EL&P 『エマーソン・レイク&パーマー』

EL&P / Emerson Lake & Palmer (1970)

EmersonLakeAndPalmer_1st.jpg
1. The Barbarian
2. Take A Pebble
3. Knife
4. The Three Fates
a. Clotho
b. Lachesis
c. Atropos
5. Tank
6. Lucky Man


オリジナルメンバーによるキング・クリムゾンはアメリカ・ツアーの後消滅、主要メンバーのイアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズは『マクドナルド&ジャイルズ』を制作した。そしてヴォーカルでインパクトの強いフロントマン、グレッグ・レイクもクリムゾンを脱退しエマーソン、レイク&パーマー(EL&P)を結成したのだが、その一枚目『エマーソン・レイク&パーマー』(1970)を久しぶりに聴いてみた。

メンバーはキース・エマーソン(p, Hammond org., Moog Syn)、グレッグ・レイク(vo, b, g)そしてカール・パーマー(ds,per)の三人。キング・クリムゾンのアメリカ・ツアー中にグレッグ・レイクはクリムゾンを抜けた後をどうするか構想していたという。アメリカ・ツアーはマクドナルドとジャイルズを疲弊させたが、レイクはクリムゾン以上にショー・ビジネスで成功するバンドを構想し、エマーソンと組めなかった場合にはジミ・ヘンドリックスと組むことを本気で考えていたというのが好対照だ。

(1)はバルトークの「アレグロ・バルバロ」をロック風にアレンジしたものだが、初めて聴いたときはそういうことは知らず、歪んだベースにハモンド・オルガンが絡むのが衝撃的だった。ロックといえばディストーションのきいたエレクトリック・ギター、というのが多かった時代、ここまでキーボードを前面に押し出したロックグループはあまりなかったのではないかと思う。

クリムゾンにおけるマイケル・ジャイルズのプレイはどちらかというと手数の多いものだったが、カール・パーマーのドラミングはそれ以上に手数が多く、(1)の最終部分を聴いているとなにもそこまで叩かなくても、と吹き出しそうになりながら突っ込みを入れたくなる。大きな銅鑼を打ち鳴らす、というのもこの人が始めた(?)ようだし、ステージで上半身裸になってソロを叩きまくるというサービス精神旺盛の人なのだ。

それにしても、ロックバンドのデビューアルバムの一曲目がインストゥルメンタルっていうのはどうなんだろうと首をかしげたくなるが、このあたりにEL&Pらしさがいちばん出ているように思える。EL&Pとしての活動当初からムソルグスキーの「展覧会の絵」をロック風にアレンジしたものを演奏していたようであることからも、このグループ(というかエマーソン)のクラシック志向がわかろうというものだ。

それにEL&Pとしていちばん売れたのもライヴアルバム『展覧会の絵』(1971)ではないか。ライヴでも「くるみ割り人形」のロックアレンジをやりながらレイクが「イェーイ!」とか叫んでいるのだが、どこまで本気なんだろうと思ってしまうのは私(乙山)だけだろうか。ロックとクラシックの融合といえば聞こえはいいけれど、わかりやすすぎるというか、そのままじゃないか、とつい言いたくなるんですね。

まあ、このわかりやすさ=ポピュラリティこそがグレッグ・レイクの本領なのだと思う。そうでなければショー・ビジネスで成功を収めることはできないのだ。『クリムゾンキングの宮殿』に「ムーン・チャイルド」という曲があって、その後半はフリー・インプロヴィゼーション(自由な即興演奏)なのだが、フリップやマクドナルド、ジャイルズが演奏に熱中しているのはわかるけど、レイクはほとんど参加していない。ったくよ、ホントこいつらにはついていけねえよ、というレイクの声が聞こえてくるかのように思えるほどだ。

(2)(6)はグレッグ・レイクによる作曲で、レイクのヴォーカルとアコースティック・ギターが前面に出ている瑞々しい曲。(6)ではお馴染みモーグ・シンセサイザーが登場する。ああ、これがなくてはEL&Pらしくないんだよな、と思ってしまう瞬間だが、その多くがブルース音階とかペンタトニック音階とはほぼ無縁の、クラシック畑丸わかりのフレーズであるのが、当時は相当斬新だったのではないかと想像する。


【付記】
● キース・エマーソンに限らず、キーボード奏者というのはだいたいクラシック畑の人なんでしょうね。ジョン・ロード(ディープ・パープル)、リック・ウェイクマン(イエス)、レイ・マンザレク(ドアーズ)など、もうクラシックがバックグラウンドにあるんだな、というのがよくわかるフレーズを演奏する人たちです。

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tag : EL&P キング・クリムゾン

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