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『マクドナルド&ジャイルズ』 (1971)

Mcdnald & Giles / Mcdnald & Giles (1971)

McdnaldAndGiles_Giles.jpg
1. Suite In C; including Turnham Green, Here I Am, and others (2002 Digital Remaster)
2. Flight Of The Ibis (2002 Digital Remaster)
3. Is She Waiting? (2002 Digital Remaster)
4. Tomorrow's People - The Children Of Today (2002 Digital Remaster)
5. Birdman; involving The Inventor's Dream (Q.U.A.T.) (2002 Digital Remaster)
6. The Workshop (2002 Digital Remaster)
7. Wishbone Ascension (2002 Digital Remaster)
8. Birdman Files! (2002 Digital Remaster)
9. Wings In The Sunset (2002 Digital Remaster)
10. Birdman - The Reflection (2002 Digital Remaster)


キング・クリムゾン『イン・ザ・ウェイク・オブ・ポセイドン』の記事を書いたときに、きっかけは『マクドナルド&ジャイルズ』を買ったからだ、みたいなことを書いたと思う。なので早速聴いてみました。これはキング・クリムゾンを脱退したイアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズが、『ポセイドン』の録音後、アイランド・スタジオで制作した、マクドナルド&ジャイルズ名義の最初で最後の作品。

そもそもキング・クリムゾンを初めて聴いたのが1970年代の終わり頃ですっかりのめり込み、1981年にはフリップが新しいメンバー(ディシプリン・クリムゾン)で活動を再開した、というニュースに驚いた。その当時、『マクドナルド&ジャイルズ』は新譜LPとしては販売されておらず、その存在は知っていたものの手に入れようがないコレクターズ・アイテムだったように覚えている。

心斎橋とか難波周辺の中古LPレコード店でくまなく探せば見つけることはできたかもしれないが、そういう知恵が付いたのはずいぶん後になってからの話で、ただ憧れているだけしかなかったのが実際のところだ。タワーレコーズやHMVなど、輸入CDを扱う店が次々と現れ、えっ、と思うような幻のアルバム(キース・ティペットのプロジェクトであるセンティピードの『セプトーバー・エナジー』とかね)が手に入るようになった時点でも、『マクドナルド&ジャイルズ』は買わなかった。熱心なファンとはとても言えぬ所以である。

某販売店のニュースレターの「ロック名盤が500円~」とかいう宣伝文句に釣られて行ってみたものの、やはり500円では種類が限られていてろくなものがない。「800円~」というコーナーに『マクドナルド&ジャイルズ』を見つけたとき、これはもう買うしかないな、と他のCDと一緒に購入した。1980年代初頭なら、中古CD/LP店でかなりの値段で取引されていたことを思うと隔世の感がする。なんともいい時代になったものだ。

McdnaldAndGiles_Mcdnald.jpgさて(1)は11分にも及ぶ長い曲だが、途中〈Turnham Green, Here I Am, and others〉という即興パートが挿入されていることによる。クリムゾン時代のステージでもそうだが、このコンビは即興演奏が好きなんだなあとわかる。そのあたりにグレッグ・レイクがついていけなかったのではないかと勝手に想像する。トラフィックのスティーヴ・ウィンウッドがオルガンとピアノで参加している。

(2)は「ケイデンスとカスケイド」の原曲である、とブックレットに書いてある。といわれても聞いただけではそれと判断がつかないが、歌と歌をつなぐ部分はなるほどそっくりである。ヴォーカルはおそらくイアン・マクドナルドで、ちょっと危なかしい部分もあるけれどそんなに悪くないと思う。(4)はマイケル・ジャイルズの作になるもので、ボーカルもたぶんマイケル・ジャイルズ。上出来とは言えぬが味のあるヴォーカルで、このそこそこ歌える二人によって、『クリムゾンキングの宮殿』のライヴ演奏が可能になっているといっても過言ではない。

(5~10)は「バードマン」と題された組曲で、オリジナルのLPレコードではB面すべてを使ったもの。歌詞はピート・シンフィールドの名前がクレジットされている。作曲はイアン・マクドナルド。マクドナルドの作曲の才能はすごいもので、おそらくキング・クリムゾンにおける「宮殿」「エピタフ」「ポセイドン」は、ほぼ彼の手になるものと思って間違いないのではないか。CDケースの内側には手書きのスコアがあるけれど、たぶんマクドナルドによるものだと思う。

全体の雰囲気は和やかでのんびりしたものが感じられ、曲調はシリアスな方向に行かないのだが、これはマクドナルドとジャイルズが意図的にそうしたものだろう。極度の緊張と集中が求められ、とかくシリアスな展開になるキング・クリムゾンではけっしてできなかったことをこのアルバムでやったのではないか。

ブリティッシュ・フォークというかトラディショナル・フォークにロックのビートを取り入れ、そこに即興演奏の部分でジャズ的なものを加味したサウンドで、アコースティック・ギターを多用していることで全体がアコースティックな印象を与えるのが不思議な感じがする。このあたりも、エレクトリック主体でサウンドエフェクトをきかせ、当時出たばかりのメロトロンをいち早く取り入れたキング・クリムゾンとは違うところ。

ヴォーカルに多少弱さは感じられるものの、マクドナルドとジャイルズの演奏力はやはりたいしたものだと聞きこむほどに感心させられる。『宮殿』と『ポセイドン』で彼らの演奏のが好きになった人は持っていても損のないものだと思うし、『マクドナルド&ジャイルズ』にたいへん熱心なファンがいて、このアルバムをLP時代から長きにわたって聞き続けているという人もいるというのもうなずける、いぶし銀のような味わいがある一枚ではないかと思う。


≪ 『クリムゾンキングの宮殿』へ

【付記】
● 画像一枚目に写っている人がマイケル・ジャイルズ。何とも渋い、いかにも英国の田舎紳士といった感じの人ですね。二枚目がイアン・マクドナルドで、なかなか男前ではありませんか。若い時のグレッグ・レイクはもう言わずもがなのルックスで、キング・クリムゾンのオリジナル・メンバーはなかなかルックス的に(一部を除いて)も良かったのではないかと思えます。

乙山が800円ほどでもとめた『マクドナルド&ジャイルズ』は2002年のデジタルリマスター盤で、HDCD仕様の輸入盤です。オリジナルLPを聴いていないので比較のしようがないのですが、もう40年以上前の音源です。CDを聴いてみるとまるで最近録音したかのような感じに仕上がっていましたので、磁気テープというのはすごいものだなと改めて思った次第です。

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