キング・クリムゾン 『イン・ザ・ウェイク・オブ・ポセイドン』 (1970)

King Crimson / In the Wake of Poseidon (1970)

KingCrimson_Poseidon.jpg
01.Peace (A Beginning)
02.Pictures Of A City
03.Cadence And Cascade
04.In The Wake Of Poseidon (Including Libra's Theme)
05.Peace (A Theme)
06.Cat Food
07.The Devil's Triangle: Merday Morn / Hand Of Sceiron / Garden Of Worm
08.Peace (An End)


プログレ(プログレッシヴ・ロック)の隠れファンである(だと思う)。といってもプログレ全般に通じているわけではなくて、好きなのはキング・クリムゾンとピンク・フロイドくらいで、EL&P(エマーソン、レイク&パーマー)は少し、イエスとジェネシスはあまり聴いていない。だから隠れファン程度なんだけど、どういうわけかプログレを聴くというのは「隠れてこっそり」になってしまう。

これはどうしてなのか、少し考えてみないといけないが、たとえば神戸の中古LP/CD店でクリムゾンの『アースバウンド』なんかがかかっていたらちょっと嬉しくなってしまうのが自分でも不思議である。なんでいまさら、という感じが思い切りしまくりなんだけど、今回はキング・クリムゾンの『イン・ザ・ウェイク・オブ・ポセイドン』(1970年、邦題『ポセイドンのめざめ』)について書いてみよう。

一枚目『クリムゾンキングの宮殿』を発表してアメリカ・ツアーを終えた後、主要メンバーのほとんどが脱退してしまったクリムゾンに残されたロバート・フリップが、元メンバーに要請してレコーディングしたのが二枚目『ポセイドン』である。レコード会社との契約も残っているというのに、詩人のピート・シンフィールドを除いたメンバーがいなくなってしまうという状況はものすごい重圧がかかっていたのではないか。

ピート・シンフィールドの構想によると思われる「平和」のテーマが一応アルバム全体を貫いていて、いわゆる「コンセプト・アルバム」になっていると言えるが、(2)で衝撃を与え、(3)で穏やかな調子になり、(4)で雄大かつ叙情的な曲調になる展開は前作をそのまま踏襲している構成。(2)の衝撃の度合いはやはり前作「21世紀のスキツォイド・マン」のほうがインパクトが強い。あれを超えるのは相当難しいということだろう。

(3)はロックバンドにまつわりつくファンの女の子たちを描いたものと想像するが、歌詞がエロティック。もちろん直接的な表現ではなく暗示なのだが、さすが詩人シンフィールドという感じだ。今はもう見る影もないグレッグ・レイクだが、1969年頃の写真を見ると本当にお相手には困らなかっただろうと思われる。イアン・マクドナルドのフルートはやはりいいですね。ゴードン・ハスケルのこくのある(?)ヴォーカルが、この曲にぴったり合っているように思う。

(4)のように雄大なスケールの曲はグレッグ・レイクでなくてはいかん、という感じがする。グレッグ・レイクのヴォーカルを前面に出して、あとはメロトロンで引っ張っていく曲だが、フリップのアコースティック・ギターが個人的には好きである。次の(5)ではフリップがギター・ソロを見せるが、ジョー・パスばりのフラットピッキングなんですね。後のフリッパートロニクスなんかより、こういうスタイルの曲をもっとやったらいいのになあ。

(6)ではあのキース・ティペットがピアノ(キーボード?)で参加していて、見事なプレイを披露している。ベースはピーター・ジャイルズで透明感のある独特のベースラインが味わい深い。グレッグ・レイクの高音よりでゴリゴリした感じのベースもいいけれど、ピーター・ジャイルズのベースは素朴なんだけど不思議な魅力があるんです。ドラムは兄のマイケル・ジャイルズで、この人も繊細かつ豪胆なプレイで楽しませてくれる。

(7)「デヴィルズ・トライアングル」は宮殿クリムゾン(1969~70)が常にライヴの最後に演奏していたという『マーズ』。ホルストの『惑星』の「火星」をアレンジしたもので、著作権の関係からそのまま録音することはできず三分割に編曲し直して録音したもののようだ。以前からあまり好きではなかったが、後にブートレグで本来の『マーズ』を聴いたとき、鳥肌が立ってしまったのを覚えている。

これはやはり公式ブートレグ『エピタフ』で聴いたほうがいいと個人的には思うが、趣味というのは本当にそれぞれで、「デヴィルズ・トライアングル」が大好きなんだ、という人もいるかもしれない。『宮殿』ほどの集中力と一体感、インパクトの強さはないけれど、『ポセイドン』はキング・クリムゾンのアルバムの中では『宮殿』に次いで売れている人気アルバム(?)のようである。


≪ 『クリムゾンキングの宮殿』へ  『リザード』へ ≫


【付記】
● なんで今頃、という声が聞こえてきそうですが、じつはつい先達て『マクドナルド&ジャイルズ』というCDがたいへん安かったので買ってしまったんです。最近では「40周年記念エディション」なるものも発売されているようですし、そちらを買って聴き直すのもよいかもしれません。

乙山所有の『ポセイドン』は1980年代のもので、EG主導で発売された、あまり良質とはいえない音源なんです。とにかく録音レベルが低い! 1980年代、発売されたばかりのCDにはそういうものが多いように思います。

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tag : キング・クリムゾン

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No title

これはこれは、只野乙山さんのとても意外な一面を垣間みた様な気がして、得した気分です。
このジャンルはかえるままは分かりませんが、付記にあった通りで、かえるままも初期のCDは音があまりよくないのは同感です。
確か高周波をカットしてるから、でしたっけ?なんとなく臨場感にかける感じがしましたよね。

Re:かえるママ21さん

かえるママ21さん、こんばんは! コメントありがとうございます。
えっ、そんなに意外? そうかなあ、この手の話をいかにもしそうな、
そういうタイプの男として認識されていると勝手に思っていたんですけどね。

まあまあ、それは冗談として、やはりこのジャンルは「マイナー」なのでしょうね。
だから「こっそり隠れて聴く」ということになるのかも。
ピンク・フロイドの記事でさえ、反応はいまいちだったものね。

そのあたり、じつはわかっているんですけど、好きなものはやはり書いておきたい。
たとえ人にどう思われようと、です。
ところで、CDの高域カットは、フォーマットの関係でそうなっているので、
フォーマットを変えない限り、今のCDも、昔のそれも基本的には同じ。

マスターテープ(古い音源はそうなのです)から、デジタル化するときに、
録音レベルをある程度操作して、デジタル化のマスタリングするべきなんですが、
初期のCDはどういうわけか、録音レベルが低いですね。
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只野乙山

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⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

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