから、たぶん居酒屋なのだろうと想像するが、それにしても何たる鋭角だろう。通常の家屋なら90度のところが、この家屋は50~60度、いやひょっとするともっと鋭角なのかもしれないが分度器を持っていない以上計測は不可能である。私はこの建築物に何か尋常ならざる気合というか、どこか崇高なものさえ感じた。久しぶりにいいものを見た、という気分になったのである。

Shonai_201301_Kusuan01.jpg国道167号線を北上していると、ふと何か赤いのれんが見えたので、横断歩道を渡ってデジタル写真機に収めておいた。いやなんとも、そのう、それが中華料理店とはわかるのだが、さすがの私(乙山)もたじろいで二、三歩引いてしまったではないか。ここは参考ということで撮影だけにしておこうかな、庄内駅の東側にも中華料理店はたくさんあったじゃないか、と立ち去ろうとした。

が、しかし、である。本当にここで通り過ぎていいのか、ネットに載ることのない「町のお宝」をお前は探していたのではないか、お前が入らなければだれが入るというのか、などという声が聞こえてきたような気がして、中華料理店〈くすさん〉の扉を開いた。「くす」という人(おそらく店主)に軽い敬称の「さん」が付いたものなのか、外来語で感謝の意を表す「サンクス」をひっくり返して言ったものか、いずれとも不明である。

Shonai_201301_Kususan02.jpg比較的暗い店内は昭和の雰囲気が漂うもので、どこからどう見ても町の中華料理屋さん、という感じだ。石油ストーブの臭いもどこか懐かしく、上には正しくやかんが置かれて軽い湯気を立てている。客は私以外にだれもいなかったけれど、テーブル席ではなくカウンターに座った。テーブル席はついさっきまで店の奥さんが座っていたところである。

さていつもの料理が来ましたよ。相変わらずのラーメンとチャーハンのセットである。中華丼だけにしておいてもよかったのだが、比較的長時間の歩行をしただけあって空腹感が強かったのだ。こんもり綺麗に盛られたチャーハンにハムが使われているのがいいですね。横に添えられた紅生姜がこれまたいい。今は少数派かもしれぬがチャーハンにけっこう合うのです。

Shonai_201301_Kusuan03.jpgラーメンはと見ると、スープがたいへん透き通っていてうすい色、余計な油も浮いておらず、まったくもって好ましい。麺は中細ストレートで文句なしの茹で具合、メンマ(シナチク)がないのが残念だけど、いいではないか。まさかまさか(失礼)の展開、ここでこのような素晴らしいラーメンに出会えるとは! ただし、ちょっと味付けは濃いめであると思うし、例の白い粉もたぶん使われているだろう。

味を少しうすくして例の白い粉を使わなかったら、ラーメン偏差値(仮称、架空)50を超えるかも知れぬいいラーメンではないかと思う。ちなみにラーメン偏差値ジャスト50は、神戸は三宮センタープラザにある〈天賓飯店〉のラーメンである。これは私独自の勝手な判断なので全くあてにならぬのはいうまでもない。とにかく、多少マイナス点はあるものの、久しぶりにいいラーメンだったなあ、という気分になった。


【付記】
● あの崇高な建築物といい、出来のいいラーメンといい、今回の遊歩は得るものが多かったように思います。〈くすさん〉にはその後、老婦人が一人で入店してきて、中華丼を注文したのですが、そこにも紅生姜が乗せられていたのには微苦笑を禁じえませんでした。書き忘れてしまいましたが、このセット、700円なんですよ。

人気ブログランキングへ blogram投票ボタン
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

お疲れ様です

グルメ雑誌とは縁遠い食堂に出会い、なおかつ美味いと良い気持ちになったことがあります。食べ物屋さん本来の姿に出会ったような気になります。

なかなか面白いレポートありがとうございます。こんなの好きです(^.^)また頑張って下さい。

Re: 一生喜劇さん

一生喜劇さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
評判の良い情報は充実していると思いますので、
乙山の出る幕ではありません。
「なかなか面白い」との御言葉恐縮です。
「また頑張り」ますのでどうかよろしくお願いいたします。

No title

乙山様、今晩は。

外出(一泊)から戻り、ラップトップをオープンして早速FC2へ、あ~掲載されていました。新しい庄内の記事が、しかし残念な事にまったく記憶にない風景でした。二枚目の二階建ての家が駅の直ぐそばならなんとなく昔もそこに二階建ての家があったような記憶も薄っすらとしますが多分立て替えてあるのでしょう、しかしデザインは同じだったような。

音大にオペラハウスが出来ているとは、昔はその周りは田んぼだったのですが、西側は変化しすぎていて分からないでしょう。

しかし、三角のコーナーに建っている家は凄いですね。観ているだけで楽しいものです。そして少し恐怖を持ちながらも 「くすさん」 に挑戦された乙山さんに拍手です!(その勇気にたいして)笑

Re: まん丸クミさん

まん丸クミさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
そちらはどうやら夜のようですね。こっちは朝なんですよ。
街ってけっこう広いでしょう、だから住んでいてもほとんど立ち寄らない
ような地域もけっこうあるんですよね。

音大のオペラハウス周辺は何やらのどかな感じがしていたのですが、
なるほど昔は田んぼが広がっていたのですね。
歩いていて全く田んぼを見かけなかったように思いますが、そうだとしたら、
ものすごい変わりようだと言えます。

> しかし、三角のコーナーに建っている家は凄いですね。観ているだけで楽しいものです。そして少し恐怖を持ちながらも 「くすさん」 に挑戦された乙山さんに拍手です!(その勇気にたいして)笑

三角地帯の建築物、すごいでしょう? 見ていると、背中を真っ直ぐしないと、
なあんて気合が入ってくるというか。たしかに〈くすさん〉とその周囲の見かけは……ですが、
味はなかなかのものでしたよ。しかも記事にも書いたように老婦人がお一人でいらっしゃり、
中華丼を召しあがっていたのです。見かけによらぬものだなあ、とつくづく思いましたよ。

No title

もう、二十五年以上前の話になりますが
街の中華屋の親父に聞いたことがあるんですが
チャーハンはラードを使うと劇的に美味いんだよと言われました。

その店で、本当に美味いチャーハンを食べちゃったんで
なかなかその味を越えられません。

Re: 根岸冬生さん

根岸さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
なるほど、うまいチャーハンを食べるというのは幸せですよね。
乙山もラーメン&チャーハンのセットばかり食べていますが
(毎日じゃありませんよ、たまに外食するときだけですが)
ラーメンとチャーハンのどちらもいい、というセットはめったにありません。

自分で作っても、なかなかお店のようにはいきませんね。
ですがおいしいチャーハン、作れるようになりたいです。

No title

記事を拝見しました。

実は先日、家内が蛍池に以前住んでおりましたもので、一緒に街の散策に出かけました。
あまりの風景の激変に家内が驚いて、まるで浦島太郎のようだとこぼして居りました。

目的のアパートは見つける事も出来ないまま、そこ・ここを歩き回った後で、モノレールの駅が付いたおかげで立派になった駅ビルの蕎麦屋に入り、鴨ネギをつついて熱燗をやり、シメにそばをたぐるという自分勝手な休日を過ごしてきました。

今度乙山先生のようにふらっと知らない店のラーメンでも食べに行きたいなと考えております。

しかし、阪急沿線は色々探検しても面白そうですよね。
京阪沿線だとこうはいかない…。

Re: Noriさん

Noriさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
そうですか、蛍池を散策なさったんですね。
蛍池がある豊中、池田、箕面あたりを北摂地域といいまして、
大阪市内に住む人間(以前乙山は市内に住んでおりました)にとって、
よほどのことがない限り立ち寄ることはありません。

乙山も近頃北摂地域に移り住んだので、昔と比べられないのですが、
他の方も「変わった」と仰っていました。蛍池は昔の感じをまだ多分に残していると、
個人的には感じていましたので少し意外でした。

ところで蛍池の駅ビルの蕎麦屋、乙山も行ったことがあるんですよ。
あそこはね、カウンターに座って料理するところを見ていると、
蕎麦打ち機からにゅっと蕎麦の麺が出てくるところを切って、
その場でゆでているのです。わりとおいしい、いい蕎麦屋だったと思います。
鴨葱で一杯、蕎麦でしめるとは良いですなあ!
プロフィール

只野乙山

Author:只野乙山

⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

⚫︎ 下の「全ての記事を表示する」をクリックすると、全記事のタイトル一覧が出ますので過去記事を参照することができます。

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
最新コメント

openclose

最新トラックバック
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QRコード
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

アーカイヴ

2017/10 (5)

2017/09 (9)

2017/08 (8)

2017/07 (9)

2017/06 (9)

2017/05 (9)

2017/04 (8)

2017/03 (9)

2017/02 (4)

2017/01 (1)

2016/06 (1)

2016/05 (13)

2016/04 (13)

2016/03 (20)

2016/02 (10)

2016/01 (11)

2015/12 (10)

2015/11 (10)

2015/10 (11)

2015/09 (13)

2015/08 (10)

2015/07 (11)

2015/06 (10)

2015/05 (10)

2015/04 (10)

2015/03 (11)

2015/02 (9)

2015/01 (11)

2014/12 (9)

2014/11 (10)

2014/10 (11)

2014/09 (10)

2014/08 (10)

2014/07 (10)

2014/06 (10)

2014/05 (11)

2014/04 (10)

2014/03 (10)

2014/02 (9)

2014/01 (11)

2013/12 (9)

2013/11 (10)

2013/10 (10)

2013/09 (10)

2013/08 (11)

2013/07 (10)

2013/06 (10)

2013/05 (10)

2013/04 (10)

2013/03 (11)

2013/02 (9)

2013/01 (11)

2012/12 (9)

2012/11 (10)

2012/10 (11)

2012/09 (10)

2012/08 (10)

2012/07 (10)

2012/06 (10)

2012/05 (11)

2012/04 (10)

2012/03 (10)

2012/02 (10)

2012/01 (9)

2011/12 (9)

2011/11 (10)

2011/10 (10)

2011/09 (10)

2011/08 (10)

2011/07 (9)

2011/06 (9)

2011/05 (10)

2011/04 (8)

2011/03 (8)

2011/02 (12)

2011/01 (12)

2010/12 (12)

2010/11 (13)

2010/10 (15)

2010/09 (15)

2010/08 (14)

2010/07 (16)

2010/06 (17)

2010/05 (21)

2010/04 (18)

2010/03 (20)

2010/02 (23)

2010/01 (27)

2009/12 (27)

2009/11 (27)

2009/10 (26)

2009/09 (24)

2009/08 (19)

2009/07 (21)

2009/06 (30)

2009/05 (26)