0.4W電池式アンプ 製作編

400mW_AmplifierUnit.jpg
いつかそのうち、などと言った事柄はたいていなかなか実現しないものである。パワーIC(HT82V739)を使った0.4W電池式アンプもそういうもののうちの一つではないかと思われたのだが、どうしてどうして、製作編に突入ですよ。自分でもどうしたのかな、と思わぬわけでもないのだが、とにかく製作編開始である。

いろいろすることはあるけれど、まず何をするか。とりあえず面倒くさいアンプユニットの製作から着手することにした。ユニバーサル基板を使って配線するのだから、回路図を見ながらあれこれパターンを考えてみたのだが、なんか面倒くさくなってしまった。シンプルな構成(パワーIC、コンデンサー3個、抵抗1本だけ)なんだから、部品を基板に乗せてしまい、えいやっ、と配線してしまった。

写真一枚目がそれだが、4.5cm×4.5cmのたいへん小さな基板にステレオ用2回路が乗っかっているのがわかると思う。ヘッダー(ジャンパー)ピンとQIコネクターなどを使って組むことも考えたが、それも面倒くさい感じがして、裏側にダイレクト配線をした。パワーIC周りはさすがに込み入っているので、はんだ付けをした後テスター(デジタルマルチメーター)で導通チェックをしたところ、短絡していなかったので一安心。

400mW_VR.jpgもう一つ面倒くさいのが入力ボリューム周り。この小型ボリュームは、本来基板に装着して使うタイプで、端子が配線材をからげる仕様になっていない。パーツショップではこれのための小型基盤を用意しているくらいのものだけど、これもダイレクト配線してしまおう。そこまでする必要はないかもしれないが、いちおう短絡防止のために端子の周りを熱収縮チューブで保護しておいた。写真2枚目がそれである。

熱収縮チューブを使うにはヒートガンが必要で、なんでそんなものが家にあるんだと言われても困るのだが、せっかくヒートガンも熱収縮チューブもあるのだから、使ったらいいじゃないかということである。もともとこれはサブミニチュア管というたいへん小さな真空管のピン周りに使ってやろうと思っていたものだ。もちろんこういう面倒なことはしなくても全く大丈夫であるのは言うまでもない。

アンプユニットとボリュームの配線を済ませると、次はケースのデザインと加工に入る。グラフ用紙に手書きしたものをパネルに張り付け、穴をあけていく。およそ0.8t程度のアルミ板だから、ハンドドリルでもそんなに苦しまずにできるのではないかと思う。電動ドリルを使った場合、ケースをしっかり固定していないとセンター出しは難しいかもしれない。簡易万力付き作業台を買ってよかったと思うのはこんな時である。

400mW_Shasis.jpg穴あけ作業は意外に難しく、うっかりすると穴がずれてしまうことはよくあるもの。センターポンチでしっかり目印を付けておいても、ずれてしまうことは起こりうる。お勧めはピンバイスである程度穴をあけておき、そこに小さめのドリル(2.5mm前後)でまず穴をあけ、次に少し大きいドリル(4mmくらい)で穴を広げ、あとはステップドリルを使って穴を広げてゆくと、たいへん楽に穴あけ作業を済ませることができる。

ドリル刃も、ふつうの物より薄板用と称するもの(私=乙山は〈すぱっとドリル〉というものを使った)を使うと、ずれが少なく、しかもバリが少なく、真円に近い穴をあけることができる。ふつうのドリル刃より少し高価だが、使ってみると本当に便利なものだとおわかりいただけると思う。写真3枚目が穴あけ作業を終えたところである。

穴あけを済ませたら、仮組をしておこう。ちゃんと部品が装着できるか、すべての部品がぶつかり合うことなくすんなり収まるか、などをここで確認しておくと、後で泣くことにならずに済む。写真4枚目はフロントパネルとバックパネルに部品を装着してみたもの。スピーカー端子はバナナジャックを採用した。アンプをあれこれ交換して聴くことが多い者にはじつに便利なものだと思う。

ちなみに、写真に写っているバナナジャックはサトーパーツのものだが、これはなかなか良くできていて、ケース内部に余裕がないときは外側に出るようにできるし、内部に空間的余裕がある場合は内に引っ込めて外側をすっきりさせることもできる優れもの。しかも不思議な高級感があって(?)手放すことができなくなった部品の一つだ。

400mW_FrontBackPanel.jpgバックパネルのスピーカー端子の左側にあるのがDCインレットで、ここから乾電池によって電源を供給する。電池が切れてしまった、などというときのためにACアダプターも使える仕様にしておいた。スピーカー端子の右側にあるのはミニジャックで、ここから電気信号を入力する。ふつうはRCAジャックを使うものだが、ただでさえ狭いスペースなので、できるだけ部品を減らしたいこともあってミニジャックを採用した。

パネルに重大な傷をつけることなく穴あけ作業ができたので、このまま仕上げに入ってもいいのだが、今回はフロントパネルとバックパネルに塗装することにした。まあ、塗料が余っているだけなんだけど、EMTのプリアンプ(JPA66)の雰囲気が大好きで、あのグレーのハンマートーン仕上げに黒のノブ、という雰囲気を意識した(あくまで意識しただけ)のです。さて塗装と組み立て、仕上げは次回「完成編」でお伝えする予定ですが、本当に完成するのだろうか?


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【付記】
● こんなに早く実現にこぎつけることになるとは、自分でも思っていませんでした。部品だけ揃えてしまったけれどもう何年もそのままになっている、などというのも実はそんなに珍しいことでもないのです。電子工作好きの人なら心当たりがあるのではないでしょうか。

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No title

付記の件、良く分かります。
自分も押し入れに、買ってそのままになった基盤やパーツがごろごろと……。
やるぞとは思いつつ、どうしても億劫になっちゃってますね。

Re:黄輪さん

黄輪さん、コメントありがとうございます。
本当に、部品だけ買って放ったらかしってありますね。
真空管だけ買って、何年もそのままになっていて、
ちょっと気の毒に思うくらいです。
これを機に、真空管アンプも制作を再開してみようかな、とか考えています。

No title

記事を拝見しました
前回の記事で意気込みを語って居られましたが、早速着手されたのですね
しかし使っておられる道具は一般人が手にしないような物もあって…
凄いこだわりを感じました
スッキリとしたデザインも素敵です
私がやるともっとメカメカしいのになるかなと…

実は現在、日曜大工で家具を作ったりしてるので真ん中に真っ直ぐ穴を開けるのって難しいというのに共感しました

このこだわりは参考にさせて頂きます

No title

「物事が進む時」って不思議なくらいスルスルと進むのですが
その「時」を逃したら平気の平左で何年も放りっぱなしになったり・・・
私の場合、圧倒的に逃すパターンが多いです(^^;)
アンプ製作3部作、この勢いに乗れば完成編のアップも早そうですね~
(と無駄にプレッシャー(笑)
まぁ楽しみながらぼちぼちがんばって下さい♪

Re:Noriさん

Noriさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
どういうわけか「製作編」へ行ってしまいましたよ。
何かそうしなくてはいられないものがあったのではないか、
そんなふうにも思います。

今回はたいへん小さなアンプですので、
デザインはまあ、似たりよったりになるのではないでしょうか。
一応、「完成編」を今のところ、目指しています。

Re:zumiさん

zumiさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
なんだか意地になっている部分もあるかもしれません。
口先だけの男と思われてはなんですからね。

どういうわけか、自分で自分に向かって暴言を吐きながら
(なにやっとんじゃ、ボケ! とかなんとか)
少しずつ、完成に向かっておりますよ。

ううむ、その流れで、ひょっとしたら「完成編」にたどりつけるかも。
だったらもう、前祝いじゃ!
お酒をね……

No title

 さすがていねいなお仕事ぶりですね。完成したら、置物として
飾ってもいいんじゃないかと思うほどです。

 ぼくだったら、たとえばボリュームの軸を通す穴がいびつでも、
外からツマミを取りつけちまえば見えないからいいや(笑)、と手
を抜いてしまうところです。しかしこういう心がけでは決していいも
のはできません(経験者は語る)。乙山さんをみならわなくちゃ。

 完成編を楽しみにしております。

No title

これまたご高尚なご趣味で・・・
機械関係には極めて疎い私ですから、このようなことを仕事ではなく、しょみとして持っておられる方は本当にまばゆいばかりで・・・

小学校から中学校にかけての頃、いろんな雑誌で「マイコンキット」なんてものが宣伝していて、その小さなチップの組み合わせでいろんなことが・・・でも買ってもらえなかったのでそれで何ができるかってこともよく分からないんですが・・・

Re:薄氷堂さん

薄氷堂さん、こんばんは! コメントありがとうございます。
まあ、人はそれぞれ、乙山でも手を抜くところは思い切り抜きますよ。
いかにも丁寧にやってます、という外見を取り繕う名人かも?

こういう工作は、機会がないとなかなか踏み切れないものです。
この度は、ちょうどよい小型アンプがないなあ、なんて思っていたところへ、
低電圧のパワーICを見つけたところから始まりました。

なんだかすっきりしているように見えますが、
アンプユニットの裏側はたいへんなことになっています。
それがまあ、実情というものですね。

Re:gatayanさん

gatayanさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
いったいどうしてでしょうか、こういうものにのめり込むことになったのは。
自分でもそう思います。で、やってみると乙山は「いらち」ですので、
本当は細かい作業に向いてないのではないかと思うんですね。

あせらず、ゆっくりと、確実に、作業をこなしていける、
そんなゆるぎない精神性の持ち主こそ、こういう作りものに
ふさわしいのかもしれません。

オーディオ関連のことはなんとかわかるような気がしますが、
それを制御するのはやはりマイクロ・コンピューターでしょうね。
そのあたりになるともう、お手上げなんですよね。
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只野乙山

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⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

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