ニッカ 〈ピュアモルト ホワイト〉



〈遊歩者 只野乙山〉 特別企画
【日本のウィスキーを飲む】



PureMaltWhite01.jpg
「日本のウィスキーを飲む」という企画の最初に取り上げようと思っていた、ニッカのピュアモルトにようやくたどり着いた。1980年代にピュアモルトのブラックを飲んで感心したのを覚えているが、あれから数十年、もう一度飲もうと思ったときにはシングルモルトがもてはやされる世の中になっていて、近隣の販売店の店頭でピュアモルトを見かけることすらない状態だった。

もういつか、どこかでピュアモルトを見かけたときに、などと悠長なことを言っている場合ではなくなってしまった。ニッカのホームページにはまだ現行商品として登録されてはいるものの、このままいくといつ生産終了になるかわからぬピュアモルト。ネット販売しているのを見つけ、思い切って通販で購入してしまった。今ピュアモルトを入手するにはこうするしかないのではないかと思う。

ピュアモルトには三種類あって、余市蒸留所のモルトをキーモルトにした「ブラック」、宮城峡蒸留所のモルトを主体にした「レッド」、そしてアイラ島のモルトを使った「ホワイト」がそれである。今回はその中から「ホワイト」を選んだ。というか、そのネット販売店にはそれしかなかったというのが実情である。正直に白状しておくと、私(乙山)はピュアモルトのブラックしか飲んだことがない。同時期に発売されたフロム・ザ・バレルに感激し、そればかり飲んでいたからである。

さて久しぶりに手に取ってみると、相変わらずデザインの秀逸さが伝わってくる。何の変哲もないシンプルな透明のガラス瓶に小さめのラベル、蓋はスクリューキャップではなくてコルク栓が用いられている。ただし現行品はプラスティックのふたとコルクを張り合わせたもので、販売当時のオリジナルではコルク栓のみを使用するものだった点が異なっている。

早速いつものように小型のグラスにウィスキー:水=1:1の割合にしたものをそのまま飲んでみる。一口飲んだその瞬間「おっ、これは違うぞ!」と感激する。強めのピート香に独特の匂い(これをヨード臭というらしい)が広がり、ふつうのウィスキーとはまるで違う味わいなのだ。好みによって分かれるところかもしれないが、私はこの独特の香りをおおいに気に入ってしまった。

PureMaltWhite02.jpgこの独特の味わいはアイラ・モルトによるものだ。ボウモアとかラフロイグで有名な、小さな島にいくつかの蒸留所があって、そのどこかの蒸留所のモルト原酒をニッカが買い付け、そこに余市と宮城峡のモルト原酒をブレンドしたものだという。どこの蒸留所の原酒を使用しているのか、ニッカは公表していないけれど、通人はおそらく**じゃないか、と推測しているのをウェブ上で見たことがある。私にそのような芸当ができぬことは言うまでもない。

ついでにウィスキー&ソーダにして飲んでみたが、強烈なインパクトはソーダで割ってもまったくへこたれることはなく、ソーダ割りにも向いているように思えた。そのままか少なめの水で割って飲むとたいへん飲みやすいウィスキーも、ソーダで割るとなんだかいまひとつだなあ、と思うようなものがいくつかあるけれど、ピュアモルトのホワイトはそのようなことはありません。もっとも、これだけ個性があるものはソーダ割りにしない方がいいんじゃないか、という声が聞こえてきそうではある。

700ml=1000円前後のスコッチからすると、ピュアモルトは500ml=1500円だから、いささか値段は高いと言わざるを得ないのだが、この味わいは絶対1000円スコッチには負けていないと断言する。味のことはあてにならぬ私でも、これだけは自信を持って言い切ることができるくらい、ピュアモルトのホワイトはきわめて強い個性を持ったウィスキーで、ふだんと違うウィスキーが飲んでみたいという人にはお勧めできるものだと思う。

ただ主成分がアイラモルトなので、「日本のウィスキーを飲む」という企画とはちょっと違うような気がしないでもないが、そのあたりのあまり細かい突っ込みはご遠慮願いたい。とにかく個性の強いウィスキーで、1500円あたりで買える物の中では「お宝」と言って差し支えないほどの逸品だと思う。とくにアイラモルトが好きな人にはもってこい(なにしろボウモアは2500円から、なので)のものではないか。これでしっかり予習しておいて、いつの日かボウモアとかラフロイグを、などと思っている。


≪ ロバート・ブラウンへ  キリン〈エンブレム〉へ ≫

【付記】
● ウェブページをあれこれ見ていると、現行品のピュアモルトは、発売当時のそれと微妙に違っているという意見があるようです。どうやら発売当時のピュアモルトのほうがよかった、ということなのですが、いまとなってはそれを確かめるすべはありません。もしかしたら、日本のどこかの小さな酒屋さんの棚に、まだ発売当時の姿のままのピュアモルトが眠っているかもしれませんね。

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No title

記事を拝見いたしました。
あの理科室にある試薬入れの瓶に似た感じのボトルは、今見ても格好いいですね。仰有るとおり以前はコルク栓もぶっきらぼうだったのが格好良くて、置いておくだけでも絵になってました。それと当時はラベルも自分で貼る奴が付属していた記憶があるんですが…

私も一時期ハマっていて、赤・黒交互に飲んでおりました。学生時代に勉強机に置いてたら半分くらい友人に勝手に飲まれてた事が有ります。友人曰く「これを飲んだら普通の奴が飲めなくなるな」と…

記事を読ませて頂いてアイラモルトに対し堪え性のない私は、通販サイトをみた瞬間に何の躊躇もなくポチっとボタンを押してしまいそうです。
流通在庫を減らす事になりそうで申し訳ありません…。

ちなみに自己紹介方々URLを記しておきましたので、お暇なときにどんな駄目人間なのか確認してやって下さいませ。
ミゾレ交じりの今日この頃ですから、呉々も御自愛を…。

Re: Noriさん

Noriさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
やはりピュアモルトは現行品より昔のほうが、デザインもよかったのでしょうね。
それほど変わってはいませんが、以前のほうが……という方も多いでしょう。

ピュアモルトのホワイトはたしかにアイラモルトを使ってはいるのですが、
本物の、アイラモルトだけのものに比べるとやはり、香りが違います。
かなりヨード臭を抑え、飲みやすくしているのではないかと思います。

ふつうのウィスキーに比べると、えっ、という感じですが、
本物のアイラモルトに比べてしまうと、すこし物足りない感じがするはず。
これを飲んで、遠くアイラモルトを思い浮かべるにはいいかもしれません。

だけどまあ、よくできていますよ。ニッカ、偉い、と言いたくなります。
これを機に、本物のアイラモルトを飲んでみようかな、などと思いますが、
まだまだ予習が足りないようで、もう少しこれで慣れてから、
アイラモルトを試してみようかと思っています。

ウェブログ、お始めになったんですね!

No title

重ねてのコメントで恐縮です。

ブログは長い間放置しておりましたので、URLを書くのが憚られておりまして…
見て頂くに耐えない程度のものですので、『きやつをなぶりませうぞ』といった感じで流して頂ければ幸いです。

Re: Noriさん

Noriさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
そうでしたか、最近始められたというわけではないんですね。
早速伺ってきましたよ!
ラフロイグとオールド・パーで書いておられますね。
ピュアモルトのホワイトは、やはり本物のアイラ・モルトからすると、
かなりヨード臭が抑えられています。
乙山の書き方はずいぶんヨード臭がするかのようになっていますが、
それほどではありませんのでよろしくお願いします。

No title

昔ラフロイグをほんの一口飲んで、そのあまりの強烈な味わいに
圧倒されて以来(経済的事情もあり)疎遠になっていたのですが
コレは一度チャレンジしてみたいです!
発売当初はコルク栓だったのですね・・・ワイン同様「熟成」を念頭に
置いていたということでしょうか。
気合いというか、ウイスキーに対する執念が感じられます。
本場の味をリスペクトしつつ日本の風土と日本人の口に合うように
カスタマイズしたウイスキー、原酒が何であろうと「日本のウイスキー」
と言っても差し支えないのではないかと♪

Re: zumiさん

zumiさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
そりゃもう、アイラ・モルトといえば最も個性が強いものですから、
疎遠になったとしても無理はないんですよ。
だけど不思議なことに、それにどうしようもなく惹かれる人もいる。

ウィスキーは樽の中でのみ熟成が進みますので、瓶に移した段階でストップです。
時間を経るとおいしくなる、とたまに勘違いしている人がいますが、
瓶詰めウィスキーが熟成することはありません。
ピュアモルトのコルクは、たんにデザイン上良かったから採用したのでしょう。

ピュアモルトのホワイトは、アイラモルトを使いつつも、
ヨード臭を抑え目にしてあります(それでもけっこうインパクトは強い)ので、
アイラモルト入門としてお勧めすることができます。
本物のアイラモルトが好きな人は、物足りないかもしれません。

No title

私はニッカ党ですね・・・
まあ、ブラックニッカかそこいらのやつだけですけどね。

サントリーはダメ。
ウイスキーの味じゃあなくって(だって飲んだことがないものがほとんどですから)・・・
今から3オ年ほど前でしょうか。私がお酒を飲み始めたころ、時のサントリーの社長が、東北地方について差別発言をしましてね・・・その時からサントリーは飲んでいません。
まあ入った飲み屋がサントリーしか置いていないときには目をつぶっちゃいますが。

それに一度何かで読んだニッカの創業者の(竹鶴さんでしたっけ?)の伝記を読んで、むやみに感動して・・・

そんなことで今は飲むんだったらブラックニッカです。

Re: gatayanさん

gatayanさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
そうそう、先代のサントリーの社長さんは、
関西弁でいうところの「えげつない」発言をする人でしたね。
どこか品のない部分を露呈してしまうのです。

ですが現場の人はがんばっていて、乙山は大山崎のウィスキー工場へ
見学(と試飲)に行ったことがあります。
山崎で飲んだものはうまかったですよ。

「日本のウィスキーを飲む」という企画をいちおう実行中なので、
取り上げぬわけにも参らぬサントリー。
今後、記事にもなると思いますがどうぞお許しください。

どこの組織でもそうですが、だめなトップのもとで、
あまり評価もされずに働いている多くの人たちがいます。
サントリーを飲むときは、そんな人たちのことを思い浮かべるようにしています。

No title

> 時間を経るとおいしくなる、とたまに勘違いしている人がいますが、
> 瓶詰めウィスキーが熟成することはありません。

 ご心配なく。熟成もなにも、手に入れたアルコールは種類・等級を
問わず、腐敗せぬうちに(笑)飲んでしまいます。

 乙山さんのようにゆったりした気持でウィスキーを味わうことを、すっ
かり忘れてしまい、いささか反省しております。最近では睡眠導入剤
がわりですからねえ。

Re: 薄氷堂さん

薄氷堂さん、こんばんは! コメントありがとうございます。
あはは、そうですよねえ、乙山も、もし頂き物があったら、
即座に手を付けてしまう口ですからね。

ウェブログには出ていないかもしれませんが、
希望と勘違い、怒りや失望、落胆、諦念など、感情の揺れ幅が大きくて、
困ってしまうことがあります。

そんなときにウィスキーに頼ると、ろくなことがないのは、
経験から学ぶことができました(と、思います)。
おいしく、楽しく飲みたいものですよね!

使用原酒

最近の公式サイトを見ると、今は余市でピートをふんだんに使っヘビーピートモルトを使っていると書かれています。

新発売した当初はアイラモルトを輸入していたかも知れませんが、今は違いますね。

Re: 使用原酒

コメントありがとうございます。
貴重な情報に感謝いたします。
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只野乙山

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